【ゲド戦記】名言・名セリフまとめ!ハイタカ・テルー・アレンの印象的な言葉は?

宮崎吾郎監督によるジブリ映画「ゲド戦記」は、同名の海外ファンタジー小説を原作とする作品で、宮崎吾郎監督の独自の解釈を交えた独特の世界観や、命をテーマにしたメッセージ性に富んだストーリー展開がファンに支持されています。本文では、数多くの名言が誕生した、ジブリ映画「ゲド戦記」から、ハイタカ・テルー・アレンの印象的な名言・名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレを交えながら紹介します。

【ゲド戦記】名言・名セリフまとめ!ハイタカ・テルー・アレンの印象的な言葉は?のイメージ

目次

  1. ゲド戦記とは?
  2. ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~ハイタカ~
  3. ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~テルー~
  4. ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~アレン~
  5. ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~その他~
  6. ゲド戦記の原作小説とは?映画との違いも紹介
  7. ゲド戦記に関する感想や評価
  8. ゲド戦記の名言まとめ

ゲド戦記とは?

「ゲド戦記」の名言や名シーンの紹介・イメージ画像

これまでのジブリ作品にはない、独特の世界観が話題を呼んだ映画「ゲド戦記」は、自身の心の闇に苦悩する若き王子・アレンの苦悩や成長を描いた作品で、人間の光と闇に迫ったメッセージ性の強い作風が人気を集めています。以下では、ジブリ映画「ゲド戦記」から、人生を見つめ直すきっかけとなる、ハイタカやテルー、アレン等の心に響く名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレを交えながら紹介します。

ゲド戦記の概要

ジブリ映画「ゲド戦記」は、宮崎吾郎監督・脚本、スタジオジブリ制作によるアニメーション作品で、2006年7月29日に公開されました。同名の海外ファンタジー小説と、宮崎駿監督の絵物語「シュナの旅」を原作・原案とし、宮崎吾郎監督の独自の解釈の加えた作風や、生きることや命の本質に迫ったメッセージ性のあるストーリーが人気を集めました。

ゲド戦記のあらすじ

世界の均衡が崩れ、エンドラット王国では危機的状況を脱するべく、改善策を模索していた矢先、国王が王子・アレンに殺害される事件が起きます。国を出て行ったアレンは、危ないところをハイタカ(ゲド)に救われ、彼の旅に同行することとなりました。かつて栄華を誇った都の荒廃ぶりを目の当たりをし、心の闇に押しつぶされそうになるアレンでしたが、1人の少女・テルーとの出会いが、彼に生きる希望を見いださせます。

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ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~ハイタカ~

ゲド戦記のハイタカの名言や名セリフの紹介・イメージ画像

ハイタカことゲドは、「ゲド戦記」の原作小説版の主人公ですが、ジブリ映画版では、世界の均衡が崩れた原因を探るべく旅に出た大賢人として、主人公・アレンが人間的に成長するきっかけをもたらした人物として描かれています。以下では、大賢人のセリフを通じて、現代社会が抱える問題を表した、ジブリ映画「ゲド戦記」のハイタカの名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレを交えながら紹介します。

名言①「農民が土地を捨てる…」

ゲド戦記・ハイタカの1つ目の名言や名シーンは、人気のなくなった農村の跡地を見て、なぜ、村人がこの土地を捨ててしまったのかを考え、1つの答えに辿り着いた名セリフです。かつて自然豊かな世界だったアースシーは、世界の均衡が崩れたことによって荒廃が進み、農村では凶作が続くようになりました。不安定な状況から最初は、農作物を育てるだけでは生活ができず、やむを得えない形で村を離れたと考えました。

しかし、凶作に悩んでいても、知恵を出し合うことで農作物の収穫もそれなりに増やせるだろうし、長い間、人々の生活が営まれてきた土地を簡単に捨てることが出来るだろうか、生きるために村を捨てる必要があるだろうかと、ハイタカは考えを巡らせます。アースシーの廃れた農村の光景は、現実世界でも社会問題となっている、地方の過疎化の進行について考えさせられるでしょう。

農民が土地を捨てるとは…凶作のためだけではなかろうに

名言②「あちこちで世界が…」

ゲド戦記・ハイタカの2つ目の名言や名シーンは、テナーの家の場面にて、自身が旅をする目的を語った名セリフです。かつては美しい光景が広がっていたアースシーの世界でしたが、世界の均衡が崩れたことで、かつての美しい風景は廃れてしまい、農村では凶作を理由に畑を耕すことをやめ、町ではお金のために人身売買や麻薬を生業とする者が出現し、人々の心も悪に染められました。

また、世界の均衡が崩れた影響は魔法使いにも見られ、魔法の力も弱まるほどの異変には何か原因があると考えたハイタカは、原因究明の旅に出ました。世界の均衡が揺らぎ始めた原因は、ハイタカと因縁を持つクモにあると考えられるも、実際は、欲望に支配され、理性を失った人間そのものにあるとし、負の感情に支配される人間の不安定さが、世界の均衡に影響を与えたとも考えられるでしょう。

あちこちで世界が不安定になっている。均衡が揺らいでいるんだ

名言③「わしらが持っているものは…」

ゲド戦記・ハイタカの3つ目の名言・名シーンは、今、自分が持っている者はいずれ失われていくもの、だからこそ、与えられている今を大切にしなければならないと訴える、ハイタカの心に響く名セリフです。何かを得ることは同時に何かを失うように、大切なものは永久に自分のところへ留めておくことはできない、それは自身の命も例外ではなく、永遠の命などあるわけがありません。

何かを失うことは心苦しく、時には恐怖や悲しみを感じることもあるものの、失うものの中には、自分の足枷となっているものや、精神的に苦しめる何かも含まれます。失うことは痛みを伴うものの、それによって何かを得られることもあります。優しさゆえに自分を苦しめ、死を早めるような行為に出たアレンに対して、いずれは失われる命の大切さを解く、大賢人・ハイタカの心に響くメッセージです。

わしらが持っているものはいずれ失わなければならないものばかりだ。苦しみの種であり宝物であり、天からの慈悲でもある。わしらの命も。

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ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~テルー~

ゲド戦記のテルーの名言や名セリフの紹介・イメージ画像

ゲド戦記のヒロイン・テルーは、悲惨な過去から命を誰よりも重んじる少女で、命を粗末にするアレンに対して複雑な感情を持っていました。しかし、2人の出会いは、アレンに生きる希望を与えるだけでなく、テルーに隠された秘密が明かされるきっかけにもなりました。以下では、ジブリ映画「ゲド戦記」から、命を大切さを訴えるセリフの数々が胸を打つ、テルーの名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレと共に紹介します。

名言①「命を大切にしない…」

ゲド戦記・テルーの1つ目の名言・名シーンは、映画の予告映像などで広く知られた、テルーのアレンに対する名セリフです。生みの親を失ったテルーは、引き取られた先で奴隷のように扱われ、虐待の末に顔にやけどの跡が残ってしまいました。テナーに引き取られるまで、テルーの人生はまさに生きるか死ぬかに等しい環境に置かれたと推測され、その時の過酷な経験が彼女に命の大切さを気づかせたでしょう。

テルーとアレンの出会いは、とある町でテルーが人身売買の標的にされたところを、アレンに助け出されました。その頃のアレンは、国王であった父親を衝動的に殺してしまい、罪の意識や自分の人生への悲観から、いつしか死を求めるようになりました。自暴自棄になるアレンの様子は、誰よりも命を大切なものと考えるテルーにとって怒りの対象でしかなく、テルーの家で思わぬ再会を果たした際にも、彼に対して嫌悪を顕わにします。

自らの命を粗末にするアレンに対する怒りとも捉えられるテルーの名セリフは、死を望んでいたアレンの心境に影響を与え、アレンの命に対する考えを改めさせる結果をもたらしました。テルーの以下のセリフは、苦しく耐えがたい現実から目を背け、それらから開放される手段として死を考えてしまう時ほど心に響き、どんなに辛くても、前を向いて生きようと思わせるでしょう。

命を大切にしないヤツなんて大嫌いだ!

名言②「死ぬことが…」

ゲド戦記・テルーの2つ目の名言・名シーンは、命にもいずれ終わりを迎える、死が訪れることが分っているからこそ、命を大切にすべきだと訴えるテルーの心に響く名セリフです。テルーの顔のやけど跡は、テルーが過酷な環境においやられていたことを示す表現であり、テナーに引き取られた後も、テルーのやけど跡は好奇の対象とみなされ、人身売買の業者に目を付けられたり、人々に気味悪がられていました。

しかし、テルーの顔のやけど跡は、生き地獄とも呼べる悲惨な状況に追い込まれながらも、歯を食いしばってここまで来たテルーの生きた証とも捉えられるでしょう。テルーの過去は劇中のセリフで言及されるのみでしたが、顔のやけど跡からは、アレンたちの想像を絶するような地獄を味わってきたと想像でき、死に匹敵するような痛み・苦しみを味わったからこそ、命を大切さを重んじる考えに至ったでしょう。

死ぬことがわかっているから命は大切なんだ。

名言③「アレンが怖がっているのは…」

テルーの3つ目の名言や名シーンは、クモ城に幽閉されたハイタカ・テナーを助けることができず、自身の力の弱さに絶望するアレンを励ますテルーの名セリフです。出会いは最悪であったものの、アレンが自分の国の現状を憂うあまり、父親を殺したことなどを聞き、アレンと打ち解けることが出来たテルーは、アレンにはアレンしか分からない苦しみを抱えていることを知ります。

そして、ハイタカとテナーの窮地を前に、自分の力では何も出来ないとや、自分にとって大切なものは何かを見いだせずにいるアレンに対し、テルーはたった1つの命だからこそ、精一杯生きなければならないと訴えます。ハイタカやテルーの命も、アレンにとって大切なものではと訴え、アレンが本当に大切に思うものは何かを気づかせ、2人を救出すると共に、アレンの脅威であった影の正体も突き止めます。

アレンを追っていた影の正体が、実は彼の本来の姿である光であったように、テルーは、アレンが怖がっているのは生きることだと指摘します。生きることは、時に目を背けたくなるような現実とも向き合わなければならず、人は耐え難い現実に直面するほど死が頭をよぎり、かつてのアレンがそうでした。しかし、テルーとの交流は、やがてアレンの命に対する考えを改めさせ、大切な人を救うための勇気と力を与えました。

アレンが恐がっているのは、死ぬことじゃないわ!生きることを怖がっているのよ!!

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ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~アレン~

ゲド戦記のアレンの名言や名セリフの紹介・イメージ画像

アースシーの世界の均衡が不安定になった影響は、作物や家畜だけでなく人間にも影響を与え、国の現状を憂う王子・アレンの心も蝕み、心に闇を生み出しました。やがて死に場所を求めるかのように旅を始めたアレンは、ハイタカやテナー、テルーとの出会いを経て、自身の生と死に向き合い、1つの答えを導きました。以下では、映画「ゲド戦記」の主人公・アレンの名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレと共に紹介します。

名言①「命などいるか…」

ゲド戦記・アレンの1つ目の名言や名シーンは、人身売買に攫われそうになったテルーを助け出し、殺されることを覚悟で、たった1人で人狩りの一派に立ち向かうアレンの名セリフです。生真面で優しすぎる性格はやがてアレン自身を苦しめ、心の闇との葛藤や正体不明の影に追われる恐怖から、アレンは苦しい現実から開放される手段として、自分の理想でもあった国王の父親を衝動的に殺害し、国を捨ててしまいます。

内なる自分を支配する心の闇との静かな葛藤や、父親を殺し、国を出て行った自分には何も価値がないと悲観に暮れるアレンは、無意識に自分の死に場所を求めるようになり、人狩りの一派に囲まれた際にも、ここで自分を殺して欲しいという願望もあったでしょう。自分を苦しめる原因から目を反らしたい、はやく楽になりたいとの想いから、死を急ぐような行為に走ったと考えられ、アレンの葛藤が垣間見える名セリフでしょう。

命などいるか!

名言②「いつも不安で…」

ゲド戦記・アレンの2つ目の名言や名シーンは、テルーの唄を聞いて、はじめて自分の心と正面から向き合い、何か大切なことを気づかされたアレンの名セリフです。夕暮れ時、テナーの家の裏山へ向かったアレンは、丘の上で歌うテルーを目撃し、彼女の歌の歌詞から、かつて孤独に苦しんでいた自分の姿を重ねて涙を流します。その後、テルーと対話したアレンは、国王であった父親を殺した時の心境について話します。

エンラッド王国の国王だった父親を尊敬していたアレンでしたが、生真面目な性格が災いし、いつしか、父親のように立派な人間にならなければならないと考えるようになり、自身を追い詰めるようになりました。やがて、父親のような人間になるという目標はアレンへ重圧としてのしかかり、アレンの心は闇に覆われるようになり、自身の暗い闇が影となって表れた分身に悩まされるようになります。

影が現れた原因は国王の父親にあると考えたアレンは、苦しい現実から開放されたいがために、自分を苦しめる元凶が父親にあるとみて、父親の殺害に踏み出し、国を出ていきました。しかし、アレンを悩ませる影は消えることなく、自身の闇の部分にも怯えるような状況になってしまいました。今の状況を作った原因が自分にあるのが分っていても、自分でもどうしたら良いのか分からない、アレンの葛藤がもっとも現れた名セリフです。

ダメなのはぼくの方さ。 いつも不安で自信がないんだ。 なのに時々、自分では抑えられない位、凶暴になってしまう。 自分の中にもう一人自分がいるみたいなんだ。

名言③「自分が生かされている…」

ゲド戦記・アレンの名言や名シーンの3つ目は、大切な人たちを救うため、自身の信念をクモにぶつけるアレンの心に響く名セリフです。ハイタカとの旅や、テルー・テナーとの交流を通じて命の大切さを知り、そして、自分の心と正面から向き合うことができたアレンは、これまで自分を追いかけ、脅かしてきた影の正体が、実はアレンが忘れていた心の光だったことに気が付きます。

アレンが目を背けてきたものとは、彼の心の光、つまり前を向いて生きる勇気でした。心の闇に支配されていた頃は、目の前の苦しい現実にばかり目を向け、それから逃れたいがために命を軽んじるようになり、無駄死にするような行為にも走ったアレンでしたが、ハイタカやテルー達との対話により、命とは何かを改めて考えるようになり、やがて命があることのありがたさに気づかされます。

そして、ハイタカやテナーを救うべく、アレンが立ち向かおうとしているクモは、かつてのアレンと同じ心の闇を抱え、そこから抜け出せない状況にあり、アレンにとってクモとの戦いは、心の闇に支配されていた頃の自分との戦いとも表現できるでしょう。

光から目をそむけて闇だけを見ている。ほかの人が他者であることを忘れ、自分が生かされていることを忘れているんだ!死を拒んで生を手放そうとしているんだ。

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ゲド戦記の名言や名セリフ・名シーン集~その他~

ゲド戦記のその他の名言や名セリフの紹介・イメージ画像

ファンタジーでありながら、現実世界にも通じる問題が盛り込まれた「ゲド戦記」では、人間の心の弱さや生きるなど、人間の本質をついた奥深いセリフの多さも魅力であり、何気ないセリフからは、様々なことを考えさせられます。以下では、ジブリ映画「ゲド戦記」から、ラスボス・クモをはじめとするその他の登場人物・キャラの心に響く名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレを交えながら紹介します。

名言①「今日び、まじないなんて…」

ジブリ映画「ゲド戦記」のその他の名言や名シーンの1つ目は、世界の均衡が崩れたことで魔法が使えなくなり、生活のためにまがい物売りをしなくてはならない、元まじない師の露天商の女性の名セリフです。ハイタカとアレンが旅の途中で訪れたホートタウンは、まがい物をあたかも高級品のようにみせかけて売ったり、人身売買も平然と行われるなど、かつて栄華を極めた都とは思えないほど荒廃していました。

まがい物を売って生計を立てる・イメージ画像

そんな中、アレンのためにマントを買い求めるハイタカは、ある露天商から有名な産地で作られた高級織物のマントを売りつけられます。しかし、ハイタカはマントを見るなり、そのマントが偽物であることや、それらを売りつけた女店主が魔法使いだったと見抜き、なぜ、魔法使いにも関わらず、偽物の商品を売るような真似をしているのかと問います。

すると女店主は、魔法が使えないまじない師は、この世に存在しても意味がない、かといって、今まで魔法で生計を立ててきた経緯から、今更、まっとうな仕事を手に付けることも出来ないから、やむを得ずこの商売を始めたと答えます。そして、例え偽物の商品を売りつけても、その商品を必要する人の役に立てて、かつお金にもなる、得体の知れないまじないよりも信じられると、独自の価値観を述べました。

今日び誰もまじないを信じないのさ。そりゃここにあるのは紛いものばかりさ。けど物は物さ。信じられる。魔法やまじないのように形のないものとは違うんだよ。

名言②「苦しさも…」

ジブリ映画「ゲド戦記」のその他の名言や名シーン2つ目は、ハイタカとはぐれてホートタウンを彷徨うアレンを路地裏に引き寄せ、苦しみから開放されるとうたい、怪しい薬「ハジア」をすすめる商人の男の名セリフです。「ゲド戦記」で登場した薬・ハジアとは、いわゆる麻薬の一種であり、薬を服用することで気分を高揚させ、幸せな気分にしてくれる中毒性のある薬物です。

ハイタカと旅を続ける間も、父親を殺したことへの罪悪感や、正体不明の影に追われ続け、心身ともに疲れ切り、苦しみ続けるアレンにとって、ハジアの売り文句は非常に魅力的なものであり、一時的な快楽を求めてハジアに手を出そうとします。しかし、ハイタカが間に入ったことで事なきを得ることができ、その後、路地裏に倒れ込むハジア中毒者の末路を目の当たりにします。

ハジアは、服用者を精神的な苦しみから開放してくれるものの、その代償として心身を蝕まれ、肉体から魂が抜けたような状況に陥り、最後には路地裏での惨めな死が待っていました。精神的に追い詰められている時ほど、苦しみから開放してくれるような甘い誘いはとても魅力的に聞こえるものの、誘惑に勝つことができなければ、いつまでもそこから抜け出すことが出来ない、己の心の弱さについて考えさせられる名言でしょう。

苦しさも、不安も全て忘れて幸せになれますよ

名言③「人間の欲望に際限など…」

ジブリ映画「ゲド戦記」のその他の名言や名シーンの3つ目は、ハイタカへの復讐を目論み、己の欲望を満たそうと暗躍するクモの名セリフです。永遠の命を手に入れるためなら、この世界がどうなっても構わないという利己的な考えの元、禁断を犯してまで生死両界を分かつ扉を開けようとしたクモに対し、ハイタカは世界の均衡が崩れた原因は、クモの果てしない欲望にあったと考えます。

一方のクモは、世界の均衡が崩れた原因では自分だけでなく、人間が持つ際限のない欲望にもあると指摘し、膨れ上がるばかりで、止まる事を知らない自身の欲望の全てを叶える手段として、永遠の命を求めるようになりました。実際、世界の均衡が崩れたことで、農村では凶作を理由に、もっと豊かな生活を求めて村を捨てて都会に流れる者が表れ、町ではお金のために人身売買や麻薬の密売に手を出す者が続出しました。

例え、自分を倒したところで、どこまでも膨らみ続ける人間の欲望が消えない限り、世界の均衡は戻らない、また、世界の均衡を保つために人間の欲望を止めることも不可能なことと、クモは指摘します。実際、クモを倒したところで世界の均衡は元通りとはいかず、人間の飽くなき欲望が収まらない限り、この世界の均衡は不安定なままであり、世界の荒廃も進行するばかりでしょう。

人間の欲望に際限などないのだ。 それを止めようなどムダなこと。

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ゲド戦記の原作小説とは?映画との違いも紹介

ゲド戦記の原作小説とジブリ映画との違いを考察・イメージ画像

アメリカのファンタジー小説を原作とする「ゲド戦記」は、ジブリの原点である「風の谷のナウシカ」よりも前に構想や原案が練られていた作品で、宮崎駿監督のアニメ映画の制作に大きな影響を与えました。以下では、ジブリ映画「ゲド戦記」の原作小説の概要や、ジブリ映画・原作小説版での違いについて紹介します。

ゲド戦記の原作小説とは?

ジブリ映画の原作となった「ゲド戦記」は、アメリカの小説家・アーシュラ・K・ル=クヴィンにより発表されたファンタジー小説シリーズで、「オズの魔法使い」「指輪物語」と共に、世界三大ファンタジーに数えられます。魔法使いが登場するファンタジー小説の礎を築いたとも言われる「ゲド戦記」は、本編4巻・外伝2巻で構成され、原作小説版ではハイタカことゲドを主人公に据え、彼の人生を描いたストーリーとなっています。

「ゲド戦記」の原作小説・1巻では、ローク学院時代のハイタカ(ゲド)の若き日を舞台に、自分の才能を証明するため、禁断の魔法を使用したことで影に脅かされるようになり、師の助言に従い、影と対峙するまでを描いています。2巻では、テナー(アルハ)を中心とした物語で、二つに割られて奪われた指輪の奪還と、名なき者たちと呼ばれる者との戦い、そしてテナーの自己の回復と開放までを描いています。

ジブリ映画の原作となった3巻では、世界の均衡が崩れつつある荒廃した世界を舞台に、大賢人となったハイタカと、エンドラットの王子・アレン(レバンネン)との世界の秩序を回復させるための旅路を描いています。最終巻・4巻では、旅先で全ての力を失い、故郷に帰還した壮年のハイタカとテナー・テルーとの生活と、3人に降りかかる脅威、悲運の少女・テルーの知られざる秘密を描いています。

ゲド戦記の原作小説と映画の違い

ジブリ映画「ゲド戦記」は、同名の原作小説・3巻と、宮崎駿監督の「シュナの旅」を原案に制作されたストーリーで、映画と原作小説では、ストーリーや各キャラクターの設定の違いなどが指摘されます。まず、ハイタカとアレンの出会いについて、原作では、父王の命令によってアレンが会いに行く展開となっており、映画冒頭の父親殺しは、映画オリジナル設定となっています。

また、物語を通じてアレンを追い詰める影の存在も、原作では、若き日のハイタカが生み出した心の闇であり、映画版で言及された心の光の存在とは真逆の意味を持っています。そして、映画と原作小説との違いがもっとも現れたのが、ヒロイン・テルーの設定であり、原作では5,6歳の幼女として描かれるも、ジブリ映画では、男性主人公とヒロインの年齢が近い傾向から、アレンと同年齢まで引き上げられました。

テルーの設定は、年齢だけでなく、外見上の特徴でも見られ、原作小説では、壮絶な虐待の末、身体の右半分にひどいやけどを多い、その影響で右手が異形になってしまったこと、炎を浴びせられたことで喉が潰れてしまったとされています。そのため、ジブリ映画版では、テルーが虐待を受けていた設定はそのままに、やけど跡も顔の左側のみにとどめられ、原作よりもマイルドに仕上げられました。

登場人物の設定面でいくつかの違いが指摘される「ゲド戦記」は、問題の解決の面でも映画・原作小説にて大きく異なります。原作小説では、暴力を用いて悪者を退治するような解決方法はしていない一方で、ジブリ映画版では、全ての元凶であるクモを、竜と化したテルーに倒させることで問題を解決に導き、アレンはハイタカと共に国へ帰っていくという、映画オリジナルのエンディングで締めくくられました。

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ゲド戦記に関する感想や評価

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どんなに苦しくても、それらから目を反らさず、前を向いて生きることの大切さや、自分の人生について考えさせられるメッセージ性の強いセリフの数々は、「ゲド戦記」の世界観の奥深さを表しているでしょう。以下では、これまでのジブリ作品にはない新たな世界観や、挿入歌・テルーの唄が人気を集めた、ジブリ映画「ゲド戦記」に関する感想や評価を、あらすじネタバレをまじえながら紹介します。

感想1:主人公に親近感がわく

心の闇に支配された主人公が、国王である父親の殺害から始まる「ゲド戦記」は、ハイタカとの旅や、テルー・テナーとの出会い、クモとの戦いを通じて、精神的に大きく成長するアレンの姿を描き、心の闇から脱却し、希望の光を見いだすまでのアレンの奮闘は、ファンを魅了しました。また、アレンのキャラ設定は、現代の若者を彷彿させ、心の闇に苦しみ、葛藤するアレンの姿が自分と重なり、親近感を覚えたとの声も見られます。

感想2:ゲド戦記が一番好き

数あるジブリ作品の中で独特の世界観が繰り広げられたジブリ映画「ゲド戦記」は、好みが分かれやすい作風であるものの、精神的に成長していくアレンへの共感など、1番好きな作品との声も見られます。一方、原作小説とはかけ離れた作風のため、原作ファンからの評価は厳しいものでしたが、原作とは別物の、1つの作品として捉えれば良い作品だという感想も寄せられています。

感想3:ジブリでは珍しい作風が面白い

「ゲド戦記」の好みが分かれやすい理由の1つとして、ジブリ定番の底抜けに明るいキャラクターが出てこないことや、主人公を含め、キャラのそれぞれが何かしらの悩みや葛藤を抱えている点も挙げられます。そのため、「ゲド戦記」は、ストーリー全体を通じてシリアスな雰囲気が漂っていますが、他作品にはない独特の世界観やキャラ設定も面白いと評され、コアなファンの支持を集めています。

感想4:命をテーマにした作品

ゲド戦記を代表する名セリフ・テルーの「命を大切にしないヤツは、大嫌いだ」のように、ジブリ映画「ゲド戦記」は、命をテーマにした作品とも解釈でき、壮絶な幼少期から誰よりも命を重んじるテルーをはじめ、命にまつわるセリフの多さも特徴に挙げられます。彼らが発するセリフの中には、解釈することが少し難しいと思われるセリフもあるも、メッセージ性に富んだ内容からは、様々なことを考えさせられます。

感想5:テルーの唄に涙

「ゲド戦記」は、命をテーマにしたメッセージ性のある作風だけでなく、劇中でテルーが歌う挿入歌やBGMにも魅力の1つであり、映画は観たことないけど、テルーの唄は聞いたことがあるという、感想も寄せられています。心がすさんでいたアレンを感動させたテルーの歌は、ジブリ音楽としても高い人気を誇り、「ゲド戦記」の世界観を表現したような美しい旋律は、多くのファンを涙を誘い、ジブリ音楽の名曲とも称されるでしょう。

感想6:怖いけど面白い

「ゲド戦記」と言えば、他のジブリ作品と比べてシリアス要素が強く、観る人によって怖いと感じられる方もいるでしょう。ジブリ映画「ゲド戦記」に関する評価は、原作とかけ離れた作風や、全体的に暗い印象から、ゲド戦記の原作ファンや一部のジブリファンから厳しい意見が寄せられるも、「ゲド戦記」が一番面白いとの声も多数見られ、一度は観てほしい映画作品としてもあげられています。

感想7:ゲド戦記の原作小説を読みたい

「ゲド戦記」は、ジブリ映画だけでなく、原作小説版も高い人気を誇っており、映画の視聴をきっかけに原作小説を読み始めたファンも現れました。中には、映画と原作小説の内容があまりにも違い過ぎて、期待外れに終わったことから、映画または小説版のどちらかがつまらないとの声も見られるも、映画をきっかけに小説版を読もうと考えるファンはいまだ衰えることなく、「ゲド戦記」の根強い人気に拍車をかけています。

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ゲド戦記の名言まとめ

ゲド戦記の名言まとめ・イメージ画像

ジブリ映画「ゲド戦記」のハイタカ・テルー・アレンをはじめとする登場人物の心に響く名言や名セリフ・名シーンを、あらすじネタバレを交えながら紹介しました。過去のジブリ作品にはないシリアスな作風から、好みが分かれやすい作品とも評される「ゲド戦記」ですが、心の闇と戦うアレンや、壮絶な過去から命を重んじるテルーのセリフからは、生きるとは何か、命とは何かを考えさせられるメッセージが込められているでしょう。

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