ゲド戦記の評価が低い理由はなに?駄作といわれる原因やレビューを紹介

アニメ映画「ゲド戦記」の評価が低い理由について、分かりやすくイチからまとめます。ネット上ではしきりに「駄作」と評価され、中には「ジブリ1の駄作」というレビューまで存在する本作。映画「ゲド戦記」は本当に駄作なの? また、そこまでボロクソに評価される理由って一体? 原作者にまで嫌われてるって本当? などなど、話題作の気になる本当のところを、見た人のレビューなどを元に徹底調査しました!

ゲド戦記の評価が低い理由はなに?駄作といわれる原因やレビューを紹介のイメージ

目次

  1. ゲド戦記の評価が低い理由を徹底調査!
  2. ゲド戦記とは?
  3. ゲド戦記の評価が低く駄作と言われる理由や原因はなに?
  4. ゲド戦記は原作者からの評価も低い?
  5. ゲド戦記の評価が低い理由まとめ!

ゲド戦記の評価が低い理由を徹底調査!

この記事では、アニメ映画「ゲド戦記」の評価が低い理由について、感想・レビューを元にまとめていきます。ネット上ではしきりに「駄作」と評価され、中には「ジブリ1の駄作」とするレビューまで存在する本作。映画「ゲド戦記」は本当に駄作なのか? また、そこまでボロクソに評価される理由とは一体なんなのでしょうか? 気になる感想の理由を、見た人のレビューなどを元に徹底調査しました!

スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

ゲド戦記とは?

映画「ゲド戦記」とは、スタジオジブリ制作のアニメーション映画。原作はアメリカの小説家アーシュラ・K・ル=グウィンによる、同名のファンタジー小説です。映画版は「駄作」と言われていますが、原作版の『ゲド戦記』は『指輪物語』『オズの魔法使い』と並び称されるほどの名作として評価され、海外では数々の文学賞も受賞しています。それだけに、映画化されたものが「駄作」だったということのインパクトは大きいと言えます。

映画版を制作したスタジオジブリは、言わずと知れた日本を代表するアニメーションスタジオ。特に人気を集めるのは「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」などの宮崎駿監督作品で、「火垂るの墓」や「かぐや姫の物語」などの高畑勲監督作品も知られています。本作「ゲド戦記」では宮崎駿監督の息子である宮崎吾朗さんが、アニメーション監督初にも関わらず監督として制作の指揮を取りました。

宮崎吾朗さんは本作「ゲド戦記」と「コクリコ坂から」の2つのスタジオジブリ作品で監督をつとめました。それまで監督の経験はなく、本作『ゲド戦記』が初監督作。つまり、アニメーション監督としては未経験の新人です。宮崎吾朗さんが「ゲド戦記」の監督に抜擢されたことについては、宮崎駿さんや高畑勲さんなど主要スタッフの高齢化が理由として挙げられていましたが、現場のスタッフからは疑問の声も上がっていたようです。

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ゲド戦記の評価が低く駄作と言われる理由や原因はなに?

さて、それではなぜ「ゲド戦記」がここまでの駄作として評価されているのか、その理由はどんなものがあるのでしょうか。ストーリーやキャラクターなどに分けて、細かく見ていきましょう。

ストーリーが分かりにくい

本作「ゲド戦記」は、全6巻から成る原作の内、第3巻「さいはての島」に、第1巻「影との戦い」の要素を部分的に加えて作られています。「ゲド戦記」を見た多くの人が「ストーリーが分かりにくい」と言いますが、分かりにくいという評価の一因は、こうして原作の多くの部分が割愛されているがゆえでしょう。本来あるはずのストーリーがカットされているのですから、低い評価となるのも頷けます。

まず、「ゲド戦記」というタイトルにもあるようにキーパーソンであるゲド(ハイタカ)の人生についてですが、これは原作を読まなければほとんど把握できないでしょう。また、ハイタカとテルーの関係とは? 結局人と竜ってどんな関係なの? など、映画を見ているだけでは疑問が尽きることがありません。映画全体を通してかなりの説明不足で、ほとんどの疑問は回収されないままエンディングを迎えてしまうのです。

では、原作を読んでいれば納得できるのか? というと、そうでもありません、原作を読むと今度は、原作と映画との間に違いが気になってしまい、逆に疑問が深まるという声も。そのため、「ゲド戦記」は原作未読者、既読者両方の感想で「駄作」と評価されてしまっています。

原作『ゲド戦記』の世界をブチ壊しにしている

映画「ゲド戦記」では、原作『ゲド戦記』の多くの部分をカットしているため、原作で描かれていたような、壮大でワクワクするような物語のほとんどの部分がなくなってしまっています。また、映画版のストーリーは基本的に特定の場所を行ったり来たりしているだけで、見ていてやきもきすることも。これでは、原作の魅力が半減してしまい、悪い評価が付くのも無理はないでしょう。

また、実は映画「ゲド戦記」には、「原作」の他に「原案」というものがあります。それは、宮崎吾朗監督の父・宮崎駿さんが過去に発表した『シュナの旅』という漫画作品です。そもそもこの『シュナの旅』は、『ゲド戦記』ファンである宮崎駿さんがインスピレーションを受けて制作した作品なのですが、それでも基本的には別ものです。これら別々の要素を、ごちゃ混ぜにして作られたのが「ゲド戦記」なのです。

加えて、映画「ゲド戦記」には原作の『ゲド戦記』にはない要素が加えられています。主人公である王子アレンは、父王に対してとある重大な罪を犯すのですが、そうした下りは原作には一切出てきません。また、テルーは原作では5〜6歳の設定です。しかも、なぜこうした変更があるのかわからないのです。不必要なオリジナル要素やキャラ改変を加えてしまった点が、映画「ゲド戦記」が「駄作」と評価される一因なのでしょう。

「キャラクターに魅力がない」という評価

映画「ゲド戦記」には、共感を呼びづらいキャラクターたちが少なからず登場します。その際たるものが、主人公である王子アレンです。アレンがかつて犯した罪は重いもので、ストーリー上重要な要素です。しかし、アレンはなぜ自分がその罪を犯してしまったのか、「分からない」の一点張り。見ている側にとっては疑問ばかりが先立って、肝心の主人公の気持ちがまるで分からないのです。

映画「ゲド戦記」では、重要な悪役も魅力が薄く、どちらかというと苛立ちが上回ります。キャラクターが魅力的に見えない一因として、キャラクターのバックグラウンドが説明されないこともあるのでしょう。終盤でヒロインであるテルーが秘密を明かし、アレンにほんとうの姿を見せるのですが、説明が不親切なため、感動がだいぶ薄くなっています。いきなりの展開に「ポカン」としてしまった人も多かったのではないでしょうか。

また、スタジオジブリの伝統として、声優には素人に近い人を当てることが多いです。それが今作「ゲド戦記」では裏目に出てしまい、作品を引き立てるのではなく、魅力を薄めてしまう結果に。ただし、ヒロインのテルー役の手嶌葵さんに関しては「歌がいい」と評価され、好感触な感想が多いので、怪我の功名といったところでしょうか。また、手嶌葵さんのブレイクのきっかけになったことは評価できるのではないでしょうか。

「絵の魅力に欠ける」という評価も

スタジオジブリ作品のよさとして、キャラクターやストーリーもさることながら、絵の魅力を挙げる人も多いでしょう。長年ジブリ作品の背景美術を手がけてきた男鹿和雄さんの絵は、個展が開かれるほど多くの人に愛され、評価されています。

しかし今作「ゲド戦記」では、それまでのジブリ作品とは異なり、クロード・ロラン風の背景美術を取り入れています。そのため、「もののけ姫」のような精巧な背景美術とは対照的に、見方によっては画面から粗い印象を受けてしまいます。

また、感想の中には背景美術だけでなく、作画(キャラクターの絵)も崩れすぎていてダメだという声も。確かに、終盤のアレンや敵役の作画には、本来のキャラクターデザインから大きく崩して描かれている場面がいくつかあります。絵は好き嫌いも大きく分かれるため、「駄作」という評価を生む要因のひとつとなっているのでしょう。

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ゲド戦記は原作者からの評価も低い?

映画「ゲド戦記」は見た人から「駄作」と言われているだけでなく、実は原作者からもダメだしされてしまいました。原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンさんははっきりと、

原作の精神とはひどくかけはなれている

と評価するほど。映画「ゲド戦記」は、原作のごく一部分と、それを元にして描かれた漫画作品を切り貼りして出来上がったモンタージュ作品のようなもの。ネット上では見た人の多くが「原作とあまりに違いすぎる」として、「駄作」だと言う感想をつけていますが、それは原作者の目からみた評価でも明らかだったようです。

原作小説『ゲド戦記』のファンだった宮崎駿さんは、過去に2度ほど映画化のオファーをしています。しかし、2度とも原作者の許可は下りませんでした。それから宮崎駿さんは『ゲド戦記』にインスピレーションを受けて自ら『シュナの旅』を描き上げ、その後に「風の谷のナウシカ」を作り上げて、アニメーション監督として数々のヒット作を生み出していきます。

後年、アーシュラ・K・ル=グウィンさんは考えを改め、スタジオジブリに映画化の許可を出します。しかしその時には、宮崎駿さんは別作品の製作に入っていて、手いっぱいでした。また、彼がかつて『ゲド戦記』から受けたインスピレーションはすでに他の作品の中に多く散りばめられていて、今更監督を引き受けることはできないと、辞退します。20年早く原作者が宮崎駿さんの打診を受けていたら、異なる映画化が見られたでしょう。

その結果、監督は宮崎吾朗さんが勤めることになりました。もし宮崎駿さん監督作の「ゲド戦記」が見られていたら…と、多くのファンと同じ感想を、原作者もまた思ったのではないでしょうか。

ゲド戦記のレビューや感想を紹介!

各所で「駄作」と言われている映画「ゲド戦記」ですが、実際にはどんな評価や感想・レビューがあるのでしょうか。実際にネット上のレビューを詳しく見ていくことにしましょう。まずは、好評をつけているレビューから。

好評の感想

主人公に感情移入できない、と酷評をしている人がいる一方で、アレンのセリフに心を動かされた人もいるようです。アレンというキャラクターは支離滅裂ながら、宮崎吾朗監督のピュアな心情が投影されたキャラクターだという評価も中にはありました。細かく作り込まれていないからこそ、率直な心情に感銘を受けたという人もいるのでしょう。

今作「ゲド戦記」は宮崎駿監督作品など過去のジブリ作品を楽しんで見ている人にも多く酷評されていましたが、「ゲド戦記」がジブリ作品の中で一番好きだという感想も。分かりにくく筋が通っていないと酷評されがちなストーリーですが、納得できたという人のレビューでは、高く評価されています。深く考え込まず、感性で楽しむこともひとつの楽しみ方と言えるのでしょう。

また、ジブリ作品の男性キャラの中ではアレンが特に好きだというレビューも。一般的には「ハウルの動く城」のハウルような、正統派の美形キャラが人気を集めますが、中にはウジウジしていてはっきりしないところのあるアレンが好みだという人もいるようです。描かれる性格はともかく、少なくともキャラクターデザインは好きだと評価する人は少なくないでしょう。

不評の感想

一方、不評に関してはやはり、原作の壮大なスケールを活かしきれていないというレビューがありました。全6巻の長編ストーリーを2時間に収めるというのは、やはり無理があったのではないでしょうか。同じように、J.R.R.トールキン原作の古典ファンタジー『指輪物語』も長編小説ですが、映画は全3部作でした。元からあるものを丁寧に描こうとすれば、それなりの尺が必要だったということなのでしょう。

一方で、2時間近くもあるのに描くべくことが描かれていない点が「駄作」の理由だとするレビューもあります。問題は尺が足りないことだけでなく、限られた尺の中に必要な描写を詰められなかったことにあるのでしょう。「映画化不可能」と思われたていたのに高評価を得た作品は多くありますが、本作「ゲド戦記」はどうやらその中には含まれなかったようです。

中には、序盤では期待したけれど最後まで見ると結局「駄作」だった、という感想も見受けられます。また、中には世界観や音楽など、部分的には評価できる、という声も。原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンも、竜の描写など評価している部分はあります。ひとつひとつの良い要素を生かしきれなかったことが、結果として「駄作」と評価されるようになってしまった敗因となっています。

中には、映画の評価が原作に及ぼした影響について書いている人も。日本でのスタジオジブリの影響力を考えると、原作のことを知らずに映画だけ見て評価を決めてしまうという人は多いはず。映画化が面白ければ原作を読もうという人も増えるでしょうが、そうした気を起こさせられなかったのも、映画があまり評価されなかったことを意味しているとも言えます。

ゲド戦記の評価が低い理由まとめ!

いかがだったでしょうか? 映画「ゲド戦記」が「駄作」と言われる作品になってしまった理由やそのレビューについてご紹介してきました。

「駄作」には「駄作」と言われるだけの理由があります。しかし、ご紹介した中には高評価のレビューもありました。「本当に駄作なの?」と思われる方はぜひ鑑賞していただき、ご自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか?

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