過狩り狩りは鬼滅の刃の原型？あらすじや珠世・愈史郎など登場キャラもネタバレ紹介

「過狩り狩り（かがりがり）」は、漫画家・吾峠呼世晴先生が2013年に「第70回JUMPトレジャー賞」にて佳作を受賞した作品で、鬼狩りの剣士と鬼との戦いを描いた読み切り作品です。以下では、「鬼滅の刃」の原型になった、漫画「過狩り狩り」のあらすじネタバレをはじめ、鬼滅の刃との共通点やタイトルの意味、過狩り狩りの後に描かれたネーム「鬼殺の流」の概要やあらすじ等をネタバレ紹介します。

「過狩り狩り」は、明治・大正時代の日本を舞台に、日本の鬼と西洋の吸血鬼、鬼狩りの剣士との戦いを描いた読み切り漫画です。2013年に「第70回JUMPトレジャー賞」にて佳作に選ばれたこの作品は、「主人公の顔を隠す」という斬新な表現方法を取り入れた扉絵で、選考にあたったジャンプ編集部をざわつかせたとの逸話があります。また、読切り漫画「過狩り狩り」は、ジャンプ新人賞のサイトで読むことができます。

ジャンプ編集部に衝撃が走った漫画「過狩り狩り」の作者は、「鬼滅の刃」で知られる女性漫画家・吾峠呼世晴先生です。「過狩り狩り」は、吾峠呼世晴先生が24歳の時に「少年ジャンプ」へ初投稿した作品で、当初は、落選を予測して処分される予定でした。しかし、家族の後押しを受けて投稿を決意、その後、紆余曲折を経て、漫画「鬼滅の刃」の連載を掴み取り、空前の大ヒットを巻き起こしました。

「過狩り狩り」は、鬼狩りから逃れるようにひっそりと暮らす日本の鬼と、異国の地で好き放題に振舞う西洋の吸血鬼との戦いと、彼らを駆逐する片腕・盲目の鬼狩りの剣士の活躍を描いた作品です。以下では、漫画「鬼滅の刃」の始まりとも言える、読み切り漫画「過狩り狩り（かがりがり）」のあらすじネタバレを紹介します。

神社の境内の下にひっそりとたたずむ少年にある老人が食べ物を与えます。そして、数年がたち、かつて孤児だった少年は厳しい修行と選抜試験の末、才能ある鬼狩りの剣士に成長するも、その代償として片腕・視力を失っていました。一方、街では人が斬殺される事件が発生し、13人の犠牲者が出ました。警官たちは、事件現場である町の見廻りをする中、刀を差した少年を呼び止めます。

少年は、歯を使って自身の袖をめくり、「ウー拾壱号」の文字を見せつけ、それらの意味を知る警官の1人が同僚を諫めつつ、見逃しました。その頃、ある隠れ家では、白いスーツを身にまとう時川が、自身の縄張りで起きた連続殺人事件の犯人を見つけるべく、珠世に協力を要請に来ていました。時川と珠世は、「鬼」と呼ばれる生き物でした。

また、珠世のそばには、青年の姿をした鬼・愈史郎が控えており、訪ねてきた時川を敵視していました。時川も愈史郎に対して不快感を見せるも、珠世がその場を収め、しぶしぶではあるが、時川に協力することに決めます。

夜の川沿いでは、見慣れない西洋風の吸血鬼が人間を襲っており、その正体は時川の縄張りを荒らした、人間世界でいう連続殺人犯でした。時川・珠世は、愈史郎の力で吸血鬼の居場所を突き止め、日本の鬼と西洋の鬼が対面します。吸血鬼は、日本の鬼・3体を同族と言いつつも、人目を恐れながら生き永らえてきた日本の鬼を侮辱するような発言をします。

その後、日本の鬼と吸血鬼の鬼の間で争いが勃発します。鬼狩りの存在を知る時川たちは、彼らに気配を悟られないように力を抑えながら戦うも、いよいよ窮地に追い込まれ、全力を出す覚悟を決めます。その時、何者かの気配を察した愈史郎はすぐさま珠世に報告し、1人の剣士が現れます。

吸血鬼の目の前に現れたのは、片腕を無くした盲目の剣士であり、「惡鬼滅殺」と刻まれた刀を武器に、吸血鬼に挑みます。一方、剣士の目的が鬼狩りだと見抜いた吸血鬼は、彼の出で立ちや刀を見るなり、余裕の表情で襲いかかります。しかし、一瞬のうちに腕を切り落とされた吸血鬼は、鬼狩りの少年に恐れをなして逃げ惑うも、あっという間に首も刎ねられ、川に突き落とされます。

鬼狩りの少年と吸血鬼との戦いを見届けた日本の鬼たちは、気配を悟られる前に、その場を去っていきました。珠世と愈史郎は鬼狩りの少年の人間離れした強さに恐れをなし、時川は、川の中に身を潜めながら、計り知れない強さを持つ剣士に対する警戒心を高め、再び身を隠しながら生きる生活を余儀なくされました。

その頃、任務を終えた鬼狩りの剣士は、蕎麦屋を訪れていました。剣士の名前はナガレと言い、孤児だったところをある老人に拾われ、鬼狩りの剣士へと成長しました。選別試験にて、鬼6体を1人で相手したナガレは、その代償として片腕と視力を失うも、己の才能を信じて鬼狩として戦う覚悟を決めました。そして、育ての親であり、病に伏す老人に促され、任務を遂行しました。

蕎麦屋で食事を取っていると、町でナガレを見逃してくれたある警官が訪れます。彼は鬼狩りの存在を知っているらしく、連続殺人犯を駆逐したのも、ナガレのおかげだと気づいていました。警官からねぎらいの言葉をかけられたナガレは、代金を支払うとどこかへ去っていきました。

読み切り漫画「過狩り狩り」には、後の「鬼滅の刃」に登場するキャラクターや組織の前身がつまっています。一方、珠世と愈史郎は、両作品ともに同一人物とされるも、「過狩り狩り」では鬼狩りの剣士を恐れる立ち位置にあります。以下では、「過狩り狩り」の登場人物・キャラ一覧を、作中のあらすじネタバレを交えながら紹介します。

読み切り漫画「過狩り狩り」の主人公である盲目の剣士です。片腕のウ-拾壱号と、顔の大きな傷跡が特徴で、「悪鬼滅殺」の文字が彫られた刀を使用するも、鬼狩りを目的とする組織への所属は不明とされています。元は孤児であったものの、後に師匠となる老人に拾われ、過酷な修行や最終選別を経て、鬼狩りの剣士となりました。

片腕と盲目というハンディを持ちながらも、相手の気配を察する鋭さや卓越した能力を駆使して、鬼狩りに挑みます。また、ナガレの強さは、鬼狩りの存在を知る人間や鬼界でも知られており、時川・珠世・愈史郎も彼を恐れています。修行内容は選抜試験の設定は、漫画「鬼滅の刃」に引き継がれる一方、口数が少なく、感情を表に出さない寡黙さから、水柱・富岡義勇の前身とも考察されています。

「過狩り狩り」に登場する鬼で、白いスーツとハット帽・ネクタイを締めた洋装に、日本人的な顔立ちに切れ長の目が特徴です。高圧的な物言いから、「鬼滅の刃」のラスボス・鬼舞辻無惨のプロトタイプと思われるも、戦闘面では無惨ほど強くはなく、ナガレが近づいてきたことを知ると、すぎさま逃げ去るなど、主人公とは実力に差があると見えます。

「過狩り狩り」では、自身の縄張りを荒らす犯人を突き止めるべく、珠世・愈史郎に協力を要請し、異国から来た吸血鬼との戦いに挑みます。ナガレに気配を悟られることを警戒し、対吸血鬼戦では押され気味でしたが、指を鋭い刃物へと変化させて攻撃するなど、本気を出せば相応に強いとも思われます。

珠世は、「鬼滅の刃」にも登場する鬼で、「過狩り狩り」では、鬼狩りの剣士・ナガレを警戒しつつも、時川と共に吸血鬼との戦いに挑み、血鬼術の惑血を披露しました。ナダレに倒された吸血鬼に対して、人を殺害し過ぎたから鬼狩りに目を付けられたと評しており、「狩り過ぎれば狩られる」という言葉を残しています。

一方、「鬼滅の刃」では、鬼舞辻無惨によって鬼化された経緯を持つも、本編では無惨一派とは対立関係にあります。鬼化された人間の自我を取り戻す研究に取り組むべく、竈門炭治郎に鬼の血液の採取を依頼したり、鬼殺隊の長・産屋敷耀哉の要請に応じるなど、鬼化した人間の救済や無惨一派の壊滅に貢献しています。

愈史郎は、珠世と行動を共にする青年の鬼で、「鬼滅の刃」と同様に珠世を慕っています。「過狩り狩り」では、かつて物乞いだったことが判明しています。愈史郎の能力は、「鬼滅の刃」とほぼ同じとみえ、対吸血鬼戦でも、視界を用いた血鬼術で周囲を警戒する役目を担い、いち早くナガレの気配を察して、珠世を安全な場所へいざないました。

一方、「鬼滅の刃」では、珠世由来の鬼とされ、病により瀕死の状態に陥ったところを珠世に鬼化され、以降は珠世に付き従うようになります。「過狩り狩り」での設定と同様に、珠世に心酔する一方、珠世以外の人間には攻撃的な態度を取っています。鬼舞辻無惨との最終決戦では、鬼殺隊として挑み、血鬼術を用いた偵察を担いました。

時川の縄張りを荒らし、人間を13人も殺害した西洋の鬼で、西洋風の顔立ちと髪色・とがった耳、黒いコートが特徴です。「過狩り狩り」では、海外からやってきた鬼として描かれ、時川のセリフから吸血鬼の話す言葉は、外国語と推測されます。戦闘時には、体から生やした刃で攻撃し、力を抜いた時川・珠世が相手でも優位に立てるほどの強さを有しています。

一方、鬼狩りの存在は知らないとされ、ナガレの登場時には、華奢で片腕・盲目というハンディから完全に油断していたが、ナガレの圧倒的な強さになすすべがなく、あっけなく首を落とされ消滅しました。

伊勢尾は、時川の協力要請に対して、愈史郎が挙げた名前のみの登場となった鬼で、戦闘力は珠世より強いと推測されます。また、読み切り漫画「過狩り狩り」には、人語を話す鴉や、鬼狩りを生業とする組織の存在を知る警官も登場しており、刀を所持するナガレを見逃し、任務後にねぎらいの言葉をかけています。

「過狩り狩り」の意味は、鬼狩りの剣士から逃れる珠世のセリフでも言及され、人を狩り過ぎた鬼の悲惨な末路が込められているでしょう。以下では、過狩り狩りと鬼滅の刃の共通点と、「過狩り狩り」のタイトルの意味を、作中のあらすじを交えながらネタバレ紹介します。

漫画「過狩り狩り」は、「鬼滅の刃」の原型となった作品で、読み切り漫画でありながら、「鬼滅の刃」との共通点が多く見られます。「過狩り狩り」でも、鬼狩りの剣士になるためには、剣士を育成する師匠の元で修行をし、選抜試験に合格することが条件とされ、竈門炭治郎が育手・鱗滝左近次の元で修行していた時期や、最終選抜の内容と重なります。

また、「過狩り狩り」の珠世・愈史郎は、「鬼滅の刃」でも同じ設定で登場しており、鬼のボスである無惨とは対立関係にあることや、鬼化した人間を救うべく、主人公や鬼殺隊に味方するなど、新たな設定が加えられました。この他にも、剣士たちの連絡手段として用いられる人語を話す鴉や、「惡鬼滅殺」と刻印された刀、蕎麦をすする音「ずぞぞ」等も、両作品の共通点に挙げられます。

「過狩り狩り」のタイトルには、「人を狩り過ぎて目立ってしまった鬼は鬼狩りに狩られる」という意味が込められ、ナガレから逃れる珠世のセリフでも言及されています。鬼狩りを恐れて身を潜めながら生き永らえる日本の鬼に対して、好き放題していた西洋の吸血鬼は、やがて鬼狩りに目をつけられ駆逐される運命を辿っています。「過狩り狩り」は、鬼に課された宿命も意味しているでしょう。

「鬼殺の流」は、過狩り狩りの後に誕生したネームであり、これらに修正や手を加えて誕生した作品が「鬼滅の刃」に当たります。アニメ化をきっかけに、一大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」ですが、ジャンプ誌での連載を勝ち取るまでの道のりは厳しく、人並み以上の努力があったと語られています。以下では、過狩り狩りの後に誕生したネーム「鬼殺の流」の概要とあらすじ、登場人物をネタバレ紹介します。

「鬼殺の流」とは、「過狩り狩り」に修正や手を加えて、ジャンプ編集部に提出されたネーム漫画です。「鬼殺の流」の主人公は、過狩り狩りの名の無き主人公を原型に、片腕と義足の両足、顔の大きな傷が施され、「流（ナガレ）」と命名されました。冷静沈着かつ人を寄せ付けない雰囲気を漂わせながらも、優しさを秘めた人間味ある性格は、富岡義勇と竈門炭治郎を思わせるでしょう。

また、「鬼殺の流」は、竈門炭治郎や後の「鬼滅の刃」の誕生のきっかけになったと言われています。鬼化された妹を救うべく、炭売りの少年が鬼殺隊の一員となった剣士は、「鬼殺の流」でも描かれたものの、普通過ぎるとの理由から、吾峠呼世晴先生は出し渋っていた逸話が残されています。その後、編集者からのアドバイスを受け、明るく親しみやすい主人公や、魅力あふれるキャラクターが誕生しました。

鬼滅の刃のもう1つの原型とも言える「鬼殺の流」は、吾峠呼世晴先生が2015年にジャンプ編集者に提出したネーム画のため、ジャンプ誌には掲載されず、2019年7月発売の公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」で貴重なネーム画・第1話～3話を読むことができます。ラフ画なので少し読みづらいですが、所々で鬼滅の刃との共通点も見られます。

明治時代に突入した日本では、文明開化による西洋化の影響で、古きものが次々と消え去りつつある中、人々の間では「夜になると鬼が来る」という迷信がささやかれていました。しかし、新時代の到来により、誰もが鬼の存在を否定し、そう思い込むように努めていました。一方、街では、惨殺事件が立て続けに起き、人間とは思えない残忍さから、ある犯人像が浮上しました。

その頃、異様な事件が起きた街を歩く少年は、警官に声をかけられるもどこかへ去っていきます。少年は、15,6歳と見え、義足の両足に腰は刀のようなものを差していました。一方、ある屋敷では、何者かによる惨殺事件が起き、両親を殺害された6人兄弟の子供たちは、人間ならざる存在・鬼を前に、震えていました。

鬼が子供たちに手を付けようとしたその時、義足の少年が鬼の首を刎ね、間一髪のところで兄弟は救出されまます。彼は、政府非公認の組織・鬼殺隊の剣士でした。「鬼殺の流」では、主人公・ナガレが鬼殺隊になるまでの過去や、長い髪を操る女の鬼、16歳の少女を狙う男の鬼との対峙が描かれています。

ラフ画「鬼殺の流」では、主人公・流の他に、鱗滝左近次の前身となるキャラ・伴田左近次が登場します。彼は、孤児だった流を拾い、鬼殺隊に育て上げた師匠です。また、流は自分の名を「伴田流」と称しており、彼が鬼殺隊として戦う原動力となっています。一方、作中では、鬼殺隊の幹部と思われる隊士や、人語を話す鴉も見られ、「鬼滅の刃」での柱や鎹鴉の前身と言えるでしょう。

「鬼滅の刃」の原型となった「過狩り狩り」は、吾峠呼世晴先生にとって人生の転機となった作品とも言えます。そして、大ヒット漫画の誕生のきっかけとなった「過狩り狩り」は、筋金入りの鬼滅ファンであれば、ぜひ、押さえておきたい名作短編です。以下では、吾峠呼世晴短編集に収録された漫画「過狩り狩り」に関する感想や評価を紹介します。

アニメ版のヒットにより、社会現象を巻き起こした「鬼滅の刃」でしたが、それらの原型となった「過狩り狩り」を知っているファンは少なく、ジャンプ誌の読み切り作品だったことから、知る人ぞ知る名作と称されています。「過狩り狩り」は、原作者・吾峠呼世晴先生の短編集に収録されており、原作漫画派は勿論、アニメ派の鬼滅ファンも押さえておきたい作品でしょう。

吾峠呼世晴先生の短編集や、鬼滅の刃公式ファンブックへの収録により、「鬼滅の刃」の前身となった作品が公表され、さらなる注目を集めています。原型となった2作品の主人公は、冷静沈着かつ人を近づけない静けさがあり、後の竈門炭治郎とはかけ離れたキャラクター像でしたが、鬼滅ファンの中には、かっこよさと強さを兼ね備えた伴田流を推す声も投稿されています。

ジャンプ誌での連載終了後も、「鬼滅の刃」の人気は衰えることなく、新作アニメの放送決定に、さらなる盛り上がりを見せており、何度も読み返してしまう奥深い世界観は、多くの感動を与えました。また、「過狩り狩り」では、鬼滅の刃では描かれなかった、珠世・愈史郎の新たな一面を垣間見ることができ、女性ファンの心をときめかせています。

「鬼滅の刃」の連載が開始される以前にも、複数の読み切り作品が「少年ジャンプ」に掲載されましたが、長らく単行本収録されず、短編の存在を知るファンからは短編集としての刊行が望まれていました。そして、2019年に待望の短編集が刊行され、「肋骨さん」「文殊史郎兄弟」「蠅庭のジグザグ」のように、鬼滅とは異なる新たな世界観で、ファンを魅了しています。

読み切り漫画「過狩り狩り」の主人公は、名前こそ明かされなかったものの、冷静沈着さや正確な剣さばき、人を寄せ付けない雰囲気から、水柱・富岡義勇の前身ではないかと推測されています。または、救助した子供たちに優しい言葉をかけるシーンから、竈門炭治郎の前身とも言われており、「鬼滅の刃」と共通点が多い伴田流にも、多くの注目が集まっています。

吾峠呼世晴先生の短編漫画「過狩り狩り」のあらすじネタバレと登場人物一覧、「鬼滅の刃」との共通点や、過狩り狩りの後に描かれたネーム「鬼殺の流」の概要・あらすじ等をネタバレ紹介しました。ジャンプ誌での連載終了後も、人気が衰えることのない「鬼滅の刃」の歴史は、「過狩り狩り」から始まったと言っても過言ではなく、鬼滅ファンであれば、一読しておきたい短編作品でしょう。