2020年07月05日公開
2020年07月05日更新
【進撃の巨人】安楽死計画とは?目的はエルディア人を世界から消すこと?
『進撃の巨人』に登場するジークは、始祖の巨人の力を使って「安楽死計画」を企てていました。「安楽死計画」とはジークがリヴァイから雷槍で拘束されている時に出た言葉で、先代獣の巨人の継承者であるクサヴァーと共に計画していたようです。この記事では、『進撃の巨人』のジークが企てていた「安楽死計画」とは、エルディア人にどのような影響をもたらすのかについて紹介します。また「安楽死計画」の発動条件についてもまとめています。
目次
進撃の巨人とは?
進撃の巨人の概要
『進撃の巨人』とは、諫山創によって連載されているダーク・ファンタジー漫画です。読み切り版の『進撃の巨人』が講談社のマンガグランプリで佳作を受賞し、その後2009年から別冊少年マガジンで連載開始されました。連載開始当初から注目度の高い作品で、1巻の初版は通常2万部発行なのに対して『進撃の巨人』は初版4万部発行されました。その後すぐに重版が決定するほどの人気があります。
進撃の巨人のあらすじ
高い壁に囲まれて育った主人公のエレンはまだ見ぬ外の世界に憧れを抱いていました。しかし外には人間を食べる巨人が生息しているため、人類は巨人が侵入できない壁の中で暮らしていました。845年、エレンが10歳の時に突然超大型巨人が現れて壁の門が破壊されます。そこから侵入してきた巨人によって人間たちは蹂躙され、絶望的な状況にエレンは巨人を倒す決意をします。
進撃の巨人の安楽死計画とは?目的も紹介
安楽死計画とは?
「安楽死計画」とは、エルディア人の生殖機能を奪う計画のことです。『進撃の巨人』ではジークがリヴァイに雷槍によって拘束されていた時に初めて「安楽死計画」について呟いていました。その後の回想で「安楽死計画」がどのようなものなのか判明します。
アイデアを出したのはクサヴァー? ジーク?
「安楽死計画」のアイデアを出したのはクサヴァーでした。クサヴァーは巨人の研究をしている研究者で、巨人の秘密を知るために獣の巨人を継承しました。だから戦争国のマーレでは期待されていない人物でした。しかしジークにとってクサヴァーは父のような存在で、ジークはどんな話もクサヴァーに打ち明けていました。クサヴァーも巨人の謎について分かったことをジークに聞かせていました。
ある時クサヴァーはジークとキャッチボールをしながら、始祖の巨人は記憶を操作するだけでなく、エルディア人の体の構造を変えることができると言いました。600年前に世界的に流行した病にエルディア人だけかからなかったことがあるのです。当時の始祖の巨人の継承者が病に対抗できるようにエルディア人の体を書き換えたのだと話します。
この話を聞いたジークはクサヴァーに、「始祖の巨人」の力を使えばエルディア人に子供が生まれないようにすることもできるのかと尋ねました。それを聞いたクサヴァーは自分の過去について語ります。クサヴァーの妻は、自分の夫がエルディア人だと知ると自分と息子ののどを割いて死んでしまったのです。昔のことを思い出したクサヴァーは、自分が生まれてこなければどんなに良かったかと涙を流します。
ジークはそんなクサヴァーに、自分がかならず始祖奪還計画を成功させて始祖の巨人を奪い、世界の人々を巨人の恐怖から解放してエルディア人を苦しみから救うと言いました。こうしてジークとクサヴァーによって「安楽死計画」が立てられたのです。
安楽死計画の目的はエルディア人を世界から消すこと?
「安楽死計画」はエルディア人の生殖機能を奪い、新たなエルディア人が生まれないようにして巨人を世界から消すことが最終目的です。九つの巨人が継承されるのはエルディア人だけで、無垢の巨人になるのもまたエルディア人だけです。そのため、エルディア人が生まれないようにすれば約100年ほどで巨人は世界から消えてしまうのです。
進撃の巨人の安楽死計画と関係するエレンの目的や今後
エレンの目的が判明?
『進撃の巨人』の第120話では、エレンの本当の目的が判明します。エレンの本当の目的とは、始祖の巨人の能力を使って「地鳴らし」を発動させることでした。エレンは座標でジークが不戦の契りで縛られているのを見て、「こんなふざけた計画オレは到底受け入れられない」と言って「安楽死計画」の遂行を拒否しました。この時、ジークは不戦の契りで縛られているフリをしていました。
実はエレンと接触した時、ジークは不戦の契りの洗脳を受けずに座標に来ることができました。そこで始祖ユミルと長い間対話して不戦の契りを無力化していたのです。ジークはエレンが「安楽死計画」を拒否して「地鳴らし」を発動しようとするのは父・グリシャによる洗脳教育のせいだと思っていました。そのため、エレンに何度も過去を見せて洗脳されていることに気づかせようとします。
しかし過去を辿ってもエレンはグリシャからジークのような洗脳教育を受けていませんでした。それどころか、エレンは進撃の巨人の能力を使ってグリシャの記憶に干渉し、始祖の巨人を奪還させていたのです。エレンは自分の性格がグリシャの影響を受けたものではなく、生まれた時からこういう性格をしているのだと言いました。
ジークは自分の間違いに気づくと、すぐに始祖ユミルに「安楽死計画」を決行するように言います。しかしエレンは奴隷として座標で巨人を作り続けていた始祖ユミルにもう奴隷になる必要はないと言い、エレンとジークのどちらの願いを受け入れるか自分で決めるよう促しました。こうして始祖ユミルがエレンを選んだことによって「地鳴らし」が発動されます。
エレンの今後
エレンは始祖ユミルに選ばれたことによって本来の目的である「地鳴らし」を発動することができました。エレンは始祖の巨人の力を使って全てのエルディア人に向けてメッセージを送りました。それはパラディ島のエルディア人以外の人々を「地鳴らし」によって蹂躙するという内容でした。つまり海外にいるエルディア人を含め他国の人々を全員殺すつもりなのです。
現在はエレンの「地鳴らし」を止めようとして調査兵団が動いていますが、エレンがどこにいるのかも不明な状況です。「地鳴らし」をする巨人のスピードはとても早く、すでにマーレの北東部には巨人が到達しているといわれています。調査兵団とライナー達は手を組み、エレンの居場所を知っている可能性が高いイェレナをイェーガー派から奪ったもののイェレナは口を閉じたままです。
しかしヒィズル国の飛行艇でエレンの居場所を探ろうとしているので、今後はエレンを発見次第調査兵団やライナー達との戦闘になるのではないかといわれています。
進撃の巨人の安楽死計画に必要な条件
条件①始祖の巨人と王家の血を引く巨人の保有者
『進撃の巨人』の「安楽死計画」に重要なのは始祖の巨人です。しかし王家の血を引く者が始祖の巨人を継承しても不戦の契りによって145代目フリッツ王の思想に洗脳されてしまい、戦意喪失して能力を使うことができなくなるだけです。そこで始祖の巨人を王家の血筋ではない者に継承させる必要があります。
始祖の巨人の能力は王家の血を引く者でないと扱うことができませんが、始祖の巨人の継承者と王家の血を引く巨人が接触することで始祖の巨人の能力を使うことができます。そのため、「安楽死計画」を遂行する条件としては始祖の巨人の継承者と王家の血を引く巨人が必要なのです。実際にエレンは巨人化したダイナと接触した時にジークの「叫び」と同じような能力を使うことができました。ダイナはジークの母で王家の血を引く者でした。
エレンはグリシャの過去を知った後に、王家の血筋の巨人と接触すれば始祖の巨人の能力を使うことができると確信します。しかし、そのことが露見してしまうとヒストリアを巨人化することになるかもしれません。エレンがわざわざジークの「安楽死計画」に賛同したフリをしたのは、ヒストリアを守るためでもありました。
条件②地ならし
『進撃の巨人』の「安楽死計画」の条件は「地鳴らし」を取っておくことです。実際にジークが座標でエレンに「安楽死計画」を始祖ユミルに命令するように言った時にも、今は「地鳴らし」よりも「安楽死計画」を優先すべきだと言っていました。なぜ今「地鳴らし」をするべきではないのかというと、「安楽死計画」でエルディア人が滅ぶまでの約100年、他国から攻撃を受けないように平和に暮らすためです。
実際にこれまで他国は「地鳴らし」を警戒してパラディ島に攻撃することができませんでした。もし「安楽死計画」が成功した場合は「地鳴らし」で他国を牽制しておけばエルディア人が滅亡する100年の間は平和に暮らせます。そのためジークは「地鳴らし」は今発動するべきではないと言ったのです。
条件③始祖の巨人と王家の血を引く巨人の賛同
『進撃の巨人』の「安楽死計画」の条件は、始祖の巨人の継承者と王家の血を引く巨人が「安楽死計画」を賛同しなければ成立しません。エレンが巨人化したダイナと接触した時、ダイナは始祖の巨人の能力を使うことができませんでした。王家の血筋の者は不戦の契りがあるので、始祖の巨人の継承者が始祖ユミルに命令する必要があるのです。
ただ、王家の血を引く者が始祖の巨人の継承者と接触すると、145代目フリッツ王の洗脳を受けずに座標に来ることができます。不戦の契りによって能力は使えませんが、ジークは長い時間をかけて始祖ユミルと対話して不戦の契りを無効化しました。不戦の契りを無効化することで、王家の血を引く者でも始祖ユミルに命令することができます。
始祖ユミルは王家の血を引く者の命令を優先するので、もし2人の意見が合致していなくてもジークは「安楽死計画」を実行することができるはずでした。しかしエレンが始祖ユミルを説き伏せたことで実現することはできませんでした。
条件④始祖の巨人と王家の血を引く巨人の両者を約100年間維持
『進撃の巨人』の「安楽死計画」の条件には、始祖の巨人と王家の血を引く巨人を100年間維持する必要があるのではないかといわれています。「安楽死計画」自体は現在生存しているエルディア人の生殖機能を奪えば目的は達成できます。しかし、その後平和に暮らすために必要な「地鳴らし」で牽制するためには始祖の巨人と王家の血を引く巨人を維持しなければなりません。
ただ、実際にジークがエレンに接触して座標にたどり着いた時は、145代目フリッツ王の思想に洗脳されずに不戦の契りを無力化することができました。もし「安楽死計画」が成功した場合、その後は不戦の契りが無力化されるので王家の血を引く者が始祖の巨人を継承すれば「地鳴らし」を使うことができると考えられています。
進撃の巨人の安楽死計画に関する感想や評価
いまさら進撃31巻読んでもうすぐ終わりということに耐えられない…ほんとにみんなどうしたらよかったんだ??エレンがどう動いても世界平和にならんくない?安楽死計画もたいがいだけど、全員地鳴らしで死ぬもほんとにいいのか!?
— たけ (@gohanmoto) June 28, 2020
『進撃の巨人』では、マーレ編が始まってから始祖の巨人を使ってどうやって敵国との戦いを回避するのかたくさん考察されていました。本編ではヒィズル国の協力を得て戦意がないことを他国に伝える予定でしたが、エレンがマーレを襲撃したことで状況は変わります。さらにはジークの「安楽死計画」も遂行されず「地鳴らし」が発動されました。
「安楽死計画」も良い策とは言えませんでしたが、もっと手のつけられない状態になっている状態でどのように完結するのか気になっている人もいました。
進撃の巨人のオニャンコポン。
— artt (@p_e4r) January 25, 2020
彼の「色んなヤツがいたほうが世界は面白い」「子供は未来だ」という主張は、世界を滅ぼす地ならしを決行したエレンにも安楽死計画を企てたジークにも突き刺さるし、ほぼ全ての読者が共感できるような考え方であり倫理的に言えば恐らく最も正解に近い考え方だと思う。 pic.twitter.com/FEcySByWex
『進撃の巨人』の読者のほとんどが、エレンの「地鳴らし」やジークの「安楽死計画」が正しいとは思っていないようです。エレンやジークの思想よりも、オニャンコポンの主張の方が正しいと考える方がたくさんいました。そのため、オニャンコポンのような人が死亡してしまうと明るい未来はなくなってしまうのではないかといわれています。
ジークはずっとクサヴァーさんと二人きりで計画を果たそうとしていたけどある日自分と同じような境遇のおとうと(ジーク解釈)の存在に、生身の他人に希望を抱き、考えに賛同され「兄さん」と呼ばれて、なんか凄く嬉しくて張り切りすぎてるように見えるの……それが見ていて途方もなくツライ……
— 故バルト60 (@seepcobalt) May 9, 2019
ジークはエレンが両親に洗脳教育を施された哀れな弟だと思っていました。そのため、初めてエレンと対面した時からジークはエレンに同情していました。そんなエレンから兄さんと慕われてジークは嬉しかったと同時に希望を抱いたのではないかといわれています。
だからこそジークはクサヴァーと計画した「安楽死計画」を遂行するために、死ぬかもしれない状況でも自爆してリヴァイから逃げたのかもしれません。そのためエレンに騙されていると分かった時のジークの心境を考えると辛いと感じている方もいました。
進撃の巨人の安楽死計画まとめ
『進撃の巨人』の「安楽死計画」とは、エルディア人の生殖機能を奪うことによって最終的に巨人を世界から消すことを目的とした計画でした。ジークはクサヴァーと共にこの計画を立てますが、その計画を実現させるには条件があり、エレンの協力は必須でした。しかしエレンが裏切ったことによって「安楽死計画」は実現できませんでした。
『進撃の巨人』の読者の中には、「安楽死計画」ではなく「地鳴らし」を発動したエレンが今後どのような行動に出るのか考察されている方もいました。「安楽死計画」については『進撃の巨人』の第114話で詳しく描かれているのでぜひ読んでみてください。