【黒執事】ヴィクトリア女王は死神に認められた人間？過去や黒幕説を考察

本記事のメインテーマであるヴィクトリア女王の話題に入る前に、まずは「黒執事」の作品情報を紹介します。最初に作品概要、そして簡単なあらすじへと続きます。

枢やなによる漫画作品「黒執事」。月刊Gファンタジーの2006年10月号に掲載され現在も連載中です。19世紀末期のイギリスを舞台とした歴史ドラマの要素を持つダークファンタジー作品となっています。単行本は30巻まで刊行され、世界累計発行部数は、2021年1月現在3000万部を記録しています。

メディアミックス展開としては、2007年ドラマCD、2008年テレビアニメ、2014年実写映画がそれぞれ制作され、また2009年5月には舞台上演もされています。

舞台は19世紀末のイギリス。名門ファントムハイヴ伯爵家の当主に就いた弱冠12歳のシエル・ファントムハイヴは、何事にも完璧な執事セバスチャン・ミカエリスに支えられ職務を遂行していました。このシエルには両親を殺害され自らも誘拐された暗い過去がありました。実は執事セバスチャンはその時に遭遇した悪魔。シエルは自身の魂と引き換えにセバスチャンの力を借り、両親を死に追いやった敵を追っていたのです。

ヴィクトリア女王とは、1714年から1901年まで続いたハノーヴァー朝の第6代女王で、現イギリス女王・エリザベス2世の高祖母にあたる人物です。

63年に及ぶ在位期間に大英帝国は栄華を極め、「太陽の沈まない国」と称されまでに発展します。その政治的手腕や流行の先端を行くファッションセンスは国民から絶大な支持を集めていたと言われます。

黒執事に登場するヴィクトリア女王の性格には二面性がありました。普段は口調も穏やかで可愛らしい女性。最愛の夫アルバートが先立つと、その後10年間も喪に服しました。時折アルバートを思い出しては枕を濡らすこともあったほど。そんな時は馬丁のジョン・ブラウンが優しく慰めます。お手製のアルバート人形を使ってアルバートの声音で話しかけるのです。

そんなヴィクトリア女王でしたが、英国のためとあらば冷酷な手段も厭いません。その結果、大英帝国には空前の繁栄がもたらされました。また、普段は「ぼうや」と呼んでかわいがっていたシエルも例外ではありません。ノアの方舟サーカス事件で虚偽の報告をし反発するそぶりを見せたシエルには、厳しいお仕置きをしています。

黒執事のヴィクトリアは、死神に「世界に有益となる人物」と認められ、死を回避した人物とされています。黒執事では、世界の4分の1を植民地として支配下におさめ、一代でヴィクトリア朝を築きます。悪魔セバスチャンをして「世界を変える羽ばたきをする蝶が見える」と言わしめた特異な才能の持ち主です。死神に認められる条件は十分有していたのではないでしょうか？

史実ではヴィクトリア女王から特別の寵愛を受けたことで周囲から疎まれ早世したのジョン・ブラウンですが、黒執事の世界では長命で宮殿での影響力を持ち続けます。ここからジョン・ブラウンこそが死神ではないかと考えられるのです。

ヴィクトリア女王が気に入らないと公言するアンダーテイカー。葬儀屋をしていましたが実は死神で、ヴィクトリア女王に拒否感を持っています。

その拒否感の理由は、彼の言動からヴィクトリア女王がファントムハイヴ家にとって有害な人物だったからでしょう。ファントムハイヴ家を第一に考えるアンダーテイカーは、ヴィクトリアにより由緒正しきファントムハイヴ家の伝統が損なわれ、戦乱の多いヴィクトリア朝でファントムハイヴ家が犠牲になったと考えていました。

ファントムハイヴ本邸襲撃の黒幕とはいったい誰なのでしょうか？シエルの父親ヴィンセント・ファントムハイヴを抹殺する必要のあった人物、それが黒幕です。そこから浮かび上がるのがヴィクトリア女王なのです。

ヴィンセントはヴィクトリア朝の転覆をもくろんでいました。死を免れるためヴィクトリア女王が、ジョン・ブラウンに行動を起こさせたと推測できるのです。

ここからは黒執事のヴィクトリアに過去について解説していきます。ヴィクトリア女王は今から約200年前の1819年に生まれています。

黒執事の世界では、ヴィクトリア誕生前に死神派遣協会を脱退したアンダーテイカーが協会本部を半壊させる事件を起こしお尋ね者となっています。

その後、ヴィクトリアは1837年女王に即位し1840年にはアルバートと結婚しています。その後アルバートとの間に9人の子宝に恵まれます。その子供たちは欧州諸国の王族や貴族と結婚し、ヴィクトリアの勢力拡大に一役買っています。

1861年に21年間苦楽を共にした最愛の夫アルバートが亡くなります。ヴィクトリアは悲しみに暮れ、以降10年間喪に服して公の場には姿を見せなくなりました。

最後に黒執事におけるヴィクトリアの活躍をネタバレで解説していきます。公の場から姿を消したヴィクトリア女王でしたが、シエルが経営するファントム社がカリーの審査会に出品しているとの情報を得て審査会場に乗り込みます。

ここからはネタバレとなります。審査の結果、ファントム社はハロルドと同点で優勝を分け合うことになります。ところが、この結果にヴィクトリアが口をはさみます。誰でも食べられる気軽さがこれからの英国には必要だとしてファントム社に軍配を上げ、同社の優勝が決定しました。

子供の誘拐事件を巡りサーカス団を調査したシエルの報告に疑念を抱いたヴィクトリア。その後開いた晩餐会でシエルを犯人扱いし、釘を刺しました。

また、ネタバレとなるのですが遠縁にあたるドイツの銀行家ゲオルグ・フォン・ジーメンスに対して、英国の重工業を脅かす存在と断じ、チャールズ・グレイを送り込んで闇に葬る算段をしました。

豪華客船編では、セバスチャンの走馬灯劇場で登場シーンしたヴィクトリア女王。豪華客船編では、アンダーテイカーの大鎌・デスサイズによって明らかになったセバスチャンの走馬灯劇場の中でヴィクトリア女王も登場します。ファントムハイヴ邸に戻ったシエルに手紙を送り、領地と爵位を返還しました。

サーカスの一件ではシエルの報告に疑いの目を向けたヴィクトリアでしたが、寄宿学校編ではシエルが報告した死者が蘇生するという説を信じます。蘇生した怪物が怖いとジョン・ブラウンに漏らしますが、同時に怪物が味方になるなら素敵とも述べています。

緑の魔女編で、ヴィクトリアはドイツの狼の谷という村の調査をシエルに指示します。狼の谷に潜入したシエルから送られてきた森の植物や人狼の瘴気を分析すると、多量破壊兵器マスタードガスの生成を裏付けるものでした。

ヴィクトリアは早速ジョン・ブラウンを派遣し、若き領主サリヴァンを英国に招待します。ロンドンに到着したサリヴァンを宮殿に招き入れお茶会を開催。魔法について探りを入れるヴィクトリアに対して、サリヴァンは卒なく応対します。その後ヴィクトリアは、サリヴァンの研究に英国資金を投入、最先端の研究設備が与えられました。

ヴィクトリア女王のネタバレ情報、最後は青の教団での活躍です。彼女はシエルに階級や性別の区別なく集うことのできる場所、スフィア・ミュージックホールの調査を指示します。「人が集まれば商売も宗教も戦争もできる」というシエルからの報告を読んだヴィクトリアは、「歌はやっぱりオペラが好きよ」と言ってホールの破壊を暗に命じました。

• 名前：瀬田ひろ美（せた・ひろみ）
• 本名：原田ひろ美（はらだ・ひろみ）
• 生まれ：1959年
• 出身地：東京都
• 職業：女優、声優
• 所属：劇団青年座、、劇団U・快連邦、劇団キンダースペース、2012年よりスターダス・21
• 特技：タップダンス

テレビアニメ

• アクエリオンロゴス（秘書）
• ルパン三世PART5（女主人）

• 若きウエルテルの悩み（すみれ）
• えれくとら（クリスティン）
• 新・牡丹灯籠（お峰）
• 金色夜叉（赤樫満枝）
• 新・新ハムレット（ガートルード）
• プラトーノフ（アンナ・ペトローヴナ）

ここまで黒執事のヴィクトリア女王のネタバレ情報をお届けしてきましたが、最後にヴィクトリア女王に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するのは、学校の歴史の授業でヴィクトリア女王について学んだという方のツイートからです。本作黒執事でのヴィクトリア女王のイメージが強くて笑いそうになったといいます。具体的にどんな違いがあったのでしょうか？

次のツイートの方は、シエルがメイリンを食事に誘うシーンを見てヴィクトリア女王のフィンガーボウルの逸話を想起したといいます。その逸話とは、女王がある貴族を食事会に招いた際、手を使って食べる料理と指を洗うフィンガーボウルが出されたのですが、それを知らない貴族がフィンガーボウルの水を飲んでしまったというもの。何か良からぬ意図があったのでしょうか？

ヴィクトリア女王と死神派遣協会とのつながりを裏付けるシーンを見つけたとのツイートがありました。それは女王がサリヴァンのために用意した実験設備。30年先の未来で開発される道具を用意できたのは、協会と通じているからに違いありません。面白い着眼点ではないでしょか？

ここまで黒執事のヴィクトリア女王は死神に認められた人間？と題して、彼女の過去や黒幕説を考察、ファントムハイヴとの関係や彼女の活躍ぶりをネタバレで紹介してきました。

これを機に、ヴィクトリア女王を題材にした映画をご覧になってはいかがでしょうか？史実との違いや黒執事の脚色の面白さなど、本作を鑑賞するだけでは気づかなかった発見ができるかも知れません。