【もののけ姫】タタラ場にいる人はハンセン病患者?エボシとの関係は?最後は治った?

もののけ姫の作中の中で登場したタタラ場において包帯に包まれた集団がハンセン病患者であるとされているのをご存知でしょうか?エボシに引き取られた彼らは新しい石火矢の製造を任されています。またもののけ姫の最後にはハンセン病が治ったかのような描写も見られます。今回はもののけ姫に登場したハンセン病患者について、エボシとの関係性から最後の描写までまとめて紹介していきます。

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目次

  1. もののけ姫とは?
  2. もののけ姫でタタラ場にいる人はハンセン病患者?エボシとの関係は?
  3. もののけ姫の最後でハンセン病は治った?
  4. もののけ姫のハンセン病患者がいるタタラ場を考察
  5. もののけ姫のハンセン病に関する感想や評価
  6. もののけ姫のハンセン病まとめ

もののけ姫とは?

もののけ姫の概要

もののけ姫は1997年にスタジオジブリが公開した宮崎駿監督が手掛けた長編アニメーション映画です。公開当時には日本の歴代興行収入を塗り替える程に高い人気を誇った作品で、スタジオジブリの長編アニメーション映画作品としては9作品目の作品になっています。同時にデジタル技法を積極的に取り入れた作品であり、以降の作品から完全にデジタルに移行した事でスタジオジブリ最後のセル画を用いた作品にもなっています。

もののけ姫のあらすじ

エミシの村の少年アシタカは村を襲ったタタリ神を退治した事で右腕に呪いを受けてしまいます。村の掟により呪われたアシタカは村を出る事になり、アシタカはこの呪いを解く為の旅をする事になります。いくつかの出会いを経てアシタカはシシ神が住む森に向かいます。そこで出会う事になるのが山犬と共にいる娘、サンでした。

もののけ姫 - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

もののけ姫でタタラ場にいる人はハンセン病患者?エボシとの関係は?

ハンセン病とは?

ハンセン病は別名癩病(らいびょう)とも呼ばれる病気で、「らい菌」に感染する事で発症する病気で、主な症状としては手足の痺れや皮膚のただれがあり、完治後にも指や顔が変形してしまう後遺症も存在していた病気です。その見た目の異常性や感染するという事実もあって世界中で差別の対象になってしまった過去がある病気です。

現代では既に多くの人が免疫を獲得している他、感染力が弱い事、特効薬も開発されているもあって仮に発症したとしても早期に完治する病気になっていますが、古くは古代エジプトの古文書にもハンセン病の記載がある程、人間の歴史の中に常に存在してきた歴史の古い病気の1つです。

日本であったハンセン病患者への差別

実際に日本でもハンセン病患者に対しては国が主導する程の差別が行われてきました。「らい予防法」と呼ばれる法律によってハンセン病患者は強制収容される他、家族に影響が出ないように偽名を名乗る事を強制される程だったのです。長らくその意識があった為、治療法が確立された20世紀になってもこれらの政策は残っており、また国民の意識の中にも差別意識が残っていたとされています。

特に国が主導して隔離政策を行った事が余計に一般人の不安を煽る結果になっており、より差別を加速させる結果になっています。しかもこの国主導の隔離政策の象徴ともいえる「らい予防法」は1996年を最後に廃止されるまで続いていた法律になっています。

タタラ場にいる包帯の人はハンセン病患者だった?

そんなハンセン病患者患者が登場している作品になっているのがもののけ姫です。登場シーンは主にタタラ場で、エボシが「私の庭」と呼ぶ別棟にいる包帯を巻いた人達の正体がハンセン病患者になっています。彼らは顔も手も包帯で巻いて外から見えないようにしている他、身体が欠損している者もいる描写がありましたがこれらは全てハンセン病の症状の結果と対応とも言えるのです。

もののけ姫の公開当時はまだこの包帯の人達がハンセン病患者であると明言されていたわけではありませんでしたが、その後のインタビューなどによって彼ら包帯の人達がハンセン病患者である事が宮崎駿監督が明言しています。

エボシは「労働力」としてハンセン病患者を使うことにした

もののけ姫は室町時代を舞台とした作品であり当時はまだハンセン病患者への強い差別が残っていた為、ハンセン病患者は人として扱われていませんでした。そんなハンセン病患者を引き取り「労働力」として目をつけたのがエボシです。エボシはハンセン病患者が安心してくらせる場所を提供する代わりに、明から持ち込んだ石火矢に変わる新しい石火矢の開発に着手させていたのです。

もちろん中には既に作業が出来ない程身体が弱ってしまい寝込んでいる者もいましたが、彼ら全員がエボシに感謝しており、その様子を見たアシタカに対し「エボシ御前のみが自分たちを人として扱ってくれた」とも発言しています。

ハンセン病がもののけ姫で描かれた理由

もののけ姫にハンセン病患者が登場した理由についてもまた監督の宮崎駿監督が後に答えています。もののけ姫は室町時代を舞台した作品であり一種の時代劇であると考えた宮崎駿監督は、時代劇=その登場人物は武士や百姓だけというのは間違いだと考えたそうです。そこで側面として描かれる事になったのがハンセン病でした。

加えて当時宮崎駿監督が住んでいた場所の近くにハンセン病患者の治療所跡があった事も加わり、ハンセン病患者をもののけ姫作中に登場させたとされています。余談ですが同じ「普通は描かれない部分を描く」という意味ではタタラ場が物語の舞台の1つになっているのも同様の理由です。室町時代はタタラ場で働く者は身分が低く差別の対象になっていたりもしているのです。

ハンセン病は千と千尋の神隠しにも登場?

スタジオジブリではもののけ姫のハンセン病と同じく何度か特定の病気を作中に登場させた事があります。「風立ちぬ」のヒロイン菜穂子や「となりのトトロ」のサツキとメイのお母さんは「結核」が理由でそれぞれ治療を受けている事も明らかになっているのです。

その一方でそういったイメージからか「全ての作品になんらかの病気の患者が登場しているのではないか」とも噂されており、ハンセン病に関しては千と千尋の神隠しでも描かれているのではないかとされています。しかし千と千尋の神隠しにはそのようなキャラクターは登場しておらず、宮崎駿監督を始めスタジオジブリ関係者からもそのような話は飛び出していません。

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もののけ姫の最後でハンセン病は治った?

ラストでハンセン病は治ったと考えられる

ハンセン病患者が登場するもののけ姫ですが同時にもののけ姫にはこのハンセン病患者のハンセン病が治ったと思われる描写も存在しています。それは最後のシーンでの事で、アシタカとサンがシシ神に首を返した時の事です。力を取り戻したシシ神によって死んだ森が再生していく中、タタラ場の守りについていたハンセン病患者の1人の包帯が取れ、両手が元が治っている様子に驚き見入っているという描写があるのです。

元々もののけ姫作中では包帯の集団=ハンセン病患者と明言していたわけない為、明確に「ハンセン病が治った」という描写こそないものの、わざわざ再生していく森のシーンにこのようなシーンが入っている事からこのシーンで描かれたハンセン病患者はもちろん、別棟にいる他のハンセン病患者達のハンセン病も治ったのではないかと考察されています。

余談ですが、この最後のシーンで治ったと思われるのはハンセン病患者のハンセン病だけではありません。アシタカにかかっていた呪いもまた治っていると考えられているのです。ただアシタカの場合は元々が病気ではなく呪いである事もあってか痣は残っており、ある種の戒めのようになっています。

ラストでハンセン病が治った理由

もののけ姫の最後のシーンとして森の再生と共に取り入れられたハンセン病が治るシーンですがそのシーンを取り入れられた理由としては「ハンセン病は既に治る病気である」という事を宮崎駿監督が表現したかったのではないかと考察されています。元々宮崎駿監督が作るスタジオジブリ作品はメッセージ性の強い作品である事もあってハンセン病患者を登場させた事で認知度を上げたい、治る事も示したいと考えたのではないかとされています。

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もののけ姫のハンセン病患者がいるタタラ場を考察

タタラ場に子供がいない理由

ハンセン病患者が登場するタタラ場ですが、反面、他のジブリ作品だと多く登場する子供がいる様子がないのも大きな特徴になっています。その理由はもののけ姫に登場するタタラ場は様々な理由から危険な場所であり子供が暮らせる場所ではない為と考えられています。そもそもタララ場とはタタラ製鉄を行う製鉄所であり、その規模も決して大きいものではありません。

加えてもののけ姫は室町時代を舞台にしているのでその先には戦国時代があり、既に侍の争いなども起きている様子も描かれています。この時代にはまだまだ貴重な鉄を持つタタラ場はいつ狙われてもおかしくない立場にあり、実際もののけ姫作中でもエボシの不在を狙った野武士集団に狙われる描写もあります。それらが子供が安全に暮らせる場所ではない理由になっています。

タタラ場に女性が多い理由

加えてもののけ姫に登場するタタラ場のもう1つの特徴が男性より女性が多い事にもあります。本来タタラ場は力仕事である為、女人禁制であり、もののけ姫の世界でもそれは変わりません。この常識を打破しているのもまたエボシです。エボシは売られた娘を見ると引き取ってきている為、相対的に女性が増えていくのです。

またまだまだ集落と言っても過言ではない規模しかないタタラ場にとって、男手は警備や外回りの仕事などもっと優先して回すべき場所があります。結果的にタタラ場の中の仕事は女手が中心になって担う事になるのです。

エボシがハンセン病患者や女性を助ける理由

男尊女卑が当たり前の室町時代において女尊男卑とも言える環境を作り出しているエボシですが、そんなエボシがハンセン病患者や女性のような社会的弱者に置かれていた者達を積極的に助けていたのにも理由があります。それは映画もののけ姫作中では語られていないエボシ自身の過去に関係しているのです。実はエボシ自身海外に売られた過去があり、そこで海賊「倭寇」の頭目の妻にされていた過去があるのです。

結果的にエボシは自らその海賊の頭目を殺した事で明の財宝や当時最新の技術である石火矢の技術を持って帰国する事になりました。そんな過去を持つエボシだからこそ同じ境遇にある女性やハンセン病患者らを放っておく事が出来ないのです。それがエボシが女性やハンセン病患者を助ける理由であり、周囲に疎まれてでもタタラ場を存続させるべく奮戦していた理由になっています。

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もののけ姫のハンセン病に関する感想や評価

ここからは既にもののけ姫を視聴した人のハンセン病の扱いなどについての感想をまとめて紹介していきます。もののけ姫のタタラ場には裏設定も多く、元々はハンセン病であるとも明言されていませんでしたが、明らかに差別を受けていただろう描写などがあり、ハンセン病患者達がエボシに対して恩義を感じる所に深い世界観を感じるという声が多くなっています。

特に近年ではその設定が深く考察された事で悪の存在として扱われる事もあるエボシですが、そんなエボシが居たからこそ救われた命もある事がもののけ姫の凄さであるとする声も見られる結果になっています。特に環境問題意識が高い海外ではより悪としての側面が目立つとされるエボシですが、ハンセン病患者に対しての扱いに関しては賛辞を受ける事にもなっています。

しかももののけ姫では最後にはハンセン病が治る描写もありこういう細かな描写の入れ方が良いという声も多くなっています。それも直接的には喜ぶ様子はなく包帯が緩み、本人だけが驚いている様子を見せているというのが良いという声も見られる結果になっています。

ただ最後のハンセン病患者が治るシーンは非常に細かくもののけ姫を最後まで何度も視聴した事のある人でも最近になってようやく気づいたという声もある程になっています。そういった初見では気づかない程に細かな部分まで丁寧に描いているのがもののけ姫の凄さであり見る度に発見があり考えさせられる内容がもののけ姫が高い人気を誇る理由になっているのではないかとも考察されています。

元々メッセージ性の強い作品が多いスタジオジブリ作品の中でも特に自然に対してのメッセージが強いとされるもののけ姫ですが、それ以外にも様々なメッセージ性があり、特にコロナの大流行を受けて改めて考えさせられたという声も増えています。

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もののけ姫のハンセン病まとめ

もののけ姫ではハンセン病患者がエボシの部下として登場しています。世間から差別された彼らを引き取り労働力として新石火矢を作っている包帯の一団がハンセン病患者である事は公開当初こそ公式設定ではありませんでしたが後に宮崎駿監督が認める形で公式にハンセン病患者であった事が明らかになりました。

メインの登場人物というわけではない為、セリフや描写こそ決して多くはありませんがそこには僅かなシーンながらも強いメッセージ性があるのがもののけ姫の凄さであるという声もある程になっており、最後にはしっかりと治った描写も入れられる結果になっています。既にもののけ姫を視聴している人もハンセン病患者にも改めて注目しつつ今一度視聴してみてはいかがでしょうか?

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