【ワンピース】ビッグ・マム編の最後に賛否両論？ホールケーキアイランド編の結末は？

ホールケーキアイランド編の結末について紹介する前にワンピースについても簡単に説明しておきます。

ワンピースは1997年から週刊少年ジャンプで連載されている海賊を題材とした漫画です。各地を冒険しながら様々な敵を倒していくという少年漫画の王道的ストーリーながら、その裏で練られた精巧な世界観と巧妙に入れられた伏線、そしてそれらに支えられたキャラクター性の高さで高い人気を集める漫画です。

その人気は国内に留まらず海外での人気も高く、42の国と地域で翻訳版が発売し、2020年4月発売の96巻までで全世界で累計4億7000万部を発行する日本を代表するコミックシリーズとして認知されています。1999年から放送開始されたアニメは2020年4月現在も放送中、同じく1999年から始まった映画もほぼ毎年ペースで2020年までに17作が作られるなどメディアミックス展開も積極的に行われている作品です。

海賊王を夢見て冒険に飛び出したルフィは仲間を増やしながら東の海（イーストブルー）、偉大なる航路（グランドライン）へと進み、偉大なる航路後半の海、新世界へと足を踏み入れます。新世界で初めて立ち寄った島、パンクハザードにてルフィと同じ最悪の世代に数えられ、七武海に加入したトラファルガー・ローと四皇カイドウを倒す為の海賊同盟を結成する事になりました。

カイドウの戦力を削ぐ作戦をしながらドレスローザ、ゾウと着実に進む麦わらの一味でしたが、そこで横槍が入ります。サンジがビッグ・マム海賊団に半ば誘拐のような形で連れ去られてしまったのです。ルフィはサンジを取り戻す事を決意、少数の味方でビッグ・マム海賊団のナワバリ、ホールケーキアイランドに突入する事になります。こうして展開されるのがビッグ・マム編とも言われるホールケーキアイランド編です。

ホールケーキアイランド編はワンピースの単行本では80巻収録の823話「ざわつく世界」からスタートしたシリーズになっています。ここまでに既にサンジ誘拐などのエピソードは展開されている状態で、ゾウを降りてホールケーキアイランドに向かう所からがホールケーキアイランド編のスタートです。ホールケーキアイランド編は長めで90巻収録の902話「END　ROLL」にて終了する事になりました。

アニメワンピースでは2017年4月放送の783話「サンジ帰郷 ビッグマムの海域へ！」からホールケーキアイランド編がスタートし、2019年3月放送の877話「惜別の時 プリン最後の“お願い”」までが原作のホールケーキアイランド編に相当する物語です。アニメの区切りとしては続く世界会議（レヴェリー）編も合わせて展開される事が多くなっています。

無事にビッグ・マムの海域を抜けワノ国を目指すルフィ達、その道中でルフィの懸賞金が大幅にアップした事が明らかになります。ホールケーキアイランド編前のルフィはドレスローザ編後に上がった5億ベリーでしたが、ホールケーキアイランド編でカタクリ、クラッカーとビッグ・マム海賊団の大幹部「スイート3将星」のうちの2人を倒した事で一気に懸賞金が高くなり15億まで上がっています。

15億という懸賞金は発表当時は判明している中で一番高額の懸賞金でした。その後のワンピースで現四皇や既になくなっているゴール・Ｄ・ロジャー、白ひげの懸賞金が明らかになった分順位を落としていますが、それでもワンピース作中で7位に入る程の懸賞金額になっています。これによりルフィは四皇に次ぐ5番目の海の皇帝になるのではないかとモルガンズに報じられています。

ホールケーキアイランド編の1番の目的であったサンジの奪還。様々な事柄があったホールケーキアイランド編ですがこの目的は無事に達成しています。サンジは無事に麦わらの一味に復帰しました。加えてサンジがジェルマ66を率いるヴィンスモーク家の三男である事が発覚した事で懸賞金が一気にアップ、3億3000万ベリーとなり一味でもルフィに次ぐ懸賞金の高さになりました。

しかしこれはサンジの活躍によるものではなくヴィンスモーク家の血筋という事が大きな要因となっています。ホールケーキアイランド編でのサンジは前半は婚約者として、後半は料理人としてたち振る舞っており、ルフィとの決闘以外まともに戦闘していない為です。サンジとしては複雑な心境の懸賞金アップをするラストになっています。

ホールケーキアイランド編の中でサンジの事を「許さない」と明言したナミ。その後「許す」と明言はしていませんが上記の懸賞金アップの際のやりとりなどでは楽しそうに会話をするシーンも描かれています。これは言葉にしていないだけで許したと見るべきなのか、今後の展開の中で伏線になるのではないか？とも言われる結末になっています。

ホールケーキアイランド編は基本的にサンジ奪還が目的の闘いなので麦わらの一味にとってはなにかを得る為の闘いではありません。しかしその闘いの中でも確かなプラスになったといえるのがナミがゼウスを手に入れた事です。ゼウスはビッグ・マムの魂を与えられたホーミーズで他のホーミーズよりも強力な力を持っています。忠義より食欲を取ったというあたりがビッグ・マムの魂らしさとも言えます。

ホールケーキアイランド編、及びワノ国編でもナミはゼウスを得た事を最大限利用した戦い方を披露しており、ナミ個人で見れば戦力が大幅にアップしたと言えます。

もちろん麦わらの一味側にも全くの被害がなかったかと言われるとそんな事もなく、ゾウで協力者となってくれたペドロが麦わらの一味を逃がす為に自爆してしまいました。明確に死亡したとは描かれていませんが描写的に死亡したと見るのが一般的になっています。

またホールケーキアイランド編ではサンジ奪還のついでという形で獲得を目指したのがロード・ポーネグリフの取得でした。これはブルックが無事に達成しています。ワンピースの物語的にそれをするかは別にして、麦わらの一味は今後ホールケーキアイランドに立ち入らなくてもラフテルを目指す事ができるようになったのは大きな前進と言えます。

麦わらの一味にとってサンジの奪還と共に大きな要素となったのがジンベエの麦わらの一味正式加入です。元々ルフィは魚人島編時点でジンベエを仲間に勧誘していましたがその時点では「ケジメをつけてから」という返答で保留になっていました。そんなジンベエがビッグ・マム海賊団の傘下を抜ける、タイヨウの海賊団の仲間に承諾してもらうというケジメをつけて麦わらの一味に正式加入したのです。

ホールケーキアイランド編のラストの時点では、ジンベエはタイヨウの海賊団と共に麦わらの一味を逃がす為の殿を務めビッグ・マムのナワバリに残ったままラストを迎えていますがワノ国編にて無事に麦わらの一味に合流を果たし加入即離脱という事もなく無事に麦わらの一味入りしたと言えます。

実際の所、麦わらの一味はビッグ・マム海賊団から逃げる事には成功したものの、これまでのバロックワークスやドフラミンゴファミリーとの闘いのように壊滅に追い込んだわけではありません、しかし全ての目的を達成して見事に成し遂げた事、さらにはモルガンズの個人的な思惑もあって新聞では麦わらの一味の勝利という形で報道されています。当然ビッグ・マムはこの報道を見て激怒するのでした。

ホールケーキアイランド編展開中、サンジが作り出したケーキによって麦わらの一味は許されるのではないか？などという考察もありましたがあのケーキの効果は単にビッグ・マムを正気に戻しただけに終わっています。或いは今後の展開の中であのケーキが伏線になる事もあるのではないかとも考察されています。

ホールケーキアイランド編のラストが感動的だと言われる要因となったのがプリンの恋です。元々は偽装結婚だったサンジとプリンの結婚でしたが、プリンは完全にサンジに恋に落ちてしまっていました。ラストにはキスをしたような描写もありますがその記憶を自身の能力でサンジから奪っています。今後プリンが再び麦わらの一味の、サンジの前に再び現れた時、どのような対応になるのでしょうか？

ビッグ・マム海賊団にとって大きな痛手といえるのがカタクリとクラッカーがルフィに敗北した事と言えます。両者とも死亡したわけではないですが大怪我を負い、すぐに戦線復帰は難しい状態です。現にワノ国編にてワノ国に乗り込んだビッグ・マム海賊団の中には両名の姿がありませんでした。

ただカタクリに関してはルフィとの闘いで初めて敗北を知った事でより強大な敵として今後立ちはだかる事になるのではないかという考察もあります。

さらにはビッグ・マム海賊団から傘下にあったジンベエ率いるタイヨウの海賊団、ベッジ率いるファイアタンク海賊団が離脱する事になりました。ジンベエは麦わらの一味に加入してワノ国にて合流を果たしたので結果として戦力を麦わらの一味に奪われた形と言えます。ベッジは今後も麦わらの一味と共闘するというわけではありませんが、幹部の称号を与えた相手だっただけにこちらも相応の痛手を負ったと言えます。

こちらは元々暗殺するつもりであったので失ったものとは言い難いですが、ジェルマ66の暗殺にも失敗しています。麦わらの一味がホールケーキアイランドから脱出する際、殿を務めていたので或いはここで倒したという可能性はまだ0ではありませんが、仮にビッグ・マム海賊団がジェルマ66を倒したとしても相応の痛手は負うはずなのでどっちにしても失う物しかありません。

ホールケーキアイランド編において麦わらの一味が得た成果とは対称的にビッグ・マム海賊団が失った物はあまりにも大きく、ビッグ・マムは「負けてない」と言うもののモルガンズが思惑混じりながらも「麦わらの一味の勝利」と報じたのも納得の結末となっています。

麦わらの一味とは別にホールケーキアイランドを逃げ出したベッジ率いるファイアタンク海賊団ですが、ホールケーキアイランドラスト以降の展開は表紙連載にて描かれています。ホールケーキアイランドを無事に逃げ出す事が出来たファイアタンク海賊団は一時は命の危機にあったシフォンも含めて全員が無事に逃げ出した様子が描かれています。

もちろんビッグ・マムの暗殺という当初の計画は失敗しており、元々母船としていたノストラ・カステロ号を失うなど失う物も大きかったと言えますが船に関しては既に敵船を奪取する形で新しい船を得ており、ホールケーキアイランド編以降は表紙連載にてローラに会う為にスリラーバークを目指す様子が描かれています。

ジェルマ66としてもこの闘いで得た物はないに等しいです。世界会議への参加権を失う事を承知でビッグ・マムと手を組む事にしたにも関わらず、その結婚すら偽装でした。もちろん行動を起しているので世界会議への参加権は失われたものと考えられます。

上記でも触れたように2020年4月現在、ジェルマ66の中核をなすヴィンスモーク家が無事にホールケーキアイランドから生還出来たかどうかについての描写はありません。ただ明確に死亡したとも描かれていないので無事に生還していると見る考察が多いです。サンジとも明確に決別を果たしているので、今後敵になる事もありませんが味方になる事もないだろう結末となっています。

元々使えない物なので失ったとは言いづらいですが、ジェルマ66の元からもう1つ無くなったものが3番のレイドスーツです。これはサンジ用に作られた物で、ニジがルフィとサンジを援護した際に秘密裏に渡していたものです。サンジ自身は使うつもりはないとの事でしたがワノ国にて仲間を危機から救出する為に使用しています。

ホールケーキアイランド編に続くワノ国編にもビッグ・マム海賊団は引き続き登場、麦わらの一味を追いかける形でワノ国に突撃してきます。しかもワノ国編で滝壺に落とされ部下達ともはぐれたビッグ・マムは記憶喪失になってしまいました。一時期はその食欲をうまく利用されてチョッパー達の味方のように動いてもいたのです。

最終的には記憶を取り戻し、カイドウと衝突するも、「喧嘩の結末は海賊王になってから」という両名の約束の元、四皇同士の海賊同盟を結成するに至っています。

元々ビッグ・マムには様々な死亡説が唱えられておりワノ国編での登場でさらにその説が濃厚になったと考察されています。ビッグ・マムは新世界編の時点で68歳とそこそこ高齢、加えてゼウス、プロメテウス、ナポレオンに自身の魂＝寿命を分け与えている事を考えても相応の寿命を失っているのではないかと考えられているのです。

加えてビッグ・マム海賊団の息子娘達もカイドウとビッグ・マムの関係性から殺されるかも知れないと言いながらもワノ国に上陸して積極的に助けようとはしておらず海賊同盟についても伝わっているのか怪しい状態です。仮にビッグ・マムが闘いの結果ではなく寿命、または寿命による力の減少によって誰かに倒されるという事が起こる場合、ペロスペロー派とカタクリ派に分かれてしまうかもしれません。

元々息子娘達ですらビッグ・マムに対する恐怖により従っている面が強く、ペロスペロー派とカタクリ派に分かれてしまうような伏線となる描写がありました。もしそうなれば当然周囲の勢力が黙っているはずなく、特に黒ひげの動きが怪しいと考えられています。

ここからはホールケーキアイランド編の結末に対しての賛否両論についての感想を紹介していきます。ホールケーキアイランド編のラストはプリンの恋の行方が強めに描かれている事もあり、このプリンのエピソードがあるからこそ称賛する声も多いです。プリンがサンジの記憶を抜いたと見られる演出も良かったとする声が多いです。

また漫画のホールケーキアイランド編ラストにはサンジと合わせてサンジの恩人であるゼフが料理をするシーンが描かれサンジがゼフから引き継いだ「腹を空かしている奴なら、たとえ敵でも無償で食わせる」という信条を押し出したラストになっており、サンジが戻ってきた事を感じれてよかったとする感想が多くなっています。

一方でホールケーキアイランド編の否定的な意見としては、ルフィ以外の闘いがまともに描かれておらず麦わらの一味が基本的に逃げが強い思考をしている事、ジェルマ66のエピソードを始めとした明らかに伏線になりそうであるにも関わらず未回収のまま終わってしまったものが多い事などが理由に上げられています。

特にこれまでのエピソードでは基本的にその組織のトップと戦う事が多いルフィがビッグ・マムに一撃入れるだけで終わった事、しかもその一撃でもビッグ・マムには大したダメージにならなかった事など目的が違うとはいえせめてもう少し両者の衝突が見たかったという声も多いです。カタクリがホールケーキアイランド編のラスボス感を演出してくれたとはいえ、立場的に物足りないという声も見られます。

またホールケーキアイランド編で戦う敵に関して本当の意味で悪役感がなく、麦わらの一味の戦う目的がサンジの奪還という自分達の目的の為だけだった事が感情移入しにくいという声も多くなっています。ホールケーキアイランド編のヒロインとしてはプリンがいましたが、アラバスタ編のビビや、ドレスローザ編でのレベッカとはまた違う立ち位置であった故に受け入れ難い部分が多かったという声も見られます。

ホールケーキアイランド編の「敵を倒してほしい」という欲求不満の結末の結果、悪役感の強いワノ国での大暴れを期待する読者も多くなっており、ワンピースという大枠で見たときにホールケーキアイランド編は必要だったという声も多い一方で、単行本にして8巻も使って得た物が少なすぎるという声も多くなっています。

ホールケーキアイランド編の麦わらの一味はサンジ奪還を主目的としながらも、ナミのゼウス獲得、ロード・ポーネグリフの入手、ジンベエの加入など得たものは多く、ビッグ・マム海賊団には大きな痛手を負わせるも壊滅までは追い込めていないのがホールケーキアイランド編の結末です。そのラストはこれまでのエピソードと比べて中途半端感が強いという声も多くホールケーキアイランドのラストに賛否両論が集まる結果となっています。

ホールケーキアイランド編だけで見て判断するべきではないという声も多く、特にワノ国編にビッグ・マム海賊団が乱入してきた事でホールケーキアイランド編の続きが見れる事に期待する声も多くなっています。ホールケーキアイランド編としては結末を迎えていますがビッグ・マム相手のラストはまだまだ描かれていないので今後のビッグ・マム海賊団に注目しながらワンピースを視聴してみてはいかがでしょうか？