【シティーハンター】最終回のあらすじをネタバレ！漫画とアニメで結末の違いは？

シティーハンターは北条司さんが描く東京・新宿を舞台に殺し・ボディーガード・探偵等を請け負うスイーパー冴羽獠を主人公とした漫画です。

シティーハンターは前作キャッツアイに続く2作目として1985年に連載を開始した漫画です。基本的には「シティーハンター冴羽獠が美人の依頼人からの仕事をこなす」という基本構成のいわゆるオムニバス形式の物語になっています。ジャンプ黄金期を支える人気を誇る作品でしたが1991年にその連載を終了しています。

元々雑誌よりも単行本で人気を集めていた作品という事、連載終了後もアニメ、小説、映画等メディアミックス展開が頻繁に行われた作品でもあった事からジャンプコミックス全35巻となる単行本は累計発行部数5000万部を突破した作品となっています。またその人気の高さもあって文庫本や完全版も発売するなど単行本でも様々な形式で読む事ができるようになっています。

シティーハンターのアニメは1987年からシリーズとして4回、テレビスペシャルとして3回、映画として4回アニメ化されています。原作となる漫画がオムニバス形式である事からアニメ専用のオリジナルエピソードも多数制作されシリーズ全140話中75話がオリジナルエピソードになっています。また準レギュラーと言われるキャラクターの登場回数が増えるなど原作から変更を加えている点も多いです。

アニメ、映画の多くは原作漫画連載期間中に放送、公開された作品ですが、テレビスペシャルは連載終了後の作品で現在まで続くシティーハンターシリーズの人気の継続の1つのきっかけとなっています。

最終回では冴羽獠のライバル的な立ち位置の準レギュラーで喫茶キャッツアイを切り盛りしていた海坊主こと伊集院隼人とその相棒である美樹との教会での結婚式を主軸にしたあらすじが展開されます。美樹からの猛アタックから逃げ回っていた海坊主もついに覚悟を決めたのです。

最終回でターゲットとなったのは槇村香です。海坊主と美樹の結婚式に武装集団が現れ香を誘拐してしまったのです。結婚式は中断し、冴羽獠と海坊主は協力して武装集団を追跡します。

なんとか武装集団のボスとのやりとりまでこぎつけた冴羽獠でしたがそこで銃を捨てるように求められます。そして冴羽獠は実際に銃を捨て「自己犠牲愛」だとするボスに対し「愛する者は助けるし、愛する者を悲しませない為に自分も何が何でも生き残る」と言うのでした。

結果として冴羽獠は槇村香を救出する事に成功させました。最終回でもしっかり槇村香の100tハンマー（文字は話数にあやかり336t）などの天誅も描きながら最後は冴羽獠の「シティーハンターってのはな！おれたちふたりのコンビのことを言うんだぜ」というセリフと共に槇村香とのツーショットを描く形で結末を迎えています。

最終回に象徴されるように、シティーハンターの魅力になっているのが冴羽獠と槇村香の関係性にあります。

上記でも紹介した冴羽獠の愛情表現の方法など最終回にはそれまでイメージを集約した形になっています。とはいっても最後には結婚とまで至ってこそいないものの、お互いがお互いを愛している事を確認した上で終わっています。実質的な続編であるエンジェルハートの設定から考察するに結婚を描かなかったのは冴羽獠に戸籍が無いという設定があったからではないかと言われています。

そもそも依頼人の女性は必ず口説き状況によっては夜這いもかけるような女好きである冴羽獠が槇村香に対してそれまでアプローチをしなかったのは元相棒である槇村秀幸の存在が大きいです。元々冴羽獠は仕事の最中に亡くなってしまった槇村秀幸の義妹であり、引き取った後も妹のような存在として見ていたのです。それが徐々に相棒として認めるようになりやがて特別な感情を抱くようになりました。

この漫画版の最終回ですが週刊少年ジャンプ掲載時から単行本になる際に実に30ページの加筆、さらに掲載されたページも大幅な修正が加えられた上で発売されました。ただ加筆にも当然限界はある為、それまでに残していた伏線などは回収されないままになっているものもあります。

アニメにオリジナルエピソードが多いシティーハンターですがアニメの最終回はそもそも原作の最終回に至るまでの物語が展開されていない事もあってアニメシリーズとしては最終である「シティーハンター91」ではドイツからやってきたゲストキャラ、ハンス・ディークフリードが義兄槇村秀幸の墓参りに来ていた槇村香と出会う事から始まります。

ハンスは組織のボスを殺してしまい日本に逃亡してきた事を知る冴羽獠と槇村香。さらにはハンスは病に侵され余命が3ヶ月しかない事も知ります。槇村香はハンスに病院に行くことを勧めますが、ハンスは病院に行く条件として冴羽獠との銃の勝負を提案します。

銃の勝負にはハンスが勝った時の条件として槇村香とのデートを取り付けますが結果として冴羽獠が勝利。しかし冴羽獠の計らいで結局槇村香とデートする事になります。ハンスの母は日本に澄んでいた事があり思い入れがあるというハンスと共に日本の観光地で一日デートをした槇村香はデートの終わりに病気を直して自分たちと一緒に住もうと約束させます。

デートが終わり冴羽獠が待つ自宅に買える2人でしたが自宅前でハンスの組織によって槇村香が誘拐されてしまいます。ハンスは誘拐に気づいた冴羽獠と共に槇村香の救出に向かいます。尚その時ハンスは万が一の時の為にも冴羽獠にペンダントを預けています。

狼狽えた様子の槇村香を落ち着かせた冴羽獠、ハンスの協力もあって無事に槇村香を助け出す事に成功します。しかしハンスは病気の進行もあって倒れてしまい狙い撃ちされる形で組織の人間によって殺されてしまいます。アニメの最終回は2人が揃ってハンスの事を想う形で結末を迎えています。

最終回のゲストキャラとして登場したハンスですが、彼はシティーハンターにおいてかなり珍しい存在です。シティーハンターでは依頼人は美女である事がお決まりで仮にそうでない場合であっても準レギュラー陣の女性の登場や敵に美女が居たりと何らかの形で美女が登場します。しかしハンスゲストのこの最終回は敵として登場するハンスの組織の人間も含めて美女が登場しない回となっています。

ただ本人こそ登場していないもののハンスが冴羽獠に預けたペンダントには美女の写真が入っては居ます。それはハンスと槇村香をかけ合わせたような母親の写真です。

このようにシティーハンターの漫画とアニメではその最終回の展開やシチュエーションに大きな違いがあるわけですが全く共通点がないかと言われるとそんな事はありません。いずれもシチュエーションや相手こそ全く違いますが槇村香が誘拐される点とその誘拐によって冴羽獠と槇村香がお互いの想いを認識するという点では共通しているのです。

ただ裏を返せば「認識する」止まりになっているとも言えます。漫画でもアニメでもそれ以上の関係に発展した様子が描かれる事はありませんでした。

シティーハンターの連載終了から10年後、連載終了後も続く人気、作者である北条司さんの「やりきっていない感」から出版社を集英社から新潮社に移して連載されたのがエンジェル・ハートです。連載終了から10年が経過している事から作中の時間も10年が経過し冴羽獠など主要な登場人物も加齢させる形で登場しています。

エンジェル・ハートは連載雑誌の休刊という不運に見舞われるものの雑誌を移籍する形でさらにエンジェル・ハート2ndシーズンと改題して連載を継続。2017年に完結しています。

その系譜からしばしばエンジェル・ハートはシティーハンターの続編のような扱いを受けますが正確にはシティーハンターのパラレルワールドを描いた作品です。その為、各種設定などは引き継いだ物から改変されたものまで存在しています。エンジェル・ハート連載前に執筆していた北条司さんの前作「F.COMPO」と同じく家族愛をテーマにした作品になっています。

また作者の北条司さんは再び冴羽獠を主人公に書きたいという欲と今度は槇村香を主人公に書きたいという欲に駆られた結果、槇村香の心臓を持つ香瑩（シャンイン）を主人公に、冴羽獠を義父として登場させるなどしています。シティーハンターの人気もあってヒットした結果、アニメ化もされ前半に香瑩が暗殺者になるまでのオリジナルエピソードなども加えながら基本的には原作準拠で制作されています。

準レギュラーにして漫画版最終回でも活躍した海坊主こと伊集院隼人を主人公に据えた公式スピンオフ作品が「伊集院隼人氏の平穏ならぬ日常」です。ウェブコミックサイト「コミックタタン」にてえすとえむさんによって連載が開始されました。2019年5月10話までが公開されており現在単行本も1冊発売され、2巻の発売も決定しています。

本作の主人公は海坊主こと伊集院隼人です。彼が美樹と共に経営する喫茶キャッツアイに訪れる依頼人の悩み相談に答えるのが基本構成で時間軸などは不明ですが海坊主が「入道雲のような大男」と言われ人気のない喫茶店だったはずの喫茶キャッツアイが「SNS映えする名物マスター」になっている事からある程度の時が経過しているものと思われます。

エンジェル・ハート2ndシーズンが連載された漫画雑誌「月刊コミックゼノン」にてエンジェル・ハートの連載終了と同時に連載が開始された公式パロディ漫画といえるのが錦ソラクさんの描く「今日からCITY　HUNTER」です。2019年5月現在も連載は継続しており単行本も3巻までが発売しています。

その内容はアラフォーの独身女性が何故か女子高生時代の姿に戻ってシティーハンターの世界に転生するという異世界トリップ漫画です。ちなみに転生したのはシティーハンター的には物語の中盤頃でちゃんと冴羽獠と槇村香も登場する作品になっています。

今尚高い人気を誇るシティーハンターですが、その最終回の結末を見ても分かるように物語としてはかなり中途半端な状態で終わりを迎えています。それがシティーハンターが打ち切りだと言われた最大の理由になっています。

またこの時期、シティーハンターが連載していた週刊少年ジャンプは後に「ジャンプ黄金期」と呼ばれる程の絶頂期だった事も影響しています。「ドラゴンボール」「ジョジョの奇妙な大冒険」「北斗の拳」など連載される多くの作品が「シティーハンター」に負けず劣らずの高い人気を誇る作品ばかりだった為、例え人気があっても不利な要素があれば打ち切りがありえるような状態になっていたのです。

元々シティーハンターは単行本は売れていたものの週刊少年ジャンプの誌面上での人気はあまり高くない作品でした。それは週刊少年ジャンプが主に小学生～中高生を対象としているのに対し主人公が大人の冴羽獠である事、初期のシティーハンターが特にハードボイルド色が強かった事が理由です。この時に担当編集者からのコメディ要素を取り入れるという提案を受ける事になります。

シティーハンターはアドバイスを受けて後に冴羽獠の性格が構成され人気漫画になっていったのです。しかしいくら人気漫画になったといってもシティーハンターがハードボイルドな作品である事には変わりがありません。そしてこのハードボイルドという点は週刊少年ジャンプにおいてはどうしても弱点になってしまったのです。

さらに連載終了直前当時ジャンプ編集部の混乱もあって突然4週間後に連載が終了される事を通告されたのです。そこから半ば無理やり話をまとめる必要が出た事から漫画シティーハンターは上記で紹介したような形のそれまでの伏線などを回収する事もなく冴羽獠と槇村香が最終的にどうなるのかも分からないままという悪い言い方をすれば中途半端な形での最終回になっています。

原作の突然の終了など不遇を味わったとも言えるシティーハンターですがその後も高い人気を持ち続けています。その結果2019年2月に最新作となる劇場版映画シティーハンター新宿プライベート・アイズが公開される事になりました。これ以前のアニメシティーハンターの最終作は1999年4月公開のアニメスペシャルで実に20年振りとなるシティーハンターアニメ作品として話題を集めました。

制作スタッフこそそれまでのシティーハンターシリーズに関わったわけではない人が大半であるものの、監督にはアニメシリーズからアニメスペシャル「シティーハンター　ザ・シークレット・サービス」まで長く監督を務めてきたこだま兼嗣監督が務めるなどしています。全てデジタル制作で行われた初めてのシティーハンター映像化作品でもあります。

この映画で大きなポイントとなったのがシティーハンター最盛期である1990年代に放送されたアニメの当時の声優をできる限りそのまま採用した点にあります。さらに原作者である北条司さんの提案によりシティーハンターの前作である「キャッツアイ」の来生三姉妹も出演する形で展開されました。

来生三姉妹のキャスティングもアニメキャッツアイ放送当時のキャスティングがされましたが泪役の藤田淑子さんは既に亡くなってしまっていた為、瞳役の戸田恵子さんが一人二役をする事で対応しました。

この映画シティーハンター新宿プライベート・アイズの公開に当たって先行公開された予告編では冴羽獠や槇村香はもちろん、海坊主や美樹などのシティーハンターでお馴染みのキャラクター、映画での依頼人となる進藤亜依を始めとするゲストキャラ、さらに目玉とも言えるキャッツアイの三人もしっかり登場して盛り上がる予告編に仕上がっています。

またそのBGMには4度のアニメシリーズ、アニメスペシャル全てでエンディング曲として流れたシティーハンターの代名詞的名曲「GetWild」をベースにしつつ、キャッツアイの来生三姉妹登場シーンだけはキャッツアイのテーマ曲といえる「CAT'S EYE」のサビ部分を流すなど非常に豪華な物になっています。また「GetWild」は映画の実際の主題歌としても使用されました。

ここからは既にシティーハンターを視聴した人の感想をネタバレありで紹介していきます。2019年に新作アニメ映画シティーハンター新宿プライベート・アイズが公開された事もあって現在確認できる感想の多くがこのシティーハンター新宿プライベート・アイズの内容に触れる感想が多いです。

シティーハンター新宿プライベート・アイズは元々シティーハンターシリーズ30周年を記念して企画された映画という事もあって新しくファンを獲得するよりも当時のファンに楽しんでもらおうという意図を強く感じられる映画になっています。あらすじや舞台などは現代に寄せていますがシティーハンターの核とも言える冴羽獠やその周囲のノリはまさにシティーハンターそのものといえる内容になっています。

ただその思い切りの良さもあって連載当時やアニメでシティーハンターを知った当時のファンからはもちろん、この映画で初めってシティーハンターを見たという人にも高い評価を受ける事になっています。

また公開期間が年号が平成から令和に変わるちょうど節目のタイミングだった事もありそれらの年号と絡めて新しく映画化してくれてよかったとする感想も多いです。既に最後にアニメ化されてから20年が経つ映画でしたがファンの多さを感じさせる感想も多くなっています。

連載時の年代的にどうしても数は少ないものの漫画シティーハンターの感想として多いのはやはり主人公である冴羽獠の魅力に触れる感想が多いです。元々シティーハンター自体が冴羽獠の三枚目な部分とかっこいい部分が大きな魅力のウェイトになっている作品だけにその魅力についての感想や「はじめて惚れた相手」として紹介する人もいるほどになっています。

シティーハンターは漫画とアニメで大きく最終回の展開やあらすじが違うと言われる作品の1つです。元々オムニバス形式という作風もあってアニメでも多くのオリジナルエピソードが作られていて原作で描いている部分に触れられていない部分も多く結果としてその最終回も完全にオリジナルエピソードとして完結しています。

ただそれぞれの最終回をネタバレしたようにその核といえる冴羽獠と槇村香の思いの確認という部分は共通しています。シティーハンターはそのオムニバス形式という特性もあって漫画とアニメでは違う楽しみ方ができる珍しい作品なのでもし一方しか読破、視聴していないのであれば異なる媒体で触れてみる事をおすすめします。

これまでシティーハンターシリーズに触れていないという人はその作風を存分に体感できる最新映画であるシティーハンター新宿プライベート・アイズを視聴しつつアニメか漫画どちらを見る、或いはどちらを先に見るのかを決めてみてはいかがでしょうか？