エネルが月に渡った「スペース大作戦」を考察！壁画の謎や再登場の可能性は？

『ワンピース』の44巻から49巻まで、エネルを主人公とした扉絵連載「スペース大作戦」が描かれました。扉絵連載とは、各話の1ページ目の扉絵のことで、『ワンピース』の作者尾田栄一郎はこの扉絵でストーリーを描くことがあります。扉絵連載は過去に登場したキャラクターのその後などが描かれることが多くあります。

月へ行ったエネルもまた、空島編が終了した後のストーリーが「スペース大作戦」というタイトルで扉絵連載されました。ここでは、扉絵連載がされている『ワンピース』とは一体どんな作品なのか、概要やストーリーのあらすじを紹介します。

『ワンピース』は、尾田栄一郎により1997年から連載されている少年漫画です。国内発累計行部数は92巻時点で3億8000万部を突破しているとても人気のある漫画です。アニメ化や映画化がされており、さらにはスピンオフ作品など様々なコンテンツで展開されています。

『ワンピース』の主人公のルフィは海賊王を夢見る17歳の少年です。ルフィは海賊として身一つで大きな海へと旅に出ます。ルフィは航海を続ける中で、信頼出来る仲間たちを集めていきます。やがてルフィは海賊王のみがたどり着いたといわれる「ラフテル」を目指してグランドラインへと突入します。グランドラインではさらに難解な海を渡ることになり、ルフィ達は空にまで渡りました。それがエネルの登場する空島編です。

空島を救ったルフィ達は、ボロボロになった船を直すべくウォーターセブンへと向かいます。ウォーターセブンでは最初に手にした船・メリー号の修理が不可能と言われ、新しい船・サニー号を手に入れます。新しい仲間も増え、いざ新世界に突入するために麦わらの一味はシャボンディ諸島へと向かいました。

しかしそこでバーソロミュー・くまに襲われてしまい、一味はバラバラになってしまいます。その後自分の非力を痛感したルフィは2年間仲間の元を離れて修行しました。2年後、再び麦わらの一味は集結し、いよいよ新世界へと突入します。新世界では、シャボンディ諸島で出会ったトラファルガー・ローと偶然にも再会し、海賊同盟を結びます。

トラファルガー・ローの目的を果たすためにドレスローザに向かった麦わらの一味は、7つの海賊を傘下に加えることになります。また、ドレスローザでドフラミンゴを倒したことで四皇カイドウに喧嘩を売ってしまったルフィは、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団に加え、ミンク族とワノ国の侍と共に「忍者海賊ミンク侍同盟」を結びました。

ルフィはその後四皇ビッグマムにも喧嘩を売り、ワノ国へと渡ります。ワノ国では四皇カイドウと、ルフィを追ってきたビッグマムの2人との戦いが待ち構えているのでした。

エネルはグランドラインの上空1万mにある空島の国を治める唯一神です。自分のことを「ゴッド・エネル」と名乗り、「ゴロゴロの実」を使って恐怖により人々を統治していました。エネルは5月6日生まれで37歳です。身長は266cmあります。懸賞金はかけられていませんが、SBSによるとその実力から5億ベリー以上は確実だと作者は回答しています。

見聞色の覇気の使い手で、スカイピア全体に渡り人々の行動を予見することができました。見聞色や覇気の存在が描かれ始めたのも空島編からです。エネルの性格は残忍で自分のことを全能なる神として、絶対的存在であると思っています。たとえ国民であれ、反逆行為をすればすぐに制裁を与えるほど容赦がありません。

エネルの使っていた自然系の「ゴロゴロの実」の能力は、体を雷に変化させることができる能力です。そのため、武装色の覇気をまとっていなければ絶対に攻撃が当たることはありません。また、最大2億ボルトの電撃を放ち、雷の速度で移動することができます。またこの能力は攻撃だけでなく、盗聴や心肺蘇生などにも応用できます。

エネルはスカイピアで唯一神として国を治めていました。しかし、エネルは巨大な船に有能な人物だけを乗せ、残りのスカイピアの人々や島を消滅させるつもりでした。麦わらの一味は不法侵入によりエネル達に狙われてしまいます。麦わらの一味はエネルの圧倒的な力に対抗できず、次々と倒れます。唯一ナミだけがエネルに気に入られ、一緒に船に乗り込みました。

ルフィはナミを助けるためにエネルを追います。エネルはルフィの「ゴムゴムの実」の能力を知りませんでした。エネルが雷の攻撃をするとルフィに直撃します。しかしルフィは平気そうに立っていました。エネルは運良く避ける事ができたのだろうと、更に6000万ボルトの雷の攻撃をします。その後も1億ボルトの電撃攻撃を繰り広げましたが、ゴム人間のルフィには全く効きませんでした。

自然系のエネルは体を雷にすることができるので、物理的攻撃は効かないはずなのですが、ゴム人間のルフィの前では無効化されてしまいます。しかもエネルは、ゴムという物質自体を知りませんでした。ゴムは空島には存在しない物質だったのです。しかしエネルは見聞色によりルフィの動きを読み、攻撃を避けました。

さらにエネルはゴムの弱点は斬撃だと見抜き、武器の矛を使ってルフィに攻撃をします。雷が効かないというだけでは簡単に倒せる相手ではありませんでした。エネルはルフィを吹き飛ばし、その隙に巨大な船を動かします。ルフィ達はそこでエネルがスカイピアを滅ぼそうとしていることを知りました。ルフィはエネルの思惑を止めるために攻撃をしますが、見聞色により行動が読まれて上手く攻撃ができません。

そこでルフィは考えることをやめました。考えることをやめることで、エネルから次の行動を読まれないようにしたのです。しかし、ルフィもぼーっとしているだけなので攻撃をすることができません。そこでルフィは両手を壁に打ち付け始めました。ルフィは壁に跳ね返って伸びる拳を使ってエネルを攻撃しました。

跳ね返る拳にはルフィの意思がないため、エネルは行動パターンを読むことができません。エネルはルフィの拳をくらってしまい、うろたえた隙にさらなる攻撃を浴びせられます。しかしそれでもエネルは立ち上がりました。エネルは黄金を溶かし、ルフィの手を固めて船から突き落としたのです。

ナミはサンジ達に救われますが、このままではエネルの攻撃によりスカイピアが消滅してしまいます。ルフィとナミはエネルを止めるべくウェイバーに乗って船を追います。エネルはスカイピア全土を消滅させてしまうほどの積乱雲の攻撃をルフィに向けました。ルフィは巨大な積乱雲の中で黄金がついた手を振り回します。これにより大きな積乱雲の塊を壊すことに成功しました。

スカイピアは消滅を避けることができましたが、エネルは激怒して矛でルフィを突き刺しました。ルフィはなんとか矛を抜き、黄金の塊がついた手でエネルを吹き飛ばします。エネルは遠くの空にある鐘に打ち込まれ、ノーランドの言っていた黄金郷の証となる鐘が鳴り響きました。そしてエネルと船は地上へと沈んでいきました。

しかしエネルはまだ月へ行くことを諦めていませんでした。ただし、もうスカイピアには手出しをする気なく、地上に落ち行く船を動かして神のあるべき場所へと帰るために人知れず月へと向かっていきました。

エネルが到着した月には、古代都市ビルカが登場します。月の古代都市ビルカには太古に羽を持った人々が暮らしていた様子が描かれた壁画がありました。羽を持つ人といえば空島に住んでいる人々も背中に羽を持っていました。エネルが支配していたスカイピアの民もそうですが、空島出身のウルージにも羽が生えています。

ただ、ナミが2年間修行をしたウェザリアという空島の住人達には羽が生えていませんでした。これらのことから、空島の一部の人間達の先祖は月の住人だったのではないかと考察されています。月の古代都市の壁画の、左側に描かれている3人の月の人をよく見ると、右端の月の人には頭に角が生えています。そして真ん中の月の人は動物の毛皮を着ているようにみえます。

スカイピアの人々は角が生えたような髪型をしており、シャンディアの人々は動物の毛皮などを着用していて、壁画の月の人にそっくりです。この壁画の月の人は、スカイピアとシャンディアの先祖であることを示している事がわかります。そして一番左の月の人は、右の2人とは羽の形が違います。実はウルージが一番左の月の人と同じ羽の形をしているのです。このことから、ウルージもまた月の人の子孫だと考察できます。

そしてこの3人の月の人は風船のようなものを持っています。実はからくり島で生まれたスペーシー中尉達は、同じような方法で月へと向かっていました。おそらくこれは月の人が使っていた移動手段だと思われます。「スペース大作戦」Vol.36では「資源不足で青色の星へ飛ぶ」と書かれているので、月の人々はこの風船のような方法で地球に来たと考察されています。

扉絵連載の「スペース大作戦」で月で戦っていたロボット達は、青海のからくり島から月へとやって来ました。からくり島は未来国バルジモアが存在する島です。未来国バルジモアといえば、シャボンディ諸島でフランキーがバーソロミュー・くまによって飛ばされた国でした。フランキーが飛ばされた頃は一面雪が降り積もる銀世界でしたが、スペーシー中尉の回想シーンでは雪は降っていませんでした。

「スペース大作戦」では、からくり島のツキミ博士が登場します。ツキミ博士はスペーシー中尉を作った人物です。実は「スペース大作戦」Vol.35ではスペーシー中尉のようなロボットを、月の人が作っているような壁画が描かれています。つまり、ツキミ博士は古代の月の人の知識を持っていたことになります。

ただ、ツキミ博士は羽が生えていないので、月の人の子孫とは考えにくいと思われます。ツキミ博士と古代の月の人には共通点が多いのですが、どのような繋がりがあるのかは分かっていません。月にいるエネルが今後再登場すればそのことについても判明するかもしれません。

『ワンピース』では青海での海賊冒険物語が主なストーリーですが、月ではなんと宇宙海賊が登場します。月に古代都市があり人が住んでいたことを考えると、他の星にも生き物がいる可能性は十分あります。また、この宇宙海賊達が月の遺跡発掘計画を立てていた描写があることから、月に古代都市があることは宇宙でも知られていることなのだと考察できます。

月の古代都市にあった壁画には、『ワンピース』で重要なキーワードになっている古代兵器のようなものが描かれています。古代兵器の一つ、ウラヌスの正体についてはまだ作中でも明らかになっていません。Vol.35の月の古代都市の壁画を見ると、スカイピアの先祖らしき月の人が先端に丸いものをつけた杖のようなものを持っています。この棒のようなものがウラヌスなのではないかと考察されています。

月の古代都市の壁画には古代兵器のポセイドンのようなものも描かれています。Vol.36には青海に住む海王類が何かを引っ張っているような描写があります。実は一つ前のVol.35には、ウラヌスだと思われる杖を持つ月の人の下に丸い文様が描かれています。これは方舟だと考察されており、海王類は方舟を引っ張っているのではないかといわれています。

実際に『ワンピース』の魚人島編では、ポセイドンであるしらほしが海王類を操り、「ノア」と呼ばれる船を運んでいる姿が描かれました。

月の古代都市の壁画には古代兵器プルトンのようなものが描かれています。プルトンといえば、アラバスタ編とウォーターセブン編でその名前が登場しました。クロコダイルはプルトンについて「一発放てば島一つを跡形もなく消し飛ばすと聞く」と言っていました。

また、フランキーがプルトンの設計図を持っていたことから、おそらくしらほしのように人ではなく何らかの兵器であることが分かります。「スペース大作戦」Vol.35の壁画の左下には大砲のような絵が描かれており、これがプルトンなのではないかと考察されています。

エネルの再登場が噂される原因の一つは、Dの一族の謎です。Dの一族は天竜人から「神の天敵」と恐れられる人々なのです。エネルが月で見た壁画は、Dの一族の謎についても描かれているのではないかと考察されています。壁画には月から地球にやってくる月の人が描かれていました。月の人のほとんどが空島で暮らしていましたが、その中で青海に住んで王国を作った人々がいました。

それが「黄金都市シャンドラ」です。しかし、のちの世界政府となる各国の王たちはシャンドラに住む月の人々を良く思っていませんでした。そこで王たちは月の人々との戦争を始めます。それが空白の100年の出来事です。この戦争によりシャンドラの王国は滅びましたが、生き残りがいました。その月の人の生き残りがDの一族だったのではないかという考察です。

SBSではDの意味に関する質問に、「何も考えず"D"と読んでいてください」と回答されています。このことから、Dは文字ではなく半月を表しているという考察もあります。その他にも、ワンピース27巻の表紙にはルフィの背中に羽が描かれたり、ゴールド・D・ロジャーはアポロ1号の乗組員のロジャー・チャフィがモデルになっているなど、なにかと月や空島に関連しています。

これらはDの一族が月の人だった伏線なのではないかといわれています。今後Dの一族の謎を解明するためには、ポーネグリフを読み解くだけでなく、月にあった壁画の情報も必要になるかもしれません。壁画にはポーネグリフに書かれている文字と似た文字も書かれています。もし今後のストーリーで月の壁画の知識が必要になれば、月にいるエネルの再登場の可能性も高くなると思われます。

エネルは世界政府の秘密を知り、さらには月でエネル軍団を結成しました。このことから、『ワンピース』で再登場するのではないかといわれています。エネルは元々好戦的な性格なので、再登場したらルフィとまた戦闘になるかもしれません。今は月にいますが、今後のエネルの再登場に期待が高まります。

『ワンピース』で言い伝えられている古代兵器のうち、ポセイドンは海の兵器、プルトンは陸の兵器です。一番謎に包まれているのはウラヌスなのですが、海・陸と続くと残りは空なのではないかといわれています。さらに実在するギリシャ神話には「天空の神ウラノス」がいるのです。このことから、ウラヌスは天候を操ることができる兵器なのではないかと考察されています。

ウラヌスは月の人とも深い関わりがあると思われます。壁画には、月の人がウラヌスを操っているように描写されていました。このことから、月の人の子孫がいる空島にウラヌスのヒントが隠されているのではないかと考察されています。

月には古代都市が眠っていました。宇宙海賊も月の古代都市の遺跡を発掘しようとしており、その都市の様子を見てもかなり古いという事がわかります。ただ月の古代都市にエネルが電気を送ると、何故か眠っていたロボットたちが動き出し、都市が復活しました。このことから月では科学が発展しており、電気も存在していたということが分かります。

「スペース大作戦」にはツキミ博士が登場しますが、実はツキミ博士の出身地は未来国バルシモアなのです。天才科学者Dr.ベガパンクも未来国バルシモア出身という共通点があります。ツキミ博士は未知の高度な技術を持っているとだけ明かされていますが、もしツキミ博士とDr.ベガパンクに接点があるのであれば、Dr.ベガパンクもまた月の技術を持っているかもしれません。

「スペース大作戦」で月へ降り立ったエネルは、ロボットたちを助けるつもりは毛頭なく、ひとまず攻撃を与え続けていました。しかし、成り行きによりロボットたちに慕われ、エネルは月でエネル軍団を結成することになりました。図らずしもロボット達をまとめ上げ、月の古代都市を復活させた活躍には賞賛の声もありました。

「スペース大作戦」を読んだ方の中には、すでにエネルの再登場を確信している方がたくさんいました。中にはワノ国でエネルが再登場するのではないかと期待している方もいます。今後Dの一族の謎や古代兵器がストーリーの要になると思われるので、エネルの再登場は可能性が非常に高いと思われます。エネル好きのワンピースファンにとっては、エネルの再登場は待ち遠しいようです。

月の古代都市の壁画に書かれている人達には、みんな羽がついていました。そのことから、スカイピアの人々は元々月に住んでいたと考察できます。ただシャンディア達は元は地上に住んでおり、たまたま島が空に打ち上げられたことで空島に住むことを余儀なくされていました。そのシャンディアの人々にも背中には羽が生えていたのです。

空島の住人たちが月の人の子孫である可能性は高いと思われますが、シャンディアの人々がなぜ空島に来る前に青海で暮らしていたのかは未だに謎です。

「スペース大作戦」の月の古代都市にはたくさんの伏線が描かれており、その後の『ワンピース』の作中で徐々に謎が明らかになってきています。エネルは月へ行ってしまいましたが、物語の重要な部分を知っているので、今後再登場する可能性が高いと考察されています。再登場したエネルは再びルフィと戦うのか、それとも世界政府に喧嘩を売るのか今後の展開に期待が高まります。