2019年11月18日公開
2021年01月08日更新
【キノの旅】嘘つき達の国のネタバレあらすじと感想!登場人物の嘘を考察
ライトノベルの大ヒットシリーズ『キノの旅』には、「嘘つき達の国」というエピソードがあります。「嘘つき達の国」はいろいろと考えさせられると評判のストーリーです。2017年の『キノの旅』のアニメ第5話で「嘘つき達の国」は放送されました。ここでは、アニメ第5話の「嘘つき達の国」と「旅人の話 -you-」のあらすじのネタバレを紹介します。また、実際に「嘘つき達の国」のアニメを観た方の感想もまとめています。
キノの旅とは?
キノの旅の原作情報
『キノの旅』は、日本のライトノベル作品です。主人公のキノが様々な国を旅するストーリーとなっています。作者は『一つの大陸の物語シリーズ』でも知られているライトノベル作家の時雨沢恵一です。『キノの旅』は第1巻が2000年に発行され、それから長く愛されている作品です。『キノの旅』は漫画化・アニメ化されています。
キノの旅のアニメ情報
『キノの旅』は、2回アニメ化されました。第1作目は2003年に全13話が放送されました。第2作目は2017年に全12話が放送されました。第2作目のアニメは第1作目の続編ではなく、新たに人気エピソードのアンケートを取り、それを元にストーリーが構成されました。この記事で紹介する「嘘つき達の国」は第2作目の第5話で放送されました。
嘘つき達の国のあらすじネタバレ
あらすじネタバレ①森で遭遇した男女
ここでは、「嘘つき達の国」のあらすじのネタバレを紹介します。キノは寒い時期、薄暗い森の中にある国に到着しました。その国では、旅人が使える門が一箇所だけに限られていました。入国審査を受けていると、一人の男性が「おーい」と声をかけ、息を切らせて走って来ます。男性はキノの姿を見て残念がりました。そして事情を知らずにキョトンとしているキノに話しかけました。
男性は5年前に旅に出たという恋人を探していました。キノがそのような人は見ていないというと、男性はがっかりとした表情をしました。すると、そこに家政婦がコートを持ってやって来ました。男性はエンジン音を聞いて、恋人が帰ってきたんじゃないかと思い、コートも着ずに家を飛び出してきていたのです。家政婦はコートをちゃんと着るようにと注意しました。
男性はくしゃみをして寒そうにしていたので、家政婦は家に戻るように促しました。男性は帰る時も、「まだ彼女は帰ってきてくれないのかな」と悲しげに呟いていました。
あらすじネタバレ②可哀想な人
キノはその夜、レストランで大勢の人に旅の話を聞かせていました。この国にはあまり旅人が来ないので、国の人々はキノの旅の話で盛り上がっていました。老人はキノに、何か聞きたいことがないかと尋ねました。代わりにエルメスが城門のところに居た男性について聞きます。すると話を聞いていたうちの一人があの男性の友人だと言い、「彼は可哀想な人なんだ」と言ってこの国に何があったのかを説明し始めました。
この国では5年前まで、横暴な王様によって国が治められていました。城門に居た男性は警察官で、革命のメンバーでもありました。ある時、男性は王家抹殺のリーダーに選ばれます。男性には恋人がいました。恋人は農家の娘で、出稼ぎしてきた時に出会ったのです。二人ともとても仲睦まじく、周りの人々は二人は結婚するものだと思っていました。
しかし、男性は革命の日時が決まった後、彼女と別れてしまいました。命がけの革命なので、死ぬおそれもあります。だからといって革命のことを彼女に話すこともできません。そこで嘘をついて男性は彼女と別れてしまったのです。革命は成功しました。男性は手はず通り、王家が乗って逃げる車に爆弾を投げて殺害しました。
しかし、爆破された車に乗っていたドレスを着た女性が、男性の彼女だったことが判明します。彼女の正体はお忍びで街に遊びに来ていた王女だったのです。男は憎むべき王家の王女を好きになってしまったことと、愛する彼女を殺してしまったことで精神を病んでしまいました。それでも男性は革命の英雄として称えられる存在でした。
しかし彼女を心配するばかりとなってしまい、見かねた医者が「彼女は旅に出た」と嘘をつきました。それから男性は唯一旅人の出入りが許されている城門のある森に住むようになったのです。新政府は英雄である男性のために森の中に家を立てて、家政婦を雇いました。しかし、家政婦は男性の姿を見て心を痛め、次々と辞めていってしまいました。
今男性の身の回りの世話をしている家政婦は、もともと旅人でした。3年前に行き倒れているところを発見し、家政婦として雇ったのです。しかし、それでも男性の精神が良くなる兆しはありませんでした。そのため、国民全員で英雄である男性に、彼女のことについて嘘をつき続けることにしたのです。
あらすじネタバレ③家政婦の話
キノは沼に嵌っている馬車を助けました。馬車には家政婦が乗っており、お礼にキノをお茶に誘います。キノが男性とお茶をしていると、家政婦は門の方からエンジン音が聞こえたと言いました。すると男性は門の方へと走っていってしまいます。家政婦はキノと話をするために、嘘をついて男性を門の方へと向かわせたのです。
実は家政婦の正体は、革命で死んだと思われていた王女でした。5年前、王女は革命の日が近いことをスパイから情報を得ていました。そこで王女は信頼できる情報を得ようとして、男性に近づきました。スパイだとは知らない男性は王女のことを、一人の田舎娘として愛しました。そしてまた王女も男性のことを愛するようになりました。
そんなある日、王女は突然男性から別れを切り出されます。これにより革命の日を察知することができたのです。革命の時に死亡したのは王家の人間ではなく、身代わりでした。無事に隣国に逃げた王女は男性のことを忘れようとしましたが、忘れる事ができずに旅人として国に戻ってきました。キノは家政婦に、男性と再会した時何と言われたのかを聞きました。
男性は「彼女が帰ってくるまでよろしくな」と言いました。実際の彼女を目の前にしても、男性は彼女を思い出す事ができなかったのです。それでも家政婦は自分を愛してくれていると思い、嬉しく感じました。家政婦は出会った時から男性に嘘を付き続けており、またこれからも嘘を付き続けるだろうと言いました。
あらすじネタバレ④みんな嘘つき
キノの出国日に、男性と家政婦は見送りに来ていました。男性はキノが出ていくのを見た後、「エンジン音がする」と言って、門の外へ出てしまいました。そして男性は、まだ門の側にいたキノに話しかけました。キノはてっきり恋人へのメッセージを託されるのかと思いました。しかし男性は、「これでいいんだ。私は幸せだ。私はもう何も壊したくはない」といいました。
革命のメンバーであった友人が王家のスパイだったこと、王女が今家政婦として自分の側にいることすべてを男性は知っていました。知っていながら、精神を病んだフリをして皆に嘘をついていたのです。もう何も壊したくはないという一心で嘘をついており「これでいいんだ」と言いました。
嘘つき達の国の登場人物の嘘
登場人物の嘘①国民
「嘘つき達の国」では、国民全員が英雄である男性に対して、「彼女は旅に出た」と嘘をついていました。それは、精神を病んでしまった男性のためでした。「嘘つき達の国」の国民達は、男性が今後も精神が病んでいるフリをし続ける限り、これからも嘘をつき続けます。
登場人物の嘘②家政婦
「嘘つき達の国」では、家政婦が嘘をついていました。家政婦は実は革命で殺害されていたはずの王女でした。王女は情報を得るために嘘をついて男性に近づき、その後無事隣国に避難しました。しかし、スパイから男性の状況を聞き、再び「嘘つき達の国」へと戻ってきました。そして家政婦として嘘をついて男性の側にいることを選びました。
登場人物の嘘③男が国外で真実を告げた理由
男は「嘘つき達の国」の外に出て本当のことをキノに打ち明けました。「嘘つき達の国」の中では、精神を病んだ人として偽り続けなければなりません。そして国中から不幸のように思われています。偽りだらけの国でも自分は幸せなのだと、第3者の立場ですべての事情をしるキノに打ち明けたかったのではないかと考察されています。
嘘つき達の国を訪れる前の話「旅人の話 –you-」
あらすじネタバレ①国の創設者の記念館へ
ここでは、「嘘つき達の国」の前に放送された「旅人の話 -you-」のあらすじのネタバレを紹介します。キノはとある国を訪れ、観光していました。その国には立派な記念館がありました。かつてこの国を救い、大統領となった偉大な男の資料などが展示されている建物でした。案内人の女性は、その英雄について誇らしげに語ります。
キノはエルメスと共に、記念館を見せてもらうことにしました。記念館ではその男の当時の家を再現しているのですが、一般的な家にしか見えずエルメスは「普通の家だね」と感想を漏らしました。さらに記念館の奥には、英雄が使っていた持ち物が展示されていると言いました。その英雄も元旅人で、その時の持ち物もあるといいます。
しかし、展示されている品はトイレ用のスコップや他国でお土産として売ってあった怪しい短剣など、くだらないものがたくさんありました。その中にヘルメットがありました。その英雄もキノと同様にモトラドで旅をしていました。
あらすじネタバレ②モトラドの頼み
案内人は、キノをモトラドが展示されている場所へと案内します。キノはエルメス以外のモトラドを目にするのは初めてでした。この展示されているモトラドは英雄と旅をしてきた大切なものなので、すぐに走れるように最高のメカニックに整備されています。キノはエルメスのように喋るのかと尋ねました。案内人は、英雄が存命していた頃はよく喋っていたと言いました。
しかし英雄が亡くなって以降、寂しいのか喋らなくなってしまいます。エルメスは案内人に席を外すように言いました。モトラド同士なら喋るかもしれないと思ったのです。案内人は何か喋ったら教えてほしいと言って去っていきました。それから部屋にはキノとエルメスとモトラドしかいませんでしたが、モトラドは何も話しません。
キノは自分がモトラド語が分からないだけなのかと、喋らないモトラドを不思議に思います。すると、かすれたような声で「いいねえ」とモトラドが喋り始めました。モトラドは本来走る乗り物です。しかし、英雄が亡くなってからはずっと記念館で展示されています。モトラドはこの状況が苦痛で仕方がなかったのです。だからこそ、毎日乗って走ってもらえるエルメスを羨ましがったのです。
モトラドはキノに、自分をこの記念館から連れ出すか、2度と走れないようボロボロにしてほしいと頼みました。しかし、キノはすでにエルメスを持っているため、2台を操作することはできません。また、これだけ大切にされているモトラドを破壊したら、きっとこの国の人々はキノを許さないでしょう。キノはモトラドの頼みを断りました。
あらすじネタバレ③旅をしたい少年
キノは国を出発しようとしていました。すると、外を掃除していた男の子が話しかけてきます。男の子はキノにどうやって旅を始めたのかを聞きました。キノは「誰からも命令されなかったのに、それをやりたいと思えるから」と言いました。実は男の子も旅人になりたいと思っていました。しかし両親からはバカにされてしまい、お前はこの宿を継ぐんだと言われていました。
それでも男の子は外へ出てみたいと思っていました。だから、キノと同じ方法で旅人になれるのかと聞いてきたのです。キノは「分かりません」と言いました。男の子は落胆しましたが、キノは旅人になる方法は一つじゃないと言って、記念館にあるモトラドに話しかけることを提案しました。
嘘つき達の国に関する感想や評価
キノの旅まだ途中だけど迷惑な国と嘘つき達の国がお気に入り
— おしるこマーマ (@osirukomama_x) October 24, 2019
『キノの旅』のアニメを5話まで観た方の感想には、「嘘つき達の国」がお気に入りだという方がいました。「嘘つき達の国」は、いろいろと考えさせられるストーリーとしても人気です。
キノの旅見てたけど『嘘つき達の国』が見てた時「そうかねぇ…幸せかねぇ…?」ってなってたけどラストでこう…なんとも言えねえ…良さだった…優しい嘘や…
— 桜庭 (@neku0907) October 21, 2019
「嘘つき達の国」をアニメで観た方には、家政婦の話を聞いて本当にそれでいいのかとモヤモヤしたという感想もありました。しかし、「嘘つき達の国」のラストでは男性も家政婦の正体を知りながら、平和に暮らすために嘘をついていることが判明します。「嘘つき達の国」のラストまで見ると、優しい嘘になんとも言えなくなるという感想がありました。
キノの旅
— 🐑🔥みろか🔥🐑 (@altaria_alm) October 13, 2019
読んでて「面白い…!」と心から思った作品。オチのつけかたがうますぎる。特に嘘つき達の国。偽善とかなしに、人間らしさがリアルに描かれてて好き。あと大まかな流れは話繋がってても、短編集みたいにひとつの話がすぐ完結するからどこから読んでも面白いのいい。
×っ子は可愛いゾ…🥺💕
こちらは「嘘つき達の国」の原作を読まれた方の感想です。『キノの旅』には様々な国とそれだけの文化や人々がいます。「嘘つき達の国」の人々は、人間らしさが描かれていると評判でした。
嘘つき達の国ネタバレまとめ
『キノの旅』の「嘘つき達の国」は、一人の男性を中心に周りの人々が嘘をついているというストーリーでした。嘘をつかれている悲しい男性もまた嘘をついていました。「嘘つき達の国」は考えさせられるエピソードの一つだと、アニメを観た方の感想でも人気でした。2017年版のアニメで第5話に「嘘つき達の国」が収録されているので、ぜひ一度見てみてください。