2021年05月14日公開
2021年05月14日更新
【風立ちぬ】黒川は二郎の堅物上司!モデルとなった人物や声優・名セリフを紹介
宮崎駿監督・スタジオジブリによるアニメーション映画「風立ちぬ」に登場する黒川について紹介します。黒川は主人公・堀越二郎の上司で、「黒川さん」と呼ばれる堅物なキャラクターです。ここでは、黒川さんの性格や名セリフ、モデルとされている人物について紹介します。また、堀越二郎が間借りする黒川家の離れもモデルとなる家があるということで、その家の紹介もしていきます。さらに、「風立ちぬ」で黒川さんの声を担当している声優を紹介します。
風立ちぬの黒川は二郎の堅物上司
風立ちぬの作品情報
宮崎駿監督・スタジオジブリによる「風立ちぬ」は、2013年に公開された長編アニメーション映画です。音楽は久石譲、主題歌は松任谷由実による「ひこうき雲」、興行収入は120億円を突破し、歴代のジブリ作品の中で第5位にランクインしています。「風立ちぬ」は模型雑誌「モデルグラフィックス」で宮崎駿監督が2009年から2010年まで連載していた漫画が原作となっています。
風立ちぬの概要
「風立ちぬ」の主人公・堀越二郎は実在の人物で、航空技術者の堀越二郎がモデルだということです。また、「風立ちぬ」は昭和初期に活躍した小説家・堀辰雄の小説からもヒントを得て創作されています。そのため「風立ちぬ」の宣伝ポスターには「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」という言葉が書かれています。
宮崎駿監督はこの「風立ちぬ」の後、長編アニメーション制作の現場からの引退を公表しましたが、2017年にはアニメ「君たちはどう生きるか」の制作に関わっていることを公表しています。
風立ちぬのあらすじ
時代は1923年(大正時代)前後、主人公・堀越二郎は飛行機に憧れを抱く少年ですが、近視のためにパイロットへの夢を断念。しかし、飛行機の設計家で、憧れのカプローニが夢に出てきたことから、設計者志望になります。東京帝国大学で設計を学んだ二郎は、飛行機開発の会社「三菱」に入社。優秀な二郎は会社から大いに期待されます。また、二郎は菜穂子という女性と出会い、互いに想いを寄せ合うようになります。
黒川さんのプロフィール
「風立ちぬ」の黒川は、飛行機の開発を手掛ける会社「三菱」の設計課所属の社員です。黒川の名前、年齢については不明で、物語の中で黒川は「黒川さん」と呼ばれています。黒川は新入社員として配属された堀越二郎の上司になります。妻と二人で暮らしています。
黒川の性格
黒川さんは仕事に関しては非常に厳しく取り組む人物です。新しく配属された新入社員の堀越二郎の優れた能力にいち早く気づいた黒川さんは、いきなり高難度の設計を任せました。さらに、黒川さんは堀越二郎をドイツへの留学、及び、ユンカース社視察の任務に推薦しました。このように黒川さんは、新入社員である堀越二郎の高い能力を正当に評価し、彼に活躍の場を与えてくれたのでした、
また、黒川さんは生真面目でせっかち、気難しいところがあります。しかし、作中での言動について見ていくと、黒川さんの性格は「いい人すぎる」と言われています。そんな「いい人」と思われるシーンを、後の「黒川さんの名シーンや名セリフ」のところで紹介します。
黒川夫人も良い人?
黒川さんには妻がいるのですが、黒川夫人と呼ばれるこの人物も「いい人」と言われています。黒川夫人は夫の部下である堀越二郎の大切な人、菜穂子を何かと気遣ってあげます。二郎と菜穂子が結婚したいと言った時も、渋る黒川さんの前で真っ先に賛成したのは黒川夫人でした。そして、結婚が決まってからも菜穂子の婚礼衣装や結婚生活に必要な準備をしてくれました。
風立ちぬの黒川のモデルは誰?
ここで「風立ちぬ」の黒川のモデルについて見ていきます。「風立ちぬ」の主人公の堀越二郎は、昭和の時代に実在した航空工学の権威、堀越二郎さんがモデルだと言われています。「風立ちぬ」には主人公の他にも実在の人物をモデルとする人物が登場しますが、黒川についてはオリジナルの人物だということです。それでは、黒川のモデルとされる人物について見ていきます。
黒川のモデル①宮崎駿監督
「風立ちぬ」の黒川のモデルと言われているのは宮崎駿監督です。「風立ちぬ」の黒川は実在の人物ではなくオリジナルのキャラクターです。しかし、宮崎駿監督は「風立ちぬ」の制作が進むにつれて、黒川に対する愛情が深まり、自分の内面を映し出すキャラクターとして描いていったということです。
このように、黒川というキャラクターに対する宮崎駿監督の思い入れは深く、黒川に対して「黒川の顔も言動も俺だ」と語っており、黒川の声優を自身でやってみたいとも言っています。
黒川のモデル②建築家の黒川紀章
宮崎駿監督以外にも黒川のモデルと言われているのが、世界的建築家の黒川紀章さんです。理由は顔が似ているということだけだそうですが、「風立ちぬ」の黒川も黒川紀章さんも共にもの作りをしていることも共通点だと言われています。黒川紀章さんは日本だけでなく世界各地に多くの建物を建築し、また、都市計画にも取り組むなど、世界的に活躍した建築家でした。
黒川のモデル③小説「菜穂子」の黒川圭介
堀辰雄の小説「菜穂子」に登場する黒川圭介も「風立ちぬ」の黒川のモデルではないかと言われています。小説「菜穂子」は1941年に「中央公論」に掲載された長編小説です。堀辰雄の作品の中で唯一のロマン文学作品で、晩年の代表作と言われています。小説「菜穂子」の黒川圭介は、会社員で主人公の菜穂子の夫です。
宮崎駿監督の「風立ちぬ」の黒川との共通点を見てみると、同じ黒川という姓、古めかしい屋敷に住み、メガネを掛けていることや身長が低いことなどです。
風立ちぬの黒川のアニメ声優
ここからは「風立ちぬ」の黒川を担当した声優について紹介します。黒川を担当したのは、俳優の西村まさ彦です。西村まさ彦は「風立ちぬ」以外にも同じスタジオジブリ作品である「もののけ姫」(1997年)甲六、「ギブリーズ episode2」(2002年)野中くんの声優を務めています。
西村まさ彦のプロフィール
「風立ちぬ」の黒川の声優・西村まさ彦は1960年生まれ、富山県出身、「オフィスにしむら」に所属する俳優です。元々本名である西村雅彦で俳優活動をしていましたが、2017年に俳優30周年を迎えたことで、西村まさ彦に改名しました。三谷幸喜が主催する劇団「東京サンシャインボーイズ」に所属しており、劇団の舞台以外にも多くの三谷幸喜脚本によるドラマに出演しています。
1994年から2006年にかけて何度も放送されたドラマ「古畑任三郎」シリーズでは、主演の田村正和演じる古畑任三郎の部下・今泉慎太郎で一気に知名度が上がり、当たり役として人気を集めました。
西村まさ彦の主な出演作品
「風立ちぬ」の黒川さんの声優・西村まさ彦の主な出演作は、1993年「振り返れば奴がいる」平賀友一、1994年「古畑任三郎シリーズ」今泉慎太郎、1998年「サラリーマン刑事シリーズ」武富春彦(主演)、2012年映画「のぼうの城」成田氏長、2013年「遺留捜査 第3シリーズ」森田宗介、2014年映画「超高速!参勤交代」、2016年「超高速!参勤交代リターンズ」相馬兼嗣、2020年「居酒屋兆治」河原五郎。
NHKの大河ドラマでは2016年「真田丸」室賀正武、2020年「麒麟がくる」明智光安。舞台では、1996年、1998年の三谷幸喜・脚本による二人芝居「笑の大学」で「読売演劇大賞」の最優秀作品賞を獲得、また、1997年の映画「ラヂオの時間」牛島龍彦役、「マルタイの女」立花刑事役では「ブルーリボン賞」、「日本アカデミー賞」、「キネマ旬報賞」など数々の助演男優賞を獲得しました。
風立ちぬの黒川の名シーンや名セリフ
ここまで、宮崎駿監督による「風立ちぬ」に登場するキャラクター、黒川の声を声優として担当している俳優・西村まさ彦について紹介してきました。ここからは、「いい人」と言われている黒川の名シーン、名セリフを紹介していきます。
黒川の名シーンや名セリフ①出会い
「いい人」と言われている黒川の名シーン、名セリフの一つ目は、新入社員の堀越二郎と黒川の「出会い」のシーンです。黒川は事前の挨拶が無かった、など細かな小言を言ったり、早速高度な設計の仕事を指示したりと、気難しくせっかちな面を見せています。しかし、二郎が仕上げた仕事を、次の言葉で評価してくれました。
「完璧です。できたものはすぐに出すこと」
黒川は気難しく、厳しい態度で接しつつも二郎の様子を見守り、仕上げた仕事を正当に評価してくれるところが「いい人」だと言われている理由です。
黒川の名シーンや名セリフ②パイロットの安否を心配
「いい人」と言われている黒川の名シーン、名セリフの二つ目は、試験飛行で起きた事故に際して発した一言です。黒川たちは開発した飛行機の試験飛行を行ったのですが、その飛行機が墜落するという事態が起きました。飛行機の残骸を集めていた二郎に黒川は、真っ先にパイロットの生死を尋ねました。
二郎からパイロットの無事を聞いた黒川は安堵した様子でした。このように、黒川が一番に案じたのは、失敗に終わった試験飛行のことではなく、パイロットの安否だったのでした。このシーンは、黒川の優しさや「いい人」ぶりがよく分かると言われています。
黒川の名シーンや名セリフ③特高から二郎を守る
「いい人」と言われている黒川の名シーン、名セリフの三つ目は、特高から二郎を守ったシーンです。黒川のところに堀越二郎について調べているという特高(特別高等警察)が訪ねてきました。黒川は咄嗟に「出張中だ」と、嘘を言って二郎を守り、自分の家に二郎を匿ってあげました。黒川は自身の危険も顧みずに、大切な部下である二郎を守り抜きました。
黒川の名シーンや名セリフ④恋愛に純情
「いい人」と言われている黒川の名シーン、名セリフの四つ目は、恋愛に関しては純情な面を見せるシーンです。黒川の家に恋人の菜穂子を連れて堀越二郎が訪ねてきました。二郎が菜穂子と共に泊めて欲しいと言った時に黒川が言ったのが、この言葉です。
「離れを貸すのは構わん。
しかし結婚もしていないような男女を泊めるなど認められん!
ふしだらな!」
このような言葉で堀越二郎をたしなめた黒川。これは黒川の恋愛に対する純情さがわかるシーンだと言われています。しかし、黒川は堀越二郎が菜穂子と結婚すると言うと、嬉しそうに祝ってくれました。そして、結婚に際して二郎たちに仲人を頼まれ、黒川は妻と共に快く引き受けるのでした。
風立ちぬの黒川の家を考察
ここまで「風立ちぬ」の黒川の名シーン、名セリフを紹介してきました。黒川は堀越二郎と恋人の菜穂子を家に泊めたり、結婚に際して仲人を務めたりと、物語の中で重要な役割を果たしています。堀越二郎のことでは何かと黒川の家が登場します。ここでは、黒川の家について紹介していきます。
黒川家の家紋がトライフォースに似ている理由
黒川家の家紋はトライフォースに似ていると言われています。ゲーム「ゼルダの伝説」にもこのトライフォースの形が登場します。この家紋について、スタジオジブリからの説明はなく、物語の中でも家紋について語られることもありませんが、実は北条家の家紋だと言われています。鎌倉幕府を支えた執権・北条氏の家紋は「三つ鱗」と言われるもので、三つの三角形がデザインされています。
「風立ちぬ」の物語の中で、黒川家は名家のように描かれており、家紋の形からも黒川家が北条氏の流れをくむ家柄ではないかと言われています。
黒川家で間借りしている建物
「風立ちぬ」の黒川さんは、堀越二郎と菜穂子に家の離れを貸していました。この黒川家の離れについて、宮崎駿監督が映画の完成会見で、社員旅行で訪れた熊本の前田家別邸がモデルだと言っています。前田家別邸とは幕末から明治にかけて前田家の当主で政治家だった前田案山子(まえだかがし)の別邸です。場所は、熊本県の温泉地、小天(おあま)にあります。
風立ちぬの黒川に関する感想や評価
【風立ちぬ】黒川さんがツンデレで可愛い可愛いとトキメいたが、黒川さんの奥さんがえらい素敵な女性で惚れた。黒川夫妻いい!
— 巷島 (@cusum13) August 2, 2013
「風立ちぬ」の黒川さんのツンデレぶりが可愛いという感想と、それと共に黒川さんの妻、黒川夫人も素敵な女性だということです。黒川さんの性格は、厳しさと優しさのあるツンデレ上司で「いい人」だったということと、恋愛に関しては純情だということでした。また、黒川夫人も堀越二郎と菜穂子の結婚問題について何かと世話を焼いてくれる「いい人」だということを紹介しました。
風立ちぬ!!黒川さんのキャラ素敵(^^)瀧本美織ちゃんの声かわいい♡もう一回見たい映画でした!
— saya morhi (@sasachiiii) July 27, 2013
「風立ちぬ」の黒川さんが素敵なキャラクターだという感想と、菜穂子の声優を務めた女優・瀧本美織さんの声がかわいいという感想です。この「風立ちぬ」は、黒川さんを担当した西村まさ彦さん、黒川夫人を担当した大竹しのぶさん、二郎の同僚の本庄を担当した西島秀俊さんなど、俳優として活動している方たちが主要なキャラクターの声優を務めています。
【風立ちぬ】黒川さんイヤミな上司かと思ったらいい人過ぎて泣きそうだった。後セリフの間の入れ方、特に畳み掛ける場面での演技が最高だった。
— あみたん@だいえと精励ちう (@amitan) August 28, 2013
「風立ちぬ」の黒川さんはイヤミな上司だと思っていたところ、実はいい人だったことが分かり、泣きそうになったという感想です。さらに、黒川さんを担当した西村まさ彦さんの演技も最高だったということです。
2018年初、風立ちぬ
— ファージェニ (@a0a0aaa) January 6, 2018
黒川さんがやっぱり1番いい男
「風立ちぬ」は、黒川さんが一番いい男だという感想です。黒川さんは気難しく厳しい上司ですが、二郎を危険を冒してまで特高から匿ったり、二郎の結婚についても優しさを示してくれるいい人でした。
風立ちぬの黒川まとめ
いかがでしたか?「風立ちぬ」の黒川さんは優しいツンデレな性格で「いい人すぎる」と言われていました。また、黒川さんの声を担当した声優は、俳優の西村まさ彦さんでした。西村さんは往年の大ヒットドラマ「古畑任三郎」で人気を博した俳優でした。ツイッターでも西村まさ彦さんの、黒川さんの演技が最高だったという声が寄せられていました。そんな黒川さんに注目して「風立ちぬ」をお楽しみください。