2019年02月22日公開
2019年02月22日更新
3月のライオンの意味をネタバレ考察!タイトルの由来はことわざ?
アニメや実写映画にもなった大人気将棋マンガが3月のライオンです。しかし一見するだけではそのタイトルの意味が理解出来ず、将棋マンガと知らずに作品を見たとする声は多いです。3月のライオンというタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?なぜ今回は3月のライオンについて簡単に紹介しつつそのタイトルの由来についてことわざ説を始めとした諸説をネタバレありで紹介していきます。
目次
3月のライオンとは?
タイトルなどに触れる前にまずは3月のライオンという作品について簡単にネタバレありで紹介していきます。
3月のライオン作品紹介
3月のライオンの原作は、「ハチミツとクローバー」の作者としても知られる羽海野チカさんが白泉社の発行するヤングアニマルで連載している漫画です。題材とする将棋の為、日本将棋連盟の取材協力の元、プロ棋士である先崎学さんが監修を務めています。2007年から連載が開始され2019年2月現在14巻まで刊行されています。
人気・評価共に高い作品で、マンガ大賞や講談社漫画賞などこれまでに数々の賞を受賞、2015年から2017年まで3年連続でダ・ヴィンチの「BOOK OF THE YEAR」のコミック部門でも1位を獲得しています。NHKで2016年からアニメを放送され、さらには実写映画にもなるなどメディアミックス展開も多彩に展開されています。さらに同作の昭和期を描いたスピンオフ漫画も連載されるなど漫画としても幅広く親しまれている作品です。
3月のライオンあらすじ
主人公の桐山零は交通事故で両親を失い、父の友人であり、プロ棋士の幸田に内弟子として引き取られました。15歳の若さでプロ棋士になるなど非凡な才能を発揮しますが、その才能のせいで幸田家の娘らとは折り合いが悪くなってしまい一人暮らしを初めます。高校に通うも人間関係で上手くいかず将棋にも影響がでてしまう程でした。
そんなボロボロの状態の中、桐山零は川本家の人達と出会う事になり生活が変わり始めます。少しずつ人間関係にも改善が見え始め、それが結果として将棋にも好影響を与えるようになりました。3月のライオンはそんな桐山零の心境の変化と成長を描く物語であると共に、川本家を始めとした桐山零の周囲の者たちの人生を描く漫画です。
3月のライオンの意味をネタバレ考察
ここからは3月のライオンというタイトルの意味にネタバレありで迫っていきます。先にネタバレしておくと全く意味のないタイトルというわけではなくしっかりと将棋にも関係した意味のあるタイトルになっています。
3月のライオンの意味①「3月と将棋」
桐山零も身を置くプロ棋士の世界、棋士には名人戦の予選となる順位戦がありますがこの順位戦の最終戦が行われる重要な時期が3月です。順位戦はクラス別に別れており、この順位戦のA級に所属しなければ名人に挑戦できないのでかなり重要な位置づけにあるといえます。3月のライオン作中でも桐山零は物語当初のC級1組からB級2組に昇級している姿が描かれています。
実際プロ棋士としての収入にも関わる重要な対局でプロ棋士にとっては3月はまさに勝負の月と言えます。特に昇級、降格の狭間にいる棋士はまさにライオンのようになって戦うのです。この意味に関しては監修を務めるプロ棋士の先崎学さんが3月のライオン2巻の巻末にて公式に公表している情報なのでタイトルの由来の1つとしても数えられています。
3月のライオンの意味②「将棋の神様」
出典: https://anibu.jp
プロ棋士にとって節目であるといえる3月。同時に3月のライオンの作中においても重要な位置づけに置かれています。ネタバレするとそれは主人公桐山零の中でのわだかまりの1つとなっている育ての父であり師匠である幸田八段との関係です。昔はトップレベルだったと言われる幸田八段ですが、現在は歳の影響もあってか実力を落とし、連載開始当初B級2組に在籍していました。桐山零はその1つ下のC級1組です。
2人が順位戦で戦えるとすればこの順位戦で桐山零が1つ昇級するか、幸田八段が降格するしかありませんが、桐山零は3月の時点でほぼ昇級する事が決まっているような描写があり、実質的には幸田八段がB級2組に残る必要がありました。幸田八段として是が非でも残りたかったはずです。親としてプロ棋士として、桐山零としっかり対局して置きたいという意味でも3月はまさに重要な月だと言えます。
3月のライオンの意味③「6月の神様」
上記で3月のライオンというタイトルの意味がプロ棋士にとって重要な月であるという事は書きましたが唯一例外となる棋士がいます。それが名人です。ネタバレすると3月のライオンでいうところの宗谷名人に当たります。名人は順位戦では対局せず、A級で1位を取った者と名人位をかけて7番勝負で対局します。そしてこの7番勝負の最終局が行われるのが6月になります。
3月のライオンのタイトルの由来
将棋と関連するタイトルの意味合いとしては以上ですが、3月のライオンのタイトルの由来はそれだけではありません。ここからは将棋とは直接関係しない3月のライオンのタイトルの由来をネタバレありで紹介していきます。
3月のライオン由来①映画から影響を受けた
実は3月のライオンには同名の映画があります。1992年6月に公開された矢崎仁司監督の作品です。インタビューでも作者の羽海野チカさんはこの映画の名前を上げ、この映画のポスターが好きだったと語っています。気になるその映画のポスターとはおかっぱの女の子がアイスを加えているというポスターで羽海野チカさん的にはその表情がすごく気に入ったそうです。
ただ羽海野チカさんはあくまでもポスターが印象的だっただけで実際に映画を見たわけではないというのだから驚きです。実際の映画の内容ではなくポスターからインスピレーションを受けたのが1つの由来になっています。
3月のライオン由来②ことわざから
ちなみにこの映画3月のライオンのタイトルにも元々の由来があり、羽海野チカさんはそれもしっかり調べています。由来の大元といえるのがイギリスにあることわざです。イギリスのことわざには日本語訳で「3月はライオンのようにやってきて、子羊のように去る」という意味のことわざがあります。このことわざの前半部分が映画の、そして漫画3月のライオンの由来となっているのです。
羽海野チカさんもこのことわざに敬意を払うように、漫画3月のライオンの表紙にはことわざの原文前半である「March comes in like a lion」と記載しています。3月のライオン自体の英語訳ではない為、このことわざを由来としている事がわかる表現の1つとなっています。
ちなみに漫画3月のライオンが実写映画化された際には前後編だった事もあり、映画前編のサブタイトルにことわざの前半である「March comes in like a lion」とつけ、映画後編にはことわざの後半部分である「March goes out like a lamb」と付けたという話も有名なエピソードとして残されており、由来という意味合いでは主にこのことわざ説が推される理由にもなっています。
3月のライオンのキャラクター紹介
将棋界にも由来し、さらには別のところからのインスピレーションも受けて決まった3月のライオン。その魅力の1つといえるのが登場するキャラクター達です。ここからは3月のライオンに登場する主要なキャラクターをネタバレありで紹介していきます。
桐山零
3月のライオンの主人公として登場するのが桐山零です。3月のライオンの世界の中では史上5人目となる中学生にしてプロ棋士になりました。物語の開始時は五段でしたが作品が進む中で六段に昇進しています。身長が170cmで物語開始当初で17歳ですが、将棋の為に学校を休みがちの為、学年は1つ遅れて高校1年生です。その事もあって周囲からは浮いてしまっていました。
学校に遅刻早退をする事は多いものの体育と音楽以外の成績は平均的で、物理と数学が得意です。その為ひなたの家庭教師を務めた事もあり、数学の点数を30点近く上げさせるなど将棋以外の事も優れています。棋士としての棋風はオールラウンダータイプで、悪手を「気持ち悪い」と感覚で捉える事から同じプロ棋士からは「宗谷と雰囲気が似ている」と評されています。
余談ですが、実際の将棋界でも連載開始当初は中学生プロ棋士は4人でしたが、連載中である2016年には3月のライオンの桐山零と同じく史上5人目の中学生プロ棋士として藤井聡太さんがプロ入りを果たしています。
川本あかり
川本家の長女でヒロインの1人が川本あかりです。桐山零や妹のひなたが進級した時点で23歳です。亡き母親に代わってまだ幼い妹たちの面倒をみながら家業の手伝い、叔母のスナックでのホステスをして家計を支えています。種類は問わず痩せている生き物を放っておけない性格で、この性格が桐山零が川本家と縁ができるきっかけとなりました。以降も零の事を気にかけ零の不摂生を嘆くなど家族同然に接しています。
痩せている生き物を放っておけない一方でふくよかな体格に目がなく、初対面の二階堂にうっとりしてしまうような側面も持ち合わせています。しっかり者のお姉さんの印象ですが、それは妹達の為に母親らしい言動を心がけているからであり、ひなたがいじめにあった際には動揺して涙を流すなど年相応の反応を見せた事もあります。
二階堂晴信
桐山零の事を一方的にライバル視し、同時に親友でもあるのが二階堂晴信です。子供将棋の頃から対局を重ねてきた相手で、他人に対して心を閉ざしがちな桐山零相手にも臆する事なく強引に接してきます。幼い頃から腎臓が弱くふくよかな体格をしており、家が裕福な事もあって執事の花岡が付き従って行動している事が多いです。この事は二階堂晴信の願いもあって基本的には周囲には隠されています。
ネタバレになりますが零も当初は二階堂のこの病弱を知りませんでしたが、零の前で倒れてしまった事から知る事となりました。棋風は居飛車党で特に穴熊を好み、同じ島田研究会で振飛車党である重田とはよく衝突しています。
川本ひなた
川本家の次女であかりと同じくヒロインの1人なのが川本ひなたです。初登場時は中学2年生で、物語が進む中で3年生、そして桐山零と同じ高校に進学しました。川本三姉妹の中でも零と一番歳が近い影響もあって、一番影響を受けています。妹の面倒や家事の手伝いをするなどしっかり者ですが、繊細で頑固な一面も持ち合わせています。
ネタバレすると友達をいじめから庇った事で自身がいじめの標的にされてしまうというつらい経験をしますが、泣きながらも「私は間違っていない」と叫ぶ姿は桐山零に大きな影響を与えました。羽海野チカさんによるとこのようなストレートな性格はワンピースのモンキー・D・ルフィをモチーフにしているとの事です。
3月のライオンのアニメ注目ポイント
3月のライオンのタイトルの由来や意味、キャラクターについてまとめた所でここからはアニメ化もされている3月のライオンの注目ポイントを紹介していきます。原作マンガも非常に人気の高い3月のライオンですが、アニメならではの要素であるテーマソングや声優にはアニメ化が発表された際から注目が集まりました。
3月のライオンテーマソング
3月のライオンは分割で2クールのそれぞれが2クールずつ計4クール放送されているのでテーマソングも時期によって変更されています。オープニング、エンディング共に4曲ずつが当てられています。
オープニングとなったのがBUMPOFCHICKENさんの「アンサー」、YUKIさんの「さよならバイスタンダー」と「フラッグを立てろ」、UNISON SQUARE GARDENさんの「春が来てぼくら」がおおよそそれぞれ1クール単位で切り替えられて使われました。
エンディングテーマはBUMPOFCHICKENさんの「ファイター」、米津玄師さんの「orion」、BriantheSunさんの「カフネ」、RUANNさんの「I AM STADING」が採用されています。エンディングテーマも基本的には1クール単位での利用になりますが、「ファイター」だけは1期の最終回である22話でもエンディングテーマとして利用されました。
桐山零:河西健吾
主人公桐山零の声優を務めたのが2006年から声優として活動する川西健吾さんです。アニメや洋画の吹き替えを担当する事が多い声優さんで、元々はアニメではサブキャラやモブキャラの声を演じる機会が多かったですが2015年に「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」にて主人公三日月・オーガス役を演じて以来、徐々にメインキャラクターを演じる機会が増えています。
近年では「カブキブ!」の蛯原仁役、「人外さんの嫁」の火鞍川曽良役、「狐狸之声」のフーリ役、「群青のマグメル」の因又役、「超可動ガール1/6」の冠成次郎役などを務めています。ちなみに羽海野チカさんには「輝く闇のような声」と評された事があります。
川本あかり:茅野愛衣
ヒロインの川本三姉妹の長女、あかりの声優を務めたのが茅野愛衣さんです。アニメ「ARIA」を見て声優を志し、2010年から声優となり同年アニメ「とある魔術の禁書目録2」の五和役でレギュラーを獲得、そこでの演技が注目されて2011年にアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」でヒロイン、本間芽衣子(めんま)役に抜擢され一気に知名度を高めました。
以降の作品でもメインキャラクターを演じる機会が多く、「神様ドォルズ」の史場日々乃役、「夢喰いメリー」の橘勇魚役、「ガールズ&パンツァー」の武部沙織役、「ノーゲーム・ノーライフ」の白役、「テラフォーマーズ」のシーラ・レヴィット役などを演じています。またOVAですが、声優になるきっかけとなった作品である「ARIA」にもアーニャ役で出演しています。
二階堂晴信:岡本信彦
二階堂晴信役を務めたのが岡本信彦さんです。アルバイトをしながら養成所に通い、2006年に声優としてデビューしました。注目を集めたのが2008年から演じ、今も新作がで続けているアニメ「とある魔術の禁書目録」で演じ続けている一方通行(アクセラレータ)役で、以降好青年から悪役、狂気的な役まで幅広く演じるようになりました。
出典: https://eiga.com
これまで演じた役としては「聖剣の刀鍛冶」のルーク・エインズワース役、「夢色パティシエール」の樫野真役、「バクマン。」の新妻エイジ役、「ハイキュー」の西谷夕役、「終わりのセラフ」の早乙女与一役、「食戟のソーマ」の黒木場リョウ役、「殺戮の天使」のザック役、「魔法少女サイト」の朝霧要役などを務めています。
また父の影響で昔から実際に将棋を指しており、アマチュア三段を有しています。過去にはプロ棋士を目指していた時期もあり、声優になってからもニコニコ超会議などで実際にプロ棋士と対局したりとまさに3月のライオンに出るべき声優さんとしても知られています。
川本ひなた:花澤香菜
川本ひなた役を務めたのが花澤香菜さんです。子役として芸能界を果たして活躍した後、2003年に「LAST EXILE」にて声優を務め、2006年に「ゼーガペイン」で声優を演じたのをきっかけに声優を本職として活躍しています。「美しい澄んだ声質」が特徴と言われ人気を集める秘密になっており、これまでに数々の声優賞を受賞しています。
これまでに出演した作品としては、「ToLoveるーとらぶるー」の結城美柑役、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の黒猫役、「ISーインフィニット・ストラトスー」のシャルロット役、「僕は友達が少ない」の羽瀬川小鳩役、「ニセコイ」の小野寺小咲役、「恋と嘘」の高崎美咲役、「ガウリールドロップアウト」のラフィエル役などを務めています。
3月のライオンに関する感想や評価
ここからは3月のライオンに関しての感想や評価をネタバレありで紹介していきます。3月のライオンのタイトルの意味・由来に関しては既に知っている人は知っている情報になっているもので、他の漫画ではあまり見られない手法だけに好きだとする人が非常に多いです。ことわざから取るという手法は3月のライオンが有名になった後でもあまり見られず、その意味を知ってますます好きになったという声も見られます。
このことわざから取ったという話自体、作者である羽海野チカさんから直接された事はありませんが表紙にもことわざ前半の英語がそのまま記載のある事もあり、将棋界における勝負の月という意味よりも深く浸透しているといえます。意味合いとしても将棋が分からなくてもことわざからであれば受け入れやすいとしている感想も多いです。
「3月のライオン」オトナ買い届いた。ステキなタイトルは、March comes in like a lion, and goes out like a lambというイギリスのことわざ由来だそう。素敵な言葉だなぁ。 pic.twitter.com/F8k5umfL90
— takefour (@takefour) November 14, 2017
もちろん作品に関しては既に高く評価されていますが、将棋自体のエピソードはもちろんそれぞれのキャラクターの日常でのエピソードに関しても好きという声が多いです。特に感想として多いのはやはりひなたのいじめに関するエピソードでひなただけでなく、桐山零の成長や心情に関して触れる感想も非常に多くなっています。
3月のライオンが結構面白い
— 闇沼闇雄 (@W8iHcW3VMJw7jf5) February 19, 2019
てか出演者がかなり豪華
また3月のライオンは映像化される前から高い人気を誇る作品だっただけに、アニメ化発表からの声優発表、さらに実写映画になった際にもその出演者の豪華さにふれる感想も非常に多いです。ハマり役と言われる方も多くいずれも高い評価を受けています。
3月のライオンの意味まとめ
多くの漫画が内容に直接関係し、さらにはシンプルに読者に伝わりやすいタイトルを選ぶのに対し、一見するだけでは分かりにくい3月のライオンのタイトルの意味や由来。ネタバレすると将棋にまつわる意味とイギリスのことわざを由来とした意味を上手く組み合わせたタイトルである事がわかります。このような感性を持っているからこそ3月のライオンのような作品が書けるのではないでしょうか。
そんなセンスに溢れるタイトルを持った3月のライオンは現実的な内容が多いので再現もしやすくアニメはもちろん、実写映画のクオリティも高いと評価されている作品です。ネタバレのあらすじなどを見るだけではわからない魅力溢れる作品なのでまだ3月のライオンを見たことがないという人は原作漫画を含め、好みに合う形で1度その世界に触れてみてはいかがでしょうか?