2020年12月13日公開
2020年12月13日更新
【ゴールデンカムイ】モデル・元ネタとなった人物一覧!史実上実在した人物は?
北海道周辺を舞台に、金塊を巡って巻き起こるサバイバルバトルを描いた人気作品『ゴールデンカムイ』。この作品には、史実上実在した人物がモデル・元ネタとなっているキャラクターが複数登場します。ここでは『ゴールデンカムイ』に登場するキャラクターのモデルの名前や元ネタを一覧で紹介。モデル・元ネタについて知れば、『ゴールデンカムイ』をより深く楽しむことができるでしょう。
目次
ゴールデンカムイとは?
ゴールデンカムイの概要
『ゴールデンカムイ』は、2014年8月から『週刊ヤングジャンプ』にて連載されている漫画作品。作者は野田サトルです。北海道・樺太を舞台とした物語で、アイヌ民族の文化に触れていることで話題となりました。2018年4月にテレビアニメ化され、同年6月にかけて第1期が放送。その後、2018年10月から12月にかけて第2期が放送されました。2020年10月からは第3期が放送されています。
ゴールデンカムイのあらすじ
日露戦争が終わり、迎えた冬。元陸軍兵の杉元佐一は、幼なじみの眼病の治療費を必要としており、北海道で砂金を採っていました。そんな中、彼はアイヌ秘蔵の金塊の存在を知り、アイヌの少女・アシㇼパと共に、金塊を巡るサバイバルバトルに巻き込まれていくことになります。
ゴールデンカムイのモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~杉元とアシㇼパ~
ゴールデンカムイのモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧、まずは主要登場人物である杉元佐一とアイヌの少女・アシㇼパのモデル・元ネタをチェックしていきましょう。
杉元佐一のモデルや元ネタ
作者の曽祖父
主人公の杉元佐一は、元大日本帝国陸軍一等卒、元第一師団特別支援隊隊員。顔にある縦横の大きな傷が特徴的な、20代の青年です。羆に襲われ命の危機に瀕したところをアシㇼパに救われ、彼女と共に金塊とそれにまつわる事件を巡る戦いに身を投じることになりました。人間離れした戦闘力、強運、生命力を持っており、ついた異名は「不死身の杉元」。除隊しているものの、陸軍の装備である銃器類は今でも使用しています。
『ゴールデンカムイ』の作者である野田サトルの曽祖父は、日露戦争に出兵した屯田兵でした。そのため作者は、日露戦争後の日本を舞台に元兵士が活躍する話を書きたいと考えていたそうです。このことから、杉元佐一のモデルは作者の曽祖父であるとわかります。主人公・杉元佐一の名前も、作者の曽祖父・杉元佐一から取られています。
舩坂弘軍曹
作者の曽祖父の他に、杉元佐一のモデル・元ネタではないかと考えられている人物が1人存在します。その人物の名前は、舩坂弘軍曹。彼は大日本帝国陸軍の元軍人で、第2次世界大戦時にアンガウルの戦いで活躍しました。彼は米兵200人以上を殺害したと自著で記述するほど、多大な戦果を上げたそうです。しかし戦闘中に重傷を負い、命に危機に瀕します。
怪我を診た軍医からは自決用の手榴弾を渡されたことから、もはや手の施しようがないことは明らかでした。しかし舩坂弘は尋常ならざる回復力であっという間に傷を治し、一命を取り留めています。その後、何度もそういったことがあり、彼には「不死身の分隊長」という異名がつきました。生命力が強く、傷が治りやすい体質であるというところが、杉元の体質の元ネタになっているようです。
アシㇼパのモデルはいない?
『ゴールデンカムイ』のもう1人の主人公・アシㇼパ。戸籍上の和名は小蝶辺明日子。ポーランド人と樺太アイヌのハーフである父、北海道アイヌの母の血を引いています。彼女は10代前半ですが、聡明で機転の利く人物。そのため杉元からも絶大な信頼を寄せられており、かなり年下であるにも関わらず、彼からは敬意をもって「アシㇼパさん」と呼ばれています。作中では、アイヌ文化を紹介する案内役として描かれています。
そんな重要なポジションを担うアシㇼパですが、彼女のモデルはいないようです。モデルになるほど有名なアイヌ民族、しかも女性は記録に残っていません。アイヌ文化を勉強し、アイヌの女性についても調べつくした作者が創作した、理想のアイヌ女性なのでしょう。特定のモデル・元ネタは存在しませんが、アシㇼパのように自然を敬い凛々しく生きたアイヌ女性たちがかつて存在していたことは確かです。
ゴールデンカムイのモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~
モデル一覧①土方歳三
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その1、土方歳三。『ゴールデンカムイ』の土方歳三は、身体に入れ墨を持つ脱獄囚の1人。函館戦争で戦死したと思われていましたが生き延びており、網走監獄に投獄されて囚人生活を送っていました。後に、囚人たちを引き連れて脱獄。齢70を超える老人ですが、その戦闘能力は若者に引けを取りません。
モデルとなったのは、多くの人が名前くらいは聞いたことがあるであろう有名人物。新撰組副長・土方歳三です。土方歳三は「鬼の副長」として、新撰組局長・近藤勇を支え、戊辰戦争では旧幕府軍側の指揮官の1人として奮闘。戊辰戦争の最後、函館五稜郭で亡くなりました。
モデル一覧②永倉新八
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その2、永倉新八。『ゴールデンカムイ』の永倉新八は、元新撰組剣士。網走監獄から脱走した土方歳三のもとに馳せ参じ、彼のサポートをしている人物です。土方同様老いてはいるものの、その気迫は新撰組時代と変わりません。
モデルとなったのは、新撰組二番隊隊長・永倉新八。新撰組最強の剣士といえば沖田総司の名前が有名ですが、永倉新八も新撰組屈指の剣客でした。史実では、永倉新八は晩年小樽で過ごしていたらしく、その情報から生きていた土方と合流するという物語が生まれたと考えられます。
モデル一覧③門倉看守部長
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その3、門倉看守部長。門倉看守部長は、網走監獄の看守部長を勤める初老の男。集団脱獄が発生する以前から看守として働いており、監獄の中では一番の古株です。
門倉看守部長に関しては、これといったモデル・元ネタは明らかになっていません。父親がかつて土方歳三と共に旧幕府軍の一員として戦っており、自身も土方に対して忠誠心を抱いている門倉看守部長。その言動からして、恐らく幕臣子孫を意識して描かれたのではないかと言われています。
モデル一覧④鶴見中尉
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その4、鶴見中尉。鶴見中尉は名前を鶴見篤四郎といい、歩兵第27聯隊所属の小隊長で、情報将校です。彼はアイヌ埋蔵金を狙う第七師団の主導者であると同時に、師団内の反乱分子の主犯格でもあるというキャラクターです。
鶴見中尉のモデル・元ネタと考えられているのが、日本帝国軍第七師団に所属していた須見新一郎。彼はノモンハンの戦いに第七師団歩兵第26聯隊長として従事しました。もう1人、モデルと考えられている人物の名前が、河井継之助。河井と鶴見には、マシンガンやガトリングガンのような強力な銃器を使うという共通点があります。
モデル一覧⑤月島軍曹
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その5、月島軍曹。月島軍曹はその名前を月島基といい、歩兵第27聯隊所属の鶴見の側近です。変人揃いの第七師団の中では貴重な常識人であり、苦労人。
彼には人物のモデルはいませんが、月島軍曹の故郷のモデルは存在しているようです。新潟県佐渡市にある佐渡市宿根木伝統的建造物群保存地区がそこで、現在でも江戸後期から明治初期に栄えた町の姿が残されており、『ゴールデンカムイ』ファンの聖地の1つとなっています。
モデル一覧⑥二階堂浩平
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その6、二階堂浩平。二階堂浩平は歩兵第27聯隊所属。双子で、片割れの名前は二階堂洋平。しかし洋平は杉元に殺され、以来、浩平は杉元に復讐心を抱いています。
そのため、もはや金塊よりも杉元の殺害を主な目的として動くようになりました。作中で左耳を失い、頭皮を剥がされ、片脚も失うなど着々と悲惨な状態になっている二階堂浩平。彼にも、決まったモデルはいないようです。
モデル一覧⑦谷垣源次郎
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その7、谷垣源次郎。谷垣源次郎は、歩兵第27聯隊所属の青年。元マタギである彼の強みは、優れた射撃の腕です。またマタギとしての知識は、慣れない北海道の山中での活動にも非常に役立ちました。
谷垣源次郎のモデルではないか、とファンの間で噂されているのが、山谷源次郎という名前の人物です。山谷源次郎は北海道で孤児院を運営していた人物で、アイヌの少年と親子のような関係を築いていました。名前とアイヌとの関係性から、モデルなのではないかと言われています。
モデル一覧⑧鯉登少尉
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その8、鯉登少尉。鯉登少尉は、鯉登音之進という名前で、歩兵第27聯隊に所属しています。鶴見中尉を崇拝しており、いつも彼のブロマイドを持ち歩いているという変わった男。しかし軍人としては非常に優秀です。
鯉登少尉のモデルになったと考えられているのは、鯉登行一という人物。鯉登行一は日本の陸軍軍人で、第七師団の第18代師団長を務めました。陸軍中佐の父を持ち、自らも軍人として活躍した人物です。
モデル一覧⑨白石由竹
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その9、白石由竹。白石由竹は入れ墨を持つ脱獄囚の1人。頻繁に脱獄をする彼には「脱獄王」という異名がついています。身体の関節を自由自在に脱臼させることでどんな狭い場所も自由に行き来することができるという、脱獄向きの特技の持ち主。
彼のモデルとなったのは、北海道に実在した囚人・白鳥由栄だと言われています。白鳥由栄は26年の間に4回の脱獄に成功し、「昭和の脱獄王」という異名を得ていました。脱獄事件の中でもよく知られているのが、網走刑務所からの脱獄。このことから、白石由竹のモデルが白鳥由栄であることはほぼ間違いないでしょう。
モデル一覧⑩牛山辰馬
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その10、牛山辰馬。牛山辰馬は入れ墨を持つ脱獄囚の1人。羆や馬などを投げ飛ばせる人並み外れた怪力の持ち主で、かつては有名な柔道家でした。その強さからついた異名は「無敗の牛山」です。
牛山辰馬のモデルと言われているのは、伝説の柔道家・牛島辰熊です。牛島辰熊は恐ろしく強く、「不敗の牛島」と呼ばれていました。牛山とほとんど同じ異名を持っていたのです。名前も似通っており、また作中に牛山が行っている大木への打ち込み修行は、牛島が行っていた修行として知られています。
モデル一覧⑪姉畑支遁
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その11、姉畑支遁。姉畑支遁は、動物に過激な愛情を向ける変態男。彼も入れ墨を持つ脱獄囚の1人です。彼の行動は常軌を逸したものばかりで、ファンのみならず多方面に衝撃を与えました。
名前は『シートン動物記』で知られる博物学者アーネスト・トンプソン・シートンと、ムツゴロウさんという愛称で知られる動物研究家の畑正憲から取られたと考えられています。動物を愛するところもこの2人から取られたのでしょうが、当然ながらモデルとなった彼らは純粋に動物を愛する研究者であり、姉畑支遁の作中での動物に対する振る舞いは彼らに一切関係ありません。
モデル一覧⑫家永カノ
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その12、家永カノ。家永カノは、入れ墨を持つ脱獄囚の1人。外見は妖艶な美女ですが、その正体は老齢の男です。札幌世界ホテルの女将に成りすまし、ホテルにやってきた魅力的な容姿などを持つ客を殺しては食すことで、その美貌を維持していました。
家永カノのモデルと言われているのは、シリアルキラーとして知られるH・H・ホームズです。彼は殺人をしやすいように設計された「殺人ホテル」を建築し、やってきた宿泊客を殺害しました。遺品の数から、被害者は数百人に及ぶと見られています。家永カノの「家」はホームズから取られており、またホテルを利用した殺人という設定もホームズが起こした事件を元ネタとしているようです。
モデル一覧⑬第七師団
『ゴールデンカムイ』のモデル・元ネタや史実上実在した人物一覧~その他~その13、第七師団。鶴見中尉率いる日本軍の造反者部隊・第七師団。第七師団の目的はアイヌの金塊を軍資金とし、武器を買って大元の第七師団を乗っ取り、やがては北海道を手に入れることです。
第七師団という集団は、実在する集団でした。史実の第七師団は、大日本帝国陸軍の師団の1つで、北海道に置かれた常備師団。その目的は北辺の守護で、北海道民は彼らのことを「北鎮部隊」と呼んでいたそうです。
ゴールデンカムイのコスプレやグッズ
ゴールデンカムイのコスプレ
『ゴールデンカムイ』はコスプレイヤーからの人気が非常に高い作品です。ECサイトでは、杉元佐一が纏う上等兵服や、アシㇼパが身に纏うアイヌの民族衣装などが多く販売されています。こだわって全て自作で衣装を用意する熱心なコスプレイヤーもいるようです。
ゴールデンカムイのグッズ
販売されている『ゴールデンカムイ』のグッズは多岐に渡ります。クリアファイルやキーホルダー、ストラップ、パスケース、フィギュアなど、どれもファンに人気の商品となっています。各ECサイトで、種類や在庫を確認してみてください。
ゴールデンカムイのモデルに関する感想や評価
ゴールデンカムイのファンブック、めっちゃ面白い。
— 祥@初回取引ツイフィ必読 (@sho10sai) November 19, 2020
杉元と鶴見のモデルの話、面白い。
『ゴールデンカムイ』のファンブックには、杉元や鶴見中尉のモデルとなった人の話が収録されており、ファンは大いに楽しんだようです。興味がある人は、ファンブックをチェックしてみてください。
ゴールデンカムイの主人公・杉元佐一のモデルは舩坂弘って人なんだけど舩坂弘さんのエピソードはもはや人間やめてるとしか言いようがない件 pic.twitter.com/HaOnpvaeWv
— よくばりワシカ (@Yokubariwashika) March 22, 2020
杉元のモデルと言われている舩坂弘のエピソードは、超人的で驚くべきものばかり。普通の人間なら死んでいるであろう状況を乗り越える彼の姿は、正に杉元です。杉元のモデル、舩坂弘にも注目してみてください。
破獄を観ました。
— キャプたん (@kamosio157) May 10, 2020
ゴールデンカムイの白石のモデルの脱獄王の話です。 pic.twitter.com/f4HQanHOZK
吉村昭の長編小説『破獄』は、白石由竹のモデルだとされている受刑者・白鳥由栄をモデルとした主人公が登場する作品で、実写化もされました。白石由竹がきっかけで白鳥由栄に興味を持ち、関連作品である『破獄』に手を伸ばした『ゴールデンカムイ』ファンは少なくありません。
ゴールデンカムイのモデルになった人物の名前まとめ
『ゴールデンカムイ』のキャラクターのモデルになった人物について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?はっきりしたモデルがいるキャラといないキャラがいましたが、モデルがいないとされているキャラにも実はモデルがいて、今後明らかになるかもしれません。『ゴールデンカムイ』をきっかけにアイヌ文化や史実の第七師団などに興味を持ち、それを調べ、モデルらしき人物を探してみるのも良いでしょう。