【ジョジョ】黒騎士ブラフォードは実在した？声優や必殺技の死髪舞剣も紹介

荒木飛呂彦による人気漫画シリーズ「ジョジョの奇妙な冒険」。週刊少年ジャンプで1987年から14年間に渡り連載されたほか、2005年からはとウルトラジャンプでも連載が開始されていますます。イギリス貴族の血を引くジョースター家と宿敵ディオとの1世紀にも及ぶ因縁を壮大なスケールで描いています。

週刊漫画誌に長期間にわたり連載された「ジョジョの奇妙な冒険」。第1部から第8部まで、単行本では125巻が刊行されています。ストーリーは部毎に完結し、主人公や舞台は次の部では一新します。ただし、主人公ジョジョを取り巻く世界観は引き継がれており、前作のキャラクターが再登場することも珍しくありません。

本記事で特集するブラフォードは、第1部ファントムブラッドに登場します。第1部の舞台は、1880年、世紀末のイギリス。名門貴族ジョージ・ジョースター卿の養子となった貧しい家に生まれた少年ディオ・ブランドー。ジョースター家に入り込んだディオは、名家に代々受け継がれた財産の強奪計画を企てます。

ジョースター家の実子で後継ぎとなる12歳の少年ジョジョことジョナサン・ジョースターは、ディオの策略に遭い周囲から孤立していきます。ある日初恋の少女エリナ・ペンドルトンがディオに辱めを受けたことから、遂にディオに反撃します。そしてディオを打ち負かしたのです。

時は1888年。ジョースター家にディオが貰われてきて7年が経過していました。青年に成長したジョナサンとディオは、大学卒業を間近に控えていました。虎視眈々と家の財産を狙うディオは、ジョースター卿の暗殺を画策していました。それに気付いたジョナサンは、チンピラのボスであるロバート・E・O・スピードワゴンに協力を仰ぎ、ディオの企みを暴くことに成功。

窮地に立ったディオは、ジョナサンの研究テーマだった石仮面を装着し吸血鬼に変身します。最強の力を得たディオを亡き者にするため、ジョナサンは已む無く屋敷に火を付けます。財も全て消失し重傷を負ったジョナサンでしたが、ディオとの戦いには辛うじて勝利し生還します。

2人の決戦からしばらく経ったある日のこと、未だ床に臥すジョナサンの前にウィル・A・ツェペリと称する謎の男が現れます。そして、死亡したと思われていたディオが健在で石仮面も無傷で残っていることを伝えます。ディオとの戦闘を控えるジョナサンは、ツェペリから石仮面に対抗しうる力として「波紋」を伝授されます。

その後同士とともにディオのアジトのある「風の騎士たちの町」へと向かい、ディオの家来ゾンビたちと激闘を繰り広げます。さらにツェペリの仲間の加勢も得てディオとの一騎打ちに勝利したジョナサンは、元凶である石仮面を破壊しました。

ところが、ストーリーはここで終わりではありません。さらに新展開を迎えるのです。年が明けた1889年2月、平穏を取り戻したジョナサンはエリナと結婚します。ところが、新婚旅行に出発する2人の前に、首だけの姿になりながら生き延びていたディオが出現。ジョナサンに襲い掛かります。

ゾンビで溢れかえる船内では、致命傷を負ったジョナサンが最後の力を振り絞って「波紋」を繰り出し客船を爆破。ジョナサンはディオの生首を掴んだまま息絶え、船の皆と共に海底へと沈んでいきました…。

本記事の主役ブラフォードのプロフィールを紹介します。またの名を”黒騎士”というブラフォードは、一度は命を落とした伝説の騎士。戦友タルカスとともにディオのスタンド能力により蘇生しました。エリザベス1世の命で処刑されたスコットランド王国の女王メアリー・スチュアートの護衛を一身に担っていたこともあります。メアリー・スチュアートは、その労をねぎらいブラフォードに剣を贈ったとされます。

ブラフォードの超人的な能力については、生前から伝説になっていました。例えば、甲冑を着たまま5㎞もある湖を泳いで渡り岸の敵を倒したり、毛髪で物を掴み敵に攻撃を加える「死髪舞剣（ダンス・マカブヘアー）」という能力を持っていました。屍生人化してゾンビになるとその能力は一段と強化され、髪の毛を思い通りに動かしたり、髪の毛を使って人の生き血を吸うこともできるようになりました。

ゾンビと化したブラフォードでしたが、騎士としての矜持は失っておらず、ジョナサンは彼の実力を見抜き一対一で決闘を行うことになります。ジョナサンの波紋を受けて人間の心を取り戻したブラフォードは、ジョナサンへ愛剣と「幸運」、「勇気」という言葉を託して、天に昇っていきました。

ブラフォードの能力と言えば、髪の毛を手のように自由に動かして相手を攻撃する技「死髪舞剣（ダンス・マカブヘアー）」を思い浮かべる方も多いでしょうが、それだけで彼を言い表すことはできません。実は基礎的な身体能力も人並み外れて高かったのです。筋骨隆々たる肉体を持ち、特に水中での動きは超人的で、ジョナサンの「波紋」と同レベルのスピードで泳ぐことができました。

ブラフォードの戦闘能力ですが、技術的には右に出るものがいないと言われるほどの強者（つわもの）であったようです。パワーに憧憬を持つタルカスに「しょせん技士にすぎぬ男」と揶揄されながらも「尊敬はしていた」と言わしめているのが何よりの証左となっています。

ソンビと化した後も主君であるメアリー・スチュアートへの忠誠や騎士としての誇りを失うことはありませんでした。人望はあったもののあくまで騎士としての領分をわきまえており、人心を惹きつけるようなカリスマ性は持ち合わせていませんでした。

並外れた身体能力や技を持ち、騎士としての気高い精神の持ち主でもあったブラフォード。それゆえ策略を練って闘うことには長けておらず、エリザベス1世の謀略にも気付かず不覚を取ることになります。頭の良し悪しはともかく、頭の良さを示す場面は遂に現れませんでした。

ここまで、ブラフォードが登場する第1部のあらすじや彼のプロフィールについて解説してきましたが、果たして黒騎士ブラフォードは実在の人物だったのでしょうか？

”イギリスでは誰でも知っている伝説の騎士ブラフォード”などと、作中ではブラフォードが実在の人物のように語られています。結論から言いますとブラフォードは実在していませんしタルカスも実在の人物ではなく架空の人物でした。また、モデルとなっているような実在の人物も見当たりませんでした。

本記事の主役ブラフォードは実在の人物ではありませんでしたが、彼が仕えたスコットランドのメアリー・スチュアート女王は実在の人物でした。彼女を幽閉したエリザベス1世も実在の人物です。

ミュージシャンの名前が多く登場する『ジョジョの奇妙な冒険』。ブラフォードという名前から有名なイギリスのドラマー、ビル・ブルーフォードを思い起こす方もいらっしゃることでしょう。

1949年5月17日生まれのドラマー、ビル・ブルーフォードは、「イエス」や「キング・クリムゾン」、「ジェネシス」といったプログレッシブ・ロック3大グループを渡り歩いたことで有名です。

また、自らがリーダーを務めるジャズ・ロックバンド「ブルーフォード」やフュージョンバンド「アースワークス」でも活動しています。ジャズ系ロックドラマーの代表するミュージシャンで、カンタベリージャズロックの代表「ゴング」や「ナショナル・ヘルス」でも数多くの実験的なセッションを行っています。また、ローリング・ストーン誌が選んだ「歴史上最も偉大な100人のドラマー」で第6位に入っています。

実はこのブルーフォードですが、日本では長い間”ブラフォード”と表記されてきました。おそらくジョジョの作者の中では、この伝説のドラマーは”ブラフォード”という名前で記憶されていると推測されます。この実在の人物が黒騎士ブラフォードの名前の由来なのでしょう。ちなみに現在では、より原音に近い「ブルーフォード」という表記が一般的になっています。

『ジョジョの奇妙な冒険』と実在する伝説のドラマー、ビル・ブルーフォードとの関係は、名前を借りたことだけに止まりません。ジョジョのテレビアニメ化にあたっては、ビル・ブルーフォードが活躍した実在のロックバンド「イエス」の代表曲が深く関わっていました。

作者の荒木飛呂彦は、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』の1st Seasonのエンディングテーマに「イエス」の代表曲「ROUNDABOUT」を採用しました。エンディングの映像は音楽とマッチするように作られていることから、この曲を使ったMAD動画も多数制作されています。

『ジョジョの奇妙な冒険』第1部はテレビアニメだけでなく様々なメディアでリリースされているため、声優も一人だけではありません。それでは、黒騎士ブラフォードの担当声優をメディア別に紹介します。

2006年に発売されたPS2（プレステ2）ゲーム版では、神奈延年が黒騎士ブラフォードの声を担当しています。

声優で俳優、歌手と幅広く活躍する神奈延年（かんな のぶとし）は、1968年6月10日東京都品川区に生まれました。子役出身で劇団青杜を経て現在は青二プロダクションに所属しています。舞台役者をしていましたが、1991年テレビアニメ『ドラゴンクエスト』のフランク王子役で声優デビューします。

青年役を演じることが多く、アニメ『マクロス7』の熱気バサラや「剣風伝奇ベルセルク」のガッツ、「GetBackers-奪還屋-」の美堂蛮など数々の作品で主人公役を演じました。また、「ソニックシリーズ」のナックルズや「Fate/stay night」のランサーなど、主人公のライバルとなる準主役を担当することも多くあります。その他、海外ドラマや洋画の吹き替えも数多くこなしています。

テレビアニメ版での黒騎士ブラフォードの声優は、津田健次郎（つだ けんじろう）が務めています。1971年6月11日大阪に生まれの津田健次郎は、複数の芸能事務所を経て現在はアミュレートに所属。俳優、声優、ナレーター、そして映画監督としても活躍しています。

最初は映画監督を志望していた津田ですが、演技にも関心を持ち、円・演劇研究所専攻科に合格したことから演劇活動に傾倒していきます。1995年のテレビアニメ「H2」のオーディションに合格し、声優デビューを飾ります。以降声優を中心に、俳優としても舞台やドラマ、映画に出演。またテレビ番組やCMでナレーションを担当したり、ラジオのパーソナリティなど多岐にわたる活動をしています。

アニメの代表作には「テニスの王子様」の乾貞治や「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」の海馬瀬人などがあります。最近では2018年の「ゴールデンカムイ」の尾形百之助や「W'z《ウィズ》」のナガオカ/長岡大地で主人公の声を演じています。また、2019年2月公開の「ドキュメンターテイメント AD-LIVE」では念願の映画監督デビューを果たしました。

2007年に公開された劇場版『ジョジョの奇妙な冒険』では、奈良徹（なら とおる）が黒騎士ブラフォードの声を担当しました。彼は『ジョジョの奇妙な冒険』3部で「ヌケサク」の声も演じています。

声優・奈良徹は生年は公表されていませんが、5月7日埼玉県白岡市に生まれました。日本ナレーション演技研究所で声優の勉強をし、声優・堀内賢雄が主催するワークショップTalk backに参加。その後、堀内が代表を務める声優事務所・ケンユウオフィスに所属し、声優として活躍しています。

ブラフォード役の後、2010年には「劇場版イナズマイレブン 最強軍団オーガ襲来」で主人公、宍戸佐吉の声を演じています。また、最近では、「僕のヒーローアカデミア」（2016年- 2018年）で主人公のクラスメイトの1人、砂藤力道の声を担当しました。

ブラフォードの必殺技といえば「死髪舞剣」（ダンス・マカブヘアー）です。この技は、自分の髪の毛を剣の柄の部分に巻き付け攻撃するという、敵にとっては意表を突かれる形の攻撃方法でした。

ジョナサンは炎の波紋「緋色の波紋疾走」（スカーレットのオーバードライブ）を自分の腕に当て、ブラフォードが自在に操る髪の毛を焼き切る作戦に出ました。しかし、ブラフォードの必殺技「死髪舞剣」を避けた拍子に水の中に落ちてしまいます。

ロンドンからかなり離れたところに位置する人口517人の山村で、『風の騎士たちの町』という意味のウインドナイツ・ロットでは、かつて「77の輝輪（リング）」と呼ばれるルールを持つゲームがありました。そのルールとは「倒した相手の身体から腕輪・足輪奪い取り自らの身に着けて勝ち進む」というものでした。

長い歴史を持つ「77の輝輪」でしたが、勝ち残った者はブラフォードとタルカス以外にはたった3人しかいません。彼らは、ブラフォードを除くと皆、怪力巨漢の騎士でした。細身の体つきでしたが髪を第3の手として使うことができたブラフォードは、重い腕輪や足輪を着けても難なく戦うことができたようです。

髪の毛の攻撃を回避しても腕や足の攻撃が待っているブラフォードの必殺技「死髪舞剣」は、相手にとっては予測の付かない危険な技と言えるでしょう。とくにゾンビになってからは、髪を更に自由自在に動かせるようになった上、髪の毛から相手の血を吸いとることができるようになったことで戦闘力は格段に上昇しました。

ジョジョ4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する山岸由花子。彼女が使うスタンド「ラブ・デラックス」は、ブラフォード同様、髪の毛を自由自在に操る能力です。しかしそこには大きな違いがありました。

ブラフォードが髪の毛を第3の手として使うのに対し、ラブ・デラックスは髪を建物全体を覆ってしまうほど伸ばしたり、敵の頭に髪の毛を植え付けることで行動を制限できたり多様な能力を持っています。

ジョジョ3部「スターダストクルセイダース」に登場する空条承太郎のスタンド「スタープラチナ」。SNSでは、ブラフォードとこのスタープラチナが似ているとよく話題に上ります。果たしてブラフォードとスタープラチナは本当に似ているのでしょうか？ブラフォードとスタープラチナの外見を比較すると、スタープラチナの精悍な顔つきが似ているようではあります。

ただ、ブラフォードとスタープラチナでは登場するシリーズが異なりますし、ブラフォードとスタープラチナの直接的な関連性を示す情報もありません。スタープラチナと偶然デザインが似かよってしまったことも考えられます。スタープラチナとの外見上の違いとしては、スタープラチナの体格はさらに細身で、髪の毛もスタープラチナはそれほど長くありません。ブラフォードとスタープラチナには以上のような違いがあります。

ブラフォードとタルカスの生前は、ひとえにスコットランド女王メアリー・スチュアートに捧げられたと言っても過言ではないでしょう。それだけ２人は、包容力のある女性メアリー・スチュアートに命を捨てても良いと思うくらい固い忠誠心を持っていました。

しかしそんなブラフォードとタルカスの運命は、メアリーの夫が亡くなったことから思わぬ方向に転がりだします。イギリスの女王エリザベス1世は、メアリーを夫殺しの罪で城の塔に幽閉してしまったのです。ブラフォードとタルカスは、君主メアリーを助け出そうと立ち上がります。

それに対してエリザベス1世は、「自分たちの命を投げ出せばメアリーの命は助ける」と条件を提示。要求に応じた2人でしたが、処刑当日に処刑人から「塔にいるのは偽物で、メアリーはすでに処刑されている」と聞かされます。騙されたと知った2人が目にしたのは、処刑場に無造作に置かれた君主メアリーの首でした。

メアリーの無惨な姿を目の当たりにした2人は、怒りを抑えられず喚き散らします。しかし今さら成す術はありません。

言葉にならない呪いの叫びを上げながらブラフォードとタルカスは処刑されてしまいました。死を迎える時、ブラフォードの長髪は処刑人の足に食い込むように巻き付いたと伝えられています。

ブラフォードとタルカスの熾烈な死に様は、ジョジョ一家の宿敵ディオ・ブランドーの知るところとなりました。2人の鳥肌の立つような妄執に称賛の意を表したディオは、ウインドナイツ・ロットに埋葬された2人の亡骸を掘り起こし、ゾンビとして復活させました。ゾンビとなった2人は、世界を滅亡に導く負の力に支配された強敵として、ジョナサンの前に現れました。

ここまでブラフォード特集をお届けしてきましたが、お終いに彼に関する感想や評価を紹介します。

この記事で悲惨な最期と解説したブラフォードの死を、”穏やかな最期”と表現している方がいました。数々のキャラの死を凄惨に描いてきたジョジョにあって、花に囲まれて息をひきとるブラフォードの死は投稿者にとって穏やかに映ったようです。

ブラフォードに関する感想や評価、続いては本記事での取り上げた歴史問題に関わる話題となります。作中の「英国人なら誰でも知ってるタルカスとブラフォード」という言葉を信じて、どんな人なのだろうと世界史の資料を調べ上げたと言います。twitterを見てもこうした方は多いようです。

ブラフォードに関する感想や評価、最後は辛いことがあってもブラフォードの言葉に救われるという方です。その言葉とは、『この痛みこそ生のあかし。この痛みがあるから喜びも感じることができる。それが人間…。』というものです。辛いことがあったとき、心の中でこの言葉を噛みしめているのでしょう。

ここまで、『黒騎士ブラフォードは実在した？声優や必殺技の死髪舞剣も紹介 』と題してブラフォードのプロフィールから盟友タルカスとの関係やスタープラチナとの類似点・相違点などの情報をお届けしてきました。

ジョジョ第1部に登場した騎士ブラフォード。超人的な身体能力に加えて、毛髪で物を掴み敵に攻撃を加えるスタンド「死髪舞剣」使いでもありました。スコットランド女王メアリー・スチュアートに忠誠を誓いますが、エリザベス１世の策略で命を落とします。その後、ディオのスタンドにより盟友タルカスと共に復活。ゾンビと化したブラフォードの能力はさらに強化され、髪の毛で人の血を吸うことも可能になります。

作中では”イギリスでは誰でも知っている伝説の騎士”と紹介されたブラフォードとタルカスですが、共に架空の人物でした。また、ブラフォードという名前は、イギリスのロック・ドラマー、ビル・ブルーフォードにちなんでいます。さらに、ブラフォードのスタンドは第4部の山岸由花子の「ラブ・デラックス」に、外見は空条承太郎のスタンド「スタープラチナ」に似てはいますが、全くの別物でした。

様々なキャラクターが登場する『ジョジョの奇妙な冒険』。この記事のように主人公以外のキャラに焦点を当て知識を深めていくと、また違った楽しみ方を発見できるかも知れません。