2019年04月26日公開
2019年04月26日更新
鳥山明の画力は最強!多くの漫画家に影響を与えた才能や海外での評価も考察
数多くの漫画家からその高い画力を認められ尊敬の念で語られるのが鳥山明先生です。ドラゴンボールやDrスランプアラレちゃんの作者として知られる鳥山明先生ですが、日本ではもちろん世界でも最も有名な漫画家として紹介された事がある程で、その影響力を支えているのが最強とさえ言われる天才的な画力です。今回は鳥山明先生の天才とさえ言われる画力を画像やエピソードを交えながら紹介していきます。
鳥山明とは?
鳥山明のプロフィール
出典: https://festy.jp
鳥山明先生は1978年に読み切り作品「ワンダーアイランド」を掲載して漫画家としてデビューしました。集英社との専属契約の元、多数の漫画を手がける一方でデザイナーとしても活躍、「ドラゴンエクストシリーズ」のキャラクターデザインを担当した事でも有名です。1980年代~1990年代のジャンプ全盛期と言われた時代を支えた1人として知られています。
鳥山明の代表漫画
鳥山明先生の名前を世界に知らしめるきっかけとなったのがDr.スランプあられちゃんとドラゴンボールの2つの漫画です。この2つの漫画はいずれも長期に渡って連載されただけでなく、どちらもアニメ化されフジテレビ系水曜日19時の枠を1981年から1999年の18年に渡って鳥山明先生の作品が放映され続けています。ちなみに代表作と言えるのはこの2作ですが鳥山明先生はこれ以外にも短編を中心に数多くの漫画を手がけています。
Dr.スランプ
Dr.スランプは1980年から連載を開始した鳥山明先生がブレイクするきっかけとなった作品です。ギャグ漫画でありながら圧倒的な人気を誇り翌年にはアニメ化が開始、アニメの影響も受けて5巻で当時ドラえもんが保有していた初版120万部という記録を更新して130万部を発行。さらにアニメも最高視聴率は36.9%と驚異的な数字を叩き出しました。
少女型アンドロイドの則巻アラレを主人公にした1話完結型の物語で1984年まで連載されました。連載終了以降もドラゴンボールに直接話に絡む形で登場するなどもしている作品で現在でもCMなどに起用される事がある有名作になっています。
ドラゴンボール
Drスランプの連載終了後に連載が開始されたのが今なおアニメシリーズで新シリーズが作られているドラゴンボールです。元々は西遊記の要素に格闘漫画のエッセンスを加えた冒険譚で当初こそ不人気でしたが天下一武道会が人気を博し、その後敵を戦う事に主軸を置いたシリアスな物語として人気を獲得しました。
鳥山明の画力は最強!凄さや魅力に迫る
画力の凄さ・魅力①連載絵なのに緻密
鳥山明先生の画力が最強と言われる所以と言われているのがその絵が週刊で連載されていると考えると驚きを隠せない程に緻密な書き込み量にあります。現在の漫画ではジャンプに載った時から実際に単行本になる際に加筆修正を加える事も珍しくありませんが戦闘描写が多いドラゴンボールにおいても基本的に加筆の必要がないレベルで雑誌に掲載されていました。
もちろんその緻密さを支える為にした工夫も存在しています。それがドラゴンボールの代名詞とも言える「超サイヤ人」です。超サイヤ人の設定は元々「髪を金髪にしたらベタ塗りしなくて済むから」という絵の都合から考えられた設定なのです。そういった工夫を物語に上手く絡めている辺りもまた鳥山明先生が天才的、最強だと言えるのではないでしょうか。
画力の凄さ・魅力②メカ描写
鳥山明先生の絵でも特にそのこだわりが分かりやすく見て取れるのがメカの描写です。元々モデルガンやプラモデルが好きな鳥山明先生はDrスランプやドラゴンボールの中でも多数のオリジナルのメカを登場。しかもしっかりと構造を考えた上で1枚絵として見ても圧倒的な書き込みのレベルを持っています。画像のようなメカはまさに真骨頂で、こういった細部の表現力こそが鳥山明先生の画力が最強と言われる所以です。
しかも鳥山明先生のすごい所はこういったメカを敢えて描く必要がない扉絵などにも積極的に掲載している所にもあります。作中で登場していないメカをわざわざ描くのは本当に好きだからだと言えます。
画力の凄さ・魅力③世界観
鳥山明先生にとってメカは本当に特別だと言える程の画力を垣間見る事が出来る部分ですが、もちろんそれ以外の世界観を構築をするものにも相当なこだわりを持っています。ドラゴンボールの世界は戦闘にばかり目が言ってしまいがちですがファンタジー要素も豊富に取り入れられており、恐竜や大自然なども登場しています。
これらの世界観は当然鳥山明先生の頭の中で構成されたものが表現されているわけですが、特に1枚絵で表現される絵などを見るとその雰囲気に圧倒されてしまう程、天才的なセンスとそれをその想像をそのまま絵に出来る最強の画力を発揮しています。
鳥山明の画力に関する漫画家からの評価
漫画家からの評価①手塚治虫
ちょっと上手すぎるよね。
彼はぼくの後継者。
「鉄腕アトム」「ブラックジャック」「火の鳥」などなど数多くの作品を手がけ、漫画の神様と言われる手塚治虫先生は鳥山明先生に対して以上のコメントを残しています。あの手塚治虫先生をして「後継者」と言わしめるというのは流石は鳥山明先生と言えます。
漫画家からの評価②尾田栄一郎
僕、ディズニーが大好きだったんですけど、
「ディズニーよりうめぇ!」って思いましたもん。
「ONE PIECE」の作者で知られる尾田栄一郎さんは鳥山明先生に大きく影響を受けた漫画家の1人としても知られています。あのディズニーと比較しても上を言ってしまうというのは最強の画力と言われるには十分な理由と言えるのではないでしょうか?尾田栄一郎先生はデビューする前に鳥山明先生と対面して以来、「ONE PIECE」の記念のタイミングなどでコラボ漫画を手がけるなど密接な関係を築いている1人でもあります。
漫画家からの評価③荒木飛呂彦
鳥山先生の絵は、漫画家からするとちょっとした発明のようなもの。
さらには「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる荒木飛呂彦さんもコメントを残しています。発明というとこれまでなかった物を生み出すという事ですからまさに絶賛しているコメントだと言えます。
漫画家からの評価④富樫義博
「嫉妬するほど上手い」
「幽☆遊☆白書」「ハンターハンター」などで知られる冨樫義博先生もシンプルながらも分かりやすいコメントを残しています。
漫画家からの評価⑤井上和彦
「鳥山先生の絵は漫画家からすると魅力的すぎるんですよね。マネしたくなる気持ちもわかります」
「SLAM DUNK」「バガボンド」で知られる井上和彦さんもこのようなコメントを残しています。漫画家から見ても鳥山明先生の画力が非常に高い事が分かります。
鳥山明の画力に関する海外での評価
鳥山明先生の凄い所はコメントを残しているのが日本の大御所と言える漫画家だけでなく海外にも及ぶという事です。海外の著名人にかそれぞれ鳥山明先生は以下のようなコメントが残されています。
・ジョージ・ルーカス「彼のイラストを見た時は驚いたよ。素晴らしい。本当に日本人が描いた絵なのかと思った」
・ジェームズ・キャメロン「鳥山明のファンなんだ。彼の絵を見るとワクワクするんだ」
・シド・ミード「鳥山のセンスは素晴らしい。世界中探してもこれだけのデフォルメセンスを持つイラストレーターはいない」
名前だけ見ると分かりにくいですがジョージ・ルーカスさんは「スター・ウォーズシリーズ」「インディ・ジョーンズシリーズ」の監督、ジェームス・キャメロンさんは「ターミネーターシリーズ」「アバター」の監督、シド・ミードさんは「スタートレック」「ブレードランナーシリーズ」の監督です。世界中で評価される映画を生み出す監督達が鳥山明先生を名指しで称賛しているのです。
鳥山明の画力が最強だとわかる画像集
出典: https://festy.jp
ここからは具体的に鳥山明先生の画像を見ながら天才と言われる所以を紹介していきます。最初の画像はドラゴンボールの漫画の一コマです。もちろん漫画の連載の絵なのでカラーというわけではありませんが、セルの抜け殻などの生気の無さなどはとても週刊連載の漫画の1コマとは思えない程のクオリティの高さになっています。繰り返しますがこれは漫画の1コマです。
何十ページと描かないといけない中でこれだけの絵が描けるのは鳥山明先生の天才さを現していると言えます。
出典: https://festy.jp
もちろんそのクオリティは1枚絵になるとさらに高くなります。上の画像は元々扉絵向けに描いた物を着色したものですが、悟空が着ている服のシワはもちろん、バイクの各パーツまでかなり細かく描かれています。この目の描写の細かさが鳥山明先生の真骨頂です。足で挟んでいるエンジン部分などを見るともっとデフォルメされていてもおかしくないのではと思ってしまう程に描き込まれています。
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上記の画像のイラストは背景がありませんでしたが、背景があるイラストでもそのクオリティは変わらないどころかより細部まで描き込まれています。もちろん機械の細部の細かさも健在です。部屋の中はもちろんですが窓の外の風景まで何かがあるのがわかるレベルで描き込まれていてこのイラストだけで多くの雰囲気を掴む事が出来るイラストになっています。
鳥山明先生の画力が最強なのは何も書き込み量故のものではなく全てはその裏に隠されたセンスにあります。そのセンスが全力で発揮されているのがドラゴンエクストのモンスターデザインです。上の画像は依頼する側であるスクエニの堀井雄二さんのイメージから実際に鳥山明先生が手がけたモンスターデザインの比較画像です。このシンプルながら分かりやすい形こそを作り出すセンスこそ鳥山明先生が天才と言われる所以でもあります。
鳥山明先生はドラゴンボールの連載終了までは全てアナログで漫画を描いていましたがドラゴンボールの連載終了後バンダイからMacをプレゼントされてデジタル画に移行しています。上記の画像は移行後に描いたデジタルのイラストですが衣装の装飾や後ろにいる機械の細部などデジタルがになっても鳥山明先生のセンスは光り続けています。
鳥山明の天才伝説エピソード
伝説①ドラゴンボール終了秘話
ドラゴンボールの漫画としての連載は魔人ブウ編が最後ですが実はもっと前に終わる予定だったという話は有名です。鳥山明先生自身はドラゴンボールは元々17巻、天下一武道会で連載を終了するつもりだったのです。しかし編集部から頼み込まれる形で連載を継続、以降の物語が展開されていく事になりました。その展開はセル編終了後にも行われていたりします。
結果魔人ブウ編まで描かれたドラゴンボールですが、その終了もジャンプ編集部だけでなく、メディアミックス展開を担ってきたバンダイ、フジテレビ、東映アニメーションらの上層部などが一同に介し各会社への影響を最小限に抑える配慮と下準備をした上で連載を終了するという終わり方をしたのです。これはまさしく前代未聞の出来事でした。
伝説②ドラゴンクエストシリーズ
鳥山明先生は漫画家としての顔の他にデザイナーとしてドラゴンエクストシリーズのモンスターデザインを担当しているのは上記でも紹介した通りですが、これを行い初めたのは1986年、つまりドラゴンボールの連載と平行して行っていたのです。それでいて上記の画像でも紹介したように自身のセンスを反映したデザインに大胆に変更を加えるなどしています。
ただキャラクターデザインの仕事は楽しいと同時に大変な作業である事としてドラゴンエクストシリーズが30年も続くシリーズになるなら受けなかったともしています。
伝説③パチンコ
Drスランプ、ドラゴンボール連載時、同じくジャンプに載っていて人気のあった作品は現在でも多くメディアミックス展開がされていますがその1つがパチンコです。しかし鳥山明先生の作品はいずれもパチンコにはなっていません。これは鳥山明先生のこだわりの1つでインタビューで「漫画のキャラは僕の子供のようなものです。子供をパチンコに売るようなことは絶対にしない」と答えています。
伝説④編集が漫画に登場
鳥山明先生のアイデアが光る伝説として知られているのが初代担当であり、鳥山明先生の天才と言われる才能を引き出した存在でもある鳥嶋和彦さん。そんな鳥嶋和彦さんがDrスランプにおける悪役である「マシリト」のモデルになったというのも伝説的な逸話として知られています。
しかもこれには裏話があり、元々鳥山明先生が描いた悪役が嫌な奴にならず、鳥嶋和彦さんから「1番嫌いな奴をイメージしろ」と言われてやったというのです。真っ先にその漫画を見る事になる担当編集をそんな風に使えてしまう鳥山明先生だからこそ後に成功したと言えるのではないでしょうか。
伝説⑤ネームはかかない
鳥山明先生はあれだけの書き込み量と天才的な画力を持ちながら実は面倒くさがりな性格だと自身の事を評しています。それが現れているエピソードが「ネームはかかない」という伝説です。通常ネーム、下書き、ペン入れと描く所を鳥山明先生は最初から下書きした状態で編集に見せているそうです。これは初代編集である鳥嶋和彦さん時代からそうだったようで、後に担当が変わる際に2代目の編集近藤裕さんを困惑させたそうです。
ただネームを描かない=編集の意見を利かないというわけでもなくドラゴンボールのアイデアには多くの編集の提案も採用されています。フリーザなどドラゴンボールにおいて重要なキャラクターもそのバックボーンは編集からのアイデアだったりと人の意見を聞いて自分の作品として取り込むセンスも鳥山明先生の天才的な部分だと言えます。
鳥山明の画力まとめ
鳥山明先生は日本はもちろん世界でも高い評価を受ける日本の漫画家の中でも世界で最も有名な漫画家の1人です。その評価の裏にはここまでの画像でも紹介したように最強とも天才とも言われる高い画力があります。その最強の画力は一枚絵はもちろん週刊連載の中でも発揮されるなど天才と言われるのも納得してしまうだけのエピソードを持っています。
鳥山明先生はドラゴンボールの連載終了後、もう長期連載は難しいとして現在は時折中短編の漫画を描きつつデザイナーとして仕事をしているので、今後も新しい鳥山明先生の作品が発表される事は十分に考えられます。鳥山明先生が関わる作品に触れる際には鳥山明先生の画力にも注目してみてはいかがでしょうか?