渚カヲルとは何者?正体や意味深な名言も紹介【エヴァンゲリオン】

1995年10月4日に日本のオリジナルテレビアニメ作品新世紀エヴァンゲリオンが放送開始して長く経過しました。いまだに多くのアトラクションやコラボイベントが開催され、古くから多くの人に愛されて、新しいファンが増えています。非常に魅力的なエヴァンゲリオンシリーズには、渚カヲルというキャラクターが登場します。非常に魅力的な容姿に達観した世界観から放たれる名言の数々は、主人公の碇シンジをはじめ多くの視聴者を虜にしてきました。今回は、渚カヲルの名言を通して、彼の謎めいた正体に対する考察をしていきます。

渚カヲルとは何者?正体や意味深な名言も紹介【エヴァンゲリオン】のイメージ

目次

  1. エヴァンゲリオンで大人気の渚カヲルとは何者?
  2. 渚カヲルとはどんな人物?
  3. 渚カヲルの声優を務めたのは誰?
  4. 渚カヲルの行動と意味深な言葉とは?
  5. 渚カヲルの正体とは?
  6. 渚カヲルの名前に隠された秘密
  7. 渚カヲルの名言集
  8. 渚カヲルは男女から大人気の魅力的なキャラだった!

エヴァンゲリオンで大人気の渚カヲルとは何者?

新世紀エヴァンゲリオンシリーズの登場人物

渚カヲルは、ガイナックス・タツノコプロ共同制作による日本のオリジナルテレビアニメ作品新世紀エヴァンゲリオンに登場する、白髪に赤い目をした美しい少年です。誰が見ても背筋が粟立つほどの美しさをして、さらに彼の言葉は頂上的で難解なものになっているために未知の魅力を際立たせています。彼は物語の終盤、主人公の碇シンジが物語の根本に触れようとするときに同じフィフスチルドレンとして登場します。

キャラクター達が操作する汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン、そのパイロットとして機体を操縦するには様々な特殊な制約があり、14歳の少年少女しか乗ることができません。パイロットは主人公の碇シンジをはじめ、チルドレンと数えられるキャラクター達です。エヴァンゲリオンを運営するネルフに正式に登録された順番に、ファースト、セカンド、サードと数字が増えて行き、渚カヲルは5番目に登録された搭乗パイロットです。

その過去の経歴は生年月日以外すべて抹消され、そのため彼が現れるまでの一切の過去を、碇シンジをはじめ、エヴァンゲリオンに登場するキャラクターは知ることができません。実に正体不明の謎めいたキャラクターです。そんな正体不明な渚カヲルについて、判明している情報を、様々な考察を交えて紹介します。

新世紀エヴァンゲリオン (GAINAX NET)

渚カヲルとはどんな人物?

ゾッとするような美貌の持ち主

アッシュグレイの髪と赤い瞳、人間離れした白い肌を持つ美少年です。エヴァンゲリオンの監督をした庵野によれば「不完全な碇シンジと、完璧な渚カヲルという2人のキャラクターを出す」という対比のアイデアのもと、「完璧なもう一人の碇シンジ」として設定されているキャラクターです。そのため、繊細で傷つきやすい碇シンジにはない、余裕を感じさせる独特のアルカイックスマイルを浮かべています。

エヴァンゲリオンのキャラクターデザインを務めた貞本義行さんは、シンジを意識しながらより耽美的にデザインしたと語っています。さらにいままでに登場したチルドレンの特徴の一部をコンセプトにされており、首の細さはシンジ、赤い眼はレイ、口の不敵な感じはアスカがそれぞれ元になっています。

全てのキャラクターの一部をデザインに取り入れ、さらに主人公の「不完全な碇シンジと「完璧なもう一人の碇シンジ」とされている渚カヲルは、エヴァンゲリオンしりーずのなかでは正体不明な、しかし非常に重量なキーパーソンとなっています。そんな彼の正体に迫る前に、彼がどのような人物なのかをさらに紹介していきます。

歌が好き

渚カヲルはエヴァンゲリオンの作中で「ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章『歓喜の歌』」を鼻歌で歌う描写があります。その通り、彼は音楽をこよなく愛しています。音楽に関して、渚カヲルはテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの第24話「最後のシ者」では、歌を口ずさんでから碇シンジに「歌はいいね。歌は心を潤してくれる。リリンが生みだした文化の極みだよ。そう感じないか?碇シンジ君」と称賛しています。

鼻歌を歌う以外にも、彼はピアノで曲を奏でることもできます。ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qでは傷心の碇シンジの前に現れ、ピアノを弾けない碇シンジが適当に鍵盤を押してでた音に合わせて、即興曲を奏でるなど、かなりの腕前を披露します。二人で共に連弾し、息の合った曲を奏でて彼の心の傷を癒します。そして碇シンジとの友情を深めていきます。その交流の中で、渚カヲルは碇シンジに謎めいた名言をくりかえします。

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渚カヲルの声優を務めたのは誰?

正体不明の達観した人物を演じる機会が多い石田彰

彼の声を務めたのはナレーターや俳優もしつつ声優として精力的に活動している石田彰さんです。「石田ボイス」と呼ばれる特徴的な声質で、ミステリアスな役やクセの強い役を演じることが多いと有名な声優さんです。エヴァンゲリオンの渚カヲル役の他にも、テレビアニメマギシリーズに登場するマギのユナン、昭和元禄落語心中に登場する落語家の有楽亭八雲、血界戦線では堕落王フェムトなど現在も勢力的に活動されています。

エヴァンゲリオンの作中で鼻歌を歌うほど歌が好きな渚カヲルとは反対に、石田彰さんは歌に苦手意識があるようです。アニメキャラクターが自分の心境やテーマソングを歌うキャラクターグッズが販売される中、石田彰さんは2002年以降、キャラクターソングを歌わない姿勢を貫いています。

歌の仕事が嫌いというわけではなく「歌えない」のだと本人は語っています。過去に「歌うか事務所を辞めるかどちらかだ」と言われて歌ったことがありますが、「僕のファンだという意識があるなら、あえて聴いてくれるな」と石田彰さんの歌を聞きたいファン達に言っています。

石田 彰 | PEERLESS GERBERA

渚カヲルの行動と意味深な言葉とは?

「また3番目とはね。変わらないな君は」

これはヱヴァンゲリヲン新劇場版:序にて、渚カヲルが独り言のように呟いたときの名言です。「逢えるときが楽しみだよ。碇シンジ君」と続きます。「また3番目」と碇シンジのことを言っているように見える独り言です。

過去に別人が登録されたことも、過去に碇シンジがサードチルドレンとして登録されたこともありません。なのに、渚カヲルは碇シンジが再びサードチルドレンの座にいる、それも「変わらないな君は」ということから、一度や二度ではないことが推察できます。

さらに、渚カヲルがヱヴァンゲリヲン新劇場版にて地球に降り立つのは、続編のヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の終盤です。この時渚カヲルは、まだ会ってもいない碇シンジの名前や、碇シンジがサードチルドレンとして登録されているのを知っているのです。いったいなぜ彼からこのセリフが出たのかは、彼の正体を含めて、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序では一切明かされず、使徒との戦闘シーンへ場面は展開していきます。

「シンジ君、今度こそきみだけは、幸せにしてみせるよ」

これはヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の終盤にて、碇シンジが綾波レイを助けようとサードインパクトを起こそうとした時です。旧世界の生命が死に絶え世界が滅びそうになった時に、正体不明な巨大な槍が空から降り、碇シンジの乗るエヴァンゲリオンをつらぬきます。

この空から碇シンジが乗るエヴァンゲリオンをつらぬいた槍を放ったのが渚カヲルなのです。渚カヲルは初対面の碇シンジに、「今度こそ」と決意を込めた名言を放ちます。一度も会ったことがない相手に、ここまでのセリフを出すことはありません。渚カヲルは碇シンジに過去に遭遇したことがあるのか、渚カヲルの正体を含めて、すべては謎のままにヱヴァンゲリヲン新劇場版:破は終了して、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qへ続きます。

「生きていくためには、新しいことを始める変化も大切だ」

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qで、悲観に暮れる碇シンジとの交友の始まりのシーンで渚カヲルが言った名言です。渚カヲルに促されて碇シンジは、人差し指でおずおずとピアノの円盤を押し始めるのです。このセリフは碇シンジの悲劇的な状況から、なんとか脱するための渚カヲルの名言ですが、我々の人生でも同じことを言うことができます。

何度も同じことを繰り返せば、ピアノのように上達することができます。しかしそれだけでは、ピアノで解決できること以外の問題に直面したときに対応できません。そこで、さらに生きていくためには、その変化に対応して、自分も新しいことを初めて世界の変化に対応していかなければならないのです。碇シンジを通して、視聴者である我々を励ます渚カヲルの名言の一つです。

「そんな顔をしないで。また会えるよ、シンジ君」

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qで、藁にも縋る思いで終わりかけた世界をどうにかしようとあがく碇シンジは、渚カヲルと共にエヴァンゲリオンにのりこみます。しかし、それは罠であり、事態はさらに悪化することとなります。心を通わせた渚カヲルの首についている爆弾つきのチョーカーが起動して、渚カヲルの死は避けられないものとなってしまうのです。その時に渚カヲルは微笑みながら言った名言です。

しかし死の離別は、二度と再開できないものです。綾波レイのようにクローンと再会しても、碇シンジとの思い出を持った渚カヲルではありません。過去の出来事でそれを痛感していた碇シンジは、死にゆく渚カヲルのセリフを聞いて、泣き叫びながら「君がなにを言っているのかわからないよ!」と言います。その碇シンジの声は、映画を見ていた我々の言葉を代弁したものになったでしょう。

渚カヲルが今わの際になにを考えて「また会えるよ」と言ったのか、その真意はヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qで明かされることはありませんでした。我々視聴者は彼の名言に込められた渚カヲルの正体を推察するか、続編として予告されているヱヴァンゲリヲン新劇場版:||が公開されるのを待つのみとなっています。

「君は僕と同じだね」

全文は「君がファーストチルドレンだね。綾波レイ、君は僕と同じだね」です。綾波レイと接触した渚カヲルが言った名言です。綾波レイと渚カヲルは両者ともに過去の経歴が全て抹消されています。登場人物たちにとってはまったく正体不明な謎の人物です。「正体不明」が共通点な二人が出会い、渚カヲルが言ったセリフは、エヴァンゲリオンを見ている視聴者に対する、渚カヲルと綾波レイの正体に触れる大きなヒントです。

「人間は寂しさを永久になくすことはできない」

この名言はテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの第24話「最後のシ者」で渚カヲルが碇シンジに向けて言った名言です。このセリフは長く「他人を知らなければ裏切られる事も互いに傷つくこともない。でも、寂しさを忘れることもないよ。人間は寂しさを永久になくすことはできない。人は一人だからね。ただ、忘れることができるから人は生きていけるのさ」が全文です。

碇シンジは学校でできた二人の友達を含む親しい人物を失い、ふさぎ込むしかありませんでした。この時に、渚カヲルが現れます。渚カヲルは碇シンジに近づこうとしますが、それを碇シンジは遠慮という形で遠ざけようとします。その時に「一時的接触を極端に避けるね、君は。怖いのかい?ヒトと触れ合うのが」と言います。

エヴァンゲリオンのパイロットとして人々を助け、仲間と言える存在を手に入れて、学校で友人もできてきた。しかしそれら全てを失ってしまった碇シンジは、人と触れ合うことはそのまま失う恐怖と直結していると考えていたのです。それらを見通した渚カヲルの言葉です。

「生と死は当価値なんだ、僕にとってはね」

この名言はテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの第24話「最後のシ者」で渚カヲルが碇シンジに向けて言った名言です。「生と死は当価値なんだ、僕にとってはね。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ」このセリフからは、渚カヲルの正体の確信に掠める謎が込められています。

まず渚カヲルは碇シンジと初めて会った時に、こう言いました。「僕はカヲル、渚カヲル。君と同じ仕組まれた子ども、フィフスチルドレンさ」つまり、渚カヲルにとっての生は何者かによって操られ、そして自分の意思に反したものか、もしくは妥協した結果のものです。自分の意思が反映されないものを、自分の人生として認めないのならば、彼はこの世界に誕生していないことになります。

操られた状態から脱っして、自分として生まれるには、死をもって「何者かの計略から出る」しかないのです。死によって自分の生を獲る「生と死は当価値なんだ、僕にとってはね。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ」という渚カヲルの言葉には、このような意味が含まれているのだと考察する人がいました。

渚カヲルの正体とは?

渚カヲルの正体は使徒

新世紀エヴァンゲリオンの主人公の碇シンジと交友を深め、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンのパイロット、フィフスチルドレンとしてネルフに登録されている正体不明なキャラクター、渚カヲルにはもう一つの側面があります。

彼の正体は、人類にとって敵である使徒の一つ、第17使徒タブリスとされています。さらに、その魂は第1使徒アダム本人のものです。ネルフの上位機関ゼーレによってアダムの復活を目指す計画の一環として、アダムの魂に人型の男性の肉体を与えたモノが、渚カヲルと呼ばれる人物なのです。渚カヲルを構成する人間の遺伝子は、セカンドインパクトの際にアダムにダイブされた人の遺伝情報を基にしたものだと考えられています。

渚カヲルの肉体は、エヴァンゲリオンの世界で2000年に起こったセカンドインパクトの時に発生したのです。彼はエヴァンゲリオンの世界では一切の過去を抹消されていますが、エヴァンゲリオンの公式で発表されている生年月日は2000年9月13日のセカンドインパクトの発生と同日になっています。

人間の肉体なために、他の使徒のように強力な攻撃方法は持っていません。しかし極めて強力なA.T.フィールドを展開し、空中浮遊までできる描写がされています。ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qでは、壊れた機械を直す、碇シンジが暴走したときのために爆破して世界の滅亡を止める起爆装置付きのチョーカーを手をかざすだけで外して自分につけるなど、機械を操ることができる能力も持っています。

チルドレンたちが搭乗する人型汎用決戦兵器エヴァンゲリオンは、渚カヲルと同じアダムの肉体から作られたものです。そのためにアダムの魂を持つ渚カヲルは、すでに搭乗者が固定されたエヴァンゲリオン以外の機体を操縦することが可能です。渚カヲルの特性を利用して作られたのが、本編で使用されていた「ダミープラグ」です。渚カヲルは物語の終盤に登場しますが、彼の存在は序盤から影響していたのです。

渚カヲルの行動

第1使徒アダムの魂を持つためか、渚カヲルは他の使徒とは違う動きをすることが多いです。まず通常の使徒はネルフ本部を目指して現れます。そしてネルフへ向かうことを邪魔する、兵器やエヴァンゲリオンの存在を排除するために様々な攻撃行動を取ります。しかし、渚カヲルはそれら破壊行動を行おうとはしません。ネルフに所属していたときも、他の使徒たちが目指していたネルフの中枢部まで容易に行けるはずが、実行していません。

他の使徒達は様々な姿形をしてネルフの元へと襲撃してきますが、渚カヲルは人と同じ形をして、人語を解して人類と意思疎通をすることができます。ネルフに所属するパイロットとして行動し、碇シンジと交友を深め、彼の心の傷をいやして励ましの言葉を言い支え、碇シンジを助けるために自分の身を危険に晒すこともします。

碇シンジと共に行動する理由

なぜ使徒であるはずの渚カヲルはそこまで碇シンジと交友を深めようとしているのか、その理由の一つは人類に興味を持ったアダムの魂を持つ渚カヲルという側面から説明します。「エヴァンゲリオン・クロニクル」によるとアダム系の使徒には情報の受け継ぎや共有があり、かつ使徒は自身にない知恵の実を持つ人類に興味があったとされています。そこで人類の一人として使徒と戦う碇シンジと接触するのです。

碇シンジが繊細で傷つきやすく、さらに友人たちを失い疲弊していくなかでも、それでもエヴァンゲリオンに乗って必死に戦い続けている姿勢を間近で見ます。自分の内面や悩みを隠すことない、アダムの魂を持つ自分にはない純粋な感情を持つ碇シンジに興味をひかれているのです。そして碇シンジに近づき触れ合ううちに、渚カヲルは人を理解し、自らの死によって未来を碇シンジ達人類へ譲るのです。

しかし碇シンジ達人類へ未来を譲るということは、アダムの魂を持つ自身の道が閉ざされることを意味しています。そのためか、現在まで公開されているエヴァンゲリオンの作品のなかで渚カヲルの死亡シーンがない作品はありません。どれもが、碇シンジに深く傷をつけ、または傷ついた彼の心をさらに抉るような別れになっています。

さらなる彼の謎

「また3番目とはね。変わらないな君は。逢えるときが楽しみだよ。碇シンジ君」「シンジくん、今度こそきみだけは、幸せにしてみせるよ」彼の発言には、まだ対面していない碇シンジをすでに知っていた節があります。しかし、それまでに碇シンジのなかに渚カヲルの記憶はなく、渚カヲルも過去に接触した描写はヱヴァンゲリヲン新劇場版のなかには描写されていません。なのになぜこのような発言をしたのか、ファンは考察しました。

そのなかの結論の一つに、「今までの多くの媒体で発表されたエヴァンゲリオンシリーズはパラレルワールド、またはループした世界のできごとだ」といった結論です。そして「渚カヲルはそれら別のエヴァンゲリオンシリーズであった出来事を全て知っている」といったものです。荒唐無稽な結論ですが、彼の正体や発言を思えば納得できるでしょう。

渚カヲルは自分の目で何度も碇シンジとの出会いと、自分自身の死によっての離別を繰り返し、そのたびに碇シンジがエヴァンゲリオンのパイロットとしてサードチルドレンと登録されていることを見て来たのです。そしてそのどれの時も、碇シンジは深い絶望と苦しみの中で傷ついているのと見てきたのです。だからこそ「シンジくん、今度こそきみだけは、幸せにしてみせるよ」と決意を新たに現れたのです。

こうして彼の正体について知ると、渚カヲルの不思議なセリフは、どれもただ不思議で難解なものではなく、ある程度言った理由や渚カヲルの心情を推し量ることができるようになります。それらを踏まえて渚カヲルが登場するヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qをもう一度見返すと、さらなる発見があります。

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渚カヲルの名前に隠された秘密

「渚カヲル」の苗字「渚」は綾波レイの「波」と対になっています。これは、アダムの魂を持つ渚カヲルと、リリスの魂を持つ綾波レイとの対比になっています。さらに苗字の「渚」は、偏を「シ」、旁を「者」と分けることで「シ者」と読むことができます。「シ者」とはすなわち、彼の正体の使徒であり死者と二つの意味を表しているのです。

そして、渚カヲルの「カヲル」はの部分にもさらなる秘密が含まれています。「カヲル」の文字を、五十音順に一つ前にずらしてみてください。「カ→オ」「ヲ→ワ」「ル→リ」となり、「オワリ」という文字が出てきます。

姓名二つを合わせると「シ者オワリ」となります。つまりはエヴァンゲリオンに登場する「最後の使徒」であり「最後のシ者」であるとの隠喩をする言葉遊びなのです。これはテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの第24話のタイトル「最後のシ者」にも掛かっています。

ちなみに、渚カヲルと綾波レイこの二人の名前は、作中で本人が決めたモノではなく、ネルフやその上位機関のゼーレによって与えられた名前です。渚カヲル自身は「(アダム、タブリス、渚カヲルなどの名称は)どれも人間が勝手にそう呼んでいるだけであり、僕は僕だ」とモノローグで語っています。

渚カヲルの名言集

「シンジくん、今度こそきみだけは、幸せにしてみせるよ」

これはヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の終盤にて、渚カヲルが放った言葉だと説明しました。この彼の名言は、彼が何度も繰り返す世界のなかで、碇シンジを幸せにしようとしていると意識をすれば、このときの優しいセリフと、表情の差が気になることでしょう。この時の彼は、決意めいた声色に、碇シンジと綾波レイを見下ろす厳しい表情を含ませています。

誰しも、相手を支え幸せにすることを誓う結婚式の宣誓では、このような声色と表情をしないでしょう。なぜ渚カヲルがちぐはぐな言葉と表情をしているかは、彼の心情を詳しく書かなければなりません。渚カヲルは碇シンジを愛しています。人と同じ愛ではなく、アダムの魂を持つ渚カヲルにとっての『愛』です。人類とは違う形をしているが、紛れもなく彼の愛情であり、碇シンジは彼にとってかけがえのない大切な存在なのです。

その形の一つが「今度こそきみだけは、幸せにしてみせるよ」という言葉に込められています。しかしサードインパクトを止めた時、当の碇シンジは渚カヲルとは違う女性の綾波レイを抱きしめているのです。そのためにこの時の渚カヲルは、怒りを内包した険しい表情をしているのです。

「希望は残っているよ。どんな時にもね」

これはヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qにて、碇シンジが眠っている14年間の間に起こった絶望的な状況を見せた渚カヲルが、愕然とする碇シンジに言った名言です。このセリフでは、碇シンジの行動がニア・サードインパクトを引き起こし、現在の状況を作り出したことを伝えたうえで「償えない罪はない」と碇シンジを彼なりに元気づけているセリフです。

このセリフから、碇シンジは自分の罪を償うためにはどうすればいいのかを聞き、渚カヲルと共に行動をすることとなります。「ロンギヌスの槍とカシウスの槍さえあれば世界を修復することができる」という言葉を信じて、渚カヲルと共に第13号機でセントラルドグマへと向かうことになります。しかし父親の碇ゲンドウの罠が待ち受けており、渚カヲルのチョーカーが起動して死亡し、碇シンジは虚脱状態に陥ることとなります。

「君に会うために生まれてきたのかもしれない」

この名言はテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの第24話で渚カヲルが碇シンジに向けて言ったセリフです。新劇場版エヴァンゲリオンでは少々変更して「僕は君に会うために生まれてきたんだね」と断言をしています。

「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」

碇シンジや視聴者にはわからないことですが、この時に渚カヲルが言った「リリン」とは人類たちのことを表しています。この名言が出たエヴァンゲリオンの作中では、碇シンジにはリリンや渚カヲルの魂のアダムについて、詳しく説明がされていませんでした。このことから、渚カヲルはエヴァンゲリオンの作中の深部まで知っている可能性を示唆しています。

「また3番目とはね。変わらないな君は」

この名言はヱヴァンゲリヲン新劇場版:序にて、まだ出会っていないサードチルドレンの碇シンジへ向けて、独り言を呟いたときの名言です。「そんな顔をしないで。また会えるよ、シンジ君」と似たニュアンスにもとれるセリフでもあります。作中ではいまだ詳しく描かれていませんが、ファンの間では「カヲルは記憶を保持したまま、幾度も世界をループしている」ことを示唆している言葉なのではと予想されています。

さらに役作りのためにエヴァンゲリオンの多くの秘密を監督から聞いた声優の石田彰さんは「前のサイクルとは違う筈なのに、何度やってもやはり同じ轍を踏んでしまう。それでも線路のポイントを違うところに切り替えてみたい。大きなものの流れに対して、なんとかあがいてみたいという想いがあって、生き残るべきシンジの身代わりになっていくんでしょうね」とコメントしています。

これらのことからも、エヴァンゲリオンシリーズの多くの作品は、世界が何度も繰り返していると予想できます。しかし、この予想ですら、監督や脚本家たちのミスリードであり、他に真実があるのではないかとされる意見もファン達の考察のなかにあります。

「生きていくためには、新しいことを始める変化も大切だ」

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qで、悲観に暮れる碇シンジとの交友の始まりのシーンで渚カヲルが言った名言です。このセリフも、渚カヲルの正体を知り、彼がループしている世界を認識しているのならば、少々違う意味を含むようになります。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qの収録後のインタビューで渚カヲルの役を演じた石田彰さんは、渚カヲルについて「前のサイクルとは違う筈なのに、何度やってもやはり同じ轍を踏んでしまう。それでも線路のポイントを違うところに切り替えてみたい。大きなものの流れに対して、なんとかあがいてみたいという想いがあって、生き残るべきシンジの身代わりになっていくんでしょうね」と語っています。

庵野監督からエヴァンゲリオンの秘密の多くを、演技指導の一環で聞いた石田彰さんは上記のように渚カヲルを表しました。渚カヲルは何度も同じ世界を生きていくうえで、何度も新しいことを初めて変化を促しました。その生き方を、碇シンジにピアノで人生を例えることで教えようとしたのかもしれないと、ファンの考察にありました。

渚カヲルは男女から大人気の魅力的なキャラだった!

渚カヲルはその容姿の美麗さ、未知と不思議を内包した正体不明の不思議なキャラクター性、実は主人公の碇シンジとは敵対する立場にありながら自分の意思で彼の味方であろうとした、しかし渚カヲルと碇シンジの思惑から外れた結末に至ってしまう、多くの名言に込められた複雑な感情、などなど読み解くほどに彼の魅力が深まっていく、引力に近い強い魅力があります。

最初のテレビアニメ新世紀エヴァンゲリオンの放送が1995年10月4日にはじまって、20年以上が経過しました。かつての少年少女たちが大人になり、再びエヴァンゲリオンをもりあげています。劇場版「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」もまだまだ製作中で、上映されたのならば多くのメディアに取り上げられることとなるでしょう。多くのテーマパークではエヴァンゲリオンにちなんだ展示物やアトラクションが公開されました。

渚カヲルが登場するエヴァンゲリオンはシリーズの他に、劇場版、漫画、小説、ゲームなどなど作品の形が多くあります。テレビアニメ新世紀エヴァンゲリオン、劇場版新世紀エヴァンゲリオン、ヱヴァンゲリヲン新劇場版の序破Qシリーズ、漫画版新世紀エヴァンゲリオンなど、アニメシリーズから映画に漫画と自分が触れやすい媒体から楽しむことができるメディアミックス作品です。

エヴァンゲリオンを知らなくても、遊びに行く先々や、人と会話するうえでエヴァンゲリオンに触れる機会が多いです。まだエヴァンゲリオンに触れたことがない方も、是非とも楽しんでください。そして渚カヲルをはじめとした、物語の深さや登場人物たちの魅力を知ってください。そしてシリーズに込められた謎やその多くの伏線や、キャラクター達の台詞から、自分なりの渚カヲルの正体を考察してみるのも、面白いかもしれません。

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