2018年10月15日公開
2018年10月15日更新
火の鳥 未来編をネタバレまとめ!衝撃のあらすじ・結末を紹介【手塚治虫】
「漫画の神様」手塚治虫のライフワークとして知られている作品が「火の鳥」です。「火の鳥」は2作目の「未来編」にして早くも物語が結末を迎えていることでも有名です。手塚治虫は壮大な大河ドラマである「火の鳥」にどのようなメッセージを込めたのでしょうか?そして「未来編」は何故衝撃的な結末なのでしょうか?ここでは「火の鳥 未来編」のあらすじから結末までネタバレ紹介します。「火の鳥」サーガの素晴らしさをお楽しみください。
目次
火の鳥 未来編のあらすじや結末が知りたい!
「漫画の神様」手塚治虫の代表作として知られている作品の一つに「火の鳥」があります。火の鳥は実に30年以上に渡り描き続けられたことによって手塚治虫のライフワークとまで呼ばれています。過去と未来の物語が交錯しながら現代へと近づくというそれまでの漫画では考えられなかったスタイルもあり、手塚大河ドラマの決定版と捉えているファンも多いです。
「火の鳥 未来編」は「火の鳥 黎明編」に続く2作目として発表されました。火の鳥が衝撃的な物語として有名なことは2作目の未来編にして早くも物語が結末を迎えていることです。さらにその内容も衝撃的であると言われています。ここでは火の鳥未来編のあらすじから結末までネタバレ紹介していきます。火の鳥という壮大なストーリーの魅力の一部について触れていきます。
火の鳥 未来編の作品紹介
「火の鳥 未来編」は「火の鳥」シリーズの2作目として手塚治虫自身が創刊した漫画雑誌「COM」の1967年12月号から1968年9月号まで掲載されました。3世紀の日本を舞台にした黎明編に続いての連載となりましたが時代が一気に3000年以上飛び、3404年の日本を中心とした世界が舞台となっています。その時間の大胆な飛躍が当時話題となりました。
火の鳥 未来編とはどんな物語か
「火の鳥 未来編」でさらに大きな話題となったのが衝撃的なストーリーです。特に結末の凄まじさは大きな話題となり、常人には思いつかない結末であるとまで評されました。ここまで壮大な物語は手塚治虫にしか描けないとも言われ、火の鳥が手塚のライフワークとなった礎とも言われています。
また、黎明編が火の鳥の生き血を巡っての争いを中心とした人間ドラマがストーリーの核であったのに対して、未来編は人類の行く末そのものが主題となっており、火の鳥がそこに絡む形を取っています。火の鳥は人類ばかりでなく生物、地球の行く末にまで関わっていてその正体が明らかになるのも未来編の大きな特徴であり魅力だと言われています。
火の鳥作者の手塚治虫について
ここでは火の鳥の原作者である手塚治虫について紹介します。手塚治虫は何故「漫画の神様」と呼ばれるようになったのでしょうか?手塚治虫のプロフィールと代表作を挙げることで人間手塚治虫の魅力に迫っていきます。
手塚治虫プロフィール
手塚治虫は1928年大阪に生まれ、兵庫県宝塚市で幼少時を過ごしました。今年生誕90周年を迎えています。大阪帝国大学付属医学専門部在学中の1946年に「マアチャンの日記帳」で漫画家デビューを果たしました。その後医師免許も取得したのはよく知られています。1947年に発表した単行本「新宝島」が大ヒットを記録し、漫画家としての地位を確立しました。
代表作は「火の鳥」の他に「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「どろろ」「ブラック・ジャック」「陽だまりの樹」「アドルフに告ぐ」などです。少年誌、少女誌、青年誌で生涯を通して作品をヒットさせ続け「漫画の神様」と呼ばれるようになりました。1989年に胃がんが原因で惜しまれつつこの世を去りました。
手塚治虫代表作紹介
ここでは手塚治虫の代表作をいくつか紹介していきます。「漫画の神様」が対象年齢、性別、ジャンルを問わず如何に多くの傑作を遺していったのかをご覧ください。
初期の代表作として名高いのが「メトロポリス」です。1948年に単行本として発表され1948年の「ロストワールド」1951年発表の「来るべき世界」と合わせて「初期SF三部作」と呼ばれてファンの間では親しまれています。この作品に登場する人造人間ミッチィをアトムのプロトタイプと見る人もいます。発表の53年後である2001年にアニメ映画化されたことも話題になりました。
手塚治虫の代表作として名高いのが「ジャングル大帝」です。1950年から1954年まで漫画少年に連載されました。この作品の大ヒットを受けて手塚は連載形式の執筆活動へとシフトチェンジしていきました。何度もテレビや映画でアニメ化されたことと主人公のレオがプロ野球団の西武ライオンズのマスコットキャラクターになっていることで世代を超えた知名度を持っていると言われています。
「鉄腕アトム」は「少年」に前進の「アトム大使」を入れると1951年から1968年まで連載されました。国産初のテレビアニメ作品でありその後もアニメ化されたことで世代を超えた知名度を誇っています。また、ウランやお茶の水博士といった脇役キャラクターも人気があり、ライバルロボットだったプルートゥが登場した「地上最大のロボット」は浦沢直樹の手で2003年に「PLUTO」としてリメイクされました。
手塚治虫は優れた少女漫画家でもありました。その代表格と言われているのが「リボンの騎士」です。1951年に「少女クラブ」に連載され、続編とリメイク版がそれぞれ1958年と1963年に「なかよし」に連載されました。宝塚ファンであった手塚の趣味嗜好が押し出された作品と評されており、美しいコスチュームプレイが見所であるとも言われています。1967年にはテレビアニメ化されました。
「どろろ」は1967年に「週刊少年サンデー」に連載され、アニメ化に伴い第二部が1969年に「冒険王」に連載されました。水木しげるの妖怪ものや楳図かずおの恐怖ものに影響を受けたと言われておりおどろおどろしい描写が魅力です。百鬼丸とどろろの関係がブラック・ジャックとピノコの関係に通じると論じているマニアもいます。2007年に実写化され、来年2019年にはアニメ映画化されることで話題です。
1970年代の手塚治虫を代表する作品が「ブラック・ジャック」です。1973年から1978年まで「週刊少年チャンピオン」に連載され、その後も同誌に不定期掲載されました。は一匹狼の無免許外科医を主役とした一話完結による人間ドラマがジワジワとファンの心を掴み、アニメ化・実写化・舞台化と様々なメディアに取り上げられたことで手塚治虫の代表作中の代表作となったと言われています。
「ブラック・ジャック」とほぼ同時期に発表されて人気を博したのが「三つ目がとおる」です。1974年から1978年まで「週刊少年マガジン」に連載されました。週刊連載を同時に2本も持ち、そのいずれもが大ヒットしたことに驚いた人も多いと言われています。「三つ目がとおる」は短編と中編を上手に絡めた連載スタイルでした。当時のオカルトブームを取り入れた野心作としても有名です。1990年にテレビアニメ化されました。
手塚治虫は青年誌でも多くのヒット作を生み出しています。「きりひと賛歌」は1970年から1971年まで「ビッグコミック」に連載されました。原因がわからない不治の病を研究し、その病に罹患してしまった青年医師を主人公に医学会の権力闘争もドラマに盛り込まれており、手塚版「白い巨塔」であるとの評価もなされています。また本作はファンの間では「ブラック・ジャック」のプロトタイプとしても有名です。
「陽だまりの樹」は1981年から1986年まで「ビッグコミック」に連載されました。幕末を舞台にした手塚流青春群像劇として有名で、架空のキャラクターと実在の人物を巧みに絡めたドラマ作りが人気となり後にアニメ化・テレビドラマ化されました。主人公の一人手塚良庵は手塚治虫の曽祖父であり、手塚自身のルーツを描いた物語としてもよく知られています。
手塚治虫晩年の代表作として名高いのが「アドルフに告ぐ」です。1983年から1985年まで「週刊文春」に連載されました。週刊文春に漫画が長期連載されたことは極めて異例です。第二次世界大戦前、戦中、戦後の日本、戦中のドイツ、戦後のイスラエルを舞台に展開される手塚大河ドラマは単行本発表当時にベストセラーとなりました。ラジオドラマ化・舞台化されています。
火の鳥シリーズは時系列で紹介
ここでは「火の鳥」サーガがどのようなものであるのかを発表順ではなく、時系列に沿って一部あらすじをネタバレも交えて紹介します。火の鳥はどのような結末を迎えるのでしょうか?「火の鳥」という大河ドラマの壮大さをお楽しみください。
全部で12の編に分かれている
「火の鳥」サーガは全部で12編あります。ある時は地球を、ある時は宇宙を舞台に過去と未来が激しく交錯する物語世界は圧巻の一語に尽きるとの評価を得ているのです。それぞれの編を時系列に一部あらすじとネタバレを含みながら紹介していきます。
火の鳥 黎明編
第1作目は「黎明編」です。1954年に「漫画少年」に連載された未完の物語をリライトして1967年から1968年まで「COM」に連載されました。3世紀の日本を舞台にして飲むと永遠の生命を得られると言われる火の鳥の生き血を巡った熊襲とヤマタイ国との争いを軸に展開される壮大な人間ドラマであり、火の鳥サーガのプロローグに相応しい内容であると高評価されています。
一部あらすじをネタバレ紹介します。熊襲国の少年ナギは村をヤマタイ国に滅ぼされ、ヤマタイ国の奴隷となりますが、猿田彦に見出され狩部として火の鳥を撃つための訓練を受けます。しかし、復讐の心は消えておらず女王ヒミコ暗殺を企てますが、失敗し責任を取らされ拷問を受けた猿田彦を助け出し、火の鳥を捕らえる旅へと出ます。猿田彦はこの後も子孫が重要人物として続編に登場します。
火の鳥 ヤマト編
時系列でいきますと次は「火の鳥 ヤマト編」になります。1968年から1969年まで「COM」に連載されました。一部あらすじをネタバレ紹介します。ヤマト編の舞台は4世紀頃、古墳時代の日本のヤマト国とクマソ国です。ヤマト国はクマソ国がクマソ側から見た日本の歴史書を編纂していることを聞きつけて、征伐隊を派遣します。征伐隊の隊長はヤマト大王の末息子ヤマト・オグナでした。
ヤマト・オグナの討伐隊は隊とはいってもわずか3人でした。しかし、オグナは勇敢にもクマソ国へ乗り込み、武力ではなく話し合いでクマソ国王川上タケルに近付きます。タケルもオグナを歓待し、両者の間には奇妙な信頼関係が生まれます。オグナには真の目的がありました。火の鳥の生き血を手に入れて大王の墓の人柱になる2000人の人たちに飲ませて脱出させることです。
オグナはタケルの妹カジカと恋に落ちました。しかし、ヤマトに戻って自分の本懐を果たすためにタケルを殺し、ヤマトへと戻りました。その際火の鳥の生き血も手に入れました。兄を失ったカジカはオグナを追ってヤマト国へと向かいました。オグナはヤマトタケルと名前を改めて大王の墓の建設大臣に任命されます。そこにはオグナが命を賭して行う人生の道がありました。墓を作らず別の物を作り無益な殺生をする父に反抗したのです。
火の鳥 鳳凰編
「火の鳥 鳳凰編」は1969年から1970年まで「COM」に連載されました。一部あらすじをネタバレ紹介します。舞台は奈良時代の日本です。生まれた時に不幸な事故に遭い隻腕・隻眼となってしまい、それが元で迫害され続けその鬱憤が爆発して村中の人間を皆殺しにして盗賊となった我王と仏師で国から火の鳥の彫像を作成するよう命ぜられ、旅の途中で我王に右腕の筋を切られた大和の茜丸の二人が主人公です。
火の鳥は我王と茜丸双方と絡み、二人に輪廻転生を説きます。やがて我王は良弁僧正の弟子となり、激しい葛藤の末に悟りを切り開き、辛い暮らしを強いられている民衆のために仏像を彫り続ける乞食僧となります。一方茜丸は吉備真備や橘諸兄をパトロンにして奈良の大仏建立の責任者となりますが次第に俗物へと塗れていきました。
我王と茜丸は大仏殿の鬼瓦を作成するコンテストに呼ばれて再会を果たします。我王はそれまで生きてきた道で経験してきた怨念や呪いの念を込めて一心不乱に鬼瓦製作に打ち込みます。茜丸は逆に製作に迷いが生じ完成まで苦しみ悩みます。どちらの鬼瓦が選ばれたのでしょうか?物語は衝撃の結末を迎えることとなります。
火の鳥 羽衣編
「火の鳥 羽衣編」は1971年に「COM」に掲載されました。三保の松原に伝わる天の羽衣の伝説を基にして描かれた短編です。天女が火の鳥によって連れて来られた未来人であるという設定がSFを得意とする手塚治虫らしいと評価されています。また舞台を観ているかのような1つのアングルで描かれた構図も話題になりました。
火の鳥 乱世編
「火の鳥 乱世編」は「マンガ少年」に1978年から1980年まで連載されました。一部あらすじをネタバレ紹介します。平安時代の日本が舞台となっています。時の権力者平清盛は自身の先が長くないことを悟り、平氏の永続的な反映を望み火焔鳥と呼ばれている火の鳥の生き血を手に入れようと躍起になりました。
平清盛の野望に翻弄されてしまうのが飯盛山に住む木こりの弁太とその恋人おぶうです。2人は弁太が偶然拾った藤原成親の櫛が原因で引き裂かれてしまいます。おぶうは平清盛の側女となり、弁太は戦災孤児組合に入り、鞍馬山のテング(我王)を通じて牛若丸、後の源義経の家来となります。弁太は後の武蔵坊弁慶です。
源平の戦は熾烈を極めていきます。弁太は源氏方、おぶうは平家方として戦に巻き込まれていきます。2人は長い時を経て壇ノ浦の合戦で再会を果たしますが、そこには悲劇が待っていました。そして源氏の世となった時、今度は義経が兄頼朝と争うこととなり、弁太も嫌々ながらかつて過ごしたことのある平泉へと逃げ延びます。
火の鳥 異形編
「火の鳥 異形編」は1981年に「マンガ少年」に連載されました。あらすじをネタバレ解説します。応仁の乱の時代の日本が舞台です。冷酷で無慈悲な武将八木家正の娘である左近介は姫であるにも拘らず男として厳しく育てられました。父は左近介の障害になりそうなものは全て排除し、左近介と恋仲になった一番家老の息子も戦場に置き去りにして見殺しにしました。左近介は父を恨み殺害を企てます。
そんな中家正が重度の鼻のがんに倒れました。彼の病気を治そうとする尼僧、八百比丘尼を殺害する為左近介は深夜比丘尼が住む島を訪れ、比丘尼殺害に成功します。しかし、その後左近介と家来可平は島に閉じ込められてしまい出られなくなってしまいました。脱出するべく苦悩する2人の下へ比丘尼の功徳を得ようと沢山の村人が訪れてきました。左近介は比丘尼になりすまして場を逃れようとしますが…
火の鳥 太陽編
「火の鳥 太陽編」は1986年から1988年まで「野生時代」に連載されました。執筆順でいくと火の鳥サーガのラストとなったことで知られています。また、それまでの編と違い過去と未来が激しく交錯する物語世界が話題を呼びました。一部あらすじをネタバレ紹介します。6世紀の日本、百済国王の生き残りハリマは敗残の拷問として顔の皮を剥がされ狼の皮を被せられますが日本へと逃げ延び、犬上宿禰として犬上の里を治めます。
一方、21世紀の日本では宗教的な対立で地上で暮らす光と地下に追いやられたシャドーの2勢力が争っていました。シャドーの工作員である坂東スグルは首領の特命を受けて光の神殿へ忍び込み、祀ってある火の鳥を奪いに地上へと向かいました。犬上もスグルも時の宗教戦争に関わり、生きる目的を見出していきます。
火の鳥 生命編
「火の鳥 生命編」は1980年に「マンガ少年」に連載されました。あらすじをネタバレ紹介します。2155年の日本とペルーが舞台です。視聴率至上主義のテレビプロデューサー青居は視聴率を稼ぐ新しいコンテンツとしてクローン人間を使った殺人番組を企画します。青居はクローン人間を作る技術を手に入れる為にペルーへと向かいます。
そこで彼はクローン技術の全てを持つ鳥の顔をした女に出会います。彼女はケチュア人の父と火の鳥との間に生まれた女でした。青居は彼女の逆鱗に触れてしまい自分のクローン人間を数十人も作られてしまいました。青居はクローン人間に交じって殺人番組の標的にされてしまいますが、ジュネという少女と逃亡に成功し、十数年が経ちました…
火の鳥 望郷編
「火の鳥 望郷編」は1976年から1978年まで「マンガ少年」に連載されました。未来編に登場するムーピーが重要な役割を果たすことで知られています。一部あらすじをネタバレ紹介します。宇宙時代に自然が失われていく地球に絶望したジョージとロミ夫妻は宇宙へと移住しましたが、悪徳不動産屋に騙され人が住めない星へとやって来ました。
ジョージの努力で飲み水を掘り当てましたが、その時の事故でジョージは亡くなりました。ロミには新しい命が宿っていました。ロミは息子を産みました。しかし、このままではこの星の人間は息子カインだけで絶えてしまいます。思い余ったロミは冷凍睡眠に入り、成長したカインと子供を作る方法を選択するのでした…
火の鳥 復活編
「火の鳥 復活編」は1970年から1971年まで「COM」に連載されました。未来編に登場するロビタが出てくることでも有名な編です。一部あらすじをネタバレ紹介します。舞台は西暦2482年、エアカーの事故で重体となったレオナは最新の外科手術で奇跡的な復活を遂げました。
しかし、意識が戻って以来レオナの目には人間が人工物に見え、人工物が美しく自然なものに見えるようになっていました。ある日彼はロボットチヒロを美しい女性と認識し、周囲の反対を押し切りチヒロに愛を伝えるのでした。
火の鳥 宇宙編
「火の鳥 宇宙編」は1969年「COM」に連載されました。西暦2577年の宇宙を舞台として、宇宙航海をしていたロケットが突如制御不能となってしまい、乗組員が各自脱出カプセルに乗って宇宙を漂うというストーリーです。「望郷編」の重要キャラクターである牧村が初登場したことで知られています。
また「宇宙編」はその結末があまりにも悲劇的なことで有名です。この結末を持って物語は「未来編」へと向かうことになるのですが、実際に執筆されたのは未来編の方が先なので、手塚治虫の複線の張り方、ストーリーテリングが見事であると評されています。
火の鳥 未来編の登場人物
ここでは「火の鳥 未来編」の登場人物を画像付きで紹介します。時間軸ではラストエピソードである未来編にはどんなキャラクターが出てくるのでしょうか?
主人公は山之辺マサトです。メガロポリスヤマトの二級宙士でしたが、ムーピーのタマミを愛したことで追われる身となってしまいます。逃亡時に火の鳥の導きで猿田博士の研究所へと身を寄せ、後に火の鳥によって不老不死となり生物の再誕生を見届ける役目を任ぜられます。
未来編でヒロイン的役割を果たすのはタマミです。不定形生物ムーピーが人間となった姿でマサトに人間的な思い遣りや温かみを与える精神的支柱のような存在であり、恋人のような存在でもあります。
マサトの上司であり、冷酷非情な人物がロックです。メガロポリスヤマトを司る人工頭脳ハレルヤを盲目的に信じ奴隷のように働いていましたが、戦争が勃発した際に逃げ出して偶然猿田博士の研究所へとやって来てマサトと再会します。
未来編の重要キャラクターである猿田博士です。世捨て人として地上のドーム型研究所にロビタと暮らしています。滅び行く地球の行く末を憂いて人工生命体を創り出す研究に没頭しています。黎明編の猿田彦の子孫であることは有名です。
猿田博士の助手を務めるロボットがロビタです。先述したように復活編にも登場し、そこでは誕生の経緯が描かれています。非常に高性能ですが人工頭脳に合致しないことがあると人間に対して口答えもする人間くさいロボットです。その理由は誕生の経緯にありました。
火の鳥です。黎明編では生き血を狙われ追われる立場でしたが、未来編では積極的に人類の存亡に関わりを見せ、その使命をマサトに託します。ネタバレになりますが未来編で初めて火の鳥の正体が宇宙生命(コスモゾーン)であることが明かされています。
火の鳥 未来編のあらすじネタバレ
ここでは「火の鳥 未来編」のあらすじをネタバレで紹介していきます。衝撃的なストーリーであると評判の未来編はどのような物語なのでしょうか?
人間社会の衰退とマサトの逃亡
未来編のあらすじをネタバレ紹介します。西暦3404年人類の文明は衰退の一途を辿っていました。人々は地下都市メガロポリスに住み重要事項は人工頭脳に委ねていました。メガロポリスヤマトの二級宙士マサトは法律で禁止されているムーピーの保護を行っていました。上司のロックにムーピータマミを殺すように命ぜられますが、彼はそれに背いて地上へと脱走します。
メガロポリスヤマトとメガロポリスレングードが戦争状態に!
マサトとタマミは火の鳥の導きで猿田博士のドームへと身を寄せます。そのことを知らないロックは2人がメガロポリスレングードへ亡命したと思いました。しかし、そのことで2台の人工頭脳は争いを起こしてしまい、最終的に戦争を起こすという結論に達してしまいました。ロックはヤマトを捨て地上に出て来ました。偶然見つけた猿田博士のドームへ入るとそこにはマサトがいました。
世界大戦の勃発と生物の滅亡
火の鳥未来編のあらすじをネタバレ紹介します。メガロポリスヤマトとレングードの戦争が開戦すると双方とも超水爆を爆発させました。同時に残りの3つのメガロポリスからも大爆発が起こりました。5つのメガロポリスが一瞬にして大爆発を起こしてあらゆる生物の生命を奪ってしまったのでした。
核爆発の勢いは地上にもやって来ました。猿田博士のドームが大地震によって倒壊してしまったのです。猿田博士もロックも放射能の渦に飲まれて死んでしまいました。地球上には火の鳥によって死なない身体にされたマサトしか生き残った生命はいなくなってしまったのです。
マサトの苦悩、そして決意
地球上にただ独り生き残ったマサトは何度も拳銃自殺を試みますが死ねません。いたたまれなくなったマサトはタマミ型のロボットを作ったり、猿田博士が残した研究成果を用いて人工生命を作りましたがいずれも失敗に終わりました。その行動は火の鳥から託された使命よりも何千年も何万年も一人ぼっちでいることの寂しさからくるものでした。
やがてマサトは自分の使命が生命の進化を自然の成り行きに任せてもう一度やり直すことだと悟り、海に炭素と水素の混ざり物を流します。彼の肉体は風化して消えましたが、意識は残っていました。彼は造物主と呼ばれる存在になったのです。
火の鳥 未来編の結末について
ここでは火の鳥未来編の結末をネタバレ紹介します。衝撃の結末であるとよく言われている未来編ですが、果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか?画像を交えてご覧ください。
歪まれた歴史、知的生命体ナメクジの誕生
結末紹介です。マサトはコアセルベートが原始生命となり、新たな生命の誕生を目の当たりにしていました。動植物の誕生、魚類、昆虫類の誕生、そして恐竜時代を経たところで進化の過程に変化が生じました。ナメクジが恐竜を滅ぼしてしまったのです。哺乳類が生まれない世界になってしまったのです。知能を持ち直立で歩くナメクジが誕生したためマサトはやむなくそれらをアダムとイブと名付けて見守りました。
火の鳥未来編の結末紹介です。ナメクジは人間のような進化を見せました。やがて2つの種族となりましたが仲がとても悪く戦争状態となってしまい、どちらの種族も滅亡してしまいました。生き残りやがて死んだ最後の一匹は「なぜ私たちの先祖はかしこくなろうと思ったのでしょうな…もとのままの下等生物でいればもっと楽に生きられ死ねたろうに…」と悔恨の言葉をマサトに伝えました。
歴史は繰り返す
マサトはさらに数億年もの時を見つめ続けました。ついに哺乳類が誕生しました。哺乳類は順調にサルへと猿人へと進化を続けて、ようやく人類の誕生を見たのです。長い間待ち望んだ人類の誕生でしたが、以前の人類とあまり変わらない様子にマサトはがっかりしていました。
そこに火の鳥が現れます。マサトの前に姿を現したのは実に30億年ぶりのことでした。火の鳥はマサトに自分が宇宙生命(コスモゾーン)であることを告げ、マサトも自分の一部になるように促します。火の鳥の一部となったマサトはそこでタマミと再会しました。マサトを取り込んだ火の鳥は「今度の人類こそきっとどこかで間違いに気がついて生命を正しく使ってくれるようになるだろう」と思いながら人類を地球を見守っていきます。
火の鳥 未来編を観た感想は?
ここでは火の鳥未来編を見た人の感想を紹介します。実に51年前の作品ですが、21世紀に生きる方々はどのような感想を抱いたでしょうか?
火の鳥は実に性格だけ人間的に読み取るとクソ野郎なんですが、黎明編の火山や鳳凰編の山々、近未来シリーズの悲鳴をあげる大地など見てるとどうもアニミズム的な「天災を含む自然」な気がして、そこを意識すると当たり前な感じもしてくるんですよね。人間の尺度で図るとまさにクソ鳥なんだけど(復唱)
— 卯龍@お仕事依頼はDMで (@DoburokuUron) October 14, 2018
火の鳥が自然そのものであるという感想を持たれた方です。それ故に火の鳥は人間から見ると性格が悪いと感じているようです。
AIを人間のために仕事に使う
— 私獅虎聿郎 (@sstoraichiro) October 10, 2018
ということと
AIに人類のゆくえを預ける
ということは全く別なので。
手塚治虫先生の『火の鳥未来編』を読んだ方はよく分かっていると思います。よく分からなかった方は読み返した方が賢明。あるいは知らないという方は読んでおいた方がよい。ぼくは何度も読みました。
人工頭脳に政治やその他の決まりごと一切を任せてしまった未来編の人類とAIをこれから活用せんとする実際の人類とを重ね合わせた方の感想です。未来編の方へ舵を切らないとも限らない危険性を感じているようです。
火の鳥 未来編のあらすじ結末まとめ
「火の鳥」の実質的最終回である未来編は未来から再び黎明編へとループする何十億年もの地球の動きを描いた壮大で衝撃的な物語です。ファンの方はもちろん、これから手塚治虫作品を読もうとされている方も是非ご一読ください。そして手塚治虫のメッセージに触れてください。