2021年08月27日公開
2021年08月27日更新
【チ。-地球の運動について-】あらすじをネタバレ解説!漫画の魅力や感想・評価も
魚豊さん原作の漫画「チ。-地球の運動について-」は、中世の学者たちが国家の迫害に屈することなく、今では当たり前となった地動説を探求する熱いドラマを描いたあらすじとなっているようです。「チ。-地球の運動について-」は連載後間もなく、「マンガ大賞2021」にノミネートされたことで全国的に知られるようになります。面白いと評価され話題となった「チ。-地球の運動について-」のあらすじネタバレを当時の世界観を交えながら解説しつつ、感想や評価についてまとめていきます。
目次
チ。-地球の運動について-とは?
チ。-地球の運動について-の概要
魚豊さん原作の漫画「チ。-地球の運動について-」は、小学館から発行されている週刊青年漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」で2020年から連載中され、2021年現在4巻まで発行されているようです。連載開始時から高評価の感想があった「チ。-地球の運動について-」は、「マンガ大賞2021」で2位にランクインしたことで面白いということが証明された漫画のようです。
チ。-地球の運動について-の原作者
「チ。-地球の運動について-」の原作者の魚豊(うおと)さんは、13歳から漫画の投稿を始め、現在(2021年)23歳のようです。東京都出身以外の魚豊さんのプライベート情報は不明で、どのような姿形なのかネット上で検索してみるも見つからないのが現状のようです。
「チ。-地球の運動について-」連載以前の2018年から2019年の間、講談社が配信するウェブコミック配信サイト「マガジンポケット」(通称マガポケ)で陸上に青春をかける主人公の成長を描いた漫画「ひゃくえむ。」(全5巻)を連載していたようです。「ひゃくえむ。」もAmazonのレビューで、「チ。-地球の運動について-」と同じく高評価の感想が寄せられていた漫画のようです。
チ。-地球の運動について-の漫画あらすじネタバレ
1巻あらすじネタバレ
1巻のあらすじをネタバレします。地球が宇宙の中心である天動説のもと、C教が絶対だった15世紀前半のP王国。12歳で大学に合格したラファウは、義父の希望に沿って神学専攻のはずが、太陽が宇宙の中心である地動説の研究している異端者フベルトと出会い、以前から学びたかった天文学への情熱が沸き上がることになります。
異端者として捕えられたラファウは、解放されるチャンスを与えられるものの、己の信念に従い自殺してしまう衝撃的な展開となっています。
2巻あらすじネタバレ
2巻のあらすじをネタバレします。ラファウの死から10年後。フベルトがラファウに託した研究資料は、下級市民のオクジーとグラスが手にすることになりますが、天文学の知識がない二人は修道士バデーニのもとに向かうことになります。その途中でグラスは死に、残されたオクジーは一人でバデーニのもとに辿り着きます。その研究資料が地動説を唱えていることを知ったバデーニは、危険だと知りながらも地動説の証明に取り掛かります。
3巻あらすじネタバレ
3巻のあらすじをネタバレします。バデーニとオグジーは、宇宙論のカリスマ・ピャスト伯のもとで働いている理系少女ヨレンタに出会います。女性差別により思うように勉強ができないヨレンタは、地動説証明のためピャストの研究資料を見たいというバデーニたちに協力することになります。
天動説派のピャスト伯は、地動説派のバデーニたちに金星が見えたら協力すると言い出します。オクジーの驚異的な視力により満ちた金星が確認され、バデーニはピャストの研究資料を見ることができるようになりました。
チ。-地球の運動について-の面白い魅力
面白い魅力①中世の価値観
現代では宗教の自由は認められているものの、世界のどこかで宗教が起因する争いが起こっているようです。「チ。-地球の運動について-」の舞台となる中世では、現代よりも不安定な世の中であることから宗教が人々と常に密接しており、当時の人々の心を支配していたようです。史実では地動説支持者は「チ。-地球の運動について-」のように過激な迫害は無かったものの、現代のほどの発言自由はなかったようです。
「チ。-地球の運動について-」は「ベルサイユのばら」のような歴史漫画と同様、史実にフィクションが織り込みつつも、世界史の教科書で教えてくれなかったリアルな中世の価値観が分かりやすく描いている点が面白いと評価されている一因なのかもしれません。
面白い魅力②地動説を唱える人々の想い
どんな分野においても最初の一歩の評価は批判されがちですが、「チ。-地球の運動について-」では曖昧な神の世界ではなく、今生きている世界に希望を見出した者たちがC教に抗い命を失ってまでも地動説を証明しようとします。死と引き換えに受け継がれる彼らの揺るぎない信念は、途絶えることなく次の者に引き継がれていく様に読者はただただ感動するしかないようです。
面白い魅力③宇宙の神秘
地動説の可能性から始まり、地球が宇宙と調和している神秘性を真摯に描いている「チ。-地球の運動について-」は、漫画という二次元の媒体でありながら読者を映像でしか見ることのできない宇宙へ誘っていっているようです。そして、登場人物が見上げる夜空はVRのように感じ、宇宙と調和しているような感覚に陥るかもしれません。
面白い魅力④親しみやすいセリフや熱い名言
「チ。-地球の運動について-」は超絶リアル歴史漫画と思いきや、1巻でのラファウの心の中で叫んでいるセリフ「世界、チョレ〜」で肩の力が抜けつつも、面白いと感じた読者も多かったことでしょう。リアルさの中に散りばめられたイマドキなセリフにより「チ。-地球の運動について-」の魅力が倍増し、世界史の教科書のような堅苦しさがなく読者に受入れられているようです。
その一方で、「チ。-地球の運動について-」のタイトル「チ。」に込められているであろう「知」を得ることで新たな可能性が広がることを語っている名言と、悪影響が発生する可能性を語っている名言は、情報社会に生きている我々へ心に突き刺さるものがありそうです。
チ。-地球の運動について-のキャラ一覧
キャラ一覧①ラファウ
12歳で大学に合格した神童ラファウは、天文学を学びたかったものの、義父ポトツキや当時の常識に抗うことなく神学を専攻するという合理的な選択をします。合理的に生きるはずだったラファウは、異端者フベルトが研究する地動説に衝撃を受けながらも心を奪われてしまいます。
ラファウはいけないと知りながらも、処刑されたフベルトの意思を継いで極秘裏に地動説の研究を続けますが、義父ポトツキの密告により異端者として裁判にかけられることになります。それでも自分の信念を曲げようとしなかったラファウは、助かるチャンスを拒否し自殺してしまいます。
キャラ一覧②フベルト
ポトツキの元教え子だったフベルトは、ライフワークである地動説の研究により投獄されていたものの、研究を続けるため周囲を欺き改心したと嘘をつき出所することとなります。天文学の助手が必要だったフベルトは、言葉巧みにラファウを脅し仲間に引き入れます。
天文観測を続けていたフベルトでしたが、C教の派遣異端審問官にバレてしまい処刑されてしまいます。2度摘発されると命がないと悟っていたノヴァクは、天文学を通じて信頼関係が芽生えたラファウに研究資料を託していたようです。
キャラ一覧③ポトツキ
地動説の研究をして捕まったことがあるラファウの義父で教師のポトツキは、ラファウが地動説の研究にのめり込んでいることを知りながら見て見ぬふりをしていたようです。しかし、C教の派遣異端審問官の脅しに屈してしまい、ラファウの研究が地動説であることを密告してしまいます。
キャラ一覧④ノヴァク
元傭兵だったC教の派遣異端審問官ノヴァクは、温厚な人物を装いながらも不気味な雰囲気を漂わせ、異端者を見つけ出し容赦ない拷問を加えていきます。フベルトやラファウに始まり、ノヴァクは地動説を探求する学者の前に立ちはだかります。
キャラ一覧⑤オクジー
民間警備組合からの差し引かれた薄給で日々の生計を立てているオグジーは、フベルトがラファウに託した地動説の研究資料が保管された石箱に関わってしまうことになります。運命に導かれるかのようにオグジーは、その石箱を修道士バデーニに届けた後、彼の助手的なポジションを務めているようです。
下級市民であるオグジーは字が読めず、地動説についてイマイチ理解していないようですが、驚異的な視力は天体観測に非常に役立っているようです。貧しさや当時の宗教観によりネガティブ思考だったオグジーは、天文学に興味を抱き大学進学を夢見るようになります。
キャラ一覧⑥グラス
家族を亡くし絶望の日々を送っていたオグジーの同僚グラスは、無学でありながらも火星観測に没頭するようになります。グラスはオグジーと共に、地動説の研究資料が保管された石箱をバデーニのもとへ届ける途中で死んでしまいますが、彼が解決できなかった火星観測の疑問点が地動説の研究に役立つことになったようです。
キャラ一覧⑦バデーニ
修道士バデーニは頭脳明晰であるものの、上から目線の態度と当時の価値観とは異なった思想により、田舎の教会に左遷されてしまったようです。オクジーが届けた石箱に保管された資料の内容を理解したバデーニは、命の危機にさらされながらも地動説の研究に慎重に着手していきます。
キャラ一覧⑧ヨレンタ
宇宙論のカリスマと言われるピャスト伯に認められた理系少女ヨレンタは、女性であるがため助手的な役割しか与えられなかったようです。隠れて先輩たちの天文学論議を聞く涙ぐましい努力をしていたヨレンタは、バデーニが提示した難解な天文学の問題を難なく説いたことで、危険と知りながらもバデーニの地動説の研究の協力者となります。
キャラ一覧⑨ピャスト
天動説の研究をライフワークとした宇宙論のカリスマと言われるピャスト伯は、女性でありながらもヨレンタの才能を評価しスタッフに加えたり、地動説を唱えるバデーニたちを受け入れたりと一定の寛容さがあるようです。バデーニにより天動説の信憑性が揺らぎ落胆したピャストは、死を前にして天文学を発展のため自身の研究資料を彼らに託し亡くなります。
キャラ一覧⑩コルベ
ヨレンタの先輩コルベは、ヨレンタの実力を素直に認める差別意識のない好人物でヨレンタも信頼していたようです。一見、進歩的な考えのコルぺも実は事なかれ主義のようで、女性だと何かと不都合なことがあることからヨレンタの論文を自身の名義で発表してしまったようです。
チ。-地球の運動について-の天動説と地動説・モデルを解説
考察①天動説とは?
15世紀まで信じられていた天動説とは、「太陽や月やなどの惑星が地球を中心にして周回している」です。紀元前2世紀頃のヒッパルコスが天動説の元となる考えを唱え、その後、歴史に名を残す著名な天文学者たちも天動説を支持していたようです。
天動説が主流の古代ギリシャ時代において、アリスタルコスは地動説派のようでしたが支持されなかったようです。地動説は皆さんご存知のガリレオよりも前に、アリスタルコスが支持していたようです。長い年月、地動説が支持されなかったのは、「チ。-地球の運動について-」と同じく宗教が強かった時代背景があったからかもしれません。
考察②地動説とは?
「太陽を中心に地球や他の惑星が周回している」地動説は、長い年月支持されなかったようですが、科学の発展に伴い16世紀以降から徐々に支持されていったようです。コペルニクスは地動説を証明するほどのデーターを提示できなかったものの、彼と同じく地動説を唱えるガリレオやケプラーを経て現代では当たり前となった地動説が確立されていったようです。
考察③バデーニのモデル
バデーニのモデルとなっているポーランド出身の天文学者コペルニクス(1473年〜1543年)は、神学・医学・数学・天文学など学び、知事・長官・法学者・占星術師・医者と幅広い分野で活躍していたようです。そんなマルチなコペルニクスの優秀さは、バデーニの性格の元となったのかもしれません。古代ギリシャのアリスタルコスが地動説派だったことを知ったコペルニクスは、自身の地動説を信じる源にしたようです。
チ。-地球の運動について-に関する感想や評価
チ。―地球の運動について― (著者:魚豊)
— 柴犬 お市さん (@shibainu_oichi) August 19, 2021
15世紀ヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。地が動いていると信じた血は儚く散り、しかしその知は受け継がれていく。
面白い。久々のお市オブザイヤー受賞候補。 pic.twitter.com/KJNh9harVu
高評価の「チ。-地球の運動について-」の感想は、一言では言い表すことができないので、とにかく読んでくださいというしかなさそうです。読者の心を激しく揺さぶる「チ。-地球の運動について-」が、「マンガ大賞2021」にノミネートされたのは当然の評価だと言えるでしょう。
この物語を読んで激しく動揺した。
— Luco Columbine:ルーコ (@LucoColum) December 14, 2020
漫画にこんなにも心を打ち震えさせられたのは久しぶりだ。
もはや、少し怖い。
この1巻で完結だと言われても納得してしまうほど、
全てが詰まっている。
極楽京都日記: 【漫画感想】魚豊「チ。―地球の運動について―(1)」 https://t.co/T1hlfGcBpK #blogger pic.twitter.com/P7KOhaYKiS
ラファウがメインとなって進んでいくと思いきや、1巻ラストで地動説を信じ自殺してしまう予想外のネタバレとなった「チ。-地球の運動について-」。ラファウの自殺については、賛否両論の感想が入り混じっているようです。
チ。地球の運動について。
— たらまる (@haise2016) December 15, 2020
感想を上手く言えるほど
語彙力ないけど
すごい漫画だった。
人の知性、好奇心は
誰にも止められない。
人間の凄さを感じました。 pic.twitter.com/6dI2bAPGGs
クリエイティブなものに対する面白いという感想は、まあまあ面白いと物凄く面白いの二択になるかもしれません。「チ。-地球の運動について-」の面白いという感想は、物凄く面白いという意味合いのであることは間違いないでしょう。「チ。-地球の運動について-」の広告で漫画を賛美する感想は、宣伝目的の感想ではなく本当の感想であると言えるでしょう。
チ。-地球の運動について-のあらすじまとめ
「チ。-地球の運動について-」の1巻あらすじのネタバレは、当時の常識に反する地動説に目覚めたラファウは己の信念に命を捧げた衝撃の展開となっているようです。2〜3巻のあらすじのネタバレは、1巻でフベルトから託された研究資料はラファウからオグジーとバデーニに託され、彼らは死ぬ覚悟で地動説の研究に取り組んでいきます。
文句なしに面白いとの感想が数多く寄せられている「チ。-地球の運動について-」は、まだまだ続いていますので、2巻から登場したオグジーやバデーニがラファウのようになってしまうのか、それとも彼らを助ける新しいキャラクターが登場するのか、ますます目が離せない面白い展開となることでしょう。