3月のライオンのモデルとなった棋士は誰？桐山零や宗谷冬司など登場人物を考察

3月のライオンは将棋を題材とした漫画で、白泉社のヤングアニマルで2007年から連載されています。将棋のプロ棋士である高校生の桐山零を中心としたストーリーです。ここでは3月のライオンの作品について詳しく紹介します。

3月のライオンの漫画の原作者は羽海野チカです。羽海野チカは過去に「ハチミツとクローバー」の連載や、「東のエデン」のキャラクター原案を務めたこともありました。また、3月のライオンは将棋を題材にしていることから、プロの将棋棋士である先崎学が監修しています。先崎学は3月のライオンの単行本で将棋コラムも連載しています。

3月のライオンは2016年にアニメ化されています。原作マンガの1巻から5巻はアニメ第1期、5巻から9巻までの内容はアニメ第2期で放送されています。原作者である羽海野チカがアニメ監督の新房昭之のファンで、3月のライオンのアニメも新房昭之が監督を務めています。アニメ監督の新房昭之は「物語シリーズ」や「魔法少女まどか☆マギカ」などの監督もされています。

3月のライオンは前編・後編に分けて実写映画化されました。前編は2017年3月18日、後編は2017年4月22日に放映されました。主演の桐山零役を神木隆之介が務め、ヒロインの川本ひなた役を清原果耶が務めました。3月のライオンの実写映画は、「るろうに剣心」や「龍馬伝」の大友啓史が監督をしています。

主人公の桐山零は、中学生で史上5人目のプロになった将棋棋士です。物語開始当初は桐山零の過去や幸田家との確執が描かれています。1年遅れで高校に入り、棋士として学校を休むことも多かった桐山零はほとんど孤立して過ごしていました。ある時先輩の棋士に無理やり酒を飲まされ、潰れているところを川本あかりに拾われます。川本家と縁ができてからは、度々ご飯に招かれるようになりました。

そんな桐山零の元には度々姉の幸田香子が訪れていました。幸田香子は後藤正宗と不倫関係にあり、桐山零はそんな二人の関係を心配していました。また幸田香子は家に帰っておらず、彼女に家に帰るよう説得するために桐山零は後藤正宗との戦いに挑みます。

しかし、後藤正宗とぶつかる前の島田開との戦いで負けてしまいました。桐山零は自分が後藤正宗のことばかりを考えて、全く目の前の相手を見ていなかったことに恥じます。桐山零は島田研究会に入れてくれと頼み、島田開の元で勉強することになります。

また、学校でも林田高志の誘いで将棋部を結成することになりました。こうして桐山零は徐々に様々な人と関わっていきます。桐山零と川本家とのつながりも深くなってきたころ、川本ひなたが学校でいじめを受けていることが明らかになります。

川本ひなたの言葉で桐山零は自分が救われたことを自覚し、なんとしても川本ひなたを守ることを決意します。その頃、新人王の対局中にライバルの二海堂晴信が倒れてしまいます。二海堂晴信は腎臓病を患っており、無理をして試合を続けていたことが発覚します。桐山零は二海堂晴信の対局での出来事を知り、自分が決勝で山崎を破ることを心に決めました。桐山零は見事に山崎に勝ち、新人王となります。

その頃、川本ひなたのいじめ問題も終結を迎えていました。桐山零は何もできなかったことを悔しく思います。しかし、その後川本ひなたは桐山零が通う学校への進学を決め、桐山零は川本ひなたの家庭教師になります。このように将棋だけでなく、周りの人々と関わりながら桐山零は成長していきます。

3月のライオンのモデル論争が始まったきっかけは二海堂晴信だといわれています。二海堂晴信は主人公の桐山零の親友にしてライバルと自称している人物です。二海堂晴信は持病を持っており、それによりふくよかな体型をしているのが特徴です。実はそんな二海堂晴信ととても似ている実在のプロ棋士がいるのです。そのため、実はそれぞれのキャラクターにモデルがいるのではないかといわれるようになりました。

3月のライオンのキャラクターの中で、もっともそのモデル論争が白熱しているのは主人公の桐山零です。ここでは、桐山零のモデルとなった実在の人物が誰なのかを紹介します。

3月のライオンの主人公である桐山零は、高校生ながらに将棋棋士のプロとして活躍していました。両親を交通事故で亡くしており、父親の友人である幸田柾近に引き取られていました。しかし、将棋の才能持つ桐山零に嫉妬した幸田家の子どもたちとは確執があり、肩身の狭い思いで暮らしていました。そのため、高校生になってからは一人暮らしをはじめました。

桐山零は物語開始時点では17歳で、身長170cm、将棋の順位戦ではC級1組でした。棋風はオールラウンダーで宗谷と雰囲気が似ているともいわれています。将棋では自分の才能に慢心することもありますが、島田研究会に入って勉強するなど努力は怠りません。

桐山零のモデルとなった実在の人物が誰なのか、公式では発表されていません。ただ、桐山零の周りのプロ棋士達は実在する人物をモデルにしていると言われているため、桐山零もモデルがいるのではないかと予想されている人物はいます。

桐山零のモデルは公開されていませんが、羽生善治なのではないかといわれています。羽生善治は永世竜王、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖のタイトルを保持しています。桐山零と同じく中学生でプロ入りしたことで有名な棋士です。また、棋風がオールラウンダーというところも、桐山零との共通点です。

3月のライオンの主人公である桐山零だけでなく、実は周りのプロ棋士のキャラクター達も実在の人物がモデルになっています。そこでここでは実在のプロ棋士の誰がモデルになったのかを、キャラクターのプロフィールとあわせてまとめています。

宗谷冬司は中学生でプロ入りしている人物で、棋風はオールラウンダーと実在のモデルがいるという以前に、主人公の桐山零と似ています。そんな宗谷冬司のプロフィールと、実在の人物の誰がモデルになっているのかを紹介します。

宗谷冬司は30代後半で史上最年少で名人となり、七大タイトルを独占した人物です。童顔で同い年の島田とは年齢が同じだとは思えないほどの若々しい外見をしています。ストレスにより突発性難聴を患っており、耳が聞こえなくなることがあります。

しかし元々天然な性格をしていたため、特におかしいとは思われず周りには気づかれていません。この障害を知っているのは神宮寺崇徳や桐山零などのごくわずかの人物です。作者は宗谷冬司のモデルとして、実在の将棋棋士である羽生善治と谷川浩司を足して二で割っていないキャラクターだと言っています。

宗谷冬司のモデルの一人は羽生善治です。羽生善治も中学生でプロ入りしているだけでなく、1995年には七冠達成している実力者です。圧倒的な強さは宗谷冬司との共通点でもあります。

もうひとりの宗谷冬司のモデルは、谷川浩司です。タイトル獲得数は歴代4位で十七世名人を保持しています。谷川浩司は羽生善治とライバル関係にあり、竜王戦では羽生善治から竜王を奪取しています。また、宗谷冬司と谷川浩司は史上最年少の名人という共通点があります。

二海堂晴信は桐山零の親友でありライバルでもあるキャラクターです。幼少期から桐山零と対戦した経歴を持っています。そんな二海堂晴信のプロフィールとモデルとなった実在の人物が誰なのかを紹介します。

二海堂晴信は裕福な家庭で育ちましたが、幼いころから腎臓を患っており、そのためにふくよかな体型をしています。二海堂晴信は島田研究会に所属しており、島田開の弟弟子でもあります。そのため島田開には「坊」と呼ばれ、島田開のことは「兄者」と呼ぶ親しい仲です。実際に実力が高く、物語開始当初はC級2組四段でした。

二海堂晴信は公式のモデルは発表されていませんが、村山聖なのではないかといわれています。村山聖は高校生でプロ入りした優秀な棋士でしたが、29歳という若さで腎臓の持病によって逝去されています。

村山聖が将棋を始めたのは、入院中に父から将棋を教わったことがきっかけでした。二海堂晴信も幼い頃に外で遊ぶことができなかったために将棋を始めました。このように、共通点が多いことから村山聖がモデルだといわれています。

島田開は後藤によって周りが見えなくなってしまった桐山零を負かし、島田研究会に招き入れた人物です。宗谷冬司とは同い年ですが髪が薄いために40代に間違えられてしまいます。ちなみにビジュアルのモデルは佐々木蔵之介で、実写映画でも島田開役は佐々木蔵之介が演じました。ここではそんな島田開のプロフィールと、誰がモデルなのかを紹介します。

島田開はA級八段とかなりの実力者であり、温厚な人格者でもあります。そのため、あらゆる人達に尊敬される事が多く、桐山零や取材記者も島田ファンになっています。後進の指導にも熱心で面倒見がよく、島田研究会を開いています。しかし、酷い胃痛持ちで常に胃薬を持ち歩いています。

島田開のモデルは公式で発表されていません。しかし、島朗がモデルなのではないかといわれています。島朗は初代竜王として知られる実力の持ち主です。島田開と同じく、かつて「島研」とよばれる研究会を開いていたことがありました。

土橋健司は宗谷冬司と幼少期からのライバル関係で、将棋に没頭する研究家であり努力家でもあります。3月のライオンでは、宗谷冬司との熱い戦いを繰り広げていました。ここではそんな土橋健司のプロフィールと、誰がモデルとなっているのかを紹介します。

土橋健司は睡眠や食事以外は将棋の研究に時間をかけているほど、研究熱心な性格をしています。普段はロボットのような生活をしていますが、新しい発見や面白い対戦をするとワクワクと顔をほころばせる可愛い一面も持っています。

土橋健司のモデルは二人います。そのうちの一人は漫画家の三浦建太郎です。三浦建太郎は、第6回手塚治虫文化賞漫画優秀賞を獲得した「ベルセルク」や「王狼」を連載していました。3月のライオンの2巻のカバーイラストやアニメ23話のエンドカードのイラストを描いたこともあります。

もうひとりのモデルは実在する将棋棋士の三浦弘行です。三浦弘行は宗谷冬司のモデルの一人である羽生善治の七冠を崩した棋士の一人で、初タイトルとなる棋聖位を獲得しました。また、一日の将棋の勉強時間が10時間を超えるというほどの勉強家であるところが、土橋健司との共通点だといわれています。

神宮寺崇徳は日本将棋連盟の会長を務める人物です。3月のライオンの作中では、桐山零が幸田家を出ていく時にアパートの保証人になりました。ここでは神宮寺崇徳のプロフィールと、誰がモデルとなったのかを紹介します。

神宮寺崇徳は第16世名人で新人王の経験者でもあります。小山との対局では、居飛車穴熊を編み出しました。宗谷冬司の突発性難聴を知っており、なにかと宗谷冬司のサポートをすることも多くあります。3月のライオンのスピンオフ漫画である灼熱の時代では主人公を務めています。

神宮寺崇徳のモデルが誰なのかは、公式では発表されていません。ただ、実在する将棋棋士の米長邦雄がモデルではないかといわれています。2005年から、亡くなる2012年まで日本将棋連盟会長を務めていました。弟子には3月のライオンを監修している先崎学がいます。

神宮寺崇徳は、実在の将棋棋士の中原誠をモデルにしているともいわれています。米長邦雄や加藤一二三、内藤國雄達との世代と戦い抜いた人物で、四冠王になったこともあります。2008年に引退しましたが、2017年までは将棋界への貢献から名誉棋士会長を務めました。

甘麻井戸誠二郎は川本家の父親です。表面上は良い父親を気取っていますが、実は不倫等を繰り返した最低な父親でした。そんな甘麻井戸誠二郎もモデルがいます。ここでは甘麻井戸誠二郎のモデルは誰なのか、プロフィールとあわせて紹介します。

甘麻井戸誠二郎は川本あかり、ひなた、モモの実の父親で川本美香子の夫でした。元々国語の教師でしたが、保護者とのトラブルで退職することになります。その後三日月堂で働きますが、辛抱強くない性格のためにすぐに辞めてしまいます。その後浮気し、離婚後はその相手と結婚して子供まで設けます。

しかし、またもや不倫を繰り返して務めていた会社をクビになってしまい生計が立たなくなり、川本家を訪れます。話術だけは上手いので川本家の3姉妹を翻弄しますが、桐山零に阻止されます。

甘麻井戸誠二郎のモデルは3月のライオンの原作者の羽海野チカの体験談や、友人6人の父、元夫、元彼の体験談を合わせて作られたキャラクターです。作中の甘麻井戸誠二郎のセリフは実際にあった発言で、その分生々しさのあるキャラクターとなっています。

3月のライオンのキャラクターにはモデルとなった実在の人物がいますが、登場人物の中には誰がモデルなのか分かっていないキャラクターもいます。ここでは誰がモデルなのか分かっていないキャラクターのプロフィールを紹介します。

後藤正宗はA級九段のプロ棋士です。幸田柾近の弟弟子で、既婚者でありながらも幸田の娘である香子と不倫関係にあります。それを良く思っていない桐山零と後藤正宗には確執があり、桐山零を挑発することも度々ありました。後藤正宗の妻は難病にかかっており意識不明のまま入院生活を送っています。

柳原朔太郎はプロ棋士で、日本将棋協会会長の神宮寺崇徳とは仲の良いライバルでもあります。66歳でありながらもA級を維持し、棋匠のタイトルを保持し続けていました。3月のライオンでは10期守り続け、棋匠の永世資格を獲得した実力の持ち主です。

林田高志は桐山零が通う市立駒橋高校の教師です。将棋ファンで、桐山零を心配していつも気にかけています。対局などで学校を休みがちな桐山零を支えている人物の一人です。川本ひなたがいじめにあった際や甘麻井戸誠二郎との問題の時もアドバイスするなど助力しています。

川本あかりは二人の妹の面倒を見ながら、祖父が経営している和菓子屋の三日月堂の手伝いをしています。また、夜は伯母が経営している銀座のお店でホステスとしても働いています。痩せている生物を放っておくことができない性格をしており、主人公の桐山零も川本あかりに拾われました。

川本ひなたは川本家の次女で、妹の面倒を見たり姉の手伝いをするしっかり者です。表情が豊かで強い心を持っていますが、涙を流すところを家族に見せない繊細な面をもっています。いじめなどを放っておけない優しい心の持ち主で、いじめを受けていた佐倉ちほを庇っていじめの標的になったこともありました。

川本ひなたの人物のモデルは誰なのか分かっていませんが、このいじめのエピソードは羽海野チカの姪が実際にいじめを庇った時の実話を元にして描かれています。

川本モモは川本家の三女で、まだ保育園児です。桐山零や二海堂晴信に懐いており、天真爛漫で可愛らしい性格をしています。三日月堂の和菓子の新作を考案する際は斬新なアイデアを出すこともあります。

3月のライオンの主な舞台のモデルは、東京の月島・佃・新川だといわれています。月島には川本家の3姉妹が買い物をしている商店街や、二海堂晴信と桐山零が行ったマックなどもあります。佃小橋は桐山零が川本家に向かう時によく通る橋として描写されています。佃と新川を繋ぐ中央大橋は、桐山零が住んでいるマンションと川本家の町を繋ぐ大きな橋です。

三日月堂のモデルの一つといわれているのが、和菓子屋壽堂です。和菓子屋壽堂は和菓子の専門店で、「黄金芋」や「雲井どらやき」などが人気です。和菓子屋壽堂は日本橋の人形町にあります。

もう一つのモデルといわれているのは佃煮屋天安本店です。180年もの歴史がある老舗で、その外観も三日月堂と似ています。また、3月のライオンの舞台のモデルといわれている佃にあります。和菓子屋ではなく佃煮屋で、あさりやかつお、たらこなど様々な佃煮が販売されています。

島田開は3月のライオンでも人気のキャラクターです。作中でもファンがいるほどの人気がありますが、3月のライオンの読者もその温厚な性格からファンが多いようです。またビジュアルモデルの佐々木蔵之介は、実写化で実際に演じた時も好評でした。

3月のライオンの14巻では、島田開と林田高志、川本あかりの3人の恋愛が気になる話となっていました。こちらの方は林田高志に頑張ってほしいと応援されていました。どちらも人気キャラクターで苦労人気質なので、面倒見の良い川本あかりとくっついてほしいと思っている方はたくさんいるようです。

3月のライオンでは、川本ひなたのいじめがリアルに描かれています。川本ひなたがいじめられている描写は見るのが辛いという方もたくさんいました。ただ、川本ひなたの芯の強さが分かる話でもあり、桐山零が変わるきっかけにもなる重要なストーリーです。

3月のライオンの登場人物には多くの実在のモデルがいることが分かりました。公式では発表されていないモデルもいましたが、3月のライオンのキャラクターと比べると多くの共通点がありました。3月のライオンは将棋を題材としていますが、将棋が分からなくても楽しめる漫画です。ぜひモデルとなった実在の人物と重ねながら読んでみてください。