【無職転生】厳しき大峰のタルハンドの強さと正体は？過去や最後もネタバレ解説

無職転生にて炭鉱族として登場したのが厳しき大峰のタルハンドです。今回はそんなタルハンドについてまとめて紹介していきます。

厳しき大峰のタルハンドが活躍した無職転生～異世界行ったら本気だす～は2012年から2015年の間、小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載されていたのちに「なろう系」と呼ばれる異世界転生ハイ・ファンタジーの先駆け的な存在の作品です。小説家になろうサイト内でも高い人気を誇った無職転生は2013年10月から2019年2月までの長期の間、累計ランキングで1位を維持し続けていた作品でもあります。

無職転生は2014年1月にはMFブックスレーベルより書籍化も行われ、2014年には本編の漫画化、さらには多数に渡るスピンオフ漫画の展開などメディアミックス展開も積極的に行われ、2021年にはアニメ化も行われた作品です。

現代日本でいじめをきっかけに20年近く引きこもっていた主人公は両親の死をきっかけに兄弟に見限られ家を追い出されてしまいます。街を彷徨う中、トラックに引かれそうになっていた高校生3人を助けようとして死亡した主人公は気がついたら赤ん坊「ルーデウス」として記憶を残したまま異世界転生をしていました。前世のトラウマと教訓を活かし今度こそは真剣に生きると決めたルーデウスは少しずつ異世界に慣れていきます。

タルハンドは無職転生の主人公ルーデウスの両親であるパウロとゼニスが結婚前に組んでいた冒険者パーティー「黒狼の牙」の元メンバーの1人として登場する炭鉱族のキャラクターです。その正体である炭鉱族らしく身長は145cmとされるロキシーと同じくらいながら横幅は2倍程ある体つきと、長い髭が特徴的なキャラクターです。冒険者としてはS級冒険者として扱われる程の強さを持ち合わせたキャラクターになっています。

ミリス大陸の大森林に住む炭鉱族の風習の1つとして同年代の子供を1つにまとめて兄弟として育てるというものがあり、タルハンドは51人兄弟の37番目として生まれ育ちました。その後、とある理由で集落を飛び出し冒険者として活動する事になります。炭鉱族は人に比べて長寿である為、既に年齢は100歳を越えている一方で、船が苦手で船酔いしてしまうという弱点も持っています。

低身長でずんぐりとした見た目のタルハンドはファンタジー世界によく登場する「ドワーフ」に近いイメージの見た目をしています。そんなドワーフに近い見た目のタルハンドはドワーフのイメージもあってか無職転生作中でもかなりの酒好きとして知られています。無職転生作中でも街行く街で酒場に出入りして情報を集めていた他、キシリカと飲み比べをするシーンがあるなどお酒に関わったエピソードも多いです。

無職転生に登場するベガリット大陸にはサキュバスが存在し、イメージ通り男を狂わせる存在となっています。魔物としては女性にとってはEランクながらも男性にとってはCランクに分類される特殊な扱いを受けているサキュバスですが、タルハンドはそんなサキュバスを関係なく狩る事が出来ます。この強さの正体は実はタルハンドがサキュバスの毒が効かない程の真正のゲイであるのが由来です。

ただし同じ黒狼の牙のメンバーであり、解散後も交流の深いエリナリーゼと違い、フリーの男なら見境なく誘うタイプではない為、エリナリーゼと違い黒狼の牙の男性メンバーからも特に警戒されるような事はありませんでした。ただ無職転生作中においては現代の知識を持つルーデウスはタルハンドがゲイだと知った際に悪寒を感じるシーンなどもあります。

その見た目からは想像も出来ませんが、黒狼の牙として活躍した頃のタルハンドは実は魔術師というポジションでした。過去の経験から魔術に傾倒しており、風と水の魔術を扱えた事と、パーティのメンバーに既に前衛として優れたパウロ、ギレーヌ、エリナリーゼと揃っていた事などが要因であるとされています。

ただ魔術師としての実力は中級程度であり、決して魔術師として優れた才能を持っていたわけではありません。無職転生の舞台となる六面世界では魔術は初級、中級、上級の上にさらに聖級、王級、帝級、神級と存在しており、ロキシーが水の聖級魔術師、ルーデウスが魔術を主体としている事もあって無職転生作中でも魔術で目立った強さを発揮するシーンはないです。

黒狼の牙では魔術師として活動したタルハンドですが、黒狼の牙解散後は前衛もこなすようになりました。これにより状況に合わせて前衛で戦ったり、魔術で補助する魔法戦士として臨機応変に立ち回るようになりこれが無職転生の他のキャラクターにはないタルハンド独自の強さとなっています。無職転生作中では特に特別な名称などは登場していませんが前衛としては斧を獲物としています。

魔術も前衛もこなせる強さを誇るタルハンドですが、弱点としては冒険者としては致命的なまでに足が遅い事だとされています。この鈍足という弱点は相手の攻撃を避けられないという事ですが、タルハンド自身もその弱点をしっかり認識しており、黒狼の牙時代から魔術師としては通常は用いない頑丈な鎧を着込む事で、敵の攻撃を受けながらも魔術が発動するという対策をとっています。

タルハンドはミリス大森林の中にある炭鉱族の縄張りで51人兄弟の37番目として生まれます。炭鉱族では同年代の子供を兄弟として育てる事で家族間の貧富の差をなくしスムーズな関係を構築出来るようにという風習の通り、タルハンドも他の炭鉱族の者と共に育っていきます。そんな中、タルハンドのすぐ下の38番目の兄弟にゴッドバルドがいた事がタルハンドの運命を変える事になります。

ゴッドバルドは同年代の兄弟の中でも優れた才能に恵まれていました。元々手先が器用な事も種族の特徴である炭鉱族ですが、ゴッドバルドはその才能を見込まれ炭鉱族が名乗る世界で最も優れた鍛冶師が持つ称号である「鉱神」になる「次期鉱神候補」として兄弟の中でも特別扱いを受けるようになります。鍛冶や手芸、土魔術など鉱神になるのに必要な知識を徹底的に教え込まれる事になります。

そんなゴッドバルドをすぐ側で見ていたタルハンドが抱いた感情は嫉妬ではありませんでした。実際にタルハンドは自身が作る物がゴッドバルドの作った物より劣っていると分かってしまった為です。その為、タルハンドはゴッドバルドの役に立ち彼の片腕になれるように努力するようになりました。

そこでタルハンドが取り組んだのが魔術の体得でした。炭鉱族では鍛冶に必要な土魔術は教わりますが、それ以外の魔術は教わりません。しかしタルハンドは鍛冶には水や風の魔術も必要だと考え、ゴッドバルドの後押しも受けて魔術の体得に励むようになります。

炭鉱族にとっては重要視されない水や風の魔術に傾倒するタルハンドは他の炭鉱族の者から受け入れられず孤立していく事になりますが、タルハンドはこれを気にせずに修行に明け暮れました。余談ですがここで覚えた水と風の魔術は後に冒険者になった後のタルハンドを支える事になります。

炭鉱族では新たな鉱神を任命する際、5本の剣を打ってそれを最も頼れる者に渡し彼らが次世代の幹部として村を支える存在となるという風習があります。ゴッドバルドが鉱神になる際にもその風習は行われタルハンドはこれに立候補しますが、ゴッドバルドはタルハンドを選びませんでした。

ゴッドバルドがタルハンドを選ばなかった理由はタルハンドが水と風の魔術に傾倒するあまり、鍛冶の技術を磨くのを疎かにしていた事です。実際魔術の修行ばかりしていたタルハンドは1人ではまともな剣を打つ事ができなくなる程でした。これまでゴッドバルドを支える事を生きがいにしていたタルハンドはこれにショックを受け元々村で孤立していた事もあって最後には村を出る事になります。

村を出たタルハンドはその後、冒険者として1人で活動するようになります。その後冒険者ランクが上がっていきBランクになった頃、エリナリーゼと知り合う事になります。2人で冒険者として活動するようになった後、パウロと知り合い、そこにギースとギレーヌを仲間に加えた事で「黒狼の牙」が結成される事になります。その後、パウロがゼニスを妊娠させた事で黒狼の牙が解散された後も冒険者として活動を続けていました。

無職転生にてタルハンドが初めて登場したのはフィットア領転移事件後でした。パウロが出していた協力依頼に応える形でフィットア領の死亡者リストを示した掲示板の前で、エリナリーゼと共にロキシーと出会う事になるのです。その後はロキシー、エリナリーゼの3人で魔大陸へと渡りパウロの家族の手がかりを探す事になります。

実はこの時、とある街でルーデウス一行とロキシー一行はニアミスをしていますが、ルーデウスの名前が正しく広まっていなかった事もあり、結局出会う事なくそれぞれの旅路を続ける事になります。

その後、クラスマという街で魔界大帝キシリカと偶然出会った事でタルハンドはキシリカと飲み比べをする事になります。酒豪として飲み比べに自信を持つタルハンドでしたがこの飲み比べに敗北する事になってしまいました。翌日、その飲み比べの影響で荒れた店をタルハンドのお金で補填するロキシーに魔界大帝キシリカがパウロとその家族の居場所を教えた事でロキシー一行はその居場所を知る事になります。

その後ロキシー達は、家族の居場所をパウロとルーデウスに伝えるべく、船が苦手なタルハンドはロキシーと共にミリス神聖国を目指す事になり、「パウロの顔を見たくない」という理由でルーデウスに伝えにいくというエリナリーゼと別行動をする事になります。

その後パウロと合流したタルハンドは魔界大帝キシリカの情報を元にペガリット大陸にある「転移の迷宮」の攻略に挑む事になります。当初はパウロ、タルハンド、ロキシー、ギースの4人でこの「転移の迷宮」に挑んでいましたが、この転移の迷宮の正体は危険度がかなり高い迷宮であった事、さらに捜索の中でロキシーが行方不明になってしまった事でギースがルーデウスに救援を要請する事になりました。

ちなみにこの間、無職転生本編ではルーデウスはエリナリーゼからゼニスの居場所とパウロが向かっている事を聞かされた事で安心した事もあり、魔法大学に入学していました。しかしこの救難要請を受けてルーデウスはエリナリーゼと共にパウロ達に合流、これにより、捜索が進み、まずはロキシーを救出、その後、迷宮の最後の階層にてゼニスを救い出す事に成功します。

しかし迷宮の最後の階層を守る「迷宮の守護者（マナタイトヒュドラ）」との戦いになり、ここでパウロは命を落としてしまいます。なんとかマナタイトヒュドラを倒したものの、パウロを失い落ち込んだルーデウスと心神喪失状態になったゼニスを連れてラノア王国シャリーアにあるルーデウスの家に最後まで責任を持って彼らを連れて帰りました。

無職転生本編でのタルハンドの活躍の最後は実はここまでで、その後については最後まで描かれる事はありませんでした。しかし本編終了後の無職転生蛇足編にて無職転生ゼニス奪還編を最後にその後の活躍が描かれなかったタルハンドの物語が描かれる事になります。

ルーデウス達を家に送り届けた後、タルハンドはアスラ王国に渡りました。そこで迷宮で手に入れた財宝を換金し、冒険者として活動しながら鍛冶の修行を始めます。タルハンド自身も何故突然そんな事を思ったのか分からないとの事でしたが、その気持ちの正体はルーデウスの家族を見てルーデウスがしっかり家族を養っているのを見た触発されたのではないかとされています。

タルハンドが鍛冶の修行を続ける中、同じく迷宮から財宝を持ち帰ったギースがギャンブルで借金をこしらえた事でそれを肩代わりして財産を失ってしまいます。再びお金を稼ぐ必要が出たタルハンドは比較的平和で冒険者の需要が低いアスラ王国を離れ、冒険者の需要があるミリス神聖国に渡り首都ミリシオンにて鍛冶場を借りる事になりました。

その後タルハンドがルーデウスの知り合いという事もあり、ルーデウスが設立のアイデアを出したルード傭兵団にも利用された事もあり、ルード傭兵団の支部長がスポンサーになる形で自身の鍛冶場を構える事になります。

それから数年後、ルーデウスが家族旅行としてゼニスの母であるクレアに会いにミリス神聖国を訪れる事になります。そこから数日後、ルーデウスはタルハンドに合流しました。ルーデウスはこの時、鉱神に会いたがっておりその手段としてタルハンドを頼ったのです。過去をネタバレしたようにゴッドバルドが現在の鉱神だという事までルーデウスは知っていました。

タルハンドにとってもルーデウスの家族を見た時にいつかは故郷へ帰らなければならないと感じており、この申し出を受ける事になります。ちなみにタルハンドはこの気持ちの正体をルーデウスがパウロの死という過去と向き合い生きているのに対して、自身は過去から逃げていると感じた為であると考えています。

鉱神には「世界中の鍛冶師がこれぞというものを打った時にその出来を見る義務がある」という事を利用し、ルーデウスの魔術で作った素材をタルハンドが自身の工法で打つ事で剣を作り出し、この剣を見せにタルハンドは帰郷する事になります。

故郷に帰ったタルハンドは早速ゴッドバルドに自身の打った剣を見せます。ゴッドバルドはこの剣を「信念が宿った良い剣だ」と賛辞を送った上で、「材料と工法を知りたい」と説明を求めます。これこそがタルハンドがゴッドバルドからずっと言ってもらいたかった言葉であり、この言葉でタルハンドは過去を清算する事になりました。

その後タルハンドは最後にゴッドバルドに里に留まるようにと求められますがこれを断りミリシオンに自身の鍛冶場を設けたこと、死ぬまでそこにおるだろうよと今後はその鍛冶場で生きていく事を伝えます。ちなみにこの時、ゴッドバルドはルーデウスが作った剣の素材となった黒石塊にも関心を示しており、結果的にタルハンドはゴッドバルドとルーデウスをつなぐ役割もしっかりと果たしています。

これがタルハンドについて描かれた最後のエピソードになっており、ミリシオンの鍛冶場に戻ってからのタルハンドについては不明になっています。ただしその行く末については、タルハンド自身が語ったようにミリシオンにある鍛冶場でその最後を迎えたのではないかとされています。

アニメ無職転生にてタルハンドの声優を担当したのが大塚芳忠さんです。1980年代から活躍する声優さんでバリトンの声域をもっています。高い技術を持っている故に演じるキャラクターの幅は広く、作中で特に難しいと言われるキャラクターを演じる事も多いです。アニメでの声優としてはもちろん、海外吹き替えやナレーターなどとしても活躍しています。

大塚芳忠さんがこれまでに演じてきたキャラクターとしては「スラムダンク」の仙道彰役、「銀魂」の阿伏兎役、「NARUTO」の自来也役、「ワンピース」のゼファー役及びノーランド役、「とある魔術の禁書目録」の左方のテッラ役、「幼女戦記」のハンス・フォン・ゼートゥーア役、「ゴールデンカムイ」の鶴見中尉役、「鬼滅の刃」の鱗滝左近次役、「転生したらスライムだった件」のハクロウ役などがあります。

ここからは既に無職転生を視聴した人のタルハンドに関しての感想を紹介していきます。タルハンドはしっかりとした経歴もあるキャラクターですが、その活躍は局所的である事、特に2022年1月時点では無職転生ゼニス奪還編がアニメになっていない事もあり、酒豪としてのイメージが強く戦闘面での強さやその正体について分からない部分が多いキャラクターとされています。

同じくロキシーに同行していたエリナリーゼのインパクトもあって地味な印象があるという声も見られ、タルハンドが好きな人からはその強さやキャラクター性が遺憾なく発揮される無職転生ゼニス奪還編やその正体が明らかになる蛇足編も早くアニメ化してほしいという声も多くなっています。

その過去についても黒狼の牙メンバーの中では比較的軽いものだったという声もあり、結果的にその過去がルーデウスと繋がっていなければ無職転生作中で蛇足編だったとしても描かれる事もなかったのではないかともされる程になっています。

無職転生ではそれぞれのキャラクターの結婚が描かれ、黒狼の牙のメンバーも結婚しているキャラクターが多い事もあり、タルハンドの恋愛事情が気になるという声も多くなっていました。恋愛話も多い無職転生作中において違和感を覚える程タルハンドについての恋愛については描かれてこなかったのです。そんな中で描かれなかった理由の正体がゲイである事だとカミングアウトされた時には流石に驚いたという声も多くなっています。

ただタルハンドがゲイである故に男性の精を受けなければいけない呪いを持つエリナリーゼとその正体を知っても尚、長年パーティを組めたのではないかという声もあり、ある種冒険者としては相性の良い2人とも言われています。

アニメ無職転生にてタルハンドの声優を務めた大塚芳忠さんに関しては流石の演技力だったという声も多い一方で元々のタルハンドの声のイメージとは少し違ったという声も見られる結果になっています。もう少し声が大きいイメージが強かったという声も多く意外と落ち着いた感じの喋りになっていてそれが逆に良かったという声も多いです。

無職転生のタルハンドの正体は炭鉱族の酒好きな老魔術剣士であり、鍛冶師としても活動する事になるキャラクターです。過去にはゴッドバルドに選ばれなかったという過去を持っていましたが最後にはそんな過去の思いにも清算を付け、鍛冶師として真っ当に生き残ったキャラクターになっています。

無職転生の主人公であるルーデウスにとっては父の元仲間という事で少し遠い関係性ながらも要所で物語にも絡んでおり、その強さや正体、過去から最後までがしっかり描かれたキャラクターの1人です。まだ無職転生を視聴していない人はタルハンドの強さや活躍にも注目しながら視聴してみてはいかがでしょうか？