2020年09月12日公開
2020年09月12日更新
【キングダム】信は最後どうなる?実在のモデルはいる?史実の記録から考察
中国の古代春秋戦国時代を舞台とした『キングダム』が大変な人気になっています。主人公の信は、史実に存在する李信がモデルであると原作者は公言しています。ところが李信に関する歴史記録はほとんど存在せず、李信の出生や死亡などについてはほとんど分かっていません。こうしたこともあり、人気漫画の『キングダム』の最後で、信はどうなるのかとネットでは盛り上がっているのです。『キングダム』の主人公の信について、最後はどうなるのか史実の記録などをもとに、様々な角度から考察してみました。
目次
キングダムの信とは?
佐賀県出身の漫画家の原泰久が中国戦国時代を描いた『キングダム』が大人気となっています。原泰久は九州芸術工科大学大学院を卒業した後、富士通でSEをした経験がある漫画家です。『SLAM DUNK』や『バガボンド』で有名な漫画家の井上雄彦のアシスタントをした経験があります。『キングダム』は実在する「李信」将軍の物語です。戦争孤児から将軍にまで上り詰めた「信」の成り上がりを描いた、歴史漫画です。
『キングダム』の李信を考察してみると、様々なことが分かります。史上の李信と『キングダムの』李信の相違点などが分かります。考察を経て、漫画という視点に立つと『キングダム』の今後の展開に期待が寄せられます。主人公の李信が、どうやって大将軍になっていくのかに期待が寄せられる反面、歴史書には謎とされている李信の死亡時期などについての考察を、どう『キングダム』に取り入れていくのかに期待が高まります。
キングダムの作品情報
『キングダム』は、「愛・暴力・権力」を柱にした青年誌の『週刊ヤングジャンプ』に、2006年9月から連載されています。『キングダム』はコミック第4巻あたりまでは打ち切り対象となるほど低迷した作品でした。悩んだ原泰久が師匠の井上雄彦に相談し考察したところ、「信の黒目を大きく」との助言から全体のバランスをとるために作画方針を変えたところ、絵に躍動感が出て『キングダム』はヒット作品に生まれ変わりました。
キングダムの概要
『キングダム』は、2006年9月号から『週刊ヤングジャンプ』で、現在も連載を続けています。集英社から出版されているコミック版『キングダム』は2020年6月で既刊58巻です。コミックは、58巻発売当時で累計6600万部を突破するという、大ヒット漫画です。『キングダム』は2008年に集英社が運営する『VOMIC』で全8回のラジオドラマとして放送されたこともありました。
また、2010年11月にはPSP用のゲームソフトとしても『キングダム』が使用されました。さらに『キングダム』は2012年6月からにNHKによりテレビアニメ化され、好評のため2013年6月から『キングダム』の第2シリーズ、2020年4月からは『キングダム』の第3シリーズが放映されています。2018年4月にコミック版『キングダム』の第50巻発売記念として実写映画化の企画が発表され、2019年4月に公開されました。
キングダムのあらすじ
『キングダム』の舞台は紀元前3世紀の中国です。『キングダム』は主人公の信が、戦争孤児の身分から武将として最後には将軍にまで成り上がっていく物語です。信は、実在する武将の「李信」がモデルとなっています。最後に始皇帝と名乗る「政」と出会い、日を追って二人で中国統一を目指します。『キングダム』は春秋戦国時代の「秦」の領土拡大や国家統一に命を懸けた、実在した人物たちをモデルに考察した時代劇漫画なのです。
信のプロフィール
『キングダム』の主人公である信は戦争孤児でした。直球型の性格であり、武芸も直感で習得する天才型です。信に純粋無垢な面と粗雑な面があるのは、教養の無さの表れです。そのため信は中国社会で最重要な礼儀作法に疎いです。信は下僕といわれる身分の低い地位から戦での活躍に比例して最後には将軍にまで昇進していきます。『キングダム』の第642話で姓が与えられ、死亡した幼馴染の李漂にちなんで、以降、李信と名乗ります。
キングダムの信の最後はどうなる?実在のモデルはいる?
『キングダム』は古代中国の春秋戦国時代を舞台にしています。『キングダム』の登場人物たちの最後は歴史に基づいた展開をしていくのか、それとも『キングダム』の最後は漫画オリジナルになるのか、気になるところです。『キングダム』は既に原作コミック版でも60巻近くとなり、超大作になっているのは間違いありません。だからこそ、『キングダム』の主人公である信の最後はどうなのかが、余計に気になるといわれているのです。
信の実在のモデルは李信
原作者の原泰久も、『キングダム』の主人公の信は実在した中国戦国時代の名将軍である「李信」をモデルにしていると公言しています。ただし歴史上に実在したであろう李信についての生まれや死亡などの情報は、歴史家の司馬遷が書いた『史記』に少しある程度であり、最後にどうなったのかは不明です。このため、「李信の子孫」が歴史に多く登場しますが、歴史学者の考察では疑わしいとされる人物も多く見られます。
実際の李信は、戦争孤児ではなく、裕福な家庭の出身だったという考察もあります。だからこそ信の子孫たちも歴史に名を連ねる人物ばかりということのようです。中国春秋戦国時代における偉大なる哲学者の老子は李耳という本名であり、李信は老子の子孫ではないかという考察もあります。いずれにしても、謎の多い歴史上の人物である李信の最後については記録が無く、『キングダム』での李信の最後が気になるというわけです。
信の最後はどうなる?
『キングダム』における李信の大将軍以降の人生については、様々な考察があり「謎」です。信の最後については、戦国時代だからこそ「殺される」「裏切る」「隠遁する」などと考察されており、「引退して平和に暮らして老衰する最後になるだろう」と考察する声はネット上の噂にも見られません。実際の歴史では「秦」の中央集権国家政策による中国初の統一は14年間という短命で最後を迎え、その後「漢」という名の国になります。
始皇帝が死亡した後の秦
秦の始皇帝による中国初の統一も、始皇帝の死亡で一気に崩れ、後継者争いが勃発します。始皇帝の秘書を務めた「趙高」が操り人形として扱える始皇帝の末子の「胡亥」を二代目皇帝にしようと企み、目障りな始皇帝の側近たちを次々に死亡させます。さらに趙高は始皇帝の遺言を改ざんし、始皇帝の二十数名いた実子たちも反乱の恐れがあると吹聴した上で、最後には全員死亡とします。歴史的考察からは恐怖政治そのものでした。
国を治めていた強い将軍が死亡した為に、中央集権国家の秦では農民主体の反乱などが多発します。そして、わずか14年間で中国初の統一国家である「秦」は、国の最後を迎えます。『キングダム』の主人公のモデルである李信は始皇帝の側近の一人でしたから粛清で死亡していても不思議はありません。また農民たちの反乱や秦国の最後の戦いなどに名を残しても良いはずですが、死亡についても活躍についても記録がありません。
信は高い地位にいた?
『キングダム』の主人公のモデルである李信は最後には大将軍まで到達します。そのような高い地位であれば、秦国滅亡の際には必ず粛清され死亡しているはずです。ところが李信には子孫がいます。しかも彼らは秦国に続く漢の時代になっても活躍していることが史実で判明しています。つまり「実は李信は高い位についていなかった為に、粛清対象にはならず死亡しなかった」という考察が存在するのです。
信は地位を手放して身を隠していた可能性も
時代が変わるタイミングには、重要人物たちが最後に抹殺されることが良くあります。『キングダム』の主人公のモデルである李信は戦乱の中で生き残る術を身につけていきました。その直感で、始皇帝の死亡後、国の滅亡を予感したのかもしれません。李信は『キングダム』に重要人物として登場する羌瘣や河了貂などのアドバイスから地位を手放し、次の時代が来ることを見越して、身を隠していたという考察も十分考えられます。
信が反乱軍に加担した可能性
始皇帝の死亡後、後継ぎ問題で波乱となりました。史実では、始皇帝の遺書を書き換えたり、重要人物たちに罪を擦り付けて処刑したりと恐怖政治の後、二世皇帝の胡亥の時代になります。この状況を、始皇帝の大将軍として生きてきた李信は嘆き、反乱軍に加担した考察も十分考えられることです。李信の性格が正義感に溢れるものであったのならば、新政府に対する反乱軍に参加したとする考察は信憑性が高いといえます。
キングダムの信の史実上の子孫
中国史における「李」一族は、様々な有名人を輩出しています。中国の伝説的哲学者である「老子」でさえも、本名を「李耳」といい、どうやら李信の祖先ではないかともいわれています。記録とされる文献には正確に残されたものと改ざんされたものが同居しています。歴史学者たちは、様々な考察を経て歴史的事実を発見することに喜びを感じているのです。『キングダム』の信のモデルになった李信の華麗なる一族を見てみましょう。
信の子孫①李超
李信には李超という名前の息子がいました。李超は、秦国が滅亡したあとの「漢」という統一国家において、父親と同じ「大将軍」という地位に就く武将になっています。与えられた土地は、現在の北京に近い中都市の漁陽郡という場所で、現在の日本でいう「知事」のような存在である太守をしていました。李超がこのような出世をしたのは、秦が滅亡する最後の頃に李超が秦を見限り、漢の初代皇帝の劉邦についたためとされています。
信の子孫②李広
李信の子孫に李広という人物がいます。李広は前漢に活躍した武将で、初めて飛将軍と呼ばれた武将です。モンゴルの騎馬民族を相手に接近戦で勇敢に戦うことから、飛将軍と称賛されたのです。そのような李広も高齢となり、最前線から外されます。李広はこれに反発しなんとか後方部隊に参加させてもらいました。ところが戦場に向かうまでの道に迷い、このことを恥じて自害してしまいます。このため「悲劇の将軍」ともいわれます。
信の子孫③李暠
『キングダム』の主人公である李信の史実上の子孫たちは、偉大な人物に溢れています。李暠も、李信の子孫の一人といわれています。李暠は西暦400年ごろに成立した王朝の「西涼」の創始者です。敦煌を首都にして、農業や養蚕や交易などを充実させていきます。また学校などを作り儒教を広め、漢民族の伝統を守ることに尽力しました。李暠は李広の16代目子孫であると自称していましたが、実際には疑問な点が多いようです。
信の子孫④李白
教科書にも登場する、中国の大詩人である李白も、実は『キングダム』の主人公のモデルである李信の子孫であるといわれています。李白は李暠の九世代後の直系子孫ではないかとされています。西涼王朝の開祖である李暠の死後、滅亡する西涼王朝の重鎮たちは最後に粛清されていくのですが、何故か李一族は北魏という王朝に助けられて隠れ住んだとされています。ただし李白の出生などについては謎が多く、いまだに研究が続いています。
信の子孫⑤李淵
『キングダム』の主人公のモデルである史実上の人物の李信の子孫といわれている李暠の末裔に、有名な李淵(りえん)という名の人物がいます。李淵は中国統一国家の一つである「唐」の初代皇帝です。唐は歴代の中国王朝の中でも、最も繁栄した統一国家と評価されています。唐の前の王朝の「隋」の最後の皇帝「煬帝」の従妹が李淵です。李淵にも経歴疑惑があり、本当に李信の末裔なのかは疑問な点が多いといわれています。
信の子孫⑥李世民
李世民は唐の二代目皇帝です。初代皇帝の李淵の次男です。中国の長い歴史の中で、最も平和に安定していた時代の統率者が李世民といわれています。父の李淵が『キングダム』の主人公のモデルである李信の末裔とされているので、李世民も末裔になります。ただし、史実といえども歴史の途中で改ざんされることがままあり、現在では李暠あたりの人物以降は、李信の末裔ということについては疑わしいといわれています。
キングダムの信の史実上の功績や敗北を考察
紀元前300年ごろの中国は、秦・楚・燕・韓・魏・趙・斉の七つの強国を中心とした500年も続く戦国時代でした。この長らく続いた戦国時代を終わらせ、中国初の統一国家である「秦」を作り上げたのが始皇帝です。始皇帝には多くの将軍が使えていましたが、中でも李信は始皇帝の最も信頼できる将軍だったのです。『キングダム』では戦争孤児の信から描かれていますが、史実では紀元前229年の趙との戦いで初出です。
信の功績
始皇帝の暗殺未遂事件が起こります。この事件の犯人は燕という国であったので、李信は紀元前226年に報復戦を行いました。李信は燕の首都を制圧し、燕の王や未遂事件の主犯であった太子丹を数千人の兵士を率いて追走します。抵抗する太子の「丹」の軍を撃破し、太子丹を捕虜にして秦の始皇帝に差し出しました。この戦いの成果によって、李信は始皇帝の信頼をさらに厚くしたとされています。
信は項羽の祖父に敗北した?楚との戦いとは?
紀元前225年に、始皇帝は強大になりつつある「楚」という国の征服を考えます。始皇帝は李信とベテラン将軍の王翦に兵力を問いました。李信は「20万」としたのに対して王翦は「60万」というので、始皇帝は李信の勢いを信じ、王翦は年老いたと判断しました。対戦相手は後の西楚の項羽の祖父にあたる項燕という将軍で、李信は奇襲を受け楚に大敗します。翌年に王翦が李信と交代し、ようやく楚を滅亡させました。
信は斉を滅ぼし大将軍になった?
紀元前222年に、李信は燕の国王が逃亡して建立した小国の「遼東」という国に攻め入り、燕の国王を捕虜とし、燕を完全に滅亡させることに成功します。さらに翌年の紀元前221年には強国七か国の一つである「斉」に攻め入り撃破、最終的に滅亡させました。この結果、六つの国は秦によって滅亡させられ、中国史上初の統一国家が成立します。このきっかけである斉討伐を率いた李信は、始皇帝から褒美として大将軍を授かります。
キングダムの信の史実上の親や嫁
『キングダム』の主人公のモデルは史上に存在する李信です。ただし、非常に古い時代の史実なので、良く分からないことが多いのも事実です。歴史書にも、李信の生まれについてや死亡についての記録がありません。司馬遷の『史記』に登場する李信ですが、それ以外には情報がほぼありません。唐の時代に編纂された『新唐書』には李一族についての記述がありますが、当時の多くの史書に見られたように、粉飾があるといわれています。
信の史実上の父親は李瑤
『キングダム』では、信は戦争孤児であり、親は戦争に巻き込まれて死亡した設定で始まります。しかし史実上の李信は、実は良い家柄でした。李信の父親は李瑤という名前で、秦の南方の「南軍」地域の郡守をしていました。郡守は今でいう知事のようなものなので、家柄は良いとされます。『キングダム』の李信は教養が無いという設定ですが、史実の李信は父親の李瑤から教えを受けたはずなので高い教養があったと考えられます。
信の史実上の母親や嫁は不明
史実上の李信についての生まれの情報や死亡したことについての情報がほぼ存在しないことが、戦乱による偶発的な消失なのか、意図的に記録を破棄されたものなのか、分かっていません。李信についての情報が少ないことは、李信の家族についても同様です。父親は李瑤であることは判明していますが、母親についての記録や嫁についての記録、兄弟がいたのかなどについての情報がありません。史上の李信は謎の多い人物なのです。
キングダムの信に関する感想や評価
『キングダム』はアニメもコミックも、大変な人気となっています。特に主人公の李信の最後については『キングダム』のファンたちの間で期待するところがあり、李信の最後に関する様々な意見や感想がネット上には見られます。長い歴史のある国が舞台であるがために、まだまだ長いストーリーが展開されていくのは必須です。だからこそ、『キングダム』のファンたちは、この先、李信はどうなっていくのかと楽しみにしているようです。
まだか、まだか
そういえばキングダムの信は、李信将軍になると言われていますが、いつどのように信は李信になるのでしょうね?https://t.co/jyppQDqezG#キングダム #信 #李信 #李牧 pic.twitter.com/U2GKc8l7HB
— エンタメブログセカンド (@entame_blog_2nd) January 26, 2020
『サザエさん』のような、時間の流れをほとんど設定しない漫画もあります。逆に『沈黙の艦隊』のような、場面展開が丁寧すぎて、遅々として進まない作品もあります。「先が何となくわかるのに、話が進まないモヤモヤ感あり」「焦らされ感が半端ない」などという意見はネットで多く見られます。逆に言えば、それだけ『キングダム』に期待が寄せられているということです。
泣ける
読書のツイートしといてなんですが、
— スグル@初心者ブロガーお手伝い屋店長 (@Shigabro) June 3, 2020
今週の『キングダム』は
泣けます😭😭😭
理由は伏せます🤫🤫🤫#キングダム #ネタバレ注意 #李信
ネット上での『キングダム』の意見や感想で、最も多いものが「泣ける」「今回は、泣けた」というものです。『キングダム』は戦争漫画の面もありますが、李信の純粋な面や友情を大切にする部分などが感動を生むといわれています。『三国志』や『論語』などの中国文学は大人になると分かる部分があるといわれ、『キングダム』の読者対象が社会人であることも感動を生む要因の一つになっていると考えられています。
意外性
— t.s (@sinzato5146) June 8, 2020
史実に基づいた漫画は数多ありますが、それでも漫画化するにあたり史実とは変えている部分を多く含みます。『キングダム』でも、例えば李信は戦争孤児から書き始められていますが、史実では秦の国の知事である郡守のお坊ちゃまだったようで、意外な展開ともいえます。ネット上には「おっと、こうくるか」「~とは思わなかった」などという「意表を突かれた」という感想が見られます。史実があってこその感想といえます。
まだまだ続く、長編漫画
#キングダム 41巻#春秋戦国時代 #秦 の #李信 の漫画
— いとうたかひろ (@e140152) April 25, 2016
信の生涯のまだ半分も進んでないので、あと15年は連載続くだろうなぁhttps://t.co/k1pW0kMfkE pic.twitter.com/wRCwb2dQ00
連載が続く長寿漫画の代表として、例えば少年漫画代表の『こちら亀有公園前派出所』がありました。『キャプテン翼』も『名探偵コナン』なども長寿漫画です。いずれ『キングダム』も長寿漫画に仲間入りするとみられており、ネットでは様々な声が聞かれます。「進まない」「まだまだ、先が長いね」「子孫の話までいれるなら、どのくらい長く続くのだろう」などなど、李信の最後についても先行き不透明という感想が多く見られます。
キングダムの信の最後まとめ
人気漫画の『キングダム』の主人公は実際に存在したとされる、中国の戦国武将の李信をモデルにしています。このことは原作者の原泰久が公式に明言しています。史実上の人物であるにもかかわらず、李信の詳細には不明な点が多く、特に生没年などについては記録がありません。このため、『キングダム』の李信の最後について「どうなるのか?」と期待に胸を膨らませるファンが多く存在しています。今後の展開に目が離せません。