【エヴァンゲリオン】ガフの扉とその奥にあるガフの部屋とは？バラルの扉との違いは？

『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズには、『ガフの扉』と『ガフの部屋』という用語・事物が存在します。ご存じかもしれませんが、エヴァ用語はとても難解なものが多いです。ガフの扉とガフの部屋についても、様々な考察がされていますが、全てが解明されているわけではありません。

エヴァシリーズを視聴済みの方でも、「結局なんだっけ？」となる可能性も高いです。この記事では、ガフの扉とガフの部屋とは何か、『バラルの扉』との違い、インパクトとの関係などを考察します。まずは少しだけエヴァの作品情報をおさらいしましょう。

まずは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの全般的な情報をお届けします。エヴァシリーズの舞台は、「セカンドインパクト」と呼ばれる大災害に遭った後の世界で、主に第3新東京市という場所で物語が進みます。作品内では、「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」(通称：エヴァ)に搭乗し、謎の敵「使徒」と戦う子供達の葛藤や運命が描かれています。

そして、エヴァの新劇場版シリーズ(略：新劇)とは、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年～1996年）の内容をリメイクした作品です。総監督やキャラクターデザイン、音楽など、軸になるスタッフはテレビアニメと変わりません。新キャラクター以外は、当時の声優をそのまま起用しています。新劇は全4部作となり、それぞれ『序』『破』『Q』『シン・エヴァ』と略して呼ばれています。

「セカンドインパクト」と呼ばれる大災害が地球を襲い、世界の総人口の半分が消滅しました。それから15年後、主人公・碇シンジは、父・碇ゲンドウから呼び出され、第3新東京市に訪れます。その後、「ジオフロント」という地下空間へ足を運んだシンジは、「NERV(ネルフ)」という国連直属の特務機関に招かれます。ネルフの最高司令はシンジの父・ゲンドウで、息子・シンジに対してある指示を出しました。

ゲンドウは、シンジに「汎用ヒト型決戦兵器・人造人間 エヴァンゲリオン」の初号機に乗り、使徒と戦うことを強制したのです。そんなことは無理だと拒むシンジでしたが、代わりのパイロットとして現れた綾波レイが重傷であることを知り、エヴァに乗る決意を見せるのでした…。

『ガフの扉』『ガフの部屋』の描写・設定は、エヴァの各シリーズで異なるので、より難解に思えてしまうかもしれません。エヴァの各シリーズを観たからと言っても、ガフの扉とガフの部屋を理解できるとは限らないのです。そのため、エヴァファンの間でも様々な考察がされています。こちらでは、その複雑さを少しでも和らぐように、ガフの扉とガフの部屋の情報や考察をお届けします。

ガフの扉とは？と考察する前に、先に考察すべきものがあります。それはガフの部屋です。ガフの部屋はエヴァだけの設定ではなく、現実世界でも存在する概念です。まずは、現実世界のガフの部屋について述べます。ガフの部屋が登場するのは、遥か昔のヘブライ人の伝説です。それによると、神の館という場所があり、その館の中には魂の住む部屋と呼ばれる部屋があります。その部屋こそがガフの部屋なのです。

全ての生命体は、この世に生まれてくる前に、ガフの部屋に入ります。ガフの部屋とは魂を授かる場所で、ガフの部屋に入ると、空っぽの器の状態から、魂を持つ生き物として、この世に生まれることができます。一方、エヴァの世界では、ガフの部屋は神の館にありません。ガフの部屋は、生命体それぞれに存在しており、生命体の数＝ガフの部屋の数であると考察されています。

また、エヴァにおけるガフの部屋は、魂が生まれる場所であると考察されています。碇ユイから作られたクローンは、ガフの部屋から魂が生まれず、何もかもが空っぽでした。しかし、綾波レイだけはガフの部屋に魂が生まれました。同じユイのクローンでも、魂のないクローンと、感情を有するクローン(レイ)は別物であると言えるでしょう。

エヴァにおけるガフの部屋は、全ての生命体に存在すると考察しました。それでは、ついにガフの扉のターンです。エヴァの世界において、生命体は使徒と人類の2種類に分けられます。使徒のルーツは白き月から誕生したアダムで、人類のルーツは黒き月から誕生したリリスとなります。アダムとリリスとは、人類が生まれるより前に地球へやってきた「生命の種」と呼ばれる、全ての生き物の祖先です。

ガフの扉は、生き物の始祖であるアダムとリリスの掌に出現する亀裂のことであると、旧劇場版の絵コンテまたはスクリプトから考察されています。旧劇場版には、巨大なリリスが登場し、掌のガフの扉が開いた瞬間、サードインパクトが生じました。そして、人類の魂はガフの扉を通り、黒き月＝リリスのガフの部屋へ還るのでした。ガフの扉＝ガフの部屋の扉なのです。名前の通りですね。

少し補足すると、白き月＝アダムのガフの部屋です。ガフの扉が開くと世界が終焉を迎えるという設定は、第21話(ビデオフォーマット版)でも、ほんの少し言及されています。新劇場版『破』では、擬似シン化形態の初号機が、ガフの扉を開き、『Q』では第13号機がガフの扉を開けました。新劇のガフの扉の描写は、旧劇とは全く異なり、『破』の場合は、エヴァの頭上に現れた真っ黒な穴とその周りの赤黒い渦＝ガフの扉でした。

上記では、ガフの扉についてお届けしましたが、この項目では、ガフの扉と混合されがちな『バラルの扉』を紹介します。バラルの扉もガフの扉と同様に、考察しがいのある難解なエヴァ用語です。下記では、バラルの扉の概要はもちろん、バラルの扉の名称についての疑問も、考察しながらお届けします。

ガフの扉のルーツは、アダムとリリスにあり、バラルの扉のルーツはエヴァ初号機です。ガフの扉とバラルの扉は、どちらもガフの部屋へ繋がっています。それでは、バラルの扉の考察に移りましょう。まず、バラルの扉の由来は、旧約聖書に載っているバベルの塔だと考察します。バベルの塔とは、神の領域にまで近寄ろうとする人間の罪深さを表しています。アダムとリリスは、ガフの扉を有する始祖、謂わば神です。

その神を模して作られたのがエヴァです。エヴァ(初号機)は、アダムとリリスのように扉を開くことができます。その扉こそがバラルの扉なのです。ネルフとゼーレは、エヴァを使うことで、バラルの扉を開き、神に等しい存在になることを目指しました。新劇『破』では、碇ゲンドウによる計画で、バラルの扉を開けようとしますが、ゼーレが望む人類保管計画と解釈・内容の違いがあったため、阻止されます。

バベルの扉ではなく、あえてバラルの扉と名称を変更したのは何故でしょうか？バラルとは、アッカド語で「神の門」を意味する言葉です。一方、旧約聖書におけるバベルの語源は、ヘブライ語の"balal(バラル)"であると記されています。"balal(バラル)"の意味は「混乱」です。バベルの塔とは、「人類が(到底辿り着けない)神に近づくための塔(または門)」として認識されています。

神に近づきたいがために、初号機を使ってバラルの扉を開けようとしたゼーレとネルフ。それらの点を踏まえると、バベルを使うよりも、その基となったバラル(アッカド語で神の門)を用いた方が、理にかなっていると考察できます。あえてバラルを使うことで、神と等しい存在になりたい人類の欲望を強調することができるのです。

ガフの扉と密接な関係があると言われているインパクトとは、一体何なのでしょうか？インパクトは主に、ファーストインパクト、セカンドインパクト、サードインパクトがあります。この項目では、それぞれのインパクトが、どうして起こったのか、どのように世界を動かしたのかを中心に述べます。

ファーストインパクトとは、黒き月が、地球へ落下したことを指すと言われています。黒き月が地球へ落下した際、人類のルーツであるリリスも地球へ生み落とされました。 一方、白き月は、黒き月よりも先に地球へ落下していたため、リリスが生まれるよりも前に、使徒のルーツであるアダムを生んでいました。

しかし、黒き月が落下した衝撃で、アダムから生まれた使徒達は、眠りにつきます。ファーストインパクトが起こったことで、多数の土砂が舞い上がって集まり、その後地球を照らす月として形成されました。ちなみに、黒き月が落下した場所は日本で、神奈川県の南西部にある箱根です。

セカンドインパクトとは、人為的に起こされたとされている大災害です。ファーストインパクトが発生した後、アダムは深い眠りについていました。ゼーレは、反ATフィールドの力を持つロンギヌス槍を用いることで、アダムのATフィールドを消滅させた後、アダムと人間のDNAを融合させました。それが後のカヲル(新劇)を創ったとも考察されています。

遺伝子を融合されたアダムは、ロンギヌスの槍に貫かれた状態で、暴れだしました。アダムは、反ATフィールドを繰り広げながら、自身を胎児に戻し始め、魂をガフの部屋へ還そうと、ガフの扉を開けました。その瞬間、ガフの部屋は熱滅却処理され、魂を作る機能が失われました。

アダムのガフの部屋は、使徒を作り出してしまうので、これ以上使徒を増やさないために、セカンドインパクトが必要だったと考察できます。つまり、人為的なセカンドインパクトを起こすことで、新たな使徒の誕生を防ぎ、人類への脅威を最小限に抑えたと言えるかもしれません。

サードインパクトは、シンジがトリガーとなり、発生したインパクトだと考察されています。インパクトを起こす際に、ガフの扉を開く必要があるところは、ファーストインパクト＆セカンドインパクトと同じようです。シンジは、誰かを救いたいという純粋な願いから、レイを助けましたが、レイの中に使徒が潜んでいることを知りませんでした。

その結果、レイとエヴァ初号機(リリスがベース)が混ざり合い、サードインパクトが発生しました。使徒とリリスが触れ合ってしまうと、サードインパクトが起こり、古の生命体(人類)が全て消滅した後、新しい生命体が誕生すると考察されています。サードインパクトの発生条件は多岐に渡ると言われ、ファンによって考察内容も異なります。

『シン・エヴァ』とは、ファン待望の新劇シリーズの最終作に当たり、2021年1月23日公開予定の作品です。公開が待ち遠しいですね。ガフの扉は、今までのエヴァシリーズ全てに絡んでくる重要なものなので、物語の終わりに深く関わってくることは間違いありません。

ガフの扉は旧劇シリーズと新劇シリーズで、描写や設定などが異なっており、興味があって調べた際も「あれ？設定変わったの？」となりがちです。ストーリーから細かい設定まで、色々と再構成された新劇シリーズは、観ていて謎が尽きませんが、新たに加わったキャラや設定などを楽しむことができます。

ガフの扉の向こう側にはガフの部屋がある…と先述しましたが、やはりエヴァは一筋縄ではいきません。エヴァの用語・概念は、考察すればするほど謎が増えるので、「誰か解説して」と思うファンもいれば、自らどんどん考察を続けるファンもいます。それにしても、ガフの扉の向こう側＝高次宇宙であっても違和感がなさそうですね。

エヴァを観れば観るほど、ガフの扉とは何か分かる…ではなく、より複雑になると言えるでしょう。先述したセカンドインパクトは人為的なものですが、果たして人類がインパクトを起こすことは可能なのでしょうか？「もしかしたらまだ裏があるのでは？」という疑問が募ります。

この記事では、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの用語・概念の中でも、特に複雑な『ガフの扉』や『ガフの部屋』、そして『バラルの扉』やインパクトなどについて考察しましたが、いかがでしたでしょうか？これらの事物は、エヴァを観ていたとしても、難解なものなので、個々人で意見が割れることもしばしばあります。

ガフの扉やガフの部屋についての考察は多岐に渡るため、答えが欲しいところですが、たとえ全てが解明されなくても、ファンそれぞれで補完しても良いのかもしれません。2020年の1月にシン・エヴァが公開されるので、ガフの扉やガフの部屋はもちろん、バラルの扉やインパクトについてもまた新たな発見があると面白いですね！