【転生したらスライムだった件】元魔王のカザリームとは？中庸道化連を考察

本記事の主役、呪術王にして元魔王カザリームに関する解説に入る前に、まずは「転生したらスライムだった件」の作品情報をお届けします。

「転生したらスライムだった件」は伏瀬による小説です。タイトルが長いので、略称の「転スラ」で呼ばれることも多くなっています。転スラは小説投稿サイト「小説家になろう」に連載されたWEB小説をベースに大幅改訂が施され、2014年5月マイクロマガジン・GCノベルズから単行本として刊行されました。

次いで、2014年10月には漫画化が決定、講談社の漫画雑誌「月刊少年シリウス」にて2015年5月号より連載されることになります。さらには、外伝漫画やアニメ化などメディアミックス展開も盛んに行われています。

次に転スラのあらすじを紹介しましょう。何の変化もない日常を漠然と送っていた主人公の三上悟。ある日のこと、通り魔に襲われ37年間の人生に幕を閉じてしまいます。

ところが、ここで終わりとなるはずだった彼の人生は、復活を遂げます。もちろん死んだのですから元どおり人生ではありません。意識を取り戻した悟が直面したのは、目は見えず耳も聞こえない現実でした。動揺する気持ちを何とか抑えると、悟は状況把握に努めます。その結果、ある結論に至りました。それは自分の身体が「スライム」に転生してしまったという信じがたい事実でした。

最弱のモンスターであるという不満を除いて、天性の能天気さが幸いしてか三上は寧ろスライムライフを楽しんでいるようでした。ところがそんな時、天災級モンスター・暴風竜ヴェルドラと出会い、三上悟の人生はまたしても一変するのでした。

暴風竜ヴェルドラに「リムル」という名前をもらった三上は、スライムとして新たなスタートを切ります。ゴブリンや牙狼族との闘争に巻き込まれ、気がつけばモンスターたちの主として崇められることになっていました。相手の能力を取り上げる「捕食者」として、また宇宙の真理を知る「大賢者」としての技能を体得し、リムルは最強スライムの名を欲しいままにしていきます…。

それでは早速、本記事の主役・カザリームの紹介に移ります。カザリームは中庸道化連の会長で、呪術王と呼ばれ恐れられていた元魔王です。呪術王の名に懸けて魔王狩りをしていたレオンに攻撃を仕掛けます。ところが返り討ちに遭い死亡、レオンに魔王の座を奪われてしまいます。

レオンとの戦いで肉体は失ったものの魂は残った呪術王カザリームは、肉体を手に入れ復活するためある少年を襲います。ところが、楽勝と思われた少年にも敗北を喫し、少年の肉体に憑りついたまま彼の支配下に置かれてしまうことになります。10年後、魔導王朝サリオンで作られたホムンクルスの肉体に入り復活に成功。ところが、その肉体が女性だったことから女言葉を使う羽目になりました。

クレイマンが死亡するとレオン打倒の決意を新たにし、カザリーム改め「カガリ」と名乗るようになります。その後、元日本人の異世界人で自由組合総帥のユウキ・カグラザカの部下として副総帥を務めます。

カザリームの能力についてですが、まずユニークスキルとしては、人心掌握（プランナー）と企画者（クワダテルモノ）の２つがあります。

人心掌握（プランナー）は文字通り人の心を掌握するスキルですが、カザリーム自身も述べているように戦闘には向いていない能力でした。もう1つのスキル・企画者（クワダテルモノ）は、企てた計画が思った通りに進んでいくようにするスキルで書籍版「転生したらスライムだった件」に登場しました。

究極能力（アルティメットスキル）でもカザリームは2つの能力を有していました。1つ目は支配之王（メルキゼデク）と呼ばれるもので、聖と魔、両方の性質を併せ持つ究極の力とされます。カザリームはこの力を使い、レオンとミザリーの技を無効化してしまいました。天使と悪魔の力を統合し「聖魔合一」という究極の最適化が行われたなら、天使も悪魔も共に敵では無いとカザリームが自負する究極の能力です。

もう1つの能力は相殺消失（カウンターラプス）です。この能力を使って、カザリームは自身のエネルギーを敵にぶつけて相手のエネルギーを奪い、さらに相殺によりダメージを増幅させていきます。敵のエネルギー量が自分を大きく上回らない限り負ける事がない必勝の能力といわれています。

次に、呪術王カザリームが会長を務める組織・中庸道化連を構成するメンバーを紹介しましょう。組織の副官は、狂気の道化と恐れられている魔王クレイマンです。魔王カザリームがレオンに殺害され、精神のみが残された後もカザリームに忠誠を尽くし暗躍します。

クレイマンに与えられた使命は覚醒魔王への進化に関することでした。その使命を厳格に実行していたクレイマンは、ファルムス王国に働きかけテンペストを攻撃させるのに成功します。そしてそこから生まれる憎しみを原動力にして覚醒魔王になろうと目論んでいました。

ところが、この計画はリムルによって阻止されてしまいます。クレイマンはワルプルギスでリムルを嵌めようとしますが、失敗に終わりリムルにより殺害されてしまったのです。結局クレイマンが覚醒魔王になることはありませんでした。

副官である魔王クレイマンに力を貸していたのが、享楽の道化ラプラスでした。ラプラスはクレイマンの恩師でもありました。とりわけ戦闘の実力は中庸道化連でも随一と言われています。

一方で戦うことに快感を見出す狂人でもありました。事実ラプラスがクレイマンの後ろ盾になったことに、不安を訴える声も後を絶ちませんでした。魔王同士の戦いを厳しく戒めていた取り決めでさえも、ラプラスにかかっては平気で踏みにじられそうだったからです。

ラプラスの戦闘能力は個人戦に特化したもので、ソウエイと対戦した時には、ソウエイに瞬殺されたように見えて実は分身だったということがありました。その意味ではソウエイに似た能力とも言えそうです。呪術王カザリームより強いと豪語するラプラスに対し、次の項で説明するティアは「知っていたよ」と答えています。

他のメンバーと同様に、ピエロの衣装に身を纏う涙目の道化ティア。自分のことをアタイと呼ぶ上位魔人です。可愛らしい少女の見た目とは裏腹に、鎌を振り回す姿はまるで死神のようでもあります。

大好物なのは懇願の涙、なかでも慈悲を請う者の涙が一番好きだと言います。また楽天家というスキルを有すると共に、命令が出た時点で、命令を遂行するために能力が向上するという特異なスキルも合わせ持っています。

中庸道化連のメンバーで唯ひとりふっくらした体を持つ怒った道化・フットマン。名前の通り激しい怒りを顕わにする場面が多くあります。

ラプラスやティア同様クレイマンとは良好な関係にあり、クレイマンが殺された時は怒り心頭に達する場面もありました。クレイマンを殺害した魔王レオンに対する憎しみは強く、魔王レオンと対峙すると、すぐさま喧嘩ごしで口上をまくし立てるのを常にしていました。

女性の体に憑依したカザリーム（カガリ）にティアやラプラス、フットマンといったクレイマン亡き後の中庸道化連メンバーたちは、ハルマゲドンで天使軍に加勢します。侵攻する先にはもちろん魔王レオンがいました。対する魔王レオンは、魔王ギィの配下ミザリーを味方に応戦しますが、苦しい戦いを強いられます。

そんな中、レオンを助けにやって来たのはベニマルとソウエイでした。ベニマルは一撃のもとにフットマンを戦闘不能状態にします。さらに勢いづいたベニマルは、カザリームを撃破します。残るラプラスはソウエイと決着を付けようとしますが、ティアはベニマル、ソウエイが相手では成す術無しと様子見をしていました。

撃破されたかに見えた呪術王カザリームは、ユウキに洗脳されていたのです。戦闘不能に陥ったフットマンにヴェガの卵を与え、洗脳と攻撃を再開します。苦戦が続きましたが、一瞬の隙をつきフットマンが魔王レオンに重いダメージを与えます。

そこに助けにきたのがディアボロとリムルでした。リムルはレオンの蘇生に成功、ディアボロはフットマンを叩きのめしリムルに捕食させます。その後、ラプラスとティアを脅すとリムル傘下に加えてしまいました。

レオンは、300年程前に10歳にも届かない幼少の頃、少女と一緒に物質界からやって来た異国人です。次元空間に生じた歪に巻き込まれ世界を渡ってやって来ました。いわゆる召喚者ではありません。エル・ドラドに住み、長いプラチナブロンドの髪に白い肌と青い瞳を持ち”金髪の悪魔“との異名を持ちます。

呪術王カザリームは、このレオンが辺境エル・ドラドで魔王と名乗っていることに激怒、戦争を仕掛けます。ところが、カザリームは前述の通りレオンに返り討ちに遭ってしまいます。レオンが魔王に匹敵する力を持っていると世間に知らしめるきっかけとなった出来事でした。

カガリは、自由組合総帥ユウキの秘書を務めている女性です。カガリは自由組合のサブマスター、エルフの血統を引く美しい女性でしたが、レオンに殺されて精神体となった元魔王カザリームに体を奪い取られてしまいます。つまり、カガリの体の中身はカザリームということになります。その後カザリームはカガリの肉体を鍛え上げ、強靭無比な魔人に変貌させました。

オークロード（豚頭帝）は、魔王クレイマンの手下の魔人ゲルミュッドの魔王誕生計画で重要な役割を担った魔物です。数百年に一度発生するかどうかの最悪の魔物とされています。

一方、カザリームは「魔王覚醒化」に執心していました。そして、クレイマンにその研究を委嘱、クレイマンはオークロードで実験します。ところが、実験の結果は失敗に終わってしまいます。

呪術王カザリームは復活後、自由組合のユウキ（神楽坂優樹）の秘書として暗躍します。まずは「魔王暗躍編」での活躍を見ていきましょう。

ユウキに心を奪われ計画遂行に協力するカガリでしたが、精神的には呪術王カザリームの支配を受けていました。カザリームは上司であるユウキの力になろうとしますが、全盛期の戦闘能力は戻っていません。勇気が魔王レオンと戦闘した時にも、ユウキのサポートをすることはできずレオンの部下アルロスと闘うのがやっとの状態でした。

カザリームの活躍、続いては「天魔対戦編」です。カザリームはユウキによりパワーアップし、天使軍のエリート・四凶天将の1人となります。魔王レオンをも上回る戦闘力を身に着け、覚醒魔王のレオンとミザリーの2人とも堂々と渡り合います。

ところが、レオン側の援軍として加勢したベニマルに惨敗を喫します。死の淵をさまよいながら、来し方を振り返ります。幸せに暮らせる居所を探そうと思っただけなのに、どこでどう間違ったのだろうかと苦悶します。すると、カザリームにかけられたヴェルダの洗脳が解けていきました。

転スラの元魔王のカザリームに関する情報をお届けしてきましたが、最後に読者の感想や評価を紹介します。最初は、転スラの”かませ”は誰か？ということに思いを巡らせた方です。

終末の使徒4人やヴェルダらに混じってカザリームの名前が上がっています。相当大口を叩いていたのに、最後はフルボッコにされたのがその理由だそうです。

元魔王のカザリームに関する感想や評価、次はカザリームの容姿が気になるという方です。金髪の美しい女性の姿をしてるカガリから男性のカザリームは想像できないのでしょう。

カザリームに関する感想や評価の最後は、元魔王のカザリームを小物だという方です。魔王レオン戦で罵詈雑言を浴びせかけるカザリームでしたが、シオンや悪魔達が散々やって来たことと変わり映えしないというのがその理由のようです。

ここまで「転生したらスライムだった件」の元魔王カザリームに焦点を当て、中庸道化連を考察してきました。最後に本記事を箇条書きでまとめてみます。

• 中庸道化連の会長で、呪術王と呼ばれ恐れられていた元魔王
• レオンを攻撃するも返り討ちに遭い死亡、魔王の座を奪わる
• 魂が自由組合総帥ユウキの秘書カガリの体に入る
• ユニークスキルとして人心掌握（プランナー）と企画者（クワダテルモノ）を持っている
• 究極能力（アルティメットスキル）は、支配之王（メルキゼデク）と相殺消失（カウンターラプス）
• 会長を務める「中庸道化連」には、魔王クレイマンをはじめとして享楽の道化ラプラス、涙目の道化ティア、怒った道化フットマンがいる
• 魔王暗躍編でのカザリームは、ユウキを助けることもできず
• 天魔対戦編ではパワーアップしたカザリームですが、レオンの援軍として加勢したベニマルに惨敗