【秒速5センチメートル】水野理紗の登場シーンは?担当声優も水野理紗?

新海誠監督のアニメ映画『秒速5センチメートル』には、水野理紗というキャラクターが登場します。同名の声優・水野理紗が演じました。他作品にも多く出演する声優ですが、この『秒速5センチメートル』での演技が「棒読みだった」という声がありました。水野理紗が登場するシーンやセリフなどを紹介し、その理由を考察していきます。『君の名は。』『天気の子』などのヒット作を手がけた新海誠監督の有名な過去作品『秒速5センチメートル』と、水野理紗についてまとめます。

【秒速5センチメートル】水野理紗の登場シーンは?担当声優も水野理紗?のイメージ

目次

  1. 秒速5センチメートルの水野理紗の登場シーンは?
  2. 秒速5センチメートルの水野の担当声優も水野理紗?
  3. 秒速5センチメートルの水野の小説版での活躍とその後
  4. 秒速5センチメートルの水野に関する感想や評価
  5. 秒速5センチメートルの水野まとめ

秒速5センチメートルの水野理紗の登場シーンは?

『秒速5センチメートル』は3つの短編から成る映画で、水野理紗は最後の第3話『秒速5センチメートル』に登場するキャラクターです。映画と同タイトルの短編で、大人になった主人公・遠野貴樹(たかき)と水野理紗の交際と破局が描かれます。

秒速5センチメートルの映画の作品情報

秒速5センチメートルの概要

『秒速5センチメートル』(2007年)は63分のアニメ映画です。新海誠が監督・原作・脚本・絵コンテ・演出を手がけました。『桜花抄』『コスモナウト』『秒速5センチメートル』の3つの短編で少年・遠野貴樹の小学生から社会人への成長を描きます。新海誠著の小説(メディアファクトリー)と、清家雪子作画の漫画(講談社)、加納新太著の小説『秒速5センチメートル one more side』(エンターブレイン)も刊行されました。

秒速5センチメートルのあらすじ

遠野貴樹は小学校で篠原明里(あかり)と仲よくなりますが、彼女と自身の転校で離別し、文通も途絶えます。雪で電車が止まり2人の再会が遅延した経験から、強くなりたいと貴樹は決意します。大人びた貴樹に恋をした同じ中学校の澄田花苗(かなえ)は、彼への告白を諦め成長します。社会人になった貴樹は急くように上を目指して働きますが、焦燥感の正体をつかめず退職を決意し、交際相手の水野理紗と破局します。

水野理紗のプロフィール

水野理紗は社会人の女性で、成人後の貴樹と出会い3年間交際していました。映画では主に貴樹とメールのやりとりをし、破局の際も印象的な内容を送って、それが水野理紗の代表的なセリフとなりました。新海誠著の小説では、水野理紗も貴樹と同じくIT企業に勤めていること、貴樹とは仕事のクライアントとして会ったことなど、より詳細な情報が明らかになりました。2人のなれそめは、以下の「小説版」の章で解説します。

清家雪子作画の漫画では、水野理紗はメガネをかけています。お酒に弱い体質で、ビール1杯で顔が赤くなってしまうようです。普段は理性的な性格ですが、思いつめると大胆な行動に出るというキャラクター設定で、貴樹が女性と深く関わろうとしない理由を知りたがり、明里の転居先の栃木県岩舟駅へ同行しています。映画ではほぼメールだけが水野理紗の登場シーンでありセリフでしたが、小説・漫画と追加情報が増えていきました。

水野理紗の登場シーン

水野理紗は『秒速5センチメートル』の第3話で、社会人になった貴樹の恋人として何度かメールを送り、その文面が主なセリフとなっています。また、貴樹に電話をかけるも出てもらえないシーンや、貴樹からの連絡を待って携帯電話を見つめる様子なども少し描かれました。水野理紗は、忙しなく仕事をする貴樹とはしばらく会っていない状態だったようです。

お互いに返信が遅くなり、心が離れていく様子が、水野理紗のメールの文面とそれを淡々と読むセリフで表現されました。水野理紗は、貴樹が退職を決意するタイミングで、破局を象徴するメールを送っています。

「1000回にわたるメールのやり取りをしたとしても、心は1センチほどしか近づけなかった」

水野理紗は会うことがなくなっても、返信の遅い貴樹にメールを送り続けました。しかし貴樹から、恋人である自分をどう思っていたのか、なぜ仕事を辞めたくなるほど悩んでいるのかという心情を打ち明けてもらえないまま、破局を迎えます。このメール(セリフ)は、子どもの頃の明里との初恋に無意識下で強く執着し続ける貴樹が、水野理紗にとっていかに恋人甲斐のない相手だったかを表すようです。

また、このセリフには「センチ」というタイトルと同じ単語も入っています。水野理紗が長さの単位「センチ」で心の距離を表現したように、『秒速5センチメートル』では物理的な距離・時間・速度などが登場人物たちの心情とリンクしています。明里が「桜の花びら」や「雪」は「秒速5センチメートル」のスピードで落ちると言ったように、水野理紗もまた『秒速5センチメートル』にふさわしい多義的なセリフを残しました。

恋を読むvol.3『秒速5センチメートル』公式

秒速5センチメートルの水野の担当声優も水野理紗?

水野理紗役の声優は水野理紗

『秒速5センチメートル』で水野理紗を演じたのは、声優の水野理紗です。水野理紗は2004年にも新海誠監督の『雲のむこう、約束の場所』に出演し、後に『星を追う子ども』(2011年)『言の葉の庭』(2013年)と同監督の作品へ声優として参加を続けました。新海誠氏は、『秒速5センチメートル』の水野理紗(キャラクター)の名前は「声優の水野さんからいただいた」と述べています。

水野理紗の演技・セリフは棒読みだった?

水野理紗が登場するシーンでは、主にメールの文面をセリフとして読みます。また、貴樹と心が通じ合わないまま会わなくなり、破局へ向かっていた状況を考えると、水野理紗のセリフの読み方が「棒読み」に聞こえるほど冷淡に落ち着いていたのは、自然な演出とも言えます。水野理紗は心が離れていく内向的な恋人に対し、理性的かつ冷静に真意を探ろうとしたが、叶わず貴樹との恋や関係の継続を諦めた、という解釈です。

また水野理紗のメールは、『秒速5センチメートル』の主人公・貴樹が受信します。まるで棒読みのような熱や感情を読みとり難い声は、貴樹が脳内で再生している可能性もあります。彼の水野理紗への想いや関心・理解の薄さや、しばらく会っていないことなどを、声優の水野理紗があえて棒読みに聞こえる演技で表現したという考え方もできます。後述のように、声優・水野理紗は他の役柄では抑揚をつけて演じることがあります。

また水野理紗は劇団「湘南テアトロ☆デラルテ」で長くヒロインを務め、舞台への出演が多いため、観客全体に聞こえる発声に慣れ、朗読などにも長けています。その点がアニメをメインに活動する声優の演技に慣れた視聴者に違和感を与え、「棒読みに聞こえる」という意見につながったのではないか、という考察もありました。

水野理紗は花苗の姉の声も担当していた?

声優・水野理紗は、映画『秒速5センチメートル』の第2話『コスモナウト』にも出演しました。第2話のヒロインである澄田花苗の姉・美穗(みほ)の役です。美穗は貴樹と花苗が通う高校の教師です。自分と同じくサーフィンを好きになった妹の花苗を、海へ送迎しつつ優しく見守るシーンが描かれました。水野理紗(キャラクター)とは異なった叙情的な演技に、同じ声優だと気づかなかった、という声もありました。

水野理紗の他の出演作品

声優・水野理紗は、『メダロット魂』の秋葉原ナエ、『ボンバーマンジェッターズ』のシャウト、『GUNSLINGER GIRL』のクラエス、『Get Ride! アムドライバー』のセラ・メイナード、『シュヴァリエ 〜Le Chevalier D'Eon〜』のリア・ド・ボーモン、『CODE-E』の斎橋由真、『アカメが斬る!』のナジェンダ、『ラクエンロジック』のヴェロニカ・アナンコなどを演じています。

また、OVA『時空異邦人KYOKO ちょこらにおまかせ!』では、主人公・朱臣響古(すおみきょうこ)を務めました。『アカメが斬る!』のナジェンダのような声の印象を変えた演技も話題になりましたが、元の声質が綺麗なため淡々としたキャラクターとの相性がよいという意見もありました。声優・水野理紗が「棒読み」演技をする声優か否かは、視聴者がどの作品を重点的に知っているかという差異もあり、賛否が分かれています。

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秒速5センチメートルの水野の小説版での活躍とその後

小説版での活躍①貴樹との馴れ初め

新海誠著の小説では、水野理紗は交際前に2度、プログラマーだった貴樹と会っています。貴樹が携わったプロジェクトのクライアントである会社の担当者の部下が水野でした。その仕事の後に偶然新宿駅で遭遇しお互いに時間があったため、水野が声をかけそのままデートします。その後、水野と貴樹が、夕食や映画鑑賞などを共にして仲を深めていく過程が描写されました。

小説版での活躍②水野は浮気していた?

2人とも次第に交際当初よりも感情が冷めていく中、水野理紗は貴樹の前で、仕事上の後輩からの電話に出ます。楽しそうに会話する水野と後輩に、貴樹は激しく嫉妬しますが、それを彼女本人には伝えません。翌日共に朝食をとると、それ以降水野と貴樹は会わなくなってしまいます。

水野が浮気していたという明確な描写はありませんが、水野の心が貴樹から離れ始めていたことは暗示されています。また、貴樹の嫉妬心を恋人に打ち明けられないという、心を閉ざした付き合い方も表れたシーンです。

小説版での活躍③破局したその後

新海誠著の小説版では、水野が別れを告げるメールが、もう少し長く書かれました。「今でも、いつまでも好きでいる」と始まり、「(貴樹くんは)優しくて素敵」と褒めています。しかし水野は、貴樹からの少しの反応に一喜一憂することに疲れ、それを貴樹にうまく伝えられなくなりました。自分と貴樹の「人を好きになるやりかた」は違うと思い、その差がつらいと水野は綴ります。

小説版では水野は、貴樹と自分の恋心をどちらも否定はせず、その伝え方が違うと書きました。気持ちが冷めたのではなく、それを自分の方法では貴樹に伝えられなくてつらいと訴えます。恋人の苦悩に満ち、それでもまだ自分を慕う文面に貴樹は泣きます。なぜ自分はたった1人も、少しも幸せにできないのかと、貴樹は自分を責めます。この水野のメールは、貴樹が自分を見つめ直し、新たに歩き出すきっかけになりました。

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秒速5センチメートルの水野に関する感想や評価

映画では登場シーンが少ない水野理紗を好き、という意見も多いようです。また、彼女の「心は1センチ~」という別れを告げるセリフ(メール)も有名になりました。男女共に、昔の初恋をひきずる貴樹に向き合おうとしたのに、報われず破局した水野理紗を、「大人だ」「かわいそう」などと思いやる意見がありました。

元々新海誠氏も、映画『秒速5センチメートル』が「鬱エンド」と称されたことを残念に思い、もっと前向きな物語だと示すために小説を書いたようです。映画を観て、水野理紗がどういう女性で、貴樹とどのように恋を育んでいたのか気になっていた人たちは、2人のなれそめや心情が綴られた小説を読んでよかったという感想を書いています。

新海誠監督は作品に、俳優などの声優でない人たちをよく採用しました。これはジブリ作品にも見られる傾向です。アニメの絵柄に合わせて技巧的に声を作るのではなく、リアルな人間が話しているという素朴な雰囲気の声がよいという意見もありました。

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秒速5センチメートルの水野まとめ

『秒速5センチメートル』の水野理紗は、声優の水野理紗が新海誠監督の過去作品に出演した縁で決まった役名です。水野は主人公・貴樹の成人後の恋人で、有名な別れのメールをはじめその淡々とした語り口が「棒読みでは」と言われましたが、演出上の仕様か、監督の志向である可能性があります。声優・水野理紗は作中、別ヒロインの澄田花苗の姉・美穗も演じました。『秒速5センチメートル』の水野理紗についてまとめました。

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