【機動戦士Zガンダム】ヘンケン艦長の最後は？無能と言われる理由やエマとの関係は？

機動戦士Zガンダムに登場するヘンケン・ベッケナー、通称ヘンケン艦長。こわもての風貌と豪快な性格、そして部下からの人望も厚いヘンケン艦長ですが、一方で無能という評価もあります。

この記事では、そんなヘンケン艦長の実像に迫るべく解説していきますが、その前にまずは機動戦士Zガンダムの作品情報からお届けします。最初に作品の概要、そして簡単なあらすじへと続きます。

「機動戦士Zガンダム」は、日本サンライズ制作のガンダムシリーズ第2弾となるテレビアニメで、1985年3月から翌1986年2月にかけてテレビ朝日系列にて全50話が放送されました。略称：「Ζ（ゼータ）」。監督は第1作に引き続き富野由悠季が務め、機動戦士ガンダムの一年戦争から7年後の世界が描かれています。

作品のBGMは作曲家の三枝成章が担当し、オープニングテーマ「Ζ・刻をこえて」（第1話から第23話）および「水の星へ愛をこめて」（第24話から第50話）、そしてエンディングテーマ「星空のBelieve」の作詞（原曲英語版）・作曲は、アメリカの高名な歌手で作曲家のニール・セダカに委嘱されました。ちなみに、アニソン歌手として人気の森口博子は、「水の星へ愛をこめて」にて歌手デビューしています。

一年戦争が終結して7年が経過。ジオン公国のコロニーに対する弾圧を強める地球連邦軍は、スペースノイド制裁を目的にエリート部隊ティターンズを創設します。一方、スペースノイドたちは、地球連邦軍の圧力に対抗するため反地球連邦組織のエゥーゴを結成。ティターンズの拠点であるグリーンオアシスを襲撃します。Ζガンダムの専属パイロットとなった主人公カミーユ・ビダンもまた、この戦闘に巻き込まれていくのでした。

ここからは、この記事のメインテーマであるヘンケン艦長の話題に移っていきます。最初はヘンケン艦長のプロフィールからになります。

ヘンケン艦長はフルネームをヘンケン・ベッケナーといい、一年戦争では地球連邦軍に所属していましたが、その後一転、反旗を翻し反地球連邦組織・エゥーゴに参加。エゥーゴでの階級は中佐で、エゥーゴが総力を挙げて建造した艦艇アーガマの初代艦長に就任します。外見は強面（こわもて）ですが性格は豪放磊落のヘンケン艦長は、エゥーゴの戦闘員から信頼されるなど、部下の人望も厚い司令官です。

また、地球連邦軍からエゥーゴに逃亡してきた主人公カミーユ・ビダンの素質を見抜きガンダムMk-IIのパイロットに抜擢したのは他ならぬヘンケン艦長でした。地下組織的なエゥーゴでは中佐を務めるヘンケン艦長ですが、表向きには月の都市アンマンにあるハンバーガーショップ・マクダニエルの店長という肩書を持っています。

一方で、ヘンケン艦長は、恋愛に関しては疎く女性との付き合いも苦手にしています。例えば、エゥーゴに移籍してきたエマ・シーンに一目惚れしてしまいますが、軍事作戦直前に「お茶しないか？」とナンパするなど、空気を読まない愚直なアプローチで撃沈。部下から冷やかされ、ムッとする場面も描かれています。

プロフィールの後は、ヘンケン艦長の年齢に関する話題に移ります。ヘンケン艦長を見て、彼の年齢はいくつぐらいだと思いますか？眼光鋭く厳つい顔立ちと落ち着いた物腰から40代という年齢を考えた方も多いのではないでしょうか？

ヘンケン艦長の年齢に関しては公表されていないようですが、ブライト・ノアと同じ中佐という階級であることから、2人の年齢は同じくらいと言われています。見た目の年齢ではヘンケン艦長の方が随分上と思われているようなので意外に感じる方も多いことでしょう。

ただ、ブライトがヘンケン艦長に対し敬語を使っていたことから、ヘンケン艦長の方が幾分年齢が上かも知れません。生まれた年から計算してブライト・ノアの年齢は27歳くらいですから、ヘンケン艦長の年齢は30歳前後と推定されます。実年齢は見た目よりずいぶん若いということになります。

宇宙世紀0079年1月3日に勃発した一年戦争に参加していたヘンケン艦長。その時は地球連邦軍に所属していました。第７艦隊所属のサラミス改フジ級輸送艦スルガの艦長として、宇宙移民者をソロモンからサイド6へ移送する任務に就いていました。

この任務執行中に戦闘に巻き込まれ、ヘンケン艦長は九死に一生を得ます。輸送艦スルガはザクレロの攻撃で沈没してしまうのですが、ヘンケン艦長は無事に救出されました。

プロフィール欄で触れたように、ヘンケン艦長はエマ・シーン中尉に一目惚れし、想いを告げられないまま悶々とした日々を送ります。豪快な言動や見た目に似合わず、恋愛に関しては奥手だったのです。

エマの方もヘンケンの気持ちを察しているようなのですが、最後まで心を開くことはありませんでした。もしかするとヘンケンのアプローチにエマの気持ちは徐々にほだされていたものの、軍人としての彼女のプロ意識が仕事と恋愛を峻別していたのかも知れません。

ヘンケン艦長の最後の死亡シーンは、テレビアニメ第49話で登場します。エマのガンダムMk-Ⅱは、ヤザン・ゲーブルが操るモビルスーツ・ハンブラビの攻撃を受け被弾。この時、ヘンケン艦長は、愛するエマを救うべきか、あるいは艦長として戦闘を優先すべきか二者択一の問題に直面し葛藤します。そして最後にはエマを救うことを決断するのです。

ヘンケン艦長は、戦艦ラーディッシュをエマが操るガンダムMK-Ⅱに向かわせ、ハンブラビに突撃攻撃をかけます。エマは撃沈されるのがオチだから近づかないよう警告するのですが、「中尉が無事ならそれでいい」と聞く耳を持ちません。

結局ラザンの返り討ちに遭ったラーディッシュはあえなく撃沈します。ヘンケン艦長は最後の最後までエマのことを心配し、エマの無事を確認した上で力尽きてしまいます。そこには、茫然とするエマとヘンケン艦長の死に絶叫するカミーユ・ビダンの姿がありました。

豪放磊落な性格で艦艇では部下から慕われていたヘンケン艦長。ところが一部のガンダムファンの間で、彼には無能という評価が下されていると言います。なぜヘンケン艦長は、無能呼ばわりされる羽目になったのでしょうか？

ヘンケン艦長が無能と言われる理由は、前項で解説した彼の最後に関係しているようなのです。愛するエマがヤザンの攻撃を受け、絶体絶命の窮地に陥ります。そこでヘンケン艦長は危険を冒しても助けるべきか、それとも艦長として隊員の安全を考えるべきか悩みます。

最後にヘンケン艦長の下した決断は、エマ救出のため戦艦ラーディッシュで敵地に突っ込んでいくことでした。エマ1人のために結果として部下の命を犠牲にしてしまったのです。艦艇を預かる責任者にもかかわらず、個人的な感情を優先した行動は誹りを免れないでしょう。こうしたことから、ヘンケン艦長には「無能」という烙印が押されることになったのです。

ガンダムファンの間では、最後の最後で無能の烙印が押されてしまったヘンケン艦長ですが、それまでには数々の戦果を挙げています。ここでヘンケン・ベッケナーが艦長として活躍した歴代戦艦を振り返ってみましょう。

ヘンケンは、まず一年戦争ではスルガの艦長に、そして8年後のグリプス戦没ではアーガマの初代艦長に就任します。その後、エゥーゴに参入してきたブライト・ノアにアーガマ艦長の座を禅譲すると、自らは新たに建造されたラーディッシュの艦長に就任します。ブライト・ノアとヘンケンの地位は同じ中佐でしたが、ブライトは先輩ヘンケンに敬意を払って接していました。

ここからは、テレビアニメ機動戦士Zガンダムでヘンケン艦長役を演じた男性声優の小杉十郎太（こすぎ・じゅうろうた）を紹介していきます。最初はプロフィールからになります。

小杉十郎太は、1957年12月19日生まれで神奈川県横浜市南区出身の声優で、渋くセクシーな声を武器にナレーターや歌手としても活躍しています。高校生の頃、声優の仕事に興味を覚えたという小杉。日本大学芸術学部に入学し放送学科を専攻します。卒業を前にテレビやラジオ局のアナウンサー試験を受験しますが、ことごとく不合格となります。

卒業後は松竹株式会社に入社し、4年間のサラリーマン生活を送ります。松竹在籍中のある日、CMのナレーションの仕事を紹介された小杉は、大沢事務所を介して「人生ゲーム」のナレーションを担当。ところが副業が松竹の上層部にばれて退職に追い込まれてしまいます。その後は、正式に大沢事務所と契約を結び声優業に専念することになりました。

小杉十郎太の正式な声優デビューは、1985年に始まった本作・機動戦士Zガンダムで、ヘンケン艦長役のほかにナレーションも務めています。

次に、テレビアニメ機動戦士Zガンダムでヘンケン艦長の声を演じた、小杉十郎太の主なアニメ出演作や演じたキャラを一覧で紹介します。

• ONE PIECE（アーロン、スコーピオン）
• NARUTO-ルト-（猿飛アスマ）
• ハヤテのごとく!（タマ）
• 金田一少年の事件簿（剣持勇）
• 巌窟王（フェルナン・ド・モルセール将軍）
• ふたりはプリキュアSplash Star（キントレスキー）
• それいけ！アンパンマン（やきそばパンマンほか）
• 怪盗ジョーカー（プロフェッサー・クローバーほか）
• 少女革命ウテナ（鳳暁生）
• サムライフラメンコ（要丈治）

ここからは、ヘンケン艦長の名言や名セリフを紹介していきます。最初は部下の進言を退けた時に放った名言からです。

ある時、ライラ率いるガルバルディ隊が急襲をかけてきます。女性士官のレコア・ロンドが「キャプテン！」と叫び、ノーマルスーツを着るように促します。ヘンケン艦長は「やられるつもりはない…」と突き放します。

ところが、上官のブレックス准将が「着るのだ！その間、私が代わる！」と諭すと、一転素直にスーツを装着します。それならレコアが進言した時に装着すればよかったのに、と思った方も多かったことでしょう。

テレビアニメ第25話では、エマに恋心を抱くヘンケン艦長が遮二無二放った名言になります。コロニー防衛のため核パルスエンジンを攻撃する作戦を指揮するヘンケン艦長。作戦にパイロットとして参加するエマを思いやり、出撃前の彼女に向かってこう話しかけました。

しばしの沈黙の後、「私、結婚は考えていませんから…」と言って、エマはその場を後にしました。失言だったと気付いたのか、ヘンケン艦長は気まずそうな表情を浮かべます。恋に不器用な彼の一面が垣間見れる一言ではないでしょうか？

この名言は、テレビアニメ第5話の中で飛び出します。ブレックス准将とヘンケン艦長は、盗聴の恐れのないエレベーターの中で赤い彗星すなわちシャア・アズナブルについて情報交換をしていました。

ジオングを見たことのないヘンケンですが、クワトロ大尉の戦い方を目にしただけで赤い彗星の力を感じたといいます。ヘンケン艦長は慧眼の持ち主と言うべきでしょうか？ファンの間では、この名言は疑わしい人物を特定するときに使うと効果的と言われているようです。

最後に紹介するのは、テレビアニメ第49話でヘンケン艦長が発した名言になります。危険を冒しても愛するエマを助けるべきかどうか悩みに悩んだ末に決断を下したヘンケン艦長。結果的には、この行動が自分だけでなく部下の命をも犠牲にし、後に「無能」呼ばわりされる原因ともなってしまいました。

ここまで機動戦士Zガンダムのヘンケン艦長特集をお届けしてきましたが、最後にヘンケン艦長に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介する感想・評価は、ヘンケン艦長に好意的なツイートからです。ヘンケン艦長が最後に取った行動についても理解を示していました。

続いて紹介する感想・評価は、ヘンケン艦長の恋愛事情に関するツイートからです。エマへのプレゼントをレコアに託すシーンを取り上げ、不器用だけどそこがいいと呟いていました。

Twitter上にはヘンケン艦長に好意的なコメントが多いようなのですが、最後に紹介するのは手厳しいツイートになります。ヤザン相手に戦艦で特攻するなど無謀で無能、何より道連れにされたクルーたちはたまったものではないと酷評していました。

ここまで、テレビアニメ「機動戦士Zガンダム」に登場するヘンケン艦長にスポットを当て、ヘンケン艦長の最後やエマとの関係、そして無能と言われる理由について考察してきました。いかがでしたでしょうか？

新造艦船ラーディッシュをはじめ数々の重要艦船の統率を任されクルーからの信頼も厚かったヘンケン艦長。ところが、一目ぼれしたエマを救うため下した決断が自分だけでなく部下の命をも犠牲にしてしまい、無能の烙印を押されることになりました。しかし、Twitterの感想にもあったように、殺伐とした機動戦士Zガンダムにあって人間的な温かみのあるヘンケン艦長は、貴重な存在と言えるのではないでしょうか？