銀魂の紅桜編はどんな話？アニメと映画の違いやエピソード・見どころを解説

銀魂の長編「紅桜篇」は、銀魂の中でも人気のあるエピソードでテレビアニメ版のほかテレビ版をリメイクした劇場版があり、実写版映画のエピソードにも採用されています。銀魂原作初期のエピソードのため、登場人物も少なく初めて銀魂に触れる人にもわかりやすいのが特徴です。

銀魂の原作漫画では、11巻第89訓「売店ではやっぱりコロッケパンが一番人気」から12巻第97訓「備えあれば憂い無し」までが紅桜篇になります。

辻斬りの被害が多発しているかぶき町で、攘夷党の桂小太郎は夜道で辻斬りに決闘を挑まれ凶刃に倒れます。桂の相棒のエリザベスは万事屋に消息不明となった桂の捜索と辻斬りの真相究明を依頼しますが、別の依頼を受けていた銀時は依頼主の刀鍛冶の村田鉄也・鉄子兄妹の元に向かい、盗まれた兄妹の父が打った稀代の妖刀「紅桜」の捜索を依頼されます。

銀時からエリザベスの依頼を任された新八と神楽は別れて捜索をはじめます。辻斬りから情報を得ようと待ち伏せしていた新八とエリザベスの前に辻斬りの正体である鬼兵隊の人斬り似蔵こと岡田似蔵が現れ、圧倒的な強さで二人を追い詰めます。絶体絶命のピンチに銀時が駆けつけ似蔵と死闘を繰り広げますが、妖刀紅桜の力で常人離れした強さを得た似蔵に銀時は致命傷を負わされます。

その頃神楽は定春の嗅覚を頼りに桂の居場所と思われる船を見つけ船内に潜入し、満月を背に佇む着流し姿の男の姿に「とびきりやばい匂い」を感じます。その男こそ鬼兵隊を率いる「高杉晋助」でした。そして、妖刀「紅桜」を量産し幕府転覆を計る高杉の野望を阻止せんとする激闘の幕が切って落とされました。

銀魂テレビアニメ版の紅桜篇は、第58話「売店ではやっぱコロッケパンが一番人気」から第61話「闇夜の虫は光に集う」の全4話構成で、銀魂の原作漫画の9話分の内容となっています。

2010年に初映画化された「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」は、テレビアニメの紅桜篇を新たな解釈で再構成した作品です。公開初日は全国の劇場が毎回満員となるような大盛況で、興行収入2億円を超えるヒット作となりました。主題歌はテレビアニメでも主題歌を歌っているDOESの「バクチダンサー」です。

まず大きな違いとして映画版新訳紅桜篇には、原作やテレビアニメの銀魂紅桜篇では登場しなかった「真選組」、また紅桜篇以降に初登場した夜兎の「神威」、「阿伏兎」の登場シーンが追加されています。しかしテレビアニメにはあった、新八が村田兄妹の元に訪れるシーンや攘夷党から鬼兵隊の話を聞くシーンがカットされているという違いもあります。

「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」には、銀魂の原作やテレビアニメでは後日談にしか登場しなかった真選組が何度か登場してくるのが大きな違いとなります。物語冒頭の真選組屯所での近藤、土方、沖田が登場する場面では、銀魂でおなじみ近藤の全裸での素振りも出てきます。

銀魂のアニメにはなかった、妖刀紅桜の情報を探しかぶき町を歩く銀時に真選組の沖田総悟が声をかける場面も追加されています。このシーンは、銀魂の原作漫画にもない映画版オリジナルです。

また真選組は銀魂映画本編終了後に「劇場版銀魂外伝 真選組血風録」としての登場シーンもあります。内容はいかにも次回作予告としての作りのため本当の予告かと思わせますが、銀魂でよくある偽予告でした。

大怪我をおった銀時をつききりで看病していたお妙は、傷口が開くの心配しながらも銀時が大人しく寝ているような男ではないと知っていました。銀時に遣いを頼まれたお妙は騙された振りをして外出します。案の定、着替えて出かけようとする銀時が描かれています。

玄関先には、きちんと畳まれた着替えと傘、そして「私のお気に入りの傘、あとでちゃんと返しにきてくださいね」と書かれたメモがありました。銀時はお妙の傘を差しながら「ちっ、かわいくねー女」、離れたところで見守るお妙は「馬鹿なヒト。」と呟きます。粋なセリフが心を揺さぶるエピソードです。

完全に紅桜に取り込まれて正気を失った似蔵を止めるべく立ち向かう銀時でしたが、戦艦並みの戦闘力を発揮する似蔵に吹き飛ばされ意識を失います。とどめを刺そうとする似蔵の前で銀時をかばう鉄子が描かれています。

振り下ろされた似蔵の凶刃に倒れたのは、妹の前に飛び出してきた兄の鉄也でした。刀の強さを極めたい思いの前にすべてを捨てた鉄也も妹への思いだけは捨て去れなかったのでした。妹の腕の中で鉄也は息絶えます。兄妹の強い絆と強さに捕らわれ続けた男の悲しさに涙する銀魂でも珠玉のエピソードです。

暗闇を彷徨っていた似蔵に光を感じさせた高杉のため、強さを求め続けた似蔵が出会った妖刀「紅桜」。似蔵は紅桜に魅せられ、己の体を侵食されながらも高杉の野望をかなえるべく桂や銀時に挑み続けます。銀時との死闘で紅桜に精神と肉体も支配され戦闘マシーンと化した似蔵は暴走し、銀時の一撃で倒されます。強い光に集まる虫のように光を求め続けた男の切なく悲しいエピソードです。

高杉の船内に潜んでいた桂。かつての仲間の野望を止めるため、桂は高杉と対峙します。「俺はお前が嫌いだ。昔も今もな…だが仲間だと思っている。昔も今もだ。いつから違った？俺達の道は。」高杉は「何を言ってやがる。確かに俺達ははじまりこそ同じ場所だったかもしれねェ。だが、あの頃から同じ場所など見ちゃいめェ。」と自分の生き方は変わらず、世界を壊すと告げます。

過去の松下村塾でともに学んでいた情景が涙を誘う、かっての友である高杉と桂が決別する切ないエピソード。狂気を感じる高杉の表情が魅力的な銀魂ファンに人気のあるシーンでもあります。

紅桜に体を侵食された似蔵と銀時の船上でのアクションシーンも見どころのひとつです。人間離れした似蔵の戦艦並みと評される戦闘力と同等の力で戦い続ける銀時の戦う映像は迫力満点で見逃せません。

かつての仲間の銀時と桂が共闘するシーンは、攘夷戦争時代の白夜叉と狂乱の貴公子を彷彿とさせる銀魂ファンにとって感動的なシーンです。

テレビアニメ版では「修羅」、映画版では「バクチダンサー」が流れる中、ふたりが圧倒的な強さで敵を蹴散らしていく姿は最高にかっこいいと言われています。

銀魂紅桜篇の最大のみどころは、ラストでの銀時・桂と高杉との決別です！戦いの終盤、救援にきた春雨の船上から見下ろす高杉に向かって刀の切っ先を向けた銀時と桂が「次会った時は仲間もクソも関係ねぇ！」「全力でてめえを、貴様をぶった斬る！」と言い放つシーン。かつての仲間の暗い野望を絶対に止めるという強い意志が感じられる叫びが感動的です。

高杉との決別後、沈みゆく船から飛び降りる桂と銀時。パラシュートを装着していた桂に掴まり降下していく銀時につぶやく桂の言葉が胸に響きます。「始まりはみんな同じだった。なのに随分と遠くへ離れてしまったものだな。」このときは、もう二度と銀時、桂、高杉の三人がともに戦うことはないと感じられました。

紅桜篇の解説いかがだったでしょうか？銀魂紅桜篇のテレビアニメ版と映画版には違いが多くあります。この機会に原作とアニメ、映画の違いを探しながら見直してみると新しい発見があるかもしれません。これからの展開が気になる銀魂の世界をよりいっそう楽しみましょう。