風の谷のナウシカを詳しく解説！映画と原作漫画の違いや作品の魅力とは？

風の谷のナウシカはスタジオジブリ作品のひとつで、宮崎駿監督が有名になるきっかけとなりました。映画が上映されてから30年以上たちますが、いまなお人気がある作品です。今回は、そんな風の谷のナウシカのあらすじや魅力、キャラクターといったことを紹介します。

映画版の風の谷のナウシカのあらすじを紹介します。「火の7日間」と呼ばれる戦争により文明が崩壊してからおよそ1000年。瘴気をまき散らし巨大な蟲たちが住む腐海の森が広がり、人類の居住地が脅かされます。海から吹く風により瘴気から守られた風の谷で暮らすナウシカは、腐海を散策中に王蟲に襲われていたユパを助け出しました。

原作漫画版の風の谷のナウシカのあらすじを紹介します。ちなみに、映画化されたのは原作漫画の1巻と2巻の途中までです。風の谷に住むナウシカは同盟を結んでいるトルキメア帝国のクシャナ殿下と出会います。クシャナ殿下がやってきたのは、ナウシカが持つ「秘石」が目的でした。これはナウシカが腐海で襲われていた商船を助けようとしたときに乗っていたトルキメア帝国の避難民から託されたものでした。

映画版「風の谷のナウシカ」が公開されたのは1984年3月11日です。1985年にはアメリカで上映、そしてその後は世界各国で上映される人気作品になりました。風の谷のナウシカが上映された1984年はテレビアニメ「北斗の拳」「Gu-Guガンモ」「とんがり帽子のメモル」といった作品が放送されました。

またロサンゼルスオリンピック・サラエボオリンピックが開催されたり、グリコ森永事件が起きた年です。「ウマ娘プリティーダービー」の人気キャラであるシンボリルドルフが三冠馬となったのも1984年です。

風の谷のナウシカの興行収入は14.8億円、このあと紹介するリバイバル上映で7.3億円、合わせて22.1億円です。この数字はジブリ21作品中17位で、意外な結果と感じる方もいるのではないでしょうか？ちなみに、18位は人気作品の「となりのトトロ」の11.7億円です。これは、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」の評価が低いのではなく、スタジオジブリの人気が定着する前の作品だからだといわれています。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除された2020年6月に「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ゲド戦記」の4作品がリバイバル上映されました。初週の興行成績は「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」の3作品が上位3位にランクインし、ジブリ作品の根強い人気が証明されました。

映画版風の谷のナウシカはこれまで日本テレビ系列の「金曜ロードSHOW!」でほぼ2年に1回のペースで放送されています。はじめて放送されたのは1985年4月6日で、2020年12月25日に19回目の放送がありました。

風の谷のナウシカはスタジオジブリの作品であると思っている方が多いのではないでしょうか？実は、厳密にいうと風の谷のナウシカの製作はスタジオジブリではありません。風の谷のナウシカを製作したのはトップクラフトというアニメ制作会社です。風の谷のナウシカが成功したことを受けて、宮崎駿監督・高畑勲監督のアニメ映画製作を中心にするためトップクラフトが改組されてスタジオジブリが誕生しました。

宮崎駿監督は風の谷のナウシカを発表する前からアニメ「未来少年コナン」の演出担当や、「ルパン三世 カリオストロの城」の演出・監督を担当したことで有名でした。しかし、世間的に有名になったのは映画版「風の谷のナウシカ」のヒットからだとされています。とくに、映画版「風の谷のナウシカ」で自然との共存・女性の活躍という設定が評価されて国内・海外で賞を獲得していることで国内外で知名度がアップしました。

「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」や「となりのトトロ」の「さんぽ」をはじめ、スタジオジブリ作品の曲といえば久石譲さんと感じる方が多いのではないでしょうか?スタジオジブリと久石譲さんがはじめて組んだ作品が映画版「風の谷のナウシカ」です。最初は映画のイメージアルバムのみの参加予定とされていましたが、久石譲さんの音楽を気に入った宮崎駿監督が劇中で曲を使うことを決めたといわれています。

あらすじの項で紹介したとおり、映画版「風の谷のナウシカ」は原作漫画の2巻の途中まで描かれています。原作漫画版とアニメ版の違いのひとつがトルメキア帝国とペジテ市です。映画版「風の谷のナウシカ」では、巨神兵を発掘して所持していたペジテ市をトルキメア帝国が襲撃をし、風の谷はそれに巻き込まれてしまいます。

原作漫画版「風の谷のナウシカ」ではトルメキア帝国と対立しているのは土鬼(ドルク)諸侯国連合で、おたがいにこの世界の大国として勢力争いをしています。風の谷やペジテ市はこの戦いに巻き込まれてしまいます。また、原作漫画版のあらすじで紹介したとおり風の谷とトルメキア帝国は同盟を結んでいました。

王蟲が誘拐された子供を取り戻すために暴走、ナウシカがそれを止める場面は映画版「風の谷のナウシカ」の名シーンのひとつとされています。そのシーンが原作漫画版「風の谷のナウシカ」には描かれていないことが大きな違いです。

映画版「風の谷のナウシカ」では、巨神兵は目覚めるがすぐに朽ち果ててしまう存在として描かれています。そのため、巨神兵と意思疎通を図ることができません。しかし、漫画版「風の谷のナウシカ」では秘石をもつナウシカを巨神兵は「母さん」と呼び、意思疎通できる存在として描かれています。そもそも、映画版「風の谷のナウシカ」と原作漫画版「風の谷のナウシカ」では秘石が大きな違いとなっています。

映画版「風の谷のナウシカ」では、王蟲の誘拐を計画するなど高圧的で冷酷な姿を描かれているクシャナですが、原作漫画版「風の谷のナウシカ」でのクシャナは勇敢で部下思いなキャラクターとして描かれています。クシャナはトルメキア帝国の王女ですが、原作漫画版「風の谷のナウシカ」では映画版「風の谷のナウシカ」と違い風の谷と敵対していません。

また、映画版「風の谷のナウシカ」では義手をしているクシャナですが原作漫画版「風の谷のナウシカ」では義手をつけていない点が違いのひとつです。

風の谷のナウシカでマスコット的な存在のテトですが、原作漫画版「風の谷のナウシカ」では死亡してしまいます。死亡するのは原作漫画版「風の谷のナウシカ」の最終巻で、ナウシカとともに行動している巨神兵の「オーマ」が原因です。「オーマ」からは生き物に有害な光が出ていて、体が小さいテトは衰弱して死亡してしまいました。

映画版「風の谷のナウシカ」ではっきり描かれていたわけではありませんが、もっとも近い存在の男性キャラクターがアスベルだったといわれています。しかし、原作漫画版「風の谷のナウシカ」では映画版「風の谷のナウシカ」には存在しない土鬼連合の少女ケチャとアスベルがいい関係になっていきます。また、ナウシカにはアスベルではなく「森の人」と呼ばれるセルムという青年といい関係になります。

ナウシカとアスベル、ナウシカとセルム、原作漫画版「風の谷のナウシカ」ではっきりとどちらと結ばれたと描かれませんが、映画版「風の谷のナウシカ」と関係性が違うといわれています。

映画版「風の谷のナウシカ」ではナウシカたちの詳しい設定が語られていません。原作漫画版「風の谷のナウシカ」では、この時代に生きている人間は昔の人間がつくった人造人間です。環境破壊が進みすぎた世界を浄化するため、昔の人間たちは浄化作用のある腐海やそれを守るオームをつくりました。そして、浄化された未来の世界で順応して生きるための人造人間としてナウシカたちがつくられました。

ここからは風の谷のナウシカの魅力を解説します。まず紹介するのは、ナウシカの魅力です。風の谷の王女であるナウシカは、すべての人々を平等に愛します。人だけではなく、暴走する王蟲や初対面のときに指をかんだキツネリスのテトと優しく接する姿が描かれています。

風の谷のナウシカに登場する巨神兵は、エヴァンゲリオン初号機に似ているといわれています。その理由は、巨神兵とエヴァンゲリオン初号機をデザインしたのはどちらもエヴァンゲリオンの庵野監督だからです。また、庵野監督はエヴァンゲリオンのデザインについて、「巨神兵とウルトラマンを意識した」と公言しています。

風の谷のナウシカに登場する腐海は、現実世界の環境問題とリンクしているといわれています。文明の発展で生活が進歩しましたが、その反面で環境破壊が問題となっています。また、「風の谷のナウシカ」だけではなく宮崎駿監督の作品は環境問題がテーマになっているものがあるとされています。

元BOØWYのギタリストである布袋寅泰さんは、自身のツイッターで「ナウシカのオームの鳴き声は僕のギターなんですよ!」と明かして話題になりました。布袋寅泰さんが王蟲の鳴き声を演奏した理由は、音楽担当の久石譲さんに頼まれたからだそうです。

ここからは風の谷のナウシカの登場人物を紹介します。ナウシカは風の谷の族長の娘で、風の谷の人々から愛されています。子供たちからは「姫姉さま」と呼ばれて慕われているナウシカですが、優しいだけではなくおてんばで行動的な一面があります。また怒ると我を忘れることがあり、過去にはそれが原因で人を殺してしまった経験があります。

アスベルはトルキメア帝国に占領された工房都市ペジテ市の王族です。本来は明るく気さくな性格をしていますが、初登場のシーンではトルキメア帝国に対する怒りから憎悪を抱き、ガンシップでトルキメア帝国軍に大きな打撃を与えました。トルキメア帝国軍に撃墜されてしまったアスベルはナウシカに救われ、それから行動をともにします。

映画版「風の谷のナウシカ」と原作漫画版「風の谷のナウシカ」でもっとも印象が変わるといわれているのがクシャナです。映画版「風の谷のナウシカ」では目的のためならどんなことでもおこなうような冷酷な性格ですが、原作漫画版「風の谷のナウシカ」では冷静沈着で部下思いの将軍として描かれています。また、ナウシカの意見を採用することがあるなど柔軟性があります。

ナウシカの父であるジルの友人で、ナウシカの師匠でもあるのがユパです。腐海辺境一といわれる剣豪ですが、争いを好まない人格者です。

大ババは100歳を超える腐海辺境一の年寄りで、風の谷でもっとも知恵がある者として信頼されています。また、「大海嘯」や「青き衣の者」の伝承を語る人物です。

クシャナに仕える参謀のクロトワですが、実はクシャナを暗殺するようヴ王に命じられた刺客でした。しかしクシャナにそれを見抜かれてしまうとヴ王を裏切り、クシャナに寝返りました。

ここからは風の谷のナウシカの都市伝説について解説します。まずは、クシャナはナウシカのアナグラムではないかということについて解説します。アナグラムとは単語の文字を入れ替えて別の単語をつくることです。ナウシカのスペルは「NAUSICAA」で、これを入れ替えると「CUSIANAA」となることからアナグラムになっているといわれています。

風の谷のナウシカはフランスの漫画家であるメビウスの影響を受けているという都市伝説があります。メビウスの「アルザック」という作品はSFファンタジー作品で、世界観が似ているとされています。また、メビウスと宮崎駿監督は対談をしていることがあるほか、メビウスの娘の名前は「ナウシカ」だといわれています。

天空の城ラピュタのあらすじを紹介します。シータは政府の特務機関に捕らえられていました。その理由は彼女がもつ飛行石で、それを狙う空中海賊ドーラ一家の襲撃によりシータは飛行船から転落します。転落したシータは飛行石の力でゆっくりと落下、鉱山で働く少年パズーに救われました。シータとパズーは飛行石の秘密を知るため、そしてパズーの父が見たというラピュタを目指して旅をします。

風の谷のナウシカと天空の城ラピュタは同じ世界を描いているのではないかという都市伝説があります。その理由は、キツネリスのような動物が天空の城ラピュタで描かれているためです。また、ラピュタにいるロボット兵は巨神兵と似ていることから、同じ世界ではないかという意見があります。

映画版「風の谷のナウシカ」のラストシーンについて、宮崎駿監督が納得していないという都市伝説があります。もともと暴走してくる王蟲の群れの前にナウシカが降り立つシーンをラストにしようとしたという宮崎駿監督。しかし、鈴木プロデューサーや高畑勲さんとの対話でナウシカが王蟲の黄金の触手を渡り歩くラストシーンになったようです。

風の谷のナウシカは1980年代にパソコンで3作のゲームがつくられました。それはPC-8801版「ナウシカ」・PC-6001版「ナウシカ危機一髪」・MSX版「忘れ時のナウシカ・ゲーム」です。そんなゲームに対して宮崎駿監督が激怒したとされています。その理由は、ナウシカがメーヴェで王蟲を虐殺するというゲーム内容のためではないかといわれています。

また、風の谷のナウシカ以外のジブリ作品がゲーム化していないことから宮崎駿監督が激怒したという都市伝説がつくられたようです。

ナウシカのモデルは平安時代の「堤中納言物語」という作品に登場する虫愛づる姫君がモデルではないかといわれています。虫愛づる姫君は毛虫に興味をもち、その生きざまを観察して楽しんでいました。また、「ナウシカ」という名前の由来はギリシャの叙事詩「オデュッセイア」の王女ナウアシカとされています。

声優の島本須美さんは、1970年代から俳優として活動していて1979年に「ゼンダマン」のイブ役で声優活動を開始しました。「ルパン三世 カリオストロの城」のクラリス役や「もののけ姫」のトキ役など宮崎駿監督の作品に数多く出演していることで知られています。

アスベル役の松田洋治さんは、1972年から俳優として活動しています。声優としては「風の谷のナウシカ」のアスベル役のほかに「もののけ姫」のアシタカ役や「時をかける少女」の高瀬宋次郎役を演じました。また、映画「タイタニック」では主演のレオナルド・ディカプリオの吹き替えを担当しています。

クシャナ役を演じるのは声優の榊原良子さんです。1980年代から活動している榊原良子さんのアニメ声優デビューは1982年の「六神合体ゴッドマーズ」のフローレ役です。クシャナ役のほかに「機動戦士Ζガンダム」のハマーン・カーンのような強い女性を演じることが多いです。また、「NNNニュースプラス1」などさまざまな番組でナレーションをしています。

ユパ役を演じるのは声優の納谷悟朗さんです。納谷悟朗さんは「鉄腕アトム」に出演しているように日本のテレビアニメ初期から声優として活動しています。代表作はユパ役のほかに「ルパン三世」シリーズの銭形警部役や「宇宙戦艦ヤマト」の沖田十三役などです。

大ババ役を演じるのは声優の京田尚子さんです。京田尚子さんは1944年から俳優として活動をはじめ、声優としては1950年代から活動しています。2019年の第13回声優アワードで功労賞を受賞した京田尚子さんは、2020年の「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」や2021年の「SHAMAN KING」などに出演しています。

クロトワ役を演じたのは声優の家弓家正さんです。1956年から活動を始めた家弓家正さんは、声優・俳優・ナレーション・吹替とさまざまな活動をしてきました。アニメ声優としては「未来少年コナン」のレプカ役や「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のお父様役を演じています。

映画版だけではなく、原作漫画版が人気の「風の谷のナウシカ」。原作通りのアニメ化や映画化を期待している方がたくさんいました。

「千と千尋の神隠し」「天空の城ラピュタ」をはじめ、ジブリ作品には魅力的なものがたくさんあります。そのなかで「風の谷のナウシカ」が一番好きという方がいます。

大人になってから「風の谷のナウシカ」を視聴して印象が変わった、より理解できるようになったという感想が少なくありませんでした。

映画版「風の谷のナウシカ」や原作漫画版「風の谷のナウシカ」のあらすじや都市伝説といったことを解説しました。リバイバル上映も好評だった「風の谷のナウシカ」、いまなお人気がある名作といえるのではないでしょうか?「風の谷のナウシカ」の都市伝説や詳しい設定、原作漫画を見ることでより深く理解できるようになります。