【キングダム】趙の李牧は史実でも最強の軍師だった？最後の処刑理由について解説

キングダムは中国の春秋戦国時代を舞台にした漫画で、2006年から週刊ヤングジャンプで連載中です。作者は原泰久、コミックは2020年9月の時点で第59巻まで発売されています。キングダムのアニメは2012年からNHK BSプレミアムで放送され、2020年4月からはNHK総合で第3シリーズが放送中です。また、佐藤信介監督による実写版映画「キングダム」が2019年に公開され、主人公の信は山﨑賢人、政は吉沢亮が演じました。

キングダムは中国が春秋戦国時代と呼ばれていた頃（紀元前3世紀ごろ）に実在し、初めて全土統一を果たした秦の始皇帝・嬴政（えい せい）と、下僕から成り上がり、秦の大将軍となった信（李信）の激動の半生が描かれたアクション・時代漫画です。キングダムには実在した人物が数多く登場し、中華統一までの史実に登場する様々な戦いが描かれています。

集落の里典の下で下僕として働いている信と漂は、「いつかは大将軍に」という志を抱き、作業の合間に武術の訓練をしています。ある日、秦の大将軍である昌文君が漂に目を付け、士官させました。一人でも日々訓練に励む信の元に、瀕死の漂が帰ってきました。漂の遺言の通りにある山へ行くと、そこに漂そっくりの秦王・政がいました。秦は政と共に夢を叶えるため壮絶な戦乱の世を生き抜いていきます。

キングダムの李牧（りぼく）は、原作コミック第11巻の「馬陽攻防編」で初登場しました。趙の「三大天」の一人に数えられる武将です。「三大天」とは趙で最も強いとされる武将に与えられる称号です。軍師としての知性と武将としての力強さを兼ね備えた軍事の天才です。

李牧の生い立ちについてはキングダムの連載が始まる前、週刊ヤングジャンプで李牧を主人公にした読み切りが掲載され、その中で生い立ちが描かれたということです。しかし、コミックに収録されておらず、李牧の生い立ちについて知っている読者は少ないと言われています。その読み切りで李牧は自身の過去を「ある男の物語」として語っています。

李牧が語った過去とは、戦争で家族を失った若者が復讐を誓い、部隊を引き連れて敵に攻撃を仕掛けました。やみくもに突っ込んだ結果、仇を討つことはできましたが、仲間をすべて失ってしまいました。復讐を遂げた喜びに浸ることもできず、ただ虚しさのみが残ったということです。

キングダムの李牧は「三大天」の一人で最強の武将と言われていますが、実は李牧は本来温和な性格の人物で、敵・味方関係なく無駄に命が失われることを嫌っています。この温和な性格は、李牧の生い立ちのところで紹介した辛い過去に起因しているのではないかと言われています。

キングダムの李牧についてプロフィール、生い立ち、性格などを見てきました。キングダムは史実で実在する人物が多数登場します。キングダムの李牧も史実で実在する人物で、最後は処刑されたということです。ここでは、史実の李牧の活躍と処刑された理由について見ていきます。

李牧は紀元前3世紀ごろ趙に実在した人物です。出身地と誕生した年は不明ですが、死亡した年は紀元前229年だということです。李牧はキングダムでも登場する秦の将軍・王翦、白起、趙の武将・廉頗の4人で「戦国四大名将」と称されています。特に「守戦の名将」と呼ばれているのが李牧です。

実在した李牧は国境守備の任務に就いていました。主に北方を担当しており、遊牧民族・匈奴（きょうど）の侵攻に備え、国境軍を率いる指揮官でした。李牧は非常に高い攻撃力を誇る匈奴と戦うために守備に特化した作戦を考案します。その作戦とは、自軍から攻撃を仕掛けることは一切なく、間者を何人も使って情報戦を繰り広げました。匈奴から攻撃を受ければ籠城作戦を採り、外に出て反撃する者は厳しい処罰を加えました。

徹底した情報戦と籠城によって李牧率いる国境軍は被害を最小限に食い止めることができていたのですが、趙王が李牧の戦法に不満を抱くようになりました。匈奴からの攻撃に対して迎え撃つこともせず、ただ籠城しているだけの戦法では臆病者だと匈奴に思われることを趙王は恐れ、さらに趙軍からも臆病な者たちなどと非難されました。趙王は匈奴への攻撃を命令しますが、李牧は考えを変える気は毛頭なく、自身の戦法を貫きました。

怒った趙王は李牧を解任し、別の者を後任の指揮官として送り込みました。後任の指揮官は城の外で匈奴と戦いましたが、強力な匈奴の攻撃に圧倒され、趙軍は多大な犠牲を強いられました。李牧は趙王にもう一度国境守備の任務を与えられますが、自分の戦法に対して誰にも口を出させないことを条件に引き受けました。

指揮官として再び北方に戻った李牧がまず始めたことは、匈奴の小規模な部隊による偵察隊が来た際、趙軍の兵士たちをわざと敗退させ、匈奴に物資を奪わせました。そうすることで趙軍はやはり臆病で弱いと匈奴に油断させることができます。そして李牧は趙軍を二手に分けておいて、押し寄せる匈奴の大軍に対して左右から挟み撃ちにしていきます。

こうして匈奴軍10万は、李牧率いる趙軍に完敗。大量の兵士を失った匈奴は敗走し、この後10数年、匈奴は趙の北方を越えてくることはありませんでした。勝利をもたらした李牧の活躍は、趙の国民に瞬く間に知られることになりました。李牧はこの武功によって将軍となり、龐煖将軍の指揮の下、燕に侵攻しています。

紀元前260年頃の趙は、かつて秦に勝利したことのある名将が死亡、外交では秦と対話できた藺相如が病気で床に臥せったままという状態で、秦と「長平の戦い」が起こり、趙は完敗します。その後、度々秦の侵略に遭い、趙は滅亡の危機に瀕します。趙の幽繆王（ゆうぼくおう）は李牧を大将軍に任命し、秦攻略の任務を与えました。

李牧が率いる趙軍と桓齮将軍が率いる秦軍は、宜安（ぎあん）で激突しました。肥下の戦いと言われるこの戦いは激しい攻防の末、李牧の趙軍が大勝利を収め、桓齮将軍は敗走したとも李牧に討たれたとも言われています。その後、再び趙に侵攻した秦軍を李牧は迎え撃ち、勝利します。李牧は秦によって征服されていた領土を奪い返しました。

こうして李牧は秦に対して一歩も引かぬ戦いぶりを見せました。キングダムでも桓齮将軍の弱点を知っていると話す李牧は、史実でも秦にとって非常に手強い相手だったと考えられています。このように、趙で最強と称された李牧ですが、あることがきっかけで処刑され最後を迎えることになります。史実での李牧の最後を見ていくと、紀元前229年、秦が大軍を仕立てて趙に攻め込みました。

軍を率いる将軍は、羌瘣、王翦、楊端和（史実では男性）です。李牧と司馬尚が秦軍を迎え撃ちますが、その時すでに幽繆王の重臣・郭開に秦から賄賂が渡っており、李牧と司馬尚が謀反の準備をしているという偽りの情報が幽繆王の元に届けられていたのでした。郭開の言葉を信じてしまった幽繆王によって司馬尚は更迭、李牧は捕らえられ、処刑されました。このように史実の李牧は、秦の謀略によって処刑されてしまったのでした。

実在の李牧は史実によると秦の謀略にはまり、処刑されましたが、キングダムでの李牧の最後はどのように描かれるのでしょうか？キングダムの作中での李牧は、史実でもそうでしたが、秦を散々悩ませる最強の将軍として描かれています。そんな李牧の最後については、史実通りに処刑されてしまう姿は見たくないと言われており、キングダムの李牧としての死に方、最後となってもいいのではないかと言われています。

ここまで、実在の李牧の史実での活躍と処刑された理由を見てきました。実在の李牧は秦の謀略による讒言によって処刑されましたが、キングダムで描かれている李牧が処刑されるのか？または、史実とは違う最後を迎えるのか？について見てきました。ここからは、キングダムで描かれている李牧の活躍を紹介します。

キングダムの王騎は秦の六将軍の一人で「秦の怪鳥」とも呼ばれる大将軍です。李牧が初登場した「馬陽の戦い」は、秦が韓に攻撃を仕掛けている間に、趙が秦の馬陽に攻め込んできたことで始まりました。秦は趙を迎え撃つために迎撃軍を結成し、指揮を王騎に任せました。趙の大将を務めるのは「三大天」の一人、龐煖（ほうけん）で、王騎にとって龐煖は、婚約者だった秦の六大将軍の摎（きょう）を殺した仇です。

戦いは秦が有利に進めており、秦と趙の互いの総大将である王騎と龐煖の直接対決が始まりました。戦いの最中、王騎軍の背後から李牧が趙軍を率いてやって来ました。味方にも知らせず秘密裏に動いていた李牧は、見事に劣勢を跳ね返すことに成功。その一瞬、隙を見せた王騎に龐煖が致命傷を与え、王騎は死亡します。

李牧の活躍によって秦の六大将軍の一人で、武勇を誇った王騎を討つことができたということで、李牧は高い評価を受けることになり、臣下最高の地位である宰相へと昇り詰めました。

馬陽での戦いから1年、趙の宰相・李牧がわずかな護衛の武官だけで首都・咸陽にやって来ました。実は李牧を秦に来るように仕向けたのは呂不韋（りょふい）で、会談の席で呂不韋は李牧を討ち取ろうとしますが、李牧は落ち着いた様子で秦と趙、両国の同盟を提案しました。互いの国益のため様々な駆け引きの末、両国は「秦趙同盟」を締結しました。

王騎将軍を討った趙との同盟など信は承服できませんでしたが、その席では怒りをこらえ、いつか李牧を討ち取ってみせると決意を新たにします。秦王政はこの会談で言葉を発することはなく、静観していました。何故なら政は王として、敵の前で自身の心情を読まれてはいけないと考えたからでした。

李牧がいずれ秦を脅かす最も手強い相手になるだろうと感じた政でした。このように李牧は、中華統一を目指す信と政にとって最大のライバルとなり、強敵として立ちはだかるのでした。その後秦は魏に攻め込むことになり、信は飛信隊を率いて侵攻を開始します。

魏の山陽での秦の戦いを見た李牧は、秦の目的が中華統一だと気づきます。秦の動きを阻止しようと考え付いたのが、6か国をまとめた合従軍（がっしょうぐん）を結成することでした。合従軍として秦を攻めた国は、趙、楚、燕、韓、魏、斉の6か国ですが、斉は秦の昌平君が手をまわし、合従軍から離脱しました。総勢5か国の軍勢に押され、秦は窮地に追い込まれます。

秦の首都・咸陽を目指し侵攻を続ける李牧は、追い詰められた秦にとって最後の城である蕞（さい）で秦軍の激しい抵抗にあいます。李牧は戦いを優位に進めましたが、秦王政が自ら戦地に立ったことや援軍が到着したことで秦の士気が一層高まり、ついに李牧は退却することになりました。

秦を壊滅状態にまで追い込んだ李牧の能力を恐れた秦は、中華統一という大事業を成すためには第一に趙を倒すことだと考えました。趙を落とすために秦が取りかかったのは、まず王都・邯鄲(かんたん)の要衝である鄴(ぎょう)を攻めることでした。鄴を防衛する任務を与えられた李牧は、秦の総大将である王翦を迎え撃つことになりました。

鄴防衛戦では李牧と王翦という優れた軍師による頭脳戦が行われました。天才軍略家として名を馳せる李牧と、李牧に対して一歩も譲らぬ王翦、昌平君ら秦軍司令部が互いに知略の限りを尽くして戦う姿が描かれています。

ここまで、キングダムの李牧の活躍を見てきました。ここからは、アニメ・キングダムで李牧の声を担当している声優・森川智之のプロフィールや主な出演作を紹介します。

声優・森川智之は1967年1月26日生まれ、東京都出身の声優、歌手です。声優事務所「アクセルワン」の代表取締役を務めています。高校卒業後、勝田声優学院の5期生として入学。同期生には高木渉、三石琴乃などがいます。オーソドックスなイケメンから三枚目キャラクターまで幅広く演じ分けるベテランの声優で、アニメだけでなく、トム・クルーズ、アダム・サンドラー、キアヌ・リーヴスなど多くの吹き替えを担当しています。

森川智之の主なアニメ出演作を紹介します。1993年「蒼き伝説シュート!」神谷篤司、1997年「剣風伝奇ベルセルク」グリフィス、1998年「遊☆戯☆王」城之内克也、2001年「犬夜叉」奈落、2006年「NANA」一ノ瀬巧、2009年「戦国BASARA」片倉小十郎、2015年「北斗の拳 イチゴ味」シン、2016年「クレヨンしんちゃん」野原ひろし（2代目） 、2017年「ボールルームへようこそ」仙石要、「ブラッククローバー」ユリウス。

2018年「中間管理録トネガワ」利根川幸雄、「ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王」赤谷犬樹、「ONE PIECE エピソードオブ空島」エネル、「BANANA FISH」ブランカ、2019年「超可動ガール1/6」オズマ、「群青のマグメル」拾因、「賢者の孫」オリバー＝シュトローム、「フルーツバスケット」草摩藉真、「警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-」桐生院左近零衛門、などです。

キングダムは2019年に実写版映画「キングダム」が公開されました。原作漫画の第5巻までの内容が映画化された実写版では、主人公の信は山﨑賢人、政は吉沢亮、王騎は大沢たかおが演じました。2020年5月に続編の制作が発表されたのですが、新たに登場するキャストについては未発表となっています。そこで、李牧を誰が演じるのかを予想していきます。

予想キャストの一人目は、小栗旬です。小栗旬は漫画が原作の実写化作品に数多く出演しています。「銀魂」では主人公の坂田銀時を演じ、「ルパン三世」でもルパン三世を演じるなど主演作も多数あります。184㎝という高身長と大柄な体型の小栗旬は、最強の武将と称された李牧にふさわしいのではないかと言われています。

小栗旬は1982年12月26日生まれ、東京都出身です。所属事務所は「トライストーン・エンタテイメント」です。主な出演作は、1998年「GTO」吉川のぼる、2002年「ごくせん」内山春彦、2005年「花より男子」花沢類、2006年「名探偵コナン」工藤新一、2007年「花ざかりの君たちへ～イケメン♂パラダイス〜」佐野泉、2014年「信長協奏曲」織田信長、2017年「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」稲見朗、などです。

予想キャストの二人目は、木村拓哉です。木村拓哉が漫画の実写化作品に出演したのは、2017年の映画「無限の住人」です。主人公の万次を演じた木村拓哉は、高い身体能力と演技力を持つ俳優だと評価されました。また、ビジュアルに関しても長髪に端正な容姿の李牧に合うのではないかと言われています。

木村拓哉は1972年11月13日生まれ、東京都出身です。所属事務所は「ジャニーズ事務所」で、元SMAPのメンバーです。主な出演作は、1996年「ロングバケーション」瀬名秀俊、1997年「ラブジェネレーション」片桐哲平、2000年「ビューティフルライフ」沖島柊二、2001年「HERO」久利生公平、2004年「プライド」里中ハル、2018年「BG〜身辺警護人〜」島崎章、2020年「教場」風間公親、などです。

予想キャストの三人目は、玉木宏です。玉木宏はこれまでにNHKの大河ドラマなどで実在の人物を演じてきました。その作品とは「功名が辻」（2006年）では山内一豊、「篤姫」（2008年）では坂本龍馬などで、2021年に予定されている「青天を衝け」でも実在の人物を演じます。180㎝の身長に加えて強靭な肉体を持つと言われる玉木宏もまた李牧を見事に演じるのではと言われています。

玉木宏は1980年1月14日生まれ、愛知県名古屋市出身です。所属事務所は「アオイコーポレーション」です。主な出演作は、2006年「のだめカンタービレ」千秋真一、2016年「キャリア～掟破りの警察署長～」遠山金志郎、2017年「ドラマスペシャル 松本清張 鬼畜」竹中宗吉、2020年「竜の道 二つの顔の復讐者」矢端竜一、「極主夫道」龍、などです。

キングダムには実在の人物が多数登場しています。各キャラクターが史実の通りに死亡していくのは仕方のないことですが、特に李牧は読み切りで登場したときから好きだということで、辛いという感想です。実在の李牧の最後は処刑されてしまいますが、キングダムでの李牧の最後については、史実とは違った最後を望む声が寄せられていました。

キングダムの李牧は天才軍師で、秦にとっては最強の敵とされています。そんな李牧がかっこいいという感想です。さらに、アニメでは李牧の声を担当しているのは声優の森川智之さんなので、より一層かっこよくなるということです。

キングダムで李牧が王騎将軍を倒すために仕掛けた戦いでのセリフで、李牧の自身に溢れた姿やオーラがかっこ良かったという感想です。

いかがでしたか？キングダムの李牧について史実での活躍と最後、キングダムでの李牧の活躍と最後についての考察を紹介しました。紀元前3世紀ごろの中国に実在した将軍・李牧は秦を苦しめた最強の武将でしたが、その最後は武将らしい戦死ではなく、謀略によって処刑されたということでした。キングダムでの李牧の最後については史実の様に処刑されるのではなく、キングダムならではの最後を期待するということでした。

また、アニメで李牧の声を担当している声優・森川智之の紹介と、実写版映画の続編が決まったということで、李牧を演じる俳優として予想されている3人の俳優を紹介しました。中華統一を目指す秦にとって最も手強い相手として立ちはだかる李牧の活躍に注目してキングダムをお楽しみください。