2018年10月10日公開
2018年10月10日更新
火の鳥 太陽編のネタバレあらすじ!シリーズ最終章のストーリー・感想は?
「漫画の神様」手塚治虫の代表作である「火の鳥」は手塚ライフワークとまで呼ばれています。過去と未来を行き来する壮大な物語である「火の鳥」は「太陽編」をラストに作者が亡くなられたことで未完の物語となりました。手塚治虫が火の鳥に込めたメッセージとは一体どんなものだったのでしょうか?ここでは「火の鳥」ラストである「太陽編」のあらすじをネタバレでラストまで紹介、感想を紹介することで巨匠手塚治虫が作品に込めた思いを浮き彫りにしていきます。
目次
火の鳥 太陽編をあらすじからラストまでネタバレ!シリーズ最終章を見た人の感想は?
「漫画の神様」手塚治虫の代表作として広く知られている作品に「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「火の鳥」「リボンの騎士」「ブラック・ジャック」等があります。とりわけ「火の鳥」は手塚治虫のライフワークとまで言われている作品です。「火の鳥」にはどのような魅力が隠されているのでしょうか?
ここでは「火の鳥」ラストとなった「太陽編」を紹介します。太陽編完結の翌年手塚治虫が亡くなられたことで未完となった火の鳥太陽編をあらすじからラストまでネタバレ紹介します。さらに火の鳥太陽編を読んだ人の感想も紹介します。火の鳥サーガのラストを飾った太陽編とはどのような物語なのでしょうか?
火の鳥 太陽編とは?
「火の鳥」は手塚治虫の代表作にしてライフワークと呼ばれています。1954年から1988年まで実に30年以上もの間編を変え、掲載雑誌を変えて連載され続けたことや、テーマ・プロット・物語の重厚さなどからもライフワークになり得たと言われています。また、火の鳥を手塚治虫の最高傑作であるとの感想を持つ人も多いです。
「火の鳥 太陽編」は1986年から1988年まで角川書店が発行していた野生時代という雑誌に連載されました。それまでの火の鳥が過去や未来のある時代に特化した物語世界だったのに対して太陽編は7世紀の過去と21世紀の近未来(連載当時)が行き来するそれまでにない形で描かれています。過去と近未来の宗教戦争を舞台に人間の業の深さや愛の素晴らしさを描いた火の鳥ラストに相応しい作品と評されています。
火の鳥 太陽編の作者・手塚治虫について
ここでは「漫画の神様」と評される手塚治虫について紹介します。何故手塚治虫が大人気漫画になれたのか、そして漫画の神様と称されるに至った要因は何であったかをプロフィールや「火の鳥」以外の代表作を交えて掘り下げていきます。
手塚治虫のプロフィール
手塚治虫は1928年に大阪で生まれ、幼少時に兵庫県宝塚市へと移住しました。宝塚市は宝塚歌劇団の本拠地としても知られていますが幼い頃の手塚治虫もよく宝塚歌劇を観に行っていたことで知られ、そこでの経験が漫画の作風に大きな影響をもたらしたと言われています。また、ディズニーファンであることも有名で手塚作品にはディズニー作品に対するオマージュが多いとも言われています。
大阪帝国大学付属医学専門部在学中に4コマ漫画「マアチャンの日記帳」でデビューしました。その後ストーリー漫画に転じ、1947年の「新宝島」が記録的な大ヒットとなり、一躍人気漫画家となりました。「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などの少年漫画、「リボンの騎士」などの少女漫画、「アドルフに告ぐ」などの青年漫画などでヒット作を生み出し続け「漫画の神様」と評されるようになりました。
手塚治虫は1989年に胃癌で亡くなりました。生涯で生み出した作品数は約700タイトル、原稿枚数にして15万枚と言われています。作品のほとんどは手塚治虫全集として全400巻にまとめられています。亡くなる直前にも「鉛筆をくれ」「頼むから仕事をさせてくれ」と呟いたと言われ、まさに「漫画の神様」らしく漫画に殉じた人生だったと評価されています。
手塚治虫の代表作
ここでは「火の鳥」以外の手塚治虫の代表作をいくつか紹介します。代表作が多い作家であることが知られている手塚治虫ですが、どのような作品があるのでしょうか?
ジャングル大帝
手塚治虫の代表作のひとつ「ジャングル大帝」は1950年から1954年まで漫画少年に連載されました。それまで単行本をメインで描いていた手塚が月刊誌中心の執筆スタイルへとシフトチェンジした作品でもあり、当時の読者から熱狂的な支持を受けました。また、悲劇的なラストも大変話題になりました。
アフリカのジャングルを舞台に人間の言葉を話せる白ライオンであるレオとジャングルでともに生きる動物たち、そしてアフリカにやって来た人間たちとの関わり合いを描いた内容は壮大であり、手塚大河ドラマの源流であるとの感想を持つファンも多いです。4度に渡るテレビアニメ化や2度の映画化などで連載時を知らない世代にも多くのファンを持つことで知られる手塚の代表作です。
鉄腕アトム
「鉄腕アトム」は1952年から1968年まで月刊漫画雑誌「少年」に連載されました。手塚治虫作品の中でも特に知名度が高いアトムですが、当の本人はあまり好きではなかったとも言われています。しかし、日本初の国産テレビアニメ作品でもあり、その後さらに2度にわたりアニメ化されたこと、アトムやウランのキャラクターとしての魅力、ロボットの凄さ・悲哀を描いた物語は多くのファンの支持を得ています。
天才科学者天馬博士が亡くなった息子の代わりに科学省の粋を集めて作り出したロボットアトムがロボットと人間の違いに悩みながらも様々な事件を解決していくストーリーは非常にわかりやすく横山光輝の「鉄人28号」とともに「少年」の看板作品となりました。
リボンの騎士
「リボンの騎士」は手塚治虫の少女漫画における代表作のひとつです。1951年から1956年まで「少女クラブ」に連載され、続編(現題 双子の騎士)が1958年から1959年まで「なかよし」に、さらに同誌にリメイク版が1963年から1966年まで連載されました。宝塚で少年時代を過ごし、宝塚歌劇団のファンであった手塚の趣味が前面に出たコスチュームプレイが見所のひとつだと言われています。
天使チンクのいたずらで男の子と女の子の心を同時に持たされたシルバーランドの王女サファイアは男しか王位継承権がないために男の子として育てられました。シルバーランドの政治状況に翻弄されながらもサファイアは凛とした王女として事件に立ち向かいます。テレビアニメ化や舞台化がされて手塚ファンの間でも人気があります。
ブラック・ジャック
出典: https://festy.jp
「ブラック・ジャック」は1973年から1978年まで「週刊少年チャンピオン」連載され、その後1979年から1984年まで同誌に不定期掲載されました。手塚治虫作品の中でもとりわけ人気が高いこと、医療漫画の先駆けとしても知られています。アニメ化・テレビドラマ化・OVA化・舞台化と様々なメディアとクロスオーバーすることで今なおファンを獲得し続けています。
医師免許は持っていないが、天才的な技術で患者を治し法外な手術代を請求するブラック・ジャックは医師の世界からつまはじきにされています。しかし、彼は冷酷な金の亡者ではなく強い信念に基づいて生きています。彼は助手のピノコとともに難手術に臨みます。
アドルフに告ぐ
「アドルフに告ぐ」は1983年から1985年まで「週刊文春」に連載されました。週刊文春に長編漫画作品が連載されたことは極めて異例で漫画の神様手塚治虫の面目躍如であったと評されています。手塚の青年漫画作品の代表作と言われ初単行本化された時は漫画ではなく書籍扱いとなりベストセラーとなりました。ラジオドラマ化・舞台化もされており、晩年の傑作と言われています。
ベルリンオリンピックの取材中にアドルフ・ヒットラーの出生の秘密が書かれた文書にまつわる事件に巻き込まれた新聞記者峠草平を狂言回しにアドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミル3人のアドルフが第二次世界大戦を背景に複雑に絡み合っていく壮大な大河ドラマで、これが一番面白いという感想を持つファンも多く、ラストまで目が離せないと言われています。
火の鳥シリーズの作品・時系列を紹介!
ここでは「火の鳥」シリーズの作品を時系列に並べて紹介していきます。「火の鳥」はどのように誕生してどのようなラストを迎えたのでしょうか?
黎明編
「火の鳥 黎明編」は漫画少年に1954年に7回連載されましたが発行元の学童社が倒産したことで未完となりました。その後手塚治虫自身が立ち上げた漫画雑誌「COM」の目玉作品として1967年1月号から同年11月号まで絵柄・ストーリーを改めた形で連載されました。
「火の鳥 黎明編」は3世紀の日本、熊襲地方を舞台としています。その生き血を飲むと永遠の命が得られるという奇鳥火の鳥を巡り、時の権力者であった卑弥呼率いるヤマタイ国の一団と熊襲の村で生き残った少年ナギとの争いや人間模様が描かれており、手塚大河ドラマとして、火の鳥サーガの始まりとしても素晴らしいとの感想を持つ人が多いです。
未来編
「火の鳥 未来編」は「COM」1967年12月号から1968年9月号まで連載されました。時間軸としては「火の鳥」シリーズ中最も遠い未来の世界が舞台となっており、ここで早くも火の鳥の結末が描かれたことで衝撃を受けたという感想を持った人が多いと言われています。
西暦3404年の未来世界では文化・政治とも衰退の極みに達しており、人間は重要なことをコンピューターの決済に委ねていました。そんな折、各国のコンピューター同士が衝突して核戦争が勃発しました。世界のあらゆる生命が死滅した中で山之辺マサトだけは火の鳥の力によって死なない身体となり、生命を復活させて正しい道へと導くように使命を託されたのです。
ヤマト編
「火の鳥 ヤマト編」は「COM」1968年9月号から1969年2月号まで連載されました。4世紀頃の古墳時代の日本が舞台です。ヤマト国の王子ヤマト・オグナは大王の命令でクマソ国の酋長川上タケルを殺しに旅立ちます。そこで出会ったタケルをはじめとするクマソの人々との邂逅を通してオグナは自分の生きる道を模索していきます。
ヤマト・オグナと川上タケルの妹カジカの心の結びつきがやがて恋愛へと発展していきますが、ある事件をきっかけに二人の運命は時代に翻弄され、やがて悲劇的なラストを迎えます。オグナのまっすぐで純真なキャラクターとそれらを取り巻くクマソの人々に高い人気があると言われています。
宇宙編
「火の鳥 宇宙編」はCOM1969年3月号から同年7月号まで連載されました。西暦2577年宇宙を航海していたロケットが突然制御不能に陥りました。操縦者の牧村が自殺したためでした。残りの4名はそれぞれ個室カプセルに入り宇宙を漂うこととなりましたが、もう一個のカプセルが後をつけてきます。どうやら牧村が乗っている様子でした。
4人が個室カプセルに乗って脱出した後の前衛的で実験的なコマ割りが評判を呼びました。そしてファンの感想は悲劇的なラストに集中しました。女性パイロットナナと猿田が辿り着いた惑星内におけるグロテスクな描写も話題を集めました。
鳳凰編
「火の鳥 鳳凰編」はCOM1969年8月号から1970年9月号まで連載されました。時は奈良時代。誕生時に片目と片腕を失った我王はその体躯から疎ましがられやがて野盗となって強盗殺人を繰り返しながら生き延びていきます。一方仏師である大和の茜丸は国の命令で鳳凰の像を作るべく諸国を旅していました。ある日我王と茜丸は運命的な出会いを果たし、その後も二人は時代の波に飲まれながら自らの道を生きていきます。
輪廻転生を手塚治虫の圧倒的な筆致で描き切った名編として名高く、この「火の鳥 鳳凰編」をシリーズ中最高傑作に挙げる人が多いと言われています。野盗の我王がやがて悟りを開いていき、純真だった茜丸が俗物になっていく二人の主人公の対比が見事であるという感想を持つ人も大勢います。
復活編
「火の鳥 復活編」はCOM1970年10月号から1971年9月号まで連載されました。西暦2482年、エアカーの墜落事故により瀕死の重症を負ったレオナは最新の医学手術により無事回復しました。しかし、意識が戻って以来彼の目には人間が人工物に見え、人工物が自然なものに見えてしまっていました。レオナはある日ロボットチヒロを美しい女性と認識し、チヒロや会社の反発も構わずに愛を打ち明けるのでした。
このエピソードで火の鳥はフェニックスと呼ばれており、レオナの事故の原因となった他レオナとチヒロに深く関わっていきます。半分が人工物になってしまった人間とロボットの恋愛が発表当時は衝撃的だったと感想を持った人もいました。
羽衣編
「火の鳥 羽衣編」はCOM1971年10月号に掲載されました。三保の松原にまつわる天の羽衣の伝説を下敷きにした短編です。手塚治虫の意向で1980年に描き直されるまでは単行本未収録でした。この作品は構図・背景がずっと同じでまるで舞台をそのまま漫画にしたようだという感想が多いと言われています。
望郷編
「火の鳥 望郷編」は「マンガ少年」1976年9月号から1978年3月号まで連載されました。COMにも2回分連載されましたが、同誌の休刊に伴い掲載誌を改めて内容も一新して連載されました。未来編に登場したムーピーが物語の核となっていきます。
宇宙時代、自然が失われていく地球からの移住を決意したジョージとロミ夫妻は悪徳不動産屋から人間が生きられない星を預けられてしまいます。ジョージの努力で飲み水を確保することができましたが、代わりにジョージは亡くなりました。宇宙に独り取り残されたロミは自分のお腹に宿った命を絶やさない為にある行動に出ます。
乱世編
「火の鳥 乱世編」はマンガ少年1978年4月号から1980年7月号まで連載されました。乱世編もCOMに第1話が掲載されましたが、再度の休刊のためにマンガ少年にて設定を一新しての連載となりました。
西暦1172年、平安時代末期の日本が舞台です。時の権力者である平清盛は一族の反映のために火焔鳥(火の鳥)の生き血を欲していました。そこに山奥に住む弁太とおぶうの若いカップルが関わっていき、二人とも乱世の世の中で翻弄されて生きていきます。
生命編
「火の鳥 生命編」はマンガ少年に1980年8月号から同年12月号まで連載されました。西暦2155年、視聴率至上主義のTVプロデューサー青居が新たな視聴率を稼ぐコンテンツとしてクローン人間を使った殺人番組を企画します。青居はクローン技術を入手する為にペルーへ向かいますが、そこで彼はクローン技術を会得した鳥の顔をした女の逆鱗に触れてしまい、手痛いしっぺ返しを食らうこととなります。
異形編
「火の鳥 異形編」はマンガ少年1981年1月号から同年4月号まで連載されました。戦国の室町時代が舞台となっています。武将である父親に男として暴力を受けながら育てられた姫、左近介は重度の病気になった父を治そうとする尼僧、八百比丘尼を殺そうと深夜比丘尼の住む島へ向かい本懐を遂げました。しかし、左近介とお供の可平は島から脱出することができなくなってしまいました。
太陽編
「火の鳥 太陽編」についてはあらすじ・ラスト・感想をここで紹介していきます。結果的には火の鳥太陽編は手塚治虫が亡くなったことで火の鳥シリーズのラストとなり、未完の作品として語り継がれることになります。
少女クラブ版
「火の鳥」には少女クラブに連載されたバージョンも存在します。同誌1956年5月号から1957年12月号まで連載されました。「エジプト編」「ギリシャ編」「ローマ編」と3エピソードに分かれています。
エジプトの王子クラブと奴隷の少女ダイアはお互いに愛し合っていましたが、当時の国の制度に翻弄されてしまいます。2人は火の鳥の卵を救ったことで火の鳥から生き血をもらい不老不死となりました。卵から孵った火の鳥の娘チロルと2人はギリシャ時代からローマ時代へと関わっていきます。
火の鳥 太陽編の主な登場人物一覧
ここでは「火の鳥 太陽編」の登場人物を紹介します。過去と未来が激しく錯綜する物語の登場人物をそれぞれに分けて紹介します。
火の鳥太陽編で過去編の主人公ハリマです。百済国王の一族で白村江の戦いで敗れた際、唐軍に顔の皮を剥がされて狼の皮を被せられる拷問を受け、一命を取り留めて日本へと渡ってきました。日本では犬上宿禰と名乗り民を思う政策で国を治めています。同時に日本古来の精霊狗族と関わりを持ち長老の娘マリモと恋に落ちますが、激動の歴史がそれを許すことはありませんでした。
火の鳥太陽編の登場人物紹介の続きです。狗族長老の娘マリモは普段は狼の姿になって常に犬上の身の周りにおり、犬上を守っています。また、百済から犬上と一緒に日本へやって来たおばばも犬上の良き協力者であり、占いや医術を使って犬上を助けています。
火の鳥太陽編の登場人物紹介です。犬上はやがて壬申の乱に大海人皇子側として参戦することになりますが、同時に狗族と敵対する仏教の四天王とも戦うこととなります。火の鳥太陽編では仏教が元々日本にいた精霊を脅かす存在として描かれており、人間の宗教戦争と精霊の宗教戦争という二重構造になっており物語に広がりを与えているという感想を持つ人も多いと言われています。
火の鳥太陽編で未来の部の主人公が坂東スグルです。坂東スグルは21世の日本で地下に追いやられた人々が結成した反宗教組織シャドーの一員で、地上に住んでいる人々が祀っている火の鳥を盗み出す任務を受けて地上へとやって来ます。
地上でスグルが出会ったのが宗教組織光の一員小沼ヨドミです。当初は反目し合っていた二人でしたが次第にお互い気になる存在になっていきました。二人は海底収容所で再開し、殺し合いますがその後スグルがヨドミに愛の告白をしました。
火の鳥は過去と未来両方に登場しますが、完全に傍観者のスタイルを取っています。それは宗教戦争というのはどちらの側も正しいのでどちらかに肩入れすることはできないというスタンスだからです。そのせいかファンの目から見ると太陽編での火の鳥は若干浮いて見えると評する人もいます。
火の鳥 太陽編のあらすじをネタバレ解説!
ここでは火の鳥太陽編のあらすじをネタバレ解説していきます。火の鳥シリーズラストとなった太陽編とはどのようなストーリーなのでしょうか?
白村江の戦い
西暦663年、白村江の戦いで日本軍と百済軍は唐軍に大敗を喫しました。百済国王の一族であるハリマは敗残の地で唐軍に生きたまま顔の皮を剥がされて代わりに狼の顔を被せられてしまいました。重体であったハリマは何とか息を吹き返しましたが、狼の顔を剥がすことは命取りになってしまうのでできませんでした。
おばばの救い
火の鳥太陽編のあらすじ紹介です。ハリマは生きる為に農家にニワトリを盗みに押し入ったりしていましたが、ある日虎と格闘して深手を負ってしまいました。それを救ったのがおばばでした。おばばは薬草を独自の方法で調合してハリマの傷を治しました。そして占いに基づいて日本への渡航を計画します。その際、瀕死にあった日本軍の大将阿倍比羅夫を救い出し、そのことでハリマたちに運が向いてきました。
狗族・マリモとの出会い
日本に漂着してすぐハリマは狗族と出会いました。狗族長老の娘マリモが矢傷で死にそうになっているのを知ったハリマはおばばの薬草を見よう見真似で調合し、何とか治癒に成功しました。ここからハリマと狗族との間に信頼関係ができ、お互い助け合うようになっていきます。また、ハリマとマリモは愛し合うようになりますが、二人は仏教の神に命を狙われることとなったため表立って気持ちを表すことはできませんでした。
犬上宿禰権力と戦う
火の鳥太陽編のあらすじです。ハリマは犬上宿禰と名前を改めて阿倍比羅夫の後ろ盾を得て土地を治めるようになりました。慈悲深い犬上とおばばの医術で民からの評判も上々でした。ある日国の使いがやって来て仏教に帰依するようにと命ぜられましたが、犬上はこれを断り、狼の姿をしたマリモを射抜こうとした役人を殺めたことでのっぴきならない状況へと陥りました。
犬上は事態の打破へ向けて近江にいる大海人皇子に会いに行きました。無事に面会は叶いましたが、皇子は出家の意思を固めており、今は辛抱して事態の好転を待つべしと告げました。皇子は出家後次期天皇である大友皇子に犬上の命乞いをして吉野へと隠居しました。
犬上の負傷、そして光とシャドーの対決へ
火の鳥太陽編のあらすじ解説です。大海人皇子の実兄でありながらそりが合わなかった時の天皇、天智天皇が崩御され、犬上は大赦によって役人殺しの罪を赦されましたが、それを良しとしない仏教徒炎隆寺七人衆に襲われて深手を負ってしまいました。瀕死の状態の中で彼は夢を見ました。そこは未来の日本のようでそこでも二派に分かれての争いが行われていました。
光が信仰する宗教に従わなかった人間は地下街に押し込められていました。反対する組織はシャドーと名乗り光と争っていました。シャドーの一員坂東スグルは首領の命令で火の鳥を手に入れるために、光の幹部の妻である姉を通じて光本部に潜入成功しましたが、捕まってしまいました。地上に出る際、彼はヨドミと初めて会い、その時は戦ってスグルが勝利しました。
犬上の復活と近江との戦い
火の鳥太陽編のあらすじ紹介です。犬上はマリモの介護とおばばの治療で奇跡的に回復しました。しかし。落ち着いたのも束の間今度は犬上の里の若者を200名差し出すようにと近江からの命令が下りました。これを犬上が断ったことで犬上の里と近江との戦が勃発しました。
この戦には人間ばかりでなく狗族をはじめとする産土の精霊が犬上方、仏族が近江方について霊同士の争いも同時に行われていました。精霊の方が劣勢であり、このままだと全滅する危険を感じた犬上は自らが捕虜になって大友皇子に直接謁見することを図りました。
犬上の投降そして脱走
火の鳥太陽編のあらすじを紹介します。投降した犬上は近江へと連れて行かれました。大友皇子は犬上と謁見しますが、犬上の願いである仏教以外の信仰の自由は聞き届けられませんでした。次の日に処刑される予定の彼は牢を破って逃げ出します。その場に大海人皇子の娘で大友皇子の許嫁である十市媛がいましたが、彼女は犬上の逃亡を手伝い、大海人皇子がいる吉野へ行くようにと信書を託します。
過去と未来で始まった宗教戦争
「火の鳥 太陽編」のあらすじをネタバレ紹介します。海底収容所に連行されたスグルはヨドミとの戦いで彼女に致命傷を負わせました。しかし、彼女の傷は瞬く間に治りました。スグルはこれを利用して収容所内で叛乱を起こすことに成功してシャドーへと戻り、祀られていた火の鳥が偽者であったことを告げました。それを好機と判断した首領は光に対して決起する決意をしました。
火の鳥太陽編のあらすじ紹介です。一方過去の世界でも犬上が大海人皇子との接触に成功し、近江に対して弓を引く決意をしました。これが世に言う壬申の乱の始まりでした。犬上は火の鳥とも出会い、自分の生きる道を戦の終結に注ぐことを決めました。
火の鳥 太陽編のラストをネタバレ解説!
ここでは火の鳥太陽編のラストをネタバレで紹介します。火の鳥太陽編、過去の世界未来の世界それぞれでどのようなラストとなったのでしょうか?
壬申の乱の終結、そして犬上宿禰はどうなったか?
火の鳥太陽編のラスト解説です。まず過去の部ですが、壬申の乱は大海人皇子方の大勝利で幕を閉じました。犬上宿禰は戦場で大車輪の活躍を見せますが、鼻先を刀で斬られたことで狼の皮が削げ落ちて元の人間の顔が出てきました。彼は人間に戻れたのです。大海人皇子は天武天皇となりました。
人間に戻った犬上は宮仕えを辞めておばばとともに東へと旅立ちました。しかし、犬上が人間に戻ったことで狗族との繋がりが消えてしまいました。失意のマリモは犬上を想い続けると言いました。それに対し長老は何千年か後に犬上の生まれ変わりとまた出会うことがある。その時愛が芽生えればまた霊界に戻ってこれて狗族を栄えさせることができると予言しました。
光とシャドーの対決の行く末は?
火の鳥太陽編のラストをネタバレ解説します。未来の部のラストです。光とシャドーの戦争はスグルの大活躍もあってシャドーの大勝利に終わりました。シャドーの首領は新しい宗教を作って従わない者は罰するとの策を打ち出しました。スグルは戦闘中に顔が狼に変化してしまい、シャドーの基地に特攻をかけました。
一方で収容所の叛乱を煽動した罪と火の鳥の生き血を飲んだのではという疑念をかけられたヨドミは射殺された上火炎放射器で焼かれてしまいましたが、その灰から雌狼として復活しました。スグルは犬上の、ヨドミはマリモの生まれ変わりだったのです。二人は永い時を経て霊界の入り口で再会を果たしました。スグルとヨドミは火の鳥の導きで狗族の世界へと戻って行きました。
火の鳥 太陽編を見た人の感想は?
ここでは火の鳥太陽編を見た人の感想を主にTwitterから紹介します。Twitterを使っている方々は昭和の代表的な漫画にどのような感想を持っているのでしょうか?
火の鳥 太陽編を見た人の感想は?
火の鳥は太陽編が1番好きです。というかこの作品が私をケモナーに仕立てあげましたありがとう手塚先生
— からす@小狐丸と眠りたい⛩️🦊 (@x5catrine138x) October 7, 2018
火の鳥太陽編はけものフレンズに通じる部分があるという感想を持った方のツイートです。
で、なにかありそうだな、と思って、手始めに、手塚治虫の『火の鳥』を読んだらばっちりハマってしまいまして。まあ、そこまではいいとして、問題はあれです、最終編の「太陽編」。これに後に天武天皇となる大海人皇子という実在の人物が出てくるんですね。
— 小出遥子(こいではるこ) (@haruko_koide) October 7, 2018
天武天皇や大海人皇子といった実在の人物とフィクションの登場人物とを上手にブレンドして物語を作っているという感想です。
火の鳥太陽編マジでめちゃくちゃ最高〜〜主人公が強くてかっこよくて知らない人に優しい頭を狼にされた人間の男…なので読んでください おじさん頭を狼にされた人間の男大好き 何故って?火の鳥太陽編を読め
— いるかさん🐬 (@g_a_o_chan) October 4, 2018
火の鳥太陽編全体に流れている優しさに惹かれたという感想の方です。主人公が狼の顔をしているというところにも惹かれているのが見受けられます。
火の鳥 太陽編を是非ご覧あれ!
手塚治虫のライフワークである「火の鳥」そしてそのラスト作品となった「太陽編」は非常に感動を呼ぶ物語であると言われています。是非一度その壮大な世界観と手塚流大河ドラマをご覧ください。そして「火の鳥」を通して手塚治虫という稀有な漫画家の真髄に触れてみてください。