チ。-地球の運動について-の内容は史実?地動説の歴史や元ネタ・モデルは?

『チ。-地球の運動について-』の漫画は2022年6月27日に発売された「週刊ビッグコミックスピリッツ30号」にてテレビアニメ化が発表され、ますます人気を集めています。ネット上では『チ。-地球の運動について-』の内容は史実をもとにしていると噂されているのですが、それは本当なのでしょうか?そこで、史実をもとにしているのかを明らかにすべく、本記事では地動説の歴史や天文学者の元ネタ・モデルを考察していきます。

チ。-地球の運動について-の内容は史実?地動説の歴史や元ネタ・モデルは?のイメージ

目次

  1. チ。-地球の運動について-とは?
  2. チ。-地球の運動について-の内容は史実?地動説の歴史も紹介
  3. チ。-地球の運動について-の天文学者のモデル・元ネタを考察
  4. チ。-地球の運動について-の名言
  5. チ。-地球の運動について-の謎を考察
  6. チ。-地球の運動について-の最終回をネタバレ
  7. チ。-地球の運動について-に関する感想や評価
  8. チ。-地球の運動について-の史実まとめ

チ。-地球の運動について-とは?

『チ。-地球の運動について-』は最後に史実に繋がる展開を見せています。また、『チ。-地球の運動について-』の登場人物のモデル・元ネタも存在しているようです。そこで、ここからは『チ。-地球の運動について-』の天動説と地動説の歴史や時代背景、名言、最終回を紹介し、実際の歴史で活躍した天文学者のモデル・元ネタ、物語の謎を考察していきます。

チ。-地球の運動について-の概要

  • 漫画タイトル:チ。-地球の運動について-
  • 作者:魚豊(うおと)
  • 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
  • 発表号:2020年42・43合併号~2022年20号
  • 発表期間:2020年9月14日~2022年4月18日

『チ。-地球の運動について-』はビッグコミックスピリッツにて2020年42・43合併号から2022年20号まで連載されていた青年漫画です。単行本は全8巻が刊行されており、累計発行部数は2022年6月時点で250万部を突破しています。また、2021年のマンガ大賞第2位にも選ばれています。さらに、2022年6月27日に発売された「週刊ビッグコミックスピリッツ30号」では、テレビアニメ化が発表されました。

チ。-地球の運動について-のあらすじ

ここでは『チ。-地球の運動について-』のあらすじを紹介します。本作の舞台となるのは15世紀前半のヨーロッパの「P王国」です。そこでは「C教」という宗教が中心となっており、その教えに反するものは異端者として拷問を受けたり、火あぶりに処せられたりしてしまいます。本作の主人公・ラファウは12歳で大学に入学し、C教が重要視する「神学」を専攻する予定の神童でしたが、ある日、C教の教えに反する地動説に魅入られ…

『チ。ー地球の運動についてー』 魚豊 | ビッグコミックBROS.NET(ビッグコミックブロス)|小学館

チ。-地球の運動について-の内容は史実?地動説の歴史も紹介

『チ。-地球の運動について-』の物語を通して描かれている地動説。地動説の研究はC教によって禁じられているため、主人公たちは命がけでその研究をおこなっていました。実際の歴史でも宗教の存在が科学分野の発展に大きく関わっています。では、『チ。-地球の運動について-』の内容は史実なのか?ここからは地動説の歴史を交え、『チ。-地球の運動について-』の内容が史実なのかを紹介していきます。

チ。-地球の運動について-の内容は史実?

『チ。-地球の運動について』は実際の中世ヨーロッパで起こった事件や研究の歴史をもとに描かれていると考えられます。ただ、物語が史実通りに進んでいくかは分かりません。しかし、アルベルト・ブルゼフスキなど過去の提唱者の人物名はそのまま使用されています。

チ。-地球の運動について-の時代背景

『チ。-地球の運動について-』の物語が描かれる時代は、15世紀前半の中世ヨーロッパです。その舞台は「P国」という架空の国となっており、P国では「C教」という圧倒的な権力を持つ宗教が中心でした。C教は神の教えに反するとして地動説の研究をおこなう者を異端者と呼び、弾圧や迫害、処刑しています。

実際の歴史だと、中世のキリスト教では「天動説」が絶対の真理として信じられていたため、『チ。-地球の運動について-』におけるC教はキリスト教をモデルにしていると考えられます。そして、地動説を説いたのがニコラウス・コペルニクスという天文学者です。コペルニクスは本作に登場するアルベルト・ブルゼフスキのもとで天文学を学んだ生徒の一人だとされており、15世紀から16世紀にかけて活躍しています。

アルベルトから天文学を教わっていたことや、活躍時期と『チ。-地球の運動について-』の時代背景が合っていることから、P王国はヨーロッパにあるポーランドがモデルになっていると考えられます。

チ。-地球の運動について-の天動説と地動説の歴史

それでは『チ。-地球の運動について』において重要なキーワードとなっている「天動説」と「地動説」の歴史について解説していきます。

天動説の歴史

天動説とは、地球が宇宙の中心で動かず、地球の周りを太陽や火星など他の星が回っているという学説のことです。

古代・中世の宇宙観で、ギリシアのプトレマイオスにより完成しています。ルネッサンス期には、神が地球を宇宙の中心に据えたのは、それが人間の住む特別の天体だからだとされました。しかし、『チ。-地球の運動について』に描かれているような地動説との宗教的対立があったのかは疑わしいです。聖書にも天動説を直接的な表現とする記載はなく、聖職者の中にも地動説を唱えて観測していた学者もいました。

地動説の歴史

地動説とは、地球を含めすべての惑星が太陽の周りを回っているという学説のことです。宇宙の中心は地球であるとする天動説に対義する学説となっています。天動説を否定して地動説を提唱したのは天文学者のコペルニクスですが、コペルニクスよりも以前に地球が動いていると考えた者もいます。

その人物というのが紀元前5~4世紀前後の数学者、哲学者のフィロラオスで、彼は宇宙の中心に中心火があり、その周りを地球や太陽などすべての天体が公転していると考えていました。また、コペルニクスが地動説を提唱した後、カトリック教会からすぐに認められることはなく、2008年になってようやく認められています。

チ。-地球の運動について-の天文学者のモデル・元ネタを考察

地動説は21世紀になってからようやく正式に認められた宇宙論であるため、地動説が認められるまでに多くの人々が関わってきました。では、ここから『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタを考察していきます。

モデル①アリストテレス

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の1人目は、アリストテレスです。アリストテレスは紀元前384年~紀元前322年に実在していたギリシアの哲学者です。ソクラテス、プラトンとともに西洋最大の哲学者の一人とされており、哲学のほかに政治や自然科学といったさまざまな分野を分類して基礎を作り上げたことから、「万学の祖」とも言われています。

アリストテレスの宇宙論は、宇宙の中心には地球があり、他の惑星は地球を覆うように広がった球状のドームに乗って運動しているという「天動説」に近い説を唱えていました。「万学の祖」であるアリストテレスが天動説を支持していたことが、地動説が認められてこなかったことの要因の一つだとも言われています。ちなみに天体を構成する第五元素「エーテル」を提唱したのもアリストテレスです。

モデル②クラウディオス・プトレマイオス

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の2人目は、クラウディオス・プトレマイオスです。クラウディオス・プトレマイオスは紀元前200年ごろの学者で、数学・天文学・光学・地理学・音楽学・占星学・地図製作学など幅広い分野にわたる業績を残しています。プトレマイオス的宇宙観という言葉でよく出てきており、天動説の本格的な提唱者でもありました。

プトレマイオスによって書かれた天文学の専門書『アルマゲスト』では、惑星の動きを周転円という動きをもって説明しています。特徴的なのがアリストテレスの宇宙論である「天動説」をベースに天体観測を重ね、発展させている点です。プトレマイオスは地球を他の天体の中心とした時に「月・水星または金星・太陽・火星・木星・土星・他の天体」という順で地球から離れていると提唱していました。

モデル③アリスタルコス

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の3人目は、アリスタルコスです。アリスタルコスは紀元前310年~紀元前230年ごろに実在した古代ギリシアの天文学者・数学者で、宇宙の中心には地球ではなく太陽が位置しているという地動説(太陽中心説)を最初に唱えています。そのためアリスタルコスは「古代のコペルニクス」と呼ばれることもあります。

アリスタルコスはアリストテレスよりも約10年ほど後の人物で、地球・月・太陽の観測から月の大きさや太陽までの距離を求めて地動説を唱えたものの、彼の意見は批判され全く受け入れられることなく、1500年近く忘れ去られています。

批判された理由は2つありました。1つ目は地球が動いていると仮定すれば、強風を感じるはずなのに感じないこと、2つ目は太陽中心であるならば、なぜ世の中の物体が地球の中心に向かって落下するのか説明が付かないことです。確かに感覚的に相手ではなく、自分たちがいる地球が動いているとは思えないかもしれません。

モデル④ニコラウス・コペルニクス

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の4人目は、ニコラウス・コペルニクスです。ニコラウス・コペルニクスは15世紀から16世紀に活躍したポーランド出身の天文学者で、キリスト教や聖書の解釈によって当時主流だった天動説を覆す地動説を唱えています。天文学については著名な天文学者であるドメーニコ・マリーア・ノヴァーラ・ダ・フェッラーラの観測を手伝いながら学んでいたようです。

天体観測や研究はフロムボルク聖堂近くの塔でおこなっています。また、その時は聖職者として働いていたようです。観測に関してはむしろ苦手意識が強く、地動説の論文についても出版する気は全くなかったようですが、唯一の弟子であるゲオルク・レティクスの説得により地動説理論の出版に至ったとされています。コペルニクスの主著『天球の回転について』はケプラーやティコ・ブラーエなどのちの天文学者へ多大な影響を与えました。

モデル⑤ティコ・ブラーエ

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の5人目は、ティコ・ブラーエです。ティコ・ブラーエは15世紀から16世紀に活躍したデンマークの貴族・天文学者・作家・錬金術師・占星術師で、観測のための巨大な天文台を設立しより精密な天体観測を実施したことで知られています。天文学者としてコペルニクスの理論をもとに、プトレマイオスの天動説を取り入れることで独自の宇宙論を作り出しました。

ティコ・ブラーエの宇宙論は、すべての天体は太陽の周りを回っているが、太陽は地球の周りを回っているというものです。また、彼は非常に豪華な作りによって「天の城」とも呼ばれた「ウラ二ボリ天文台」という場所で観測をおこなっており、その天文観測のデータは助手のケプラーに引き継がれています。ちなみに望遠鏡を使わずに肉眼のみで観測をしていた最後の一人です。

モデル⑥アイザック・ニュートン

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の6人目は、アイザック・ニュートンです。アイザック・ニュートンはイングランドの物理学者・数学者・天文学者・自然哲学者・神学者で、主に微積分法の発見や万有引力の法則の確立などの実績を残したことで知られています。また、万有引力の法則によって、地動説が疑いのないものになりました。

万有引力の法則とは、すべての物体がその質量に応じた引力を持つということです。これによって、リンゴが地球に向かって落下するのに対し、月が地球に向かって落下してこない理由について「月の外側に働く遠心力と地球の引力の二つの関係によって、月が地球の周りを回っている」と説明することができます。では、万有引力の法則によってすべての物体に引力があるのであれば、どうして人間の回りをリンゴが回っていないのか?

これについても引力は質量に応じるため、地球上で一番質量が大きい地球の引力も、質量に比例した大きさを持つからだと説明できます。地球上ではすべての物体が地球の中心に向かっていくわけです。これにより、地球の中心に向かって物体が落下していくことが、宇宙の中心が地球である理由はなくなり、地動説が疑いのないものとなりました。

モデル⑦アルベルト・ブルゼフスキ

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の7人目は、アルベルト・ブルゼフスキです。アルベルト・ブルゼフスキはポーランドの数学者・哲学者・天文学者・文学者・外交官で、『チ。-地球の運動について-』においては主人公として登場しています。15世紀に活躍したアルベルトは、『チ。-地球の運動について-』のモデルとなった人物たちと同じように天動説に疑問を抱いていました。

さらに、ヨハネス・ケプラーが「ケプラーの法則」で唱えた惑星による楕円運動についても、月が楕円運動をしていることを誰よりも早く気づいています。そして、特筆すべきなのがクラクフ大学で数学や天文学、アリストテレスの哲学などの講義を受け持っていた際、教えていた学生の中にコペルニクスがいたことです。ただ、このような現実世界の歴史が『チ。-地球の運動について-』の物語として本編へと繋がることはありませんでした。

モデル⑧ヨハネス・ケプラー

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の8人目は、ハネス・ケプラーです。ハネス・ケプラーは16世紀から17世紀に活躍したドイツ(当時は神聖ローマ帝国)の天文学者で、天体の運行法則に関する「ケプラーの法則」を唱えたことでよく知られています。前述の通りハネス・ケプラーはティコ・ブラーエの研究の助手を務めていました。

ティコ・ブラーエの助手になる前は、『宇宙の神秘』でコペルニクスの唱えた地動説を全面的に支持し、ガリレオ・ガリレイからその考えを支持する旨の手紙を送られています。しかし、その後オーストリア大公フェルディナント2世がグラーツからのプロテスタントの聖職者と教師の退去を命じたため、ケプラーは失職してしまいます。ティコ・ブラーエの助手になったのはそれから1年後のことでした。

そして、ティコのもとで働きはじめて1年半後にティコが亡くなり、彼の観測データを引き継いでいます。それをもとに「ケプラーの法則」を発見・発表し、地動説を強化していきました。

ケプラーは身分の低い家庭に生まれており、幼少期の家庭環境からか、自分に自信がなく不安症な面もあったようです。そのため、『チ。-地球の運動について-』において、共通点が多いオクジーのモデル・元ネタになっているのではないかと考えられます。そして、ケプラーがオクジーのモデルだとすれば、ティコ・ブラーエがパデーニのモデル・元ネタである可能性が高いです。

モデル⑨ガリレオ・ガリレイ

『チ。-地球の運動について-』の天文学者のモデル・元ネタになったと考えられる人物の9人目は、ガリレオ・ガリレイです。ガリレオ・ガリレイは16世紀から17世紀に活躍したイタリアの自然哲学者・数学者・天文学者で、近代科学的な手法を樹立するのに多大な貢献をしたことで「近代科学の父」と呼ばれています。また、天文学分野での功績を讃えて「天文学の父」とも呼ばれていました。

『チ。-地球の運動について-』では1話にて描かれた「異端裁判」のモデル・元ネタとなっています。いわゆる「ガリレオ裁判(地動説を唱えたことを理由に、カトリック教会から有罪判決を受けた裁判)」と呼ばれるものです。ただ、実際の歴史では『チ。-地球の運動について-』で描かれるような地動説派に対する迫害はなかったと言われているため注意が必要です。また、地動説の証拠となるいくつかの現象を見つけています。

  • 木星の衛星を発見する
  • 金星の満ち欠けを観測する
  • 月にあるクレーターを発見する
  • 太陽の黒点を観測する

上記の現象はオランダの眼鏡職人が発明した望遠鏡を天体観測に特化した装置に変え、それを空に向けてのぞいたことで発見しています。まず、月にあるクレーターと太陽の黒点を発見したことで、天体が完全円ではないことを証明し、プトレマイオス的宇宙論の「天体は完全円」だとする説を否定しました。

次に木星の衛星(惑星の回りを回る天体のこと)を発見したことで、すべての天体が地球の周りを回っているわけではないことを示しています。最後に金星の満ち欠けを観測したことで、太陽中心の地動説が正しいことを証明しています。

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チ。-地球の運動について-の名言

先に『チ。-地球の運動について-』の時代背景や天動説と地動説の歴史を紹介し、実際の歴史で活躍した天文学者のモデル・元ネタを考察してきました。それでは次に『チ。-地球の運動について-』の登場人物たちが残した名言・名セリフをいくつか紹介していきます。

名言①「なら一体何を捧げれば…」

なら一体何を捧げれば、この世の全てを知れるーー?

『チ。-地球の運動について-』の見開きのページにて、痛々しい拷問シーンとともに上記の名言が放たれています。この名言は硬貨や労働の対価としてパンや報酬を得られる仕組みとなっている世の中の実態を踏まえ、「知識を得て世の中の全てを解明するにはどうしたらいいのか?」と読者に投げかけているセリフです。狂気すら感じるほどのセリフとなっており、作者は何か強い衝動につき動かされて描いたように感じます。

名言②「不正解は無意味を…」

不正解は無意味を意味しない。

上記の名言は『チ。-地球の運動について-』の1巻第2話にて、ラファウから「自分自身を信じて進んできたのに間違っていた場合はどうすればいいのか?」という問いに答えた時のフベルトの一言です。この名言はたとえ信じてきた地動説が間違っていたとしても、自分を信じてきた今までの過程には意味があると説いています。自分を信じることの大切さを説く印象的な名言です。

名言③「神が作ったこの世界…」

神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。

上記の名言は『チ。-地球の運動について-』の1巻第2話にて、満天の星空のもとでラファウに対して放ったフベルトのセリフです。C教が主張する天動説を否定しつつ、異端とされる地動説は太陽を中心として運動するから太陽以外の惑星が動く軌道は美しいということを伝えています。

しかし、中世のヨーロッパでは「真理」を追究することは、その神に逆らうことになりかねません。そんなフベルトに「そんな人生…怖くはないのですが?」とラファウが問うと、フベルトは「怖い。だが、怖くない人生など、その本質を欠く」と答えます。つまり、この名言には真理を求めるには地動説は避けては通れないといった想いが込められているのです。

チ。-地球の運動について-の謎を考察

実在のモデル・元ネタが存在していたり、誰かに問うような名言が多かったりとさまざまな点で魅力的な『チ。-地球の運動について-』。ほかにもさまざまな伏線・謎が隠されている点も見どころです。そこで、ここからは『チ。-地球の運動について-』のタイトルの意味や扉絵の伏線、表紙のイラストなどの謎を考察していきます。

チ。-地球の運動について-のタイトルの意味

『チ。-地球の運動について-』というタイトルの『チ。』には、「地球などの大地の『チ』」「血液の『チ』」「知識の『チ』」といった3つの「チ」が込められています。また、作者である魚豊先生によると、「『チ。』の『。』には物語を通して描いていた地動説ではなく、地球は動くのか、動かないかを表現している」とのことです。つまり、「チ」で地動説、「。」で天動説を表現しているということになります。

さらに、インターネットで作品名をエゴサーチして他者からの意見から影響されることを防ぐため、『チ。』という一文字と句点のみの題名にすることによって、インターネットで検索をしづらくする狙いもあるようです。『チ。-地球の運動について-』の最終話では、「。」が地球に置き換わり、公転している様子になっているのですが、これは天文学の歴史が最後に天動説から地動説へ転換したことを表現していると考えられます。

チ。-地球の運動について-の扉絵の伏線

ネット上では『チ。-地球の運動について-』の漫画1巻・第1話の見開きページで登場する人物は一体誰なのか?と疑問視する声が多くあがっていたようです。

見開きページの拷問シーンによって、「異端視する地動説を研究しただけで拷問を受けるとは…」と衝撃を受けた方はきっと多いことでしょう。では、扉絵の人物は誰なのかというと、のちに登場するオクジーです。見開きページの拷問シーンが描写された時点で、オクジーは地動説研究の道に進むことが示唆されています。

チ。-地球の運動について-の表紙のイラスト

『チ。-地球の運動について-』のコミックス表紙のイラストは印象的な構図になっています。特筆すべきなのが、最終巻・8巻の表紙のイラストだけ星空以外何も描かれていないということです。1巻~7巻の表紙には物語に関わる人物たちが空を見上げている構図となっています。8巻の表紙のイラストは何やら意味ありげですが、果たして何を意味しているのでしょうか?

結論から言うと、『チ。-地球の運動について-』の登場人物たちが見ていた空は時代が変わっても同じものであり、天文に対する探究心は変わらないということを表現していると考えられます。最終話では違う境遇で違う時間をそれぞれ生き抜いたラファウとオクジー、ドゥラカたちが最後に空を見つめているのですが、これは「知は繋がり、行きつく先は同じ」だと解釈することができます。

チ。-地球の運動について-の最終回をネタバレ

先に『チ。-地球の運動について-』の物語の謎をいくつか考察してきましたが、本作の最終話に繋がるパラレルワールド的展開もまた謎を残す結果となっています。ここからは本作の最終回のあらすじをネタバレありで紹介し、最終回に関するネット上の評価を見ていきましょう。

チ。-地球の運動について-の最終回のあらすじ

ここでは『チ。-地球の運動について-』の8巻、最終回のあらすじをネタバレありで紹介します。1470年ポーランド王国にてパン屋手伝いをする青年アルベルト・ブルゼフスキは、幼いころに家庭教師として世話になったラファウと自分の父が知的好奇心を理由に争うのを見たのをきっかけに学問嫌いになっていました。結局ラファウはアルベルトの父親を殺してしまっています。

それを告解室で懺悔したアルベルトは、司祭と話しをしたことで再び学問の道へ進むことを決意しました。その後、大学へ進学することとなったアルベルトは「アルベルト・ブルゼフスキ」の名で登録し、ふと空を見上げると、耳に『地球の運動について』という本の名前が入ります。それ以降のアルベルトは20年以上もの間、大学の教員として生徒に学問を教えていました。その彼の生徒にはコペルニクスの名前もあり…

チ。-地球の運動について-の最終回は評価が分かれている?

『チ。-地球の運動について-』の最終回は少し難解な部分もあり、読者の間でも賛否が分かれました。読者が何よりも驚いたのは、一章の主人公・ラファウと同名であり、外見も一致しているアルベルトの家庭教師でしょう。名前も外見も一致していることから、普通であればラファウは生きていたと考えられますが、自殺した彼にノヴァクが火をつける描写があるため、それはあり得ません。

また、7巻まではP王国が舞台になっていましたが、8巻からはポーランド王国が舞台となっています。これらの要素から、7巻までの世界と8巻の世界は別世界、いわゆるパラレルワールドであると考えるのが妥当でしょう。最終回ではアルベルト・ブルゼフスキやコペルニクスが登場しているのですが、彼らは前述の通り実在した人物です。そのため、7巻までの世界は現実のパラレルワールドと考えられます。

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チ。-地球の運動について-に関する感想や評価

ここまで『チ。-地球の運動について-』の謎や天文学者のモデル・元ネタを考察しつつ、地動説の歴史や名言、最終回をネタバレありで紹介してきました。では、最後に『チ。-地球の運動について-』について寄せられたネット上の感想や評価を見ていきましょう。ネット上では史実の背景をフィクションで埋めることに対する声や死をもってしても奪うことができないキャラたちの探求心に対する声などがあがっていました。

『チ。-地球の運動について-』の魅力に関する声があがっています。こちらの方は『チ。-地球の運動について-』について、「ロマンがあって良き」と高評価されているようです。史実の背景をフィクションで埋めることに浪漫を感じられています。

『チ。-地球の運動について-』の魅力に関する声があがっています。こちらの方は『チ。-地球の運動について-』を読むことに対し、自分の教養知識が増えるという印象を抱かれているようです。

『チ。-地球の運動について-』の魅力に関する声があがっています。こちらの方は『チ。-地球の運動について-』の地動説に取りつかれたキャラの探求心について、「心を打たれる」と高評価されているようです。

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チ。-地球の運動について-の史実まとめ

本記事では『チ。-地球の運動について-』の地動説の歴史や元ネタ・モデルをまとめてきました。人の純粋な好奇心や真実を追い求めようとする姿勢が、人類の進歩に大きな影響を与えているのかもしれません。

漫画のタイトルにある「チ」には大地、血液、知識が込められているという想いの通り、作中ではそれぞれの「チ」を通して物語と時代が進んでいきます。『チ。-地球の運動について-』は地動説の流れが分からなくても楽しく読める作品となっているため、ぜひ一度読んでみてください。

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