火の鳥「望郷編」 のネタバレ解説!漫画の感想まとめ【手塚治虫】

漫画家・手塚治虫先生の代表作である火の鳥シリーズの第6作・望郷編は、地球から宇宙の果てにある惑星・エデン17に辿り着いた1人の女性が、様々な試練に耐え地球への帰還を果たすまでの波乱の生涯を、壮大なスケールで描いた作品です。本文では、火の鳥「望郷編」のあらすじネタバレに、作品の謎の解明、魅力や名シーン、火の鳥「望郷編」のトリビアなど、そして作品に関する感想を紹介します。

火の鳥「望郷編」 のネタバレ解説!漫画の感想まとめ【手塚治虫】のイメージ

目次

  1. 火の鳥「望郷編」とは?
  2. 火の鳥「望郷編」の漫画あらすじネタバレ解説
  3. 火の鳥「望郷編」の謎をネタバレ解説
  4. 火の鳥「望郷編」の魅力・名シーン
  5. 火の鳥「望郷編」のトリビア集
  6. 火の鳥「望郷編」に関する感想や評価は?
  7. 火の鳥「望郷編」のネタバレまとめ

火の鳥「望郷編」とは?

漫画家・手塚治虫先生の代表作・火の鳥の第6作目「望郷編」は、宇宙の果ての惑星・エデン17を舞台に、1人の女性の113年に及ぶ試練と、地球への帰還を果たすまでの姿を、エデン17の繁栄と滅亡と重ねて描いた壮大な物語です。以下では、火の鳥「望郷編」のあらすじネタバレ、「望郷編」の謎や魅力・名シーン、作品にまつわるトリビアや、漫画・火の鳥「望郷編」の感想について紹介します。

火の鳥シリーズの全体の作品情報

全9作品と番外編1作品で構成される漫画・火の鳥シリーズは、人類の誕生から滅亡までの物語を、不死鳥・火の鳥の視点を中心に描いたファンタジー作品です。火の鳥は、弥生時代の日本を舞台にした「黎明編」から始まり、水爆による人類の滅亡と誕生までを描いた「未来編」のように、過去と未来が交互に描かれていることが特徴です。

火の鳥シリーズは、第1作「黎明編」、第2作「未来編」、第3作「ヤマト・異形編」、第4作「鳳凰編」、第5作「復活・羽衣編」、第6作「望郷編」、第7作「乱世編」、第8作「宇宙・生命編」、第9作「太陽編」の順番で刊行されています。そして、番外編に「ギリシャ・ローマ編」が加わり、計10作品で構成されています。

火の鳥シリーズの概要

火の鳥シリーズの要である火の鳥は、作品によって不死鳥・火焔鳥・鳳凰・フェニックスと呼称が変更されており、火の鳥の生き血を飲む者には、永遠の命が与えられると言われ、多くの人物に狙われている存在です。一方で、火の鳥自身は、テレパシーを用いて他の者と会話をしたり、先の未来を見通すなど、人智を越えた超生命体と描かれており、目を懸けた人間たちを助けたり、みずから生き血を与える様子も見せています。

また、火の鳥と関わりを持つ各作品の主人公たちは、それぞれに、悩みや苦しみ、自分に課された過酷な試練に翻弄されながらも、それら試練を乗り越えていく展開が描かれています。

火の鳥シリーズの作者は手塚治虫

火の鳥シリーズは、漫画家・手塚治虫先生がライフワークに位置づけた作品で、古代から遥か未来、地球や宇宙を舞台に、生命や人間の本質に迫った手塚治虫先生の思想が、火の鳥シリーズの各作品ごとに壮大なスケールで描かれました。

火の鳥「望郷編」のあらすじ

火の鳥・望郷編のあらすじ紹介・イメージ画像

火の鳥シリーズ、生命編の次の時代に当たる「望郷編」は、地球から宇宙の果てにある惑星・エデン17の繁栄と滅亡を、113年に及ぶ女性の試練と故郷・地球への望郷の思いを重ねて描いた作品です。また、火の鳥「望郷編」では、火の鳥シリーズにて、未来を舞台にした作品の主要キャラクターたちの謎や過去が描かれており、複数の作品との繋がりを最も感じられる作品の1つです。

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火の鳥「望郷編」の漫画あらすじネタバレ解説

漫画「火の鳥・望郷編」は、地球で生まれ育った少女・ロミの地球と宇宙の果ての惑星・エデン17を舞台にした131年の生涯と、エデン17とムーピーと人間の混血児たちによる文明の繁栄と滅亡までを壮大なスケールで描いた作品です。以下では、漫画「火の鳥・望郷編」のあらすじネタバレを紹介します。

あらすじネタバレ①主人公はロミ

火の鳥「望郷編」の主人公・ロミは、地球のある島で生まれ育ち、高校生の時に、本土からやってきた大学の研修生・丈二(ジョージ)と恋に落ちます。その頃、地球では人口増加に伴う都市開発が進められており、ロミの住む島も、いずれ巨大な人口島に改造されることをジョージに聞かされます。そこでジョージは、ロミと共に地球を離れて、宇宙へ旅立つことを提案します。

あらすじネタバレ②惑星エデン17

そして、島の開発費を盗み出した2人はある宇宙不動産屋の紹介により、エデン17という惑星を購入します。逃げるように地球から旅立ち、辿り着いたエデン17は、池が干上がってしまうほど荒廃した土地で、そこには過去にこの惑星を購入したと思われる人物の痕跡が残されていました。生き物が住むにはあまりにも過酷な環境の中で、2人はまず水を手に入れるべく、井戸を掘り始めます。

工事が順調に進む中、突然、大きな揺れが発生し、ジョージは倒れた機械の下敷きになり亡くなってしまいます。ジョージの死に1人残されたロミは、深い悲しみに包まれるも、それらを乗り越えて男の子を出産します。そして、子孫を絶やさないために、ロミは冷凍睡眠(コールドスリープ)室に入り、息子が成長するその時まで長い眠りに就き始めました。

あらすじネタバレ③カインの成長

火の鳥「望郷編」は、20年後の世界に突入し、ロミとジョージの息子・カインは、立派に成長していました。そして、その時を待っていたかのように、ロミもコールドスリープから目を覚まし、子孫を残すためにカインと結ばれます。ロミとカインの間には、6人の男の子が誕生するも、子供を産むことが可能な女の子が一向に生まれる気配がありませんでした。

その後も、子孫と結ばれて子供を産み続けていくロミですが、何故か全員男の子しか誕生しません。そんな中、火の鳥がエデン17に連れてきたムーピーと呼ばれる謎の生物と、ロミの子孫の1人が結ばれたことで、エデン17に待望の女の子が誕生しました。その後、生まれた女の子たちは、ロミの子孫たちと結ばれて、エデン17には、人間とムーピーの混血児が次々と誕生し、人口が増え続けていきます。

そして、コールドスリープから目覚めたロミは、惑星・エデン17の女王として君臨し、エデン17は、更なる発展を見せます。その後、エデン17には、中東を思わせる街並みが次々と建設され、ロミが眠りについていたコールドスリープ室は、宮殿に変わりました。そして、ロミとジョージが地球から乗ってきた宇宙船も、宮殿内に保管されることとなり、ロミは宇宙船を見つめる度に、地球への望郷の念を募らせていきます。

あらすじネタバレ④地球へ

火の鳥「望郷編」はロミがエデンに来て113年の月日がたち、女王・ロミから地球の話を聞いた少年・コムは、火の壺の付近で発見した宇宙船に乗って地球へ向かうことを提案します。そして、地球への帰還を決意したロミは、ムーピーであるコムの母親に自分の身代わりを頼み、コムと共に宇宙船へ乗り込みました。初めて見る惑星・エデン17の姿と果てしなく広がる宇宙空間に圧倒されながら、2人の長い旅が始まりました。

旅の途中で、宇宙船に吸い込まれるように、宇宙飛行士・牧村が侵入してきました。113年ぶりに出会った地球人の姿にロミは感動を覚えます。その後、様々な惑星を巡り、謎の商人・ズダーバンとの出会いを経たロミは、念願だった地球への帰還を果たします。しかし、地球外の住民の侵入を厳しく取り締まる入管ゲートの職員に目を付けられ、ロミとコムは逃亡を始めます。

一方、ロミとコムの不法侵入を斡旋し、ズダーバンに宇宙船を乗っ取られた牧村は、上層部からロミとコムの殺害を命じられます。窮地に追い込まれた牧村は、2人を殺害する苦渋の決断を下します。その頃、無事に追っ手から逃れ、湖のほとりに辿り着いたロミとコムは、地球の美しい自然を体感します。そして、2人を発見した牧村は、2人の殺害を命じられたことを明かし、ロミは静かに自分の運命を受け入れようとしました。

あらすじネタバレ⑤それぞれの最期

しかし、ロミは覚悟の見せると同時に、そのまま自然に倒れ込み、131年の生涯を終えます。そして、残されたコムだけでも始末しようと、牧村は銃を片手に執拗に追い始めます。そして、湖の中へ逃げ込んだコムは、ムーピーの能力を開花させて、水草の花に姿を変えます。その後、牧村は、ロミの遺体と共にその場を去り、コムは水草の花に姿のまま、湖に漂い続けていました。

一方、牧村の宇宙船を乗っ取った商人・ズダーバンは、エデン17に向かい、悪徳商売を始めました。ズダーバンの策略に陥ったエデン17の人々は、次第に荒れていき、街全体も悪の要素で染まっていきました。そんな時、大きな揺れがエデン17を襲うと、建物が次々と崩壊していき、エデン17の文明は一気に滅び去ってしまいます。

宇宙飛行士・牧村は、ロミの遺体を第2の故郷・エデン17へ埋葬するべく、「星の王子さま」を読み聞かせながら向かい続けていました。そして、一度は愛した女性に別れの言葉を告げて牧村は静かに去っていきます。その後、ロミはあの世で再開したジョージに、地球へ帰還できたことを報告し、火の鳥のナレーションと共に、「望郷編」は終結します。

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火の鳥「望郷編」の謎をネタバレ解説

火の鳥ファンの間で評価の高いシリーズ第6作・望郷編は、読み終えた後に思考がクリアになることや、ストーリーがいくつもあるなど、多くの謎も秘めています。以下では、火の鳥「望郷編」の謎をネタバレを交えながら解説します。

ネタバレ解説①思考がクリアになる?

漫画・火の鳥「望郷編」を読んだ方の多くが、読んだ後に思考がスッキリしたという感想も寄せています。その理由は、「望郷編」で描かれた世界観にあり、手塚治虫先生でしか思いつかないような発想やストーリー展開にあるでしょう。「望郷編」では、倫理上のタブーなど、現実世界ではありえないような展開や設定が至るところに見られ、常識を逸脱したストーリーに膨大な情報量が作品の特徴です。

そして、「望郷編」で描かれた膨大な情報量を理解するためには、広い視野を持って全体の状況を把握する、点在した情報を整理し、自分なりに理解する工程が必要となります。漫画・火の鳥「望郷編」は、このように常識の範囲を超えた広い視野を持って読み進めるごとで、望郷編の世界観を自分なりに整理・理解することができ、結果、思考がクリアになると言われているでしょう。

ネタバレ解説②ストーリーがいくつもある?

手塚治虫先生の火の鳥シリーズで、評価の高い「望郷編」は、壮大なストーリー展開だけでなく、望郷編から遥か未来に登場するキャラクターたちの謎が所々で解明されています。火の鳥・第2作「未来編」で登場するムーピーの正体について、望郷編では火の鳥によってその生態や、人間との混血児を作ることが可能であることが描かれています。

次に、望郷編で、ロミに恋心を寄せていた宇宙飛行士・牧村について、第9作「宇宙編」では永遠に死ぬことが出来ない過酷な宿命を受けていることが明らかにされています。そして、望郷編の次の未来にあたる第5作「復活編」で登場した労働ロボット・チヒロの詳細が、望郷編にて、チヒロ自身の言葉で明らかにされています。このように、望郷編は未来を舞台にしたストーリーを1つに繋げる重要な物語でもあります。

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火の鳥「望郷編」の魅力・名シーン

火の鳥「望郷編」は、手塚治虫先生ならではの広い視野や、他の火の鳥作品との繋がりを感じさせる複雑さ、登場キャラクターたちの生き方や考え方に、多くの共感を呼びました。以下では、火の鳥「望郷編」の魅力や名シーンを紹介します。

魅力・名シーン①神の視点

火の鳥「望郷編」は、日常生活では想像することもできない、神の視点で描かれた世界観が魅力的です。例えば、子孫を残す手段として、ロミが自分の子どもと結ばれるシーンが繰り返し描かれています。しかし、このような行動は、倫理上タブーと考えられていますが、望郷編では、やむを得ないことだと解釈されており、その影響で女の子が生まれないことを、ロミは嘆いていました。

また、「望郷編」では、日常生活では考えつかないような発想も所々で描かれており、ロミが地球へ向かう途中に立ち寄った人食いの惑星や、鉱物が世界の主導権を握っている惑星が登場し、主人公たちに襲いかかります。このように、常識にとらわれない広い視野を持って描かれた世界観も、漫画・火の鳥「望郷編」の魅力です。

魅力・名シーン②複雑な物語

漫画・火の鳥「望郷編」は、ファンの間で思考がスッキリすると言われている反面、望郷編より未来の物語に登場する主要キャラクターたちも登場することから、複数のストーリーが絡み合った複雑な物語とも呼ばれています。「望郷編」の物語だけでなく、広い視野を持って読み進めることで、火の鳥がシリーズ全体を通じて繋がっていることを発見できるでしょう。

魅力・名シーン③生き方や考え方

漫画・火の鳥「望郷編」の最大の魅力は、作品を通じて自身の生き方や考え方を問われているような名言が登場することです。望郷編終盤に登場した悪徳商人・ズダーバンは、文明が栄えるためには、酒や麻薬、兵器や武器のように悪の要素も必要だと唱えます。しかし、お酒などは適度に楽しむことで国に活気が沸きますが、悪の要素は、使い方を間違えることで破滅へと導かれる危険性も孕んでいます。

また、「望郷編」では、苦難の末、113年ぶりに地球に帰ることが出来たロミの姿も描かれています。地球に住んでいれば当たり前のように触れていた自然の美しさや心地よさを、ロミの帰還を通じて改めて考えさせられる名シーンです。

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火の鳥「望郷編」のトリビア集

火の鳥・望郷編のトリビア紹介・イメージ画像

今回、あらすじネタバレを紹介している「望郷編」を含めた火の鳥シリーズには、以下のようなトリビアがファンの間で飛び交っています。以下では、漫画家・手塚治虫先生の代表作・火の鳥「望郷編」に関連するトリビアを紹介します。

トリビア①「ブッダ」の企画の秘密

漫画家・手塚治虫先生の代表作「ブッダ」は、火の鳥「東洋編」として企画されていたエピソードを持ちます。その後、火の鳥「東洋編」は、漫画「ブッダ」として執筆・発表されましたが、漫画・ブッダと登場キャラクター・タッタとダイバダッタの外見は、火の鳥の一部として構想されていた名残で、それぞれ「乱世編」の弁太・義経に似せた外見で描かれています。

トリビア②大友克洋は「火の鳥」のファン

「AKIRA」などの作品で知られる漫画家・大友克洋先生は、高校時代から「火の鳥」を愛読する筋金入りのファンです。また、大友先生は、少年時代に放送されていた「鉄腕アトム」から、手塚治虫先生の作品の虜となり、手塚治虫漫画全集を全巻揃えたり、2001年には、手塚治虫先生原作のアニメーション映画「メトロポリス」の脚本も担当しました。

トリビア③水木しげるや赤塚不二夫が登場?

トキワ荘と呼ばれる木造アパートには、若かりし頃の手塚治虫先生をはじめ、水木しげる先生、赤塚不二夫先生を始めとする、有名漫画家が共に生活をしながら漫画を描き続け、作品を完成させていた時期がありました。トキワ荘に住む漫画家たちの仲は、手塚治虫先生の代表作「火の鳥」にて知ることが出来ます。

仏師2人の対決と、その結末を描いた「鳳凰編」にて、主人公の1人・赤丸が夢から目覚めた場面にて、水木しげる先生もモデルにしたねずみ男が登場します。また、火の鳥では、赤塚不二夫先生の漫画ギャグ「シェー」が頻繁に登場したり、「未来編」では、赤塚不二夫先生の名前が、主人公・山之辺マサトのセリフに使用されました。

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火の鳥「望郷編」に関する感想や評価は?

火の鳥「望郷編」に関する感想や評価・イメージ画像

ここまで、火の鳥「望郷編」のあらすじネタバレなどを紹介しました。現在の世代を問わず読み継がれる火の鳥シリーズで、ある1人の女性の一生を壮大なスケールで描いた「望郷編」は、ファンの間で最も評価の高い作品です。以下では、火の鳥「望郷編」に関する感想や評価を紹介します。

感想1:火の鳥「望郷編」の牧村に涙

火の鳥「望郷編」に登場した宇宙飛行士・牧村にとって、ロミは一生忘れることのない、最愛の女性であることを示唆させるセリフが、物語終盤で登場します。望郷編では、悪徳商人・ズダーバンの若返り装置によって、老婆から20歳くらいの年齢に戻ったロミに対して、牧村が恋心を抱くシーンが描かれており、望郷編の読者の間では、最後に牧村がロミの事を「奥さん」と呼ぶシーンは、望郷編の名シーンの1つに数えられています。

火の鳥「望郷編」では、牧村のロミに対する愛情や優しさが強調されて描かれていますが、望郷編からさらに未来を描いた火の鳥「宇宙編」では、牧村の人格は同一人物とは思えない、悪の要素が強調されています。そして、宇宙編では、罪を犯した罰によって、不死身の体にされ、受刑星へ永久に閉じ込められる過酷な運命を強いられます。

感想2:望郷編のラストも恋人同士の再開が描かれた

火の鳥シリーズにて、主人公とその恋人が登場する作品のあらすじとそのラストは、恋人との別れと再会が定番要素であり、火の鳥「望郷編」でも、牧村によってエデン17に帰還したロミがジョージと再会するシーンが2人のセリフを通じて表現されました。望郷編では、主人公の恋人は物語序盤で事故死し、以降はラストまで登場せず、望郷編を読み終える直前までジョージの存在を忘れてしまう読者も多かったでしょう。

感想3:悪徳商人・ズダーバンが伝えたかったこと

火の鳥「望郷編」の悪徳商人ズダーバンについて、望郷編での言動が不快、かつ怒りが込み上げてきたとの感想が多く寄せられており、火の鳥の悪役の代名詞として認知されています。一方で、ズダーバンの欲望に着目した商売について、悪の要素に染まっていくエデンの人々の光景から人の持つ欲望だけでなく、それらをお金に繋げてしまうズダーバンの知恵も恐ろしいとの感想も見られます。

今回紹介した火の鳥「望郷編」だけでなく、漫画家・手塚治先生がライフワークとして描き続けた火の鳥シリーズは、人間のもつ弱さや愚かさを改めて知ったり、考えさせられる、奥の深い漫画作品でしょう。

感想4:複数のあらすじが存在する火の鳥「望郷編」

手塚治虫先生の火の鳥は、倫理上の問題などにより、雑誌掲載時と、初版・重版の度に作者によって加筆・訂正、あらすじを大幅に改変されていることで有名で、今回あらすじネタバレを紹介した火の鳥「望郷編」は、角川文庫版の内容です。火の鳥「望郷編」は、内容の改変が最も行われた作品であり、漫画少年掲載時には、ロミの死因は、自然死ではなく、牧村によって殺害されたシーンが描かれました。

このように、火の鳥「望郷編」は多くのファンが壮大な世界観に感動したとの感想を多く寄せていますが、年代や出版社によって望郷編のあらすじが大きく展開が異なることも、火の鳥「望郷編」の魅力だとの感想を寄せるファンも存在します。

感想5:幻の「大地編」が小説版で登場

現在も多くのファンに支持されている火の鳥シリーズは、作者・手塚治虫先生の死によって未完となり、現代を舞台にした火の鳥・大地編は幻の作品となりました。しかし、2019年4月16日の朝日新聞土曜別刷り「be」にて、直樹賞作家・桜庭一樹先生の執筆により小説化され、ファン待望の「大地編」となったでしょう。

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火の鳥「望郷編」のネタバレまとめ

漫画・火の鳥「望郷編」のあらすじネタバレと、作品の謎の解明、魅力や名シーン、火の鳥にまつわるトリビアや、感想について紹介しました。生命と人間の本質に迫った手塚治虫先生のライフワーク・火の鳥シリーズで高い評価を得ている「望郷編」の世界観を体感してみませんか。

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