【天空の城ラピュタ】ドーラの年齢は？若い頃の美しい姿や家族構成も紹介

ドーラは、『天空の城ラピュタ』に登場する空賊の女首領です。最初は飛行船を襲ってヒロイン・シータと彼女が持つ飛行石を追う敵として現れますが、宝を欲するだけで殺傷はしない、年齢が高そうに見えるが息子たちよりも健脚で賢いなど、様々な魅力や見せ場をドーラは持っています。多くのファンがいるドーラの年齢と若い頃、息子たちと旦那や、名言について紹介します。

『天空の城ラピュタ』は1986年にスタジオジブリが初制作したアニメ映画です。原作・監督・脚本を宮崎駿が担っています。「小学生を対象に」作り、その結果「大人の鑑賞に耐えうる作品」にしようと試みました。30年以上経ても幾度も放送され、世代を問わず話題となる人気作です。宮崎駿から指名された亀岡修が小説を書き、映画本編の前後や細かな設定、心理描写などを補足しました。

飛行石を持つ少女シータは、政府の特務機関に拉致され飛行船からの脱出を試みた際、空賊「ドーラ一家」の襲撃に遭って高所から転落します。飛行石の力でゆっくりと下降したシータは、助けてくれた少年パズーと共に、奇跡を起こす宝石を求めるドーラや、追跡して来る軍から逃げます。軍を危険視した2人は、飛行石と宝にしか興味がないと言うドーラと手を組み、天空に浮かぶ城・ラピュタを目指します。

ドーラは、空中海賊「ドーラ一家」を率いる女首領です。薄紅色に似た褪せた赤毛を伸ばし、二つの三つ編みにしています。大きな鼻や目、金環のイアリングが特徴です。見た目の年齢から判断すると驚異的な健脚やスタミナ・パワーを見せ、素早く的確な判断と統率力で空賊一家を指揮します。財宝への欲求が強く、飛行石の所有を望みました。

ドーラは『金持ちしか襲わない』、『人殺しはしない』と標榜し、催涙弾や煙幕などを用い、一家もこれに倣（なら）います。オートモービル（小型自動車の原型）やフラップター（羽ばたき飛行機）の操縦が巧みで、息子を指導しています。また、ドーラは軍の暗号を通信を傍受して解読したり、風速や船の出力などをそろばんで計算したりするほど頭が良く、これまで一度も捕まったことがありませんでした。

小説では、ドーラは各地にアジトや情報網を作っていると綴られます。また一方で、「アジト近くの家庭」に赤子が生まれた際は「石炭半年分を贈った」と、面倒見の良さも描かれました。映画本編でもドーラはシータに対して、次第に「お前は女の子だよ」と心配したり、敵に切られた長い髪を惜しんで憐れんだりと、母性にも似た慈しみ深さを見せます。

ドーラが大きな肉にかぶりつくシーンも有名です。パズーがシータと離れて戻ってくると、彼の自宅はドーラ一家に占領されていました。紐がついたままのブロック肉に大きな銀の刃物を刺し、それを所々欠けた歯で食いちぎって、口にくわえたままパズーを睨み上げるドーラの迫力と野性味は凄まじく、視聴者の印象に残りました。

ジブリ作品には「ジブリ飯」と呼ばれる美味しそうな食べ物がよく登場し、ドーラが食いちぎったこの肉も、「（おそらく年齢が高く歯が不揃いなドーラでも食いちぎれるなら）やわらかそう」と話題になり、数々のレシピが考案されました。あの大きさで、中がレアのような焼き色で、しかも食べやすいという通称「ドーラハム」の再現に、関心が集まっています。

ドーラの年齢を、宮崎駿は「60歳くらいの老女」と初期に設定していました。『天空の城ラピュタ (ロマンアルバム)』（2001年出版）の「宮崎駿・キャラクター覚え書き」に、該当の記載があるようです。しかし、本編のドーラの「伊達（だて）に女を50年やってるんじゃないよ」というセリフから、ドーラは50歳、或いは50代なのでは、という推測も普及しています。

宮崎駿も「60歳」と断定はしておらず、また「覚え書き」を書いた後にドーラの年齢の設定やイメージを変えた可能性もあります。ドーラも切りの良い数字を口にしただけで、物心つく前や最近の数年を省いて「50年」と言った可能性もあります。ドーラの年齢は、「50歳から60歳くらい」と推定できそうです。最も若い50歳だったとしても、彼女の身体能力の高さや行動力、機敏さ、心の若々しさは非常に特徴的です。

シータがドーラ一家の飛行船・タイガーモス号に乗って船長室に招かれた際、壁に飾られたドーラの若い頃の肖像画もしくは写真が映りました。現在と同じく二つの三つ編みの少女が、腰に両手の甲を当て、銃と剣を携え凛々しく仁王立ちしています。海賊風に頭に布を巻いています。ドーラは若い頃、細くて気の強そうな美しい少女でした。

宮崎駿は、ドーラの年齢変遷のスケッチを残しています。ドーラがまだ海賊だった「18才」の頃の姿から、「25才・30代・50才」と次第に鼻が魔女のように高くなり、映画本編よりもさらに皴が多そうな顔まで描かれました。ポーズや表情・服装の一致から、映画の肖像画もしくは写真も18歳くらいの若い頃のドーラではないかと推測できます。自分の父が率いる海賊団の一員だったドーラは、後の旦那と出会って空賊団を旗揚げします。

ドーラは作中、シータに親近感を見せます。シータの言動を聞き、パズーを逃がすために冷淡な演技をしたと言い当て、「あたしの若い頃にそっくりだよ」と共感を示して褒めます。さらには、息子たちに「嫁にするんならああいう娘にしな」と言います。息子たちは、シータが「ママ」（ドーラ）のようになるのかと、大いに疑問を表し途惑いました。

シータは華奢な少女で、パズーに縋る姿が可憐だったため、体格がよく活発で時に罵声をあげて空賊の指揮を執る母・ドーラとのギャップが大きかったようです。しかし映画制作時のスタッフの寄せ書きには、「シータが年をとるとドーラになるのだ。宮崎さんがいったからホントの話だぞ！」と書いてありました。宮崎駿は後に、「自作の中で一番思い入れの深いキャラクター」にドーラを挙げています。

ドーラのモデルは、宮崎駿の母だそうです。宮崎駿の弟は、「（母はドーラより）もう少し美人だった」、「（母の）精神的迫力はまさにドーラに通ずる」などと書いています。宮崎駿は4人兄弟の次男で、母と同じく男兄弟を厳めしくも愛情深く育て導くドーラに、格別の思い入れがあったようです。50か60代の姿でも十分に際立っていましたが、若い頃の絵もしくは写真が映ったことで、ドーラのキャラクターがさらに深まりました。

病死した母をモチーフにしたドーラが、元気な姿で活躍を見せることも、その若い頃の姿が美しかったことも、趣深く充実した人生を歩んできたことも、宮崎駿にとっては自然なキャラクター設定だったと言えます。彼の中でドーラは、ヒロインのシータに並び立つほどの存在感があり、若い頃とても美しかった、さらには年齢を重ねた今でも多義的に美しい、と示すための肖像画（写真？）とも考えられます。

上の年齢変遷のスケッチには、船長室に飾られているのは「写真」だと記載がありますが、映画本編でパズーの家にあったラピュタや父母の写真は白黒でした。それよりさらに昔のドーラの若い頃に、カラー写真はなかったはずという推測からか、映画に映ったカラフルな若いドーラの姿は肖像画と考える人が多いです。

シャルルはドーラの3人の息子の内の長男で、30歳です。体格が良く、有名な筋肉自慢の勝負をしました。ドーラを「ママ」と呼び、彼女から「もっと低く飛びな」とフラップターの操縦を指導されています。次男のルイは「兄貴」と、三男のアンリは「兄ちゃん」と呼んでいます。シャルルはドーラに次ぐ一家の2番手で、頑健な身体や力、豪快さを母から継いでいるようです。

シャルルはパズーとシータに逃げられるという迂闊さを見せ、ドーラに「バカ息子ども」と叱責されています。しかし『スタジオジブリ作品関連資料集〈1〉』で見られる準備稿では、シャルルは後半、ドーラに名指されてパズーと2人でフラップターで嵐を突っ切り、ラピュタに到達して探索するという大役を任されていました。作品として実現はしませんでしたが、ドーラのシャルルへの信任は厚かったようです。

ルイはドーラの次男で、25歳です。ちょび髭が特徴で、タイガーモス号に乗船したシータにドーラ一家で最初に見惚れて「良い」と言いました。飛行船やオートモービルから転落しそうになるたび大きな悲鳴をあげます。兄のシャルルと同じくドーラを「ママ」と呼びますが、時に気取った仕草を見せます。

一時的にドーラ一家に加入したパズーに対し、ルイは「（機関士のハラ・モトロは）ママより怖い」「気ぃつけろ」と助言します。また、夜間の見張りは寒いから「持ってけ」と毛布を渡す気遣いも見せました。面倒見の良さがドーラに似ているようです。『The art of Laputa』（1986年発売）という本で、宮崎駿はルイについて衝撃的なコメントを残しています。

同じ文脈で「～（笑）。などと、バカなことを考えて描いた」と冗談交じりに記述があり、真相は不明です。しかし、金髪の兄シャルル、茶髪の弟アンリと違って、ルイは黒に近い暗い髪色です。シータを見初める早さも相まって、次男のルイが最も情熱的で『恋多き』ドーラの血を継いでいる、という解釈も成り立ち兼ねません。しかし全て冗談で、ドーラは旦那に一途であった可能性もあります。

アンリはドーラの三男で、20歳です。末っ子らしく兄たちと同様にドーラを「ママ」と呼び、シャルルが筋肉の勝負をした時も「兄ちゃんやっちゃえ！」と応援する無邪気さを見せました。兄弟で唯一顔に髭がなく、そばかすがあります。タイガーモス号の操縦士を務めていますが、弱気な発言やパニックを起こしかけて判断を仰ぐセリフが多く、ドーラに叱られています。

アンリは3兄弟の中で唯一作中で名前を呼ばれていないため、視聴者から「可哀想」との声が集まっていました。空賊らしからぬ穏和な性格のようですが、大事な主船の操縦を任されていることと合わせ、後述のように「父」であるドーラの旦那に似ている可能性があります。

ドーラの旦那は天才科学者で、タイガーモス号やフラップターの制作者です。映画本編の時には既に亡くなっています。ドーラが海賊だった若い頃に出会い、拉致同然に攫ってきた男性です。この旦那の発明品を使って、ドーラは海賊から空を飛ぶ空賊になりました。ドーラは息子たちに旦那のように育ってほしかったらしく、「学校に行かせて、一流の家庭教師も付けた」そうです。『小説 天空の城ラピュタ』にこれらが綴られました。

ドーラがタイガーモス号を大事に修繕して使い続けているのは、愛する旦那の遺品だからとも読み取れます。ドーラたちが奇襲にも使ったフラップターは、元はスポーツ機としてその旦那が発明したそうです。父の海賊団で生育したドーラには新鮮な、穏和な研究者だった可能性もあります。また同小説でドーラは、「あたしの惚れた夫のように立派な男になるんだよ」とパズーに言います。同様のセリフは、準備稿にも記載があります。

ドーラは、パズーがシータを軍から奪還するために同行したいと頼んだ時、「自分の力でやれ」と断ります。しかし宝は要らない、シータを助けたいと真心を見せたパズーに、彼が居るほうがシータが言うことを聞くかもと打算して、ドーラはパズーの覚悟を確かめました。「二度とここ（パズーの自宅、故郷？）へは帰れなくなるよ」と脅しても怯まなかったので、ドーラはパズーを縛っていた縄を剣で切ります。

このドーラのセリフに、パズーは慌てます。同行を許容してはいますが、二度と戻れないと言われた自宅を出て初めてフラップターに乗り、軍の要塞へ突入するのに40秒で支度をしろとは、かなりの難問です。ドーラはパズーの判断や行動の的確さ・素早さをチェックし、遅れたり狼狽えたりすれば置いて行くつもりだった可能性もあります。ドーラの空賊行為に対する厳しさと、威勢良く無茶振りする豪胆さが表れた人気の名言です。

軍のティディス要塞に囚われたシータを奪還しに、ドーラ一家が奇襲をかけた時、ドーラとパズーは1機のフラップターに同乗していました。ロボット兵の攻撃で炎上し、大型飛行戦艦ゴリアテが砲を向けている塔の上に、パズーはシータを発見します。今にも砲が発射されそうな危険さに引き返しかけたドーラは、パズーの指摘にこのセリフを返し、フラップターを進めました。

錯綜する状況下で、ドーラは急上昇させたフラップターをぎりぎりまで塔に近づけます。逆さになったパズーにシータが飛びつき、ドーラはパズーを左手で支えつつ飛び去ります。ドーラ一家の面々は各自フラップターから煙幕を張って、ゴリアテの攻撃を妨げドーラたちの姿を隠して援護しました。ドーラの度胸と指揮、塔から飛んだシータの度胸で奪還が成功しました。

ドーラたちはタイガーモス号でラピュタを目指しますが、「竜の巣」と呼ばれる低気圧の渦に引っ張られます。船を破壊するほど凄まじい勢いの気流に、力自慢のシャルルは「舵が動かねぇ」、機関士のモトロは「エンジンが燃えちゃう」と叫びます。そこで、ドーラはこの危機的な自然現象を理解しながらも、ピシャリと言いました。

長くドーラ一家の機関士を務めるハラ・モトロへの信頼ともとれる言葉です。モトロは元はドーラの父の海賊団に居て、小説によると唯一ドーラ一家の旗揚げにも随行しました。ドーラはモトロの能力や性格、タイガーモス号への理解の深さを知っていたからこそ、なんとかできるならお前だと発破をかけた可能性があります。パニックになった人間に冷静に仕事を再開させる、ドーラの絶妙な名言でした。

ドーラは崩壊を始めたラピュタを見て、シータもパズーも死んだと思い、沈痛な表情で「バカどもからラピュタを守った」と2人を褒めます。2人がグライダーで生還すると、ドーラは涙ぐんで喜び、シータを抱き締めました。銃で撃たれて短髪になったシータを、「（タイガーモス号が壊れたことより）髪を切られるほうがよっぽどつらいさ」と労わります。

旦那の遺品であるタイガーモス号を、「もっと良い船作りゃいいんだ」と吹っ切るドーラは、財宝を強く求める姿から一転して、大事なのは物ではなく人の命であると了解している様子です。海上とはいえ高い中空で息子や手下たちに「（フラップターから）降りな」と無茶を言い、ラピュタ中枢の巨大な飛行石を追いかけようとした直後のことで、ドーラがシータをとても気に入っているとわかる、コミカルで感動的なシーンでした。

シータがタイガーモス号に乗った時、ドーラは自室の箪笥から次々と洋服を出してサイズや色を吟味し、シータの着替えを選びました。結果、黄色い短袖のトップスに赤のズボンという、動きやすいだけでなく色合いが鮮やかでシルエットも美しい装いを纏ったシータは、ドーラの息子たちをはじめ殆どの船員の心を射止めていきます。

ドーラの服選びのセンスが優れていたことも、このモテ方の一因と言われています。船長室にカラフルなアクセサリーや帽子、お洒落なインテリアがあったことも、年齢で衰えぬドーラの女子力が窺えると評判です。

2021年5月9日は5月の第2日曜日で、日本では母の日でした。自分の母だけでなく、偉大だと思った誰かの母に敬意や感謝を捧げる人も居て、ドーラも名指されています。3人の息子たちに「ママ」と慕われ、他人であるシータとパズーの成長も助けたドーラは、家族や仲間たちだけでなく多くの視聴者の心も力強く牽引した、忘れがたい「母」のようです。

『天空の城ラピュタ』の空賊ドーラの年齢と若い頃の姿、家族構成と名言を中心にご紹介しました。ドーラの年齢は推定「50から60歳くらい」で、若い頃はシータと同様に二つの三つ編みの美しい少女でした。シャルル・ルイ・アンリという3人の息子も同じ空賊で、天才科学者だった旦那は既に亡くなっています。ドーラの強気で胆力に満ちた数々の名言が人気です。