魔女の宅急便には原作がある？小説版の感想やあらすじ・ストーリーをネタバレ

魔女の宅急便は作家、角野栄子が手がけた児童小説であり宮崎駿監督によって1989年にアニメ映画化されました。さらには2014年には実写映画化もされており、様々な媒体で人気になっている作品です。今回紹介するのは宮崎駿の映画化した魔女の宅急便ではなく児童小説である原作の魔女の宅急便についてです。映画とは少し違ったラストや原作のあらすじをネタバレ紹介していきます。ぜひ小説版の魔女の宅急便も知ってください。

魔女の宅急便は児童小説として人気になった物語ですが原作の小説よりも宮崎駿監督のジブリ映画である魔女の宅急便の方が知られています。小説版の魔女の宅急便は実はシリーズ作品で、映画にもなった1作目の魔女の宅急便は主人公のキキが親元を離れて知らない街で魔女として独り立ちする様子を描いています。オリジナルの原作小説ではこの後、6冊目まで続編が出ていて、子供だったキキが母親になるまでの生涯が描かれています。

魔女の宅急便の映画と原作の違いですが大まかなストーリーはほぼ同じと言ってもいいでしょう。ですが、原作では映画と違い、キキの思いや考え方が映画よりもよくわかるようになっています。更に、登場人物も豊かで映画版よりも原作の方が沢山の人と関わります。さらりと見終えてしまう映画に比べると原作の魔女の宅急便のストーリーはぐっと引き込まれ、まるで自分もコリコの街の住人になったように感じられます。

原作と小説の一番の違いは、登場人物です。キキは映画では天気予報を聞き、満月の日に天気が晴れである予報を知り旅立つ事を決意します。一方の原作ではキキはきちんと母のコキリと父のオキノとキキとの三人で旅に出る日取りを話し合い旅の日取りを決めていました。小説でのキキは13年間の修行を経て魔女と人と、どちらとして生きるかをきちんと決定しており、意思の固さや決意からとてもしっかりした子供であることが伺えます。

ストーリーの中で出会うトンボという男の子は、原作では飛行クラブで「魔女のほうき」を研究している気の弱い男の子だった。不思議な事が大好きで、魔女のほうきがいかにして飛んでいるのかを熱心に研究し、自分もいつか飛びたいと夢見ています。実はとても気弱であり、映画のような活発さはなく、原作のラストでようやく自分の想いを贈り物に込めて伝えることになる。このあたりも後ほどストーリーをネタバレしつつ紹介します。

ジジは魔女の宅急便の中で大人気のキャラクターです。少しストーリーのネタバレを含みますが、映画のストーリーではジジは最後、キキと喋れないままに終わってしまいます。その事に少なからずともがっかりした人は多いのではないでしょうか？ですが、原作のストーリーではジジはきちんとキキと喋る事ができるように戻ります。もしジジとキキがこのまま会話できないままなのでは…と心配していた人は原作を読んで安心してください。

先程も述べましたが原作と映画の魔女の宅急便のストーリー、ラストの一番の違いはキキとジジと会話ができるようになるか、ならないか、でしょう。ではどうして映画ではジジとの会話ができないままに終わってしまったのでしょう？それは、宮崎駿監督がキキが魔女として自立したことでジジもまた猫として自立し生きていけるようになった事を示唆したのではないでしょうか。人は人、猫は猫として新しく生きていく事を示したのです。

それでは小説版の魔女の宅急便あらすじをネタバレありで紹介していきます。魔女の宅急便のあらすじですが、ストーリー的には映画と変わらず、一人の魔女の女の子が独り立ちを決めてコリコの街へ移り住み、そこでコリコの街の様々な人と関わり経験を積んで精神的に更に自立していき、魔女としての生き方や恋をしつつ、挫折を乗り越えて一人逞しく前に進んでいく、という話です。

魔女の宅急便のストーリーはあらすじだけだけ読んでも魅力は伝わりません。魔女の宅急便は人の感情や関わりがメインに描かれるものなので小説を読み解く事でその魅力を本当に知ることができるからです。これから小説版の魔女の宅急便のストーリーのあらすじを更に詳しくネタバレしつつ紹介していきます。ぜひともあらすじ、ストーリーのネタバレを読んで原作にも興味をもってください。児童小説なので読みやすいのでおすすめです。

それでは魔女の宅急便の原作版のあらすじ、ストーリーを詳しくネタバレしていきます。小さな街に住む魔女のキキは魔女の母親であるコキリさんと、民話や世界の伝説を研究している人間の父親であるオキノさんを両親に持つ13歳の少女です。人間と魔女が結婚して生まれた子供が女の子であった場合は10歳になるまでに人間として生きるか、魔女として生きるかを選択しなければなりません。キキは魔女になる事を選択しました。

現在、世界がだんだんと明るくなり真っ暗な夜闇がなくなり音のしない静かな夜がなくなってしまってから、魔女は衰退するばかりでした。コキリさんが使える魔法も薬草を作ることとほうきで空を飛ぶことだけです。キキは最初魔女になる事に反発もしていましたが好奇心旺盛で自立心も旺盛だったので魔女になる事を決意しました。そして13歳になるまでに母親から魔法を習い13歳になった年の満月の日に魔女のいない街へ旅立ちます。

キキは自分が生まれた時にコキリさんが拾ってきた黒猫のジジと共に少しだけのお金とお弁当を持ってコキリさんが作ってくれた黒いワンピース、お気に入りのラジオを持ちコキリさんから譲られたほうきを持って満月の夜に旅立ちます。そして昔から見たかった海を見るために川を辿って町や村をいくつも越えていき海沿いに大きく広がるコリコの街を見つけました。キキはコリコの街をひと目で気に入りその街を自分の住む場所に決めました

そしてキキが降り立ったコリコの街ですがキキのような魔女を見たことのない人たちがわらわらと集まり、遠巻きに珍しそうに眺めていました。キキはコキリさんに言われたとおりに笑顔を作り「おじゃまさせていただきます」と声をけるもコリコの街の人々は冷たくあしらったり「面倒事はごめんですよ」と口々に言って去ってしまいます。キキの生まれた街では魔女は歓迎されていてこんなふうに冷たくされるとは思っていなかったのです。

どうして魔女がこんなふうに疎まれているのか、キキにはさっぱり解らずに心苦しい想いをしてしまいます。キキの育った街では同じように母である魔女のコキリさんは街でとても頼もしい存在として受け入れられて、魔女が一人いると街がいきいきするのよ、とまで言われていたからです。ですが、大きな街で発展を果たしているコリコの街では魔女は不思議な存在ではありますが、少し目障りで邪魔な存在ともとられてしまっていたのです。

そんな冷たいコリコの街で、唯一優しくしてくれたのがグーチョキパン屋さんというパン屋さんを営むおソノさんに出会い、そこで部屋を借りました。そして自分にできる唯一の魔法であるほうきで空を飛んで届け物をしようと思い立ちます。映画のあらすじやストーリーでも知られているとおり、猫のぬいぐるみを落としてしまってジジを身代わりにしたりトンボという男の子との出会いが描かれていたりと代わりはありません。

そうしていくうちに、キキのところに一人の女の子が現れます。魔女の格好をしたケケと名乗る少女はとても活発でキキとあっという間に仲良くなり2人一緒に魔女として成長していきました。そのうち友人になったトンボに恋心を抱くようになりますが、トンボは恋にはさっぱりな弱気な男の子で、遠くの学校に通うことになり手紙でやりとりをするようになっていきます。その手紙も自分の研究の話ばかりで関係が発展しませんでした。

そんなとある日、キキは魔法の力が弱まっているのを感じます。お届け物をしようにも、不安定な飛び方ではやっていられなくなりました。困ったキキはコキリさんとオキノさんに手紙を出してその返事を待ちました。すると父のオキノさんから「魔法が使われることにうんざりしてしまって、少しおやすみをしているんだよ」と言われます。今まで魔法の力ばかりに頼っていたキキは、その時はじめて自分の傲慢さをふりかえり反省しました。

さて、映画ではここでクライマックスに突入しキキが大騒動をおこすのですが、原作ではそんなシーンは一切ございません。このまま緩やかにねこのジジとお話をしながら、魔法だけではなく街の人たちの力を頼りながら、ゆっくりと自分の心を成長させて再びほうきに乗る力を取り戻します。そうして1年の修行を終えたキキは自分の住んでいた街に一度戻っていきました。

このあとのキキはコリコの街が恋しくなり、再びほうきに乗って街へと戻っていくのですが、あらすじもストーリーも小説版では人柄を描いた場面が多いので受ける印象が全く違う事があらすじもストーリーのネタバレからも解るでしょう。おおまかなあらすじとストーリーはこのような形ですが、もちろん小説版の描写の方が何倍も魅力的なものですから、ストーリーを大まかに知ってしまってもぜひとも書籍を手にとってみてください。

小説版の感想は、とても豊かな人の心の表現がされていて、映画のようにハラハラドキドキするストーリーとは少し違って穏やかで優しい雰囲気で終始とても素敵な物語になっています。小説の魔女宅急便のほうがゆっくりと自分自身も物語の世界に没頭できるために好き、という人もたくさんいます。さらに原作の小説ではこのあとの物語も描かれていて、そのどれもが終始とても優しい話で、最後の最後までとてもいい物語でした。

以降は書籍版の紹介をします。まずは2冊めの小説である「魔女の宅急便2・キキと新しい魔法」です。魔女は呪いの黒い手紙を運んでくる、という迷信を信じ込んだ少女に手紙を託されてしまったキキが魔女をやめるか悩みます。キキが魔法を失いかけるきっかけになった重要なエピソードです。映画では小説の1冊目と2冊めをギュッと詰め込んで作られたにも関わらず描かれず、魔法を失う場面だけが描かれてしまいました。

3冊目は「キキともうひとりの魔女」という小説です。あらすじはキキが16歳になり、ケケという新しいま所がキキの所に転がり込んで来たことからはじまります。ケケはおてんばで言うことも聞かずにキキは少し苛立ちつつも最終的に2人は競い合いながらも成長し、2人は親友になり、キキは魔女として一人前に近づいていきます。

4冊目は「キキの恋」です。遠くの学校に行ってしまった少年トンボとの恋愛がキキの視点で描かれていていますが、恋の行方はあらすじはネタバレしません。ぜひお手にとって確かめてください…」と言いたいところですが、後ほどネタバレがございます。1冊1冊進んでいくキキの人生はとても素敵なものです。

5冊目は「魔法のとまり木」です。さて、この物語はキキが19歳に、トンボが20歳になる頃のお話です。トンボさんが遠くの学校を卒業し、キキの元へと戻ってきて…というお話です。2人の距離がゆっくりと縮まっていく様子は恋愛なのですが、児童小説らしいほんわかとした雰囲気に2人の人柄が現れていてとても読みやすく、2人とも幸せになってほしいと思わず願ってしまうようなストーリーです。

6冊目は「それぞれの旅立ち」です。実は魔女のキキのお話は5冊目までで完結して、6冊目はキキとトンボが結婚して15年経ち、双子の姉弟で魔女になりたくない姉のニニと魔女になりたいけれど男だからなれないトトが13歳になって旅立ちを迎えるお話です。2人の心境が苦しくもとても優しく温かい、とても素敵なストーリーでした。

以上が魔女宅急便の小説、全6冊の紹介です。全て温かい人と人とのストーリーで、あらすじだけでも心にぐっとくるものがあるでしょう。原作は映画に描かれなかったエピソードが満載なので、読んでみてください。

いかがでしょうか？魔女の宅急便の原作あらすじとストーリーをネタバレで紹介しました。ネタバレをしてもその内容はしっかりと原作小説を読んでこそわかるものですので、ぜひともストーリーをネタバレで知ってしまっても一度は原作を手にとって呼んでみてください。きっともっと魔女の宅急便が好きになるはずです。そして宮崎駿監督の映画版を見て、描かれ方の違いを楽しんでみてください。