「おやすみなさい…メルエム」シーンを考察！メルエムとコムギの感動の最期とは？

ハンターハンター・キメラアント編のラストは、何度見ても泣ける感動シーンと言われ、多くのファンの涙を誘いました。以下では、「おやすみなさい…メルエム」シーンで描かれたメルエムとコムギの泣ける感動の最期や、「おやすみなさい…メルエム」までの経緯、メルエムとコムギの恋愛関係について考察を交えながら紹介します。

富樫義博先生の大ヒット漫画「ハンターハンター」は、1998年から週刊少年ジャンプで連載されている人気作品であり、単行本は2018年10月時点で計36巻が刊行されています。男女とわず幅広いファンに支持されている「ハンターハンター」は、休載が多いことも知られ、近年は、2018年11月26日発売の号を最後に、2020年5月現在まで休載を余儀なくされています。

漫画「ハンターハンター」は、ハンターと呼ばれる希少な事物を追求する職業と、念能力と呼ばれる特殊能力のバトルを描いた独創的な世界観と、少年漫画の王道を行く展開が人気を集めています。一方で、少年漫画でありながら過激な描写が多いとの指摘がある中、細部まで作り込まれた緻密な世界観や、文字による説明の多さ、複雑なストーリー展開が支持されています。

くじら島に暮らす主人公・ゴン＝フリークスは、まだ見ぬ父に会うべく、父親の職業であるハンターを目指して旅に出ます。仲間との出会いやハンター試験、念能力の修行を通じて、身体的・精神的に大きな成長を遂げたゴンは、念願だった父親との出会いを果たします。そして物語は、未知なる世界・暗黒大陸を目指す旅に移り、暗黒大陸行きの船に乗り込んだクラピカの奮闘が始まりました。

キメラアントの王ことメルエムは、NGLで誕生後、レアモノと呼ばれる念能力者の捕食のために、直属護衛軍と共に東ゴルトー共和国に巣立っていきます。当初は、暴力と恐怖で国を支配する暴君でしたが、軍儀の王者・コムギの登場をきっかけに、自身の価値観を変えていきました。

メルエムの暇つぶしとして登場したコムギは、東ゴルトー発祥の軍儀の世界王者で、暴君だったメルエムに大きな影響をもたらしたアカズ（盲目）の少女です。無造作に束ねた髪となまりのある口調や、対局時に目を見開くことが特徴です。また、軍儀に対する並みならぬ信念は、メルエムに強さと己を存在意義を考えさせるきっかけを与え、後のメルエムに大きな影響を与えました。

メルエムとコムギの最期を描いた「おやすみなさい…メルエム」シーンは、女性だけでなく、男性も涙した泣ける感動シーンです。以下では、「「おやすみなさい…メルエム」のセリフが印象的なメルエムとコムギの泣ける感動の最期を考察しました。

「おやすみなさい…メルエム」シーンは、9ページにも及ぶ黒ベタとセリフのみで展開される異色の作画となりました。この描写は、薔薇の毒の影響で失明したメルエムと盲目のコムギの世界を表現したと考えられます。

「おやすみなさい…メルエム」に辿りつくまでの2人のセリフに注目すると、やはり2人の共通点である軍儀の対局を行なっていました。ここまで一度も軍儀で勝てなかったことを悔やむメルエムに対して、コムギはメルエムが勝つまで軍儀を続けるべく、前向きな言葉を投げかけます。同時に、視力を失ったメルエムはしきりにコムギに呼びかけ、お互いの存在を確認しあっていました。

最期が迫ったメルエムは、コムギに支えられながら横になり、コムギにお礼を述べます。メルエムの死を悟ったコムギは、メルエムの手を握りしめ、これからもずっと一緒にいることを約束します。そして、メルエムは最後の願いとしてコムギに自分の名前を呼んでもらいます。「おやすみなさい…メルエム」と呼びかけたコムギは、メルエムの最期を看取ります。

以下では、ハンターハンターの泣ける感動シーン「おやすみなさい…メルエム」に至るまでの、メルエムとコムギの経緯を紹介します。

念能力者の部隊を作るべく、東ゴルトー共和国の国民の「選別」計画の準備が進む中、メルエムは退屈しのぎに囲碁や将棋の名人たちを相手に盤上競技を始めます。その道の王者であるプロ棋士たちは次々と敗北し、メルエムの手で息の根を止められる中、軍儀の世界王者・コムギが迎られました。

軍議は、東ゴルトー共和国発祥の盤上競技であり、本で軍儀のルールを覚えたメルエムは、さっそくコムギとの対局に挑むも、あっけなく敗北を期します。自分より強い者を目の当たりにしたメルエムは、コムギに勝つために、軍儀の試合を続行させます。

軍儀の試合にのめり込むメルエムは「5-5-1 中将」を指した時、コムギの手が急にとまりました。コムギを追い込んだと感じたメルエムでしたが、彼が指した戦法は、かつてコムギが生み出した「孤狐狸固（ココリコ）」でした。しかし、後に国内の名人戦で相手棋士がこの戦法を仕掛け、コムギはやむを得ず孤狐狸固を死路へ導いてしまいます。

そして、メルエルとの対局で再び孤狐狸固を仕掛けられたことは、コムギにとって一度は殺してしまった我が子が蘇ったように感じ、迷いが生じていました。その後も、2人の対局は続けられるも、メルエムはコムギのペースに飲みこまれ続けてしまいます。しかし、コムギの独特の存在感にひかれるメルエムは、次第にコムギとの軍儀を楽しむようになります。

コムギの呼吸を乱そうと盤上の戦いに夢中になるメルエムでしたが、気が付くと自分の呼吸が乱されていました。そこで、メルエムは、恐怖と欲望で相手の呼吸を乱そうと試み、ある賭けを持ちかけます。それは、コムギが負けたら彼女が望むものを、メルエムが勝てばコムギの左腕をもらうという残虐なものでした。しかし、コムギは、自分の命をメルエムとの軍儀にかけ、棋士としての覚悟を見せつけます。

コムギの芯の強さを目の当たりにしたメルエムは、コムギに対する敬意と、謝罪の意を込めて自らの左腕を引きちぎり、コムギに勝負を挑みます。メルエムの異変に気付いたコムギは、まずは怪我の治療をするように懇願します。その後、怪我の治療を受けながら駒を指す2人でしたが、コムギの様子に異変が生じます。しかし、メルエムの心配をよそに、コムギは次々と新たな手を思いつき、覚醒モードに突入します。

計り知れない強さを見せつけるコムギに圧倒されるメルエムは、初めてコムギに名前を尋ねます。すると、反対にコムギから名前を尋ねられます。生まれながらの王であったメルエムは、側近からも王と呼ばれていた経緯によって、自分の名前など知ろうと思っていませんでした。しかし、コムギの発言から、メルエムは初めて自分の名前は何というのか模索し始めます。

自分には名前がないことに気が付いたメルエムは、今度は自分が生まれてきた意味について考え始めます。自分は、他の種族にはない強さを持ったキメラ＝アントの王であると認識します。同時に、コムギは「選別」計画までの暇つぶしとして呼び寄せた存在と考え、用済みとなったコムギを殺害するべく、彼女の部屋に向かいます。

しかし、目の前には大きな鳥につつかれ、体中血だらけになったコムギの姿があり、メルエムは彼女を心配し、そばに駆け寄ります。その直後、上空からゼノの流星郡が降り注ぎ、コムギは腹部に致命傷を負ってしまいます。メルエムは、ネフェルピトーにコムギの治療を託し去っていきます。その後、自分の名前をかけてネテロ会長との戦いに挑んだメルエムは、貧者の薔薇の爆発に巻き込まれ、無惨な姿となります。

しかし、シャウアプフとモントゥトゥユピーの尽力により蘇生を果たしたメルエムは復活を果たしたものの、爆発の影響で「コムギ」の存在を忘れてしまいます。コムギを快く思わないプフーは、メルエムに彼女の存在を隠すも、ウェルフィンのある一言でコムギのことを思い出します。その後、プフーとユピーは、薔薇の毒に蝕まれ、息を引き取りました。

ネテロとの死闘や部下の死を目の当たりにしたメルエムは、自分の命も長くないことを悟り、討伐隊に敗北を認めました。その後、宮殿を去ったメルエムは、最期の時をコムギと過ごすべく、パームとの交渉に出ます。そして、パームが2人を見届けることを条件に、メルエムはコムギと再会を果たし、自分の名前を教えると共に、軍儀の対局に挑みます。

メルエムは、自分はもうすぐ死ぬこと、最期の時をコムギと共に過ごしたいと打ち明けると同時に、毒がコムギにも伝染することを知らせます。しかし、コムギは、孤狐狸固の活路を見いだして、共に過ごす決意を固めます。その後、メルエムを「様抜き」で呼ぶことを賭けたメルエムとコムギの軍儀が続けれる中、2人は自分が生まれてきた意味を初めて知り、幸せな時を過ごしました。

劇中では、「おやすみなさい…メルエム」シーンまでの2人のやり取りから、メルエム・コムギの関係は、軍儀を通じて恋愛関係にあったのではと言われています。以下では、泣ける感動の最期「「おやすみなさい…メルエム」を生み出したメルエム・コムギの恋愛関係について考察しました。

ハンターハンター・キメラ＝アント編のラストを飾った「おやすみなさい…メルエム」シーンは、涙無しでは見られない感動を与えました。そして、「おやすみなさい…メルエム」シーンの主役であるメルエムとコムギの関係について、分かりやすい恋愛表現の言葉を使っていないものの、お互いを大切に思う姿勢から、2人に恋愛関係だったのではと推測されています。

当初は殺すつもりだったコムギの窮地をメルエムが救う描写や、自分の命を顧みず最期までメルエムの傍に付き添ったコムギの姿は、2人に特別な感情が芽生えていた証拠でしょう。そして、「おやすみなさい…メルエム」まで、2人の恋愛関係を示唆するコマは確認できませんでしたが、死後も強い絆で結ばれ続けた2人には、恋愛表現の言葉は必要なかったでしょう。

暇つぶしとして呼び寄せられたコムギは、いずれ殺される運命にあり、メルエムも実際にコムギの息を根を止めるべく、行動に出ています。しかし、大鳥に襲撃されるコムギを庇う様子や、ネフェルピトーにコムギの治療を命じるなど、いつものメルエムらしからぬ行動を見せています。また、対局中にコムギに名前を聞くなど、他の人間とは異なる接し方を見せています。

また、最期の時をコムギと過ごすためにパームに交渉をするメルエムは、コムギを「女性（人間）」と呼んでおり、コムギに対する恋愛感情をほのかに醸しています。キメラアントの王が恋に落ちていたことを示すコマも描かれなかったものの、最期までコムギを求め続けたメルエムの心には、コムギに対する特別な感情があったことを感じさせます。

以下では、泣ける感動の名シーンを生み出した「おやすみなさい…メルエム」に関する感想や評価を紹介します。

「おやすみなさい…メルエム」のセリフで有名なメルエムとコムギの最期は、女性だけなく男性ファンの涙も誘ったハンターハンターの泣ける感動シーンです。毒に冒され死期が迫るメルエムの元に、最後まで寄り添い続けたコムギからは、メルエムに対する強い信頼関係を感じさせます。また、「おやすみなさい…メルエム」の後のコムギの最後の言葉も、ハンターハンターの泣けるセリフとして支持されています。

メルエムとコムギのシーンと言えば、「おやすみなさい…メルエム」は勿論、2人の軍儀のシーンも外せません。軍議は、メルエムとコムギを結んだ重要なキーワードであり、メルエムと最後を過ごす決意を固めたコムギの意思表示も、軍儀によって表現されました。自身も毒に冒されることを予感しながら、傍に寄り添うことを決めたコムギの一手も、泣ける感動シーンに挙げられます。

ハンターハンターにて、特に残虐な描写が多いと評されるキメラアント編でしたが、「おやすみなさい…メルエム」のセリフで有名なラストは、これまでにない美しい最期と言われています。また、「おやすみなさい…メルエム」シーンは、原作は勿論、アニメ版でも高い評価を得ており、多くのアニメファンの涙を誘った名シーンでしょう。

ハンターハンター・キメラアント編のラストを飾った「おやすみなさい…メルエム」シーンの考察やラストまでの経緯、キメラアントの王とコムギの恋愛関係などを考察しました。コムギの最期は、会長選挙・アルカ編の終盤で描かれ、死後も手を取り合い続ける2人の姿や、傍に置かれた「帥」「忍」の駒からは、メルエム・コムギの絆の深さを感じさせるでしょう。