2020年10月08日公開
2020年10月08日更新
【キングダム】万極将軍は龐煖の副将!「特攻の万極」の最後と史実で実在したか考察
キングダムでも取り分けて「恨み」で生きるキャラクターだったとして知られているのが万極将軍です。特攻の万極の異名を持つ万極将軍は特に秦に対して強い恨みを持っており戦場では蹂躙を繰り返す将軍として登場、飛信隊もその被害を受けるなどしています。今回は万極将軍についてキングダム作中での活躍や最後の死亡シーンについて、また史実での実在などについてまとめて紹介していきます。
万極将軍は龐煖の副将
趙の将軍の中でも実質的に龐煖の副将を務めていたのが万極将軍です。今回は特攻の万極とも言われた万極将軍についてまとめて紹介していきます。
キングダムの作品情報
キングダムの概要
キングダムは2006年から集英社が発売する週刊ヤングジャンプにて原泰久先生が連載している古代中国の春秋戦国時代を題材にした中華時代劇漫画です。元々日本ではあまり馴染みのない時代だった故に知名度はあまり高くありませんでしたが壮大なストーリーと個性豊かなキャラクター性で徐々に人気を獲得し59巻発売時点で6800万部を売り上げる程の人気コミックになっています。
第17回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞するなど漫画業界でも高い評価を受ける作品でメディアミックス展開も長きに渡って行われています。2008年に行われたVOMIC化、2012年と2013年に2度に渡って行われたアニメ化、2019年に50巻到達記念で製作された実写映画化などが行われ、2020年にも3度目となるアニメ化、実写映画の続編の製作が決定するなどしています。
キングダムのあらすじ
下僕の身分でありながら天下の大将軍を夢見る信は、反乱を起こされ追手に追われる秦王贏政を助け、反乱を鎮めるのに貢献した事で家をもらい平民となります。初陣で活躍した信は異例の百人将に昇進。同時に自身の弱さを痛感した信は王騎将軍に修行を着けてもらうなど成長していきます。そんな信が次に出陣する事になった馬陽攻防戦にて登場する事になるのが今回紹介する万極将軍です。
万極将軍のプロフィール
万極将軍は趙の将軍で、「特攻の万極」の異名を持つ程高い攻撃力を持つ軍を率いた将軍です。長く伸ばした白髪と黒い歯が特徴的な見た目をしており、吃音の傾向がありどもった喋り方をします。
過去に秦と趙の大きな戦いの1つ長平の戦いに父や兄と共に従軍し結果的に生き埋めにされた1人で、自力で這い出た事により生存しました。この経験から秦に対して強い恨みを持っておりその恨みを全面に出した戦い方をしています。そんな戦い方から秦側にもその名は知られており、昌平君から咸陽(秦の首都)に近づけたくない人物の1人であると名指しされる程に知名度の高さを誇っています。
万極将軍の初登場
万極将軍が初登場した時は、龐煖の副将として登場しました。元々軍を率いるタイプではない龐煖が、馬陽攻防戦の初日に飛信隊を襲撃した際、追撃する軍を率いる形で登場しました。この時には干央を負傷をさせている他、飛信隊を半壊させる活躍を見せます。しかしその後馬陽攻防戦の中での活躍はなく、王騎将軍が討たれた後には激昂した録嗚未の軍により大打撃を受けるという役回りでした。
万極の長平の戦いでの活躍や「特攻の万極」の最後
万極の長平の戦いでの活躍
そもそも長平の戦いは贏政が王位につく20年~40年前に起こったとされる秦と趙の大きな戦いです。キングダムで言う所の六大将軍全盛期の時代であり、白起将軍を始めとした六大将軍によって各国に侵攻作戦を展開していた時代になっています。長平の戦いの戦いが起こった最たる理由と言われるのもそんな秦が隣接する韓の土地を奪った事が事の発端になっています。
これにより韓の上党という土地が韓本国と切り離されてしまい孤立する事になってしまいます。切り離された上党の市民は秦に蹂躙されるくらいならと同じく隣接していた趙に加えてもらうという道を選びます。趙としては何もせずに土地を得られますが当然秦を怒らせる事になるので当時の王であった孝成王は側近にも相談する程でしたが結局上党からの訴えを受け入れ趙に受け入れる事になります。
これに怒った昭王が軍を派遣し上党を占拠、上党の民は趙の長平に逃げ込みます。秦軍は民を追う形で長平に侵攻、対して趙は廉頗を総大将とした軍を派遣、こうして起こるのが長平の戦いの戦いです。そしてこの戦いに趙は敗れ趙兵は大量に捕虜になりますが、趙に逃せば禍根が残り、秦につれていくには兵糧が足りないと判断した白起により生き埋めにされる事になってしまいます。
キングダムにおいて万極はこの時に生き埋めにされた兵の1人であり、父・万顔と兄・万剛と共に従軍していたとされています。具体的な活躍は描かれていませんが秦の捕虜となり生き埋めになったという形です。長平の戦い自体はキングダムの年代から見ても、また白起や王騎が全盛期の頃だったと考えても相当前の出来事であり、長平の戦いから初登場する事になる馬陽攻防戦までの間に将軍まで上り詰めたという事になります。
合従軍編で再登場
馬陽攻防戦にて登場した万極将軍は合従軍編にて趙軍の一員として再登場します。再登場した際には万極軍は万極と同じく長平の戦いを生き残った者、または長平の戦いで父や兄、家族を失った遺族・遺児で構成された特殊な軍を率いていました。対峙するのは臨時で二千人将となった信率いる飛信隊を含む麃公軍でした。
この時趙軍の指揮を取っていたのが慶舎です。慶舎は相手をハメて戦うタイプの本能型の将軍であり、麃公将軍との本能型対決が行われます。この戦いは慶舎が上回り麃公軍は追い詰められますがその追い詰める役割を担ったのが万極将軍率いる軍でした。麃公軍を後ろから猛追する事で後ろから削り取ってきたのです。
そんな趙軍の動きに対し決死の反転作戦により窮地を救ったのが信と飛信隊でした。信と飛信隊は危険を承知で味方の中を逆走。飛信隊と麃公軍の後方部隊を信がまとめあげ万極軍と衝突します。将としての才覚を発揮し本能型として目覚め始めていた信の咄嗟の判断により麃公軍は救われる事になりました。
最後①信との一騎討ちで敗北し死亡
とはいえ万極軍はキングダム作中でも「長平の呪いそのもの」と表現される程に異質な恨みを募らせた軍でありその頂点に立つのが万極です。この万極に対し相対する事になったのが信でした。同じ戦争孤児という出発点からスタートした信と万極でしたがその後に歩んだ道は対極と言っても良いものでした。「夢」という光を目指して突き進む信に対し、「恨み」という闇を糧にしてきた万極との戦いになるのです。
万極は信に訴えます。信達がしようとしている中華統一はその過程で多大なる犠牲を伴います。いわば万極の存在はその犠牲の代表とも言える存在だったのです。万極はあまりの恨みから秦兵だけでなく武装していない秦の一般人にも手を挙げているのを知っている河了貂は「同情はいらない!」と言いますが信は「こいつに同情の余地がなくはない」として一定の理解を示すのです。
信は万極と向き合う中で何故贏政が中華統一を目指すのかの答えに気づく事になります。国境という境があるから恨みが生まれるのであり新たな恨みを産まない為の戦争なのであるというその答えはそれでも犠牲を生む事も理解しました。そして周囲に恵まれた自身と違い、心の傷を癒やす事が出来なかった万極に対し哀れみの想いを抱きながら「もう楽になれ」と討ち取り死亡させるという最後を与えるのでした。
最後②信の誓い
死亡する万極に対し、信はある誓いを建てて最後を見送っています。それは「俺は絶対に長平のようなことはしないし、絶対にさせない」というものでした。死亡する直前、最後にこの言葉を聞いた万極は憑き物が落ちたように健やかな表情で死亡するという最後を迎えています。
信の考えを決定づけた万極の存在
信は万極と戦い死亡させる以前から敵国の者・攻め落とした城に対しての略奪などには反対派であり、それで同じ秦側の中で衝突した経験もありました。しかし万極の過去を知り最後には死亡させて看取った経験がより明確に信の考え方を決定づける要因になっていると言えます。
万極と対峙した合従軍での戦いの後、黒羊攻防戦では略奪などを是とする桓騎軍と衝突し、桓騎軍の兵を死亡させてしまい慶舎の首級を上げて得た武功を取り消しにされてしまうという経験もしています。加えて部下にもその思いを徹底させており、死体の遺品を持っていたからと古参である尾平を叱りつけた上で一時的とはいえ飛信隊を追い出す措置を取っています。
また朱海平原での龐煖との一騎打ちの最中には「思いを紡ぐ強さ」を表現する信の後ろに死亡したキャラクターが描かれており、そこには敵将として戦い死亡するという最後を迎えた万極の姿までもが描かれていました。これは紛れもなく信の中に万極と対峙した事、万極から受け取った思いが残っている事の証明であるとも言えます。
万極は史実で実在する?
キングダムには実在の人物が多数登場
キングダムは古代中国の春秋戦国時代を舞台にしていますが、物語の舞台になっているだけでなく、史実で実在した出来事や登場人物なども多くいます。古い時代なので残っている資料には限りがありますが、史実の歴史書とされる「史記」や「戦国策」を元に作られているのがキングダムなのです。
史実に実在した人物としては王族である贏政、信(李信)や羌瘣、王翦、謄などの将軍として各地の戦場で活躍した人物などが多く名前を残しています。中には李牧や白起のように個人にスポットを当てた「列伝」がある人物もいる程でキングダムはそれらの事実を上手く絡めて描かれているのです。
一方で全てが史実通りかと言えばそんな事はないです。というのも将軍などの活躍は多くの場合「将軍になってから」の事しか分からない場合が多く、信なども将軍になってからの事しか分からない為です。将軍になって始めて名前が登場するキャラクターも多く将軍になっていない人物などはよほどの事がない限り名前は残っていません。
キングダムでいえば河了貂や信・羌瘣を除く飛信隊のメンバー、各将軍の側近・副将などは史実に名前が登場しないキングダムオリジナルのキャラクターが多くなっています。エピソードに関しても同様で史実の物を基本としながらも必要に応じて脚色を加えたり、前後を入れ替える、または別の形に変更される場合も多くなっています。
万極はオリジナルキャラ
史実の人物とオリジナルキャラが入り乱れるキングダム。特に将軍は入り乱れが激しいですが万極に関しては完全にキングダムオリジナルのキャラクターになっています。モチーフとなったと思われる人物もおらず、上記でも紹介したように信に侵攻される側の気持ちを考える機会を与えるキャラクターとして登場し最後には死亡したキャラクターであると言えます。
キャラクターとしてはオリジナルキャラクターである万極ですが、そのキャラクター性のベースにある長平の戦いに関しては史実でも行われた出来事です。紀元前260年に起こった長平の戦いは元々は王騎のモデルとなった史実の人物である王齕が総大将を務めており、対して趙側は廉頗を派遣、しかしスパイを使って偽情報を流して趙側の大将を趙括に変更させ、さらには秘密裏に白起を派兵して総大将に据えました。
ちなみにキングダムでは40万人を生き埋めにしたとされていますが、史実では20万人が戦死、投降した20万人を生き埋めにしたとされています。キングダムでは突撃した趙括を王騎が討ち取るという形で描かれている為、軍同士の衝突が描かれていない為です。史実においても突撃などは行われていますがそれまでに軍の衝突があった為に既に多数の戦死者が出ている状態でした。
この長平の戦い自体のエピソードはそのまま王騎や廉頗、白起のエピソードとしてキングダムでも使用されています。また当時趙にいた贏政が虐げられる原因にもなるなど直接的なエピソードとしてはもちろん、間接的な要素としても利用される大きな要素として使用されています。
万極は白起の心配から生まれた?
オリジナルキャラクターである万極ですが、万極のような存在が生まれる事を危惧したのが史実の白起です。史実で白起は長平の戦いにて投降した捕虜の扱いに困ってしまいました。その膨大な人数は捕虜にしては兵糧が足りなくなり、秦に連行するわけにもいかず、かといって長平の戦いの壮絶な戦いを目の当たりにしている捕虜達を趙にそのまま解放すれば遺恨が残ると心配したのです。
様々な要因を考えた末白起が最後に行ったのが捕虜の生き埋めにして死亡させるという事でした。この行いは白起自身が最後に自害で死亡する時にも触れられる程であり、よほど心配していたのであろうと考える事が出来ます。そしてこの白起の「遺恨が残る」を体現化したのが万極というキャラクターであると言えます。
万極は趙に仕える副将!強さを紹介
強さ①龐煖の副将に選ばれる実力
長く続くキングダムにおいて万極の登場シーンはかなり短めです。元々趙の将軍であり、秦側の視点で描かれるキングダムにおいては敵将である事もあって断続的に登場する形でしたが、将軍になるだけの高い実力を誇っていると言えます。しかも龐煖という異質な存在の副将を務めるのですからある程度対応力の高さを見込まれているのではないかとも考察されています。
元々龐煖のウリは高い武力を活かした攻撃力にあると言えます。そこに「特攻の万極」と言われるように高い攻撃力を持つ万極を副将に据える事で相性が良いという事ではないかとも言えます。とはいえ龐煖・万極の両者の性質上、積極的に連携を取っているというわけではなく万極が龐煖の動きに合わせる形での行動が多いのではないかと考えられます。
強さ②使っている武器
恨みや過去のエピソードが強いインパクトを放つ万極ですが、使用する武器も少し普通とは違う独特な物になっています。使用している得物は波打った刃を持った曲刀です。一応春秋戦国時代の時代背景的には曲刀は存在こそしていましたが主流といえる武器ではなくキングダム作中でも使用者は珍しくなっています。
主流と言われる武器で強いのも驚異ですが主流ではない武器で将軍に上り詰めるだけの実力を誇るという事はそれだけ強さを発揮しているキャラクターであると言えます。
万極の声優
武藤正史のプロフィール
アニメキングダムにて万極役の声優を担当しているのが武藤正史さんです。2000年代からアニメ声優としてはもちろん、吹き替え声優としても幅広く活躍する声優さんです。東京出身で桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻卒業後声優の道に進みます。所属事務所はオフィスPACで一時期アミュレートに移籍、フリーの期間を経て再びオフィスPACに復帰しました。
武藤正史の主な出演作品
武藤正史さんがこれまでに出演した主なアニメ作品としては「バトルオブスピリッツ覇王」の大泉マナブ役、「ジャイアントキリング」の赤崎遼役、「MUSASHIGUN道」の小早川秀秋役、「ディスクウォーズアベンジャーズ」「マーベル フューチャー・アベンジャーズ」のロキ役、「剣王朝」の蘇奏役などがあります。
アニメ以外のメディアではゲーム「夢王国と眠れる100人の王子様」のグウィード役を担当している他、吹き替え声優としては「アドベンチャーランドへようこそ」「エージェント・ウルトラ」などに出演したジェシー・アイゼンバーグさんの吹き替えを担当している他、「ファンタスティックビースト」シリーズではクリーデン・ベアボーン役の吹き替え声優も担当しています。
万極に関する感想や評価
万極…長平の民の怨念…こわい🥺#キングダム
— coco (@coco082) April 26, 2020
ここからは既にキングダムを視聴した人の万極に関しての感想を紹介していきます。キングダムではあまり侵攻された先に関してのエピソードを描く事が少なく、また全体で見ると序盤に登場したキャラクターだけに万極のエピソードは衝撃的であり、怖かったとする声は非常に多いです。
万極はエピソードもさる事ながら見た目にも大きくその時のイメージが付随される形になっており、長平の戦いからの時間経過を考えても万極が如何にその時の経験に縛られている事を象徴させるデザインになっているのが余計に怖さを演出しているという声が多いです。
キングダムって本当にすごい漫画
— でんりみ (@denrimi77) September 21, 2019
信と万極
共に戦争孤児
でもエネルギーの源が全く違う
信は大将軍への夢という「光のエネルギー」
万極は長平の恨みという「闇のエネルギー」
両者を比較して読み上げると人生論に昇華出来る。就職活動の参考にもなる漫画です。#キングダム#キングダム経営論
万極に関しては特に対峙した信との対比関係が明確に描かれている事に触れる感想も多いです。共に戦争孤児であり、信が成り得た姿の1つであるという声も多くなっています。登場する期間が少なかったにも関わらず一定の人気を集める理由として信との対比関係にふれる人も多いです。
同時に信が万極に一定の理解を示した事でまた2人の関係性がより鮮明になったとする声が多くなっています。背負う覚悟を決めた上で信が万極に死亡という最後を与えた事、万極のようになる場合もある事を考えると人生観なども考えさせられてしまうという声も見られる程になっています。
今週のキングダムやべぇな。強敵に勝つ主人公的なのは予想できるけど、あの絵に万極と輪虎も描いてるのはやばい。
— もぎもぐ (@mogmog_lom) December 12, 2019
信は色々な人物の思いを背負っていますがそれを痛感させられたとするのが朱海平原での龐煖との一騎打ちでした。この一騎打ちでは信がそれまでに想いを受け取ってきた王騎・麃公はもちろん、敵将として戦った輪虎、そして万極までもが描かれていた事が、万極の思いをしっかり信が受け止めた上で成長しているとしてまた考えさせられたという声も多いです。
万極まとめ
万極は長平の戦いの生き残りとして登場した趙の将軍です。史実でも大きな戦いであった長平の戦いは万極はもちろん贏政や王騎、廉頗などのエピソードにも反映される程キングダムでも重要な戦いであったとして描かれています。万極自身はオリジナルのキャラクターながらも史実でも万極と同じように長平の戦いでの経験を糧にした人物がいても不思議ではないキャラクター性をしています。
キングダム作中では同じ戦争孤児という点からスタートした信と対比するような形で描かれており、その思いは2020年10月時点の最新刊59巻時点でも確かに信の中に残っている程です。それだけ重要なキャラクターなのでまだキングダムを視聴していない人は万極の活躍や最後の死亡までの展開などにも注目しながら視聴してみてはいかがでしょうか?