エヴァンゲリオンのアダムとは？正体・目的やリリス、リリンについて考察

漫画やアニメ、映画にゲーム、はたまたパチンコ等、今までに一度は目にしたことのある大人気アニメ「エヴァンゲリオン」ゲーム限定のストーリーやパロディ作品も多数展開されている等、多様に表現されている作品の一つだ。

ここまで人気が出ているエヴァにも関わらず、本編のアニメや漫画では不明瞭で終わっている箇所が多数存在しており、エヴァンゲリオンの最終話が公開された1996年3月27日から今まで、特に公式からの解説がない項目ばかりである。逆に捉えると、そういった不明瞭な箇所が多く、考察のブログや考察本等、様々な解釈かつ様々なエンディング、ストーリーがあるのが魅力の一つなのかもしれない。

本まとめでは、エヴァンゲリオンの中でも特に謎が多い「アダム」及びアダムに関連が深い事象、その正体についてより深く考えていく。読者の方々の参考になれば幸いである。

自身も使徒ながら、自身を含めた計16(コミックス版では11)もの使徒を生み出した使徒の始祖。名前の由来は、旧約聖書に登場するアダムより。

地球が誕生したジャイアントインパクト後、生命の存在すらなかった地球に最初に墜落した隕石。その正体は、隕石内にある「白き月」のさらに内部に存在していた光の巨人である。

地球に飛来したアダムは、自身のほかに十数体の使徒を生み出し、地球上で活動できるようにしたという。実際に使途が活動しようとしたその時、地球に再度隕石が墜落(ファーストインパクト)。墜落した衝撃で使徒およびアダム自身も、活動を停止せざるを得なかった。そして墜落した隕石内に、リリスが含まれる黒き月があり、併せて地球上に墜落したという。

ゼーレが入手した裏死海文書には、アダムと他の使徒が接触すると、ジャイアントインパクトが発生し、人類は滅亡すると記載されていた。ゼーレはジャイアントインパクトの発生を防ぐためにアダムの捜索をした結果、西暦2000年に南極大陸にて眠りについたアダムを発見した。

実際にアダムを発見した葛城調査隊は、アダムに対して調査及び実験を実施。とある実験の最中に、眠りについていたアダムが突如として覚醒し、人類が覚醒を止めようとしたところS2機関が暴走、アダムは巨人の姿を見せながら大爆発を巻き起こした(セカンドインパクト)。その後、南極大陸は消失。赤い海と塩の柱のみの悲惨な状況となり、アダムの肉体や魂は共に海の中へ散り散りとなった。

アダム計画とは、セカンドインパクト後、散り散りになったアダムの肉体を人間の手で再生させること及びサードインパクト阻止の為に使徒に対抗する手段を得ることを目的とした計画である。

ゼーレは使徒に対抗する手段を得ることに重点を置いており、アダムの肉体再生はそこまで重要ではなかったものの、アニメまたはコミックス内にて加持リョウジがドイツから秘密裏にNERVへアダムを輸送してくるシーンが描かれており、その際にアダムは胎児の姿まで復元されていた。

アダム再生計画(通称E計画)の初期にはアダムを使用してのエヴァ開発ができず、黒き月内のリリスを用い、生み出されたのがエヴァンゲリオン初号機である。しかし、加持リョウジのアダム輸送シーンの前までに既に復元されたアダムを用いて、ドイツにて弐号機が建造。この時点で、ゼーレが重きを置いていた「使徒に対抗する手段を得ること」は達成し得たため、アダムの再生についてこれ以上計画を進める必要がなくなったと言える。

その後、再生されたアダムはゲンドウの手に移植されている。ゲンドウはゲンドウ自身が望むシナリオでの人類補完計画を実現するためにアダムを手に入れていた。ゼーレの目を盗み、加持を利用しアダムの肉体を手に入れるまでがゲンドウにとってのアダム計画と言える。

ゲンドウにとってのシナリオは、2004年の実験で会えなくなった妻・碇ユイに会うために人類補完計画を企てたが、ゲンドウの思い描く人類補完計画は、作中で綾波レイに拒絶される形で終了している。

ここまではセカンドインパクト後に散り散りになったアダムの肉体について話をしてきた。次は、魂について詳しくまとめて行く。

魂及び肉体の一部を回収したゼーレは、人の遺伝子と掛け合わせることで渚カヲルを生み出した。人工の使徒であり、復元されたアダムでもあり、渚カヲルという一個人でもある存在。カヲル本人は、アダムであった頃の記憶を部分的に喪失している。かつ、人の遺伝子を用いて生み出された存在であるため、人格や感情も兼ね備えている。

アダムの魂を持つカヲルは、作中にてエヴァ弐号機を操れていた。エヴァ弐号機はアダムの遺伝子から作られているため、アダムの魂を持つカヲルにとっては、エヴァのコアに魂さえなければ自由に操作が出来ていたと言える。

また、「旧劇場版 Air/まごころを、君に」で登場したエヴァ量産機には、カヲルの人格を利用したダミープラグが使用されていた。こちらも、アダムの魂を持つカヲルだったからこそ出来たといえる

それにしてもカヲルの人格を利用したプラグが入った状態でのエヴァ量産機の戦い方は惨いと言わざるを得なかった。アニメ24話では実際にカヲルがエヴァに乗って使徒と戦うところは見られなかったものの、NERVに所属して実際に使徒と戦っていたらどうなっていたのだろうか。

ここまで踏まえて、アダムの目的をまとめる。元々、他に生命のいない星に落ちたアダムは、ただ自分と使徒とが生き延びるように過ごせればそれでよかったと思われる。実際に地球上で活動しようとした際に、ファーストインパクトにて活動停止せざるを得なかった。アダム自身は別に、人類の滅亡やリリスとはもともと縁がなく、ただ地球で使徒と過ごしたかっただけなのかもしれない…。

リリスの正体は、使徒を除くすべての生命の始祖であり、その最終形態として人類を生み出したものである。名前の由来は、アダムの最初の妻であるとされるリリスより。作中ではターミナル・ドグマ内で、赤い十字架に磔にされていた白い巨人。下半身がなく、代わりに球状組織とそこから無数の人間の下半身が生えている。

ファーストインパクトの際に衝突した隕石から黒き月が落ち、その中にいた巨人リリス。白き月飛来、アダムが生んだ使徒が地球上に散り、いざ地球上で使徒が活動しようとしたその時に使徒の活動を停止させ、自身の体液であるL.C.L.溶液を地球上に流し、地球を生命のスープ状態にした。そこから様々な生命が生まれては絶滅し、生まれては絶滅を繰り返し、最終的に一番反映したのが人類である。

ゼーレは日本の神奈川県箱根の地下にて黒き月とリリスを発見し、リリスを保管。また、活動を開始した使徒に「アダムと似たような性質を持つリリス」が狙われないよう防衛するために第三新東京市を建造開始。併せて、1機だけリリスの遺伝子をもとに作成したのがエヴァ初号機である。その後は作中でも見かける赤い十字架に磔にされている。

2004年に碇ユイが実施し失敗した計画後に、碇ゲンドウが連れ歩くようになった少女・綾波レイ。彼女の魂はリリスからサルベージされたリリスの魂だ。綾波レイという存在は、リリスの魂を守るために大量のダミーが用意され、都度サルベージしては新しい人工の体に定着されて保たれている。

定着されるたびに記憶はなくなり、綾波レイという名前だけを覚えている存在となるが、作中で二人目から三人目になる際(使徒アルミサエル撃破後)、多少なりとも記憶といえるような部分は残っていると言われている。

白き月より生まれたアダム、黒き月より生まれたリリス。どちらも似て非なる存在であり、アダムは「生命の実」、リリスは「知恵の実」と呼ばれる、神が宇宙に生み出した2種類の性質をそれぞれ持っている。本来生命の実と知恵の実は、一つの惑星に1種類のみもたらされるはずであったが、地球には生命の実、知恵の実ともに漂着してしまっている。

アダムより生み出された使徒は、本来はアダムに向かって進行し、アダムと接触、ジャイアントインパクトを引き起こす目的があった。ファーストインパクトでアダム及び使徒が長期間活動停止せざるを得ない状況になり、セカンドインパクトにてアダムが散り散りになってしまったため、活動を再開した使徒は地球上にあるアダムに似た性質を持つリリスを求めて次々と進行。

ゼーレの幹部及び碇ゲンドウは、地下に隠匿しているリリスをアダムであると偽り、NERVに使徒接触を防ぐよう殲滅を命じた。結果、実はアダムだと信じていた白い巨人はリリスであると分かるまで長い時間がかかった。これをもとに、アダムとリリス自体には密接な関係はないが、どちらも生命の源と呼ばれる似た性質を持つことがわかる。

コミックスでは第13使徒。黒き月、リリスが最終的に生み出した使徒。地球上に存在する全人類。その正体は、戦争を繰り返す生き物として書かれている。

本来は地球という惑星には、白き月アダムと、その他アダムより生まれた使徒のみが生き抜くための場所であったが、飛来した隕石と黒き月によりその前提が覆され、どちらもいる惑星として成り立ってしまっている。

だが実際にアダムとリリスが漂着してしまった事実を覆すことは不可能であり、むしろアダムとリリスの両方が地球に漂着してしまった事実をきっかけに、後にゼーレはその二つを融合させ完全な生命体となることを目指す人類補完計画を進めることとなる。

ゼーレ曰く、地球上のすべての生命を融合させ、改めて神もしくはアダムから人類が生まれなおすことで神に近い存在となりうるためとの事。実際の作中では最終的に碇シンジに結末が委ねられたが、人類補完計画自体は問題なく遂行したといっていいだろう。

ここまで、エヴァンゲリオンのアダム、またアダムに関わりのある事象について考察をしてみたがいかがだろうか。他にもいろいろな考察やシナリオがあるので、これが正解、と堂々と言えるわけではないが、参考になったのであれば幸いである。

他にも考察をまとめた動画やブログ等も多数あるため、是非本記事と共に他の動画や記事を見比べてみて、読者なりの解釈や正体を考察をしてみるとより深く楽しめるであろう。新劇場版でもまた解釈や考察が変わってくるため、「エヴァンゲリオン」という作品のありとあらゆる考察は簡単に終わりそうにはない。

ここまで読んでくれた読者の方は、おそらく自分でも正体などいろいろ調べてみたいと思ってきたのではないだろうか。多くのファンが考察や公式で明かされていない部分の妄想等はよく行うが、おすすめの動画やゲーム等を下記に記載する。

アニメで放送された内容を短くまとめたもの。わかりやすい説明付きの為、今更エヴァを1から全部見る時間がない！という方にお勧めの動画。

エヴァ本編前、主にファーストインパクトから使徒襲来までの歴史を考察した動画。こちらもわかりやすくまとまっている為、時間があれば見てみるのもいいだろう。

このゲームはキャラ一人ひとりを操作することができ、使徒との戦闘はもちろん、ミサト等のバックキャラも操作できてしまう。また攻略によってはNERVの機密情報を見ることが出来たり、あのキャラの意外な正体を見れたりもする。是非余裕があればプレイしてみると、より自身の「エヴァ知識」に深みが出るかもしれない。

既に公開されているエヴァンゲリヲン新劇場版：序破急や、公開予定のシン・エヴァンゲリオン劇場版を視聴すると、またアニメ版や漫画版とも違った解釈を持てるので、こちらも時間があるのなら視聴することをお勧めする。考察が楽しめるということは、その分長く楽しめる作品でもあると言える為、これを期に多数の人がエヴァンゲリオンのファンになるだろう。