【ハンターハンター】マジタニが実は最強？強さの理由や担当声優まとめ

漫画家・冨樫義博の代表作『ハンターハンター』。1998年『週刊少年ジャンプ』で連載を開始すると多くの読者から支持を集め、『ONE PIECE』に次ぐ長期連載を記録しています。父の顔を知らずに育った主人公の少年ゴンが父親ジンと会うためハンターとなり、仲間たちとの友情を深めさまざまな試練を乗り越えていく過程を描いたスペクタクル冒険活劇です。

少年漫画としてはグロテスクな描写が多くストーリーも残酷で冷酷無比な展開をみせることもあります。また、物語そのものは残酷なだけではなくとても緻密に作りこまれていて、こちらも少年漫画としては異例といえる複雑なキャラクター設定や世界観を持っています。それに応じるためイラストに加えて文章での説明が多くなっているほか、公式のガイドブックまで発売されてます。

ハンターハンター最初期に主人公ゴンの前に強敵として出現するマジタニ。登場回数の少なさから知名度は決して高いとは言えませんが、一部の熱心なファンの間では”最強”との呼び声も高いヒール（悪役）のひとりです。”最強”にふさわしくその体格は筋骨隆々、青白い肌に切り傷だらけの顔面、片目は腫れあがり開いた口からはだらしなく垂れ下がった舌と欠けた歯が覗きます。怪物と言ってもよい程おぞましい外見をしています。

マジタニは課せられた刑罰を積み重ねると優に懲役100年を超えるという強者です。外見だけでなく内面的にも典型的な悪党で、自身の犯罪歴を逆手に取り相手に恐怖心を植え付け思いどおりにするための材料として使います。絵にかいたような悪役キャラと言えるでしょう。

ここで早くも種明かしのような説明をしなければなりません。実はこのいかにも悪党ヅラをした超長期刑の囚人マジタニ、ハッタリが得意なだけの小心者でした。『ハンターハンター』最初期の登場時にも数々の嘘を重ねていたようなのです。

まず登場早々に相手を怖がらせるためについたのが犯罪歴に関する嘘でした。マジタニは今までに19人を手にかけたと見得を切りました。（その後キリのいい数字で20人に変更）。ハンター試験で相手を威圧するためについた嘘でしたが、懲役108年といっても実際には詐欺などでチマチマと刑期を積み重ねた結果によるもので人を殺したことなどありません。

ついでにネタバレしますと、フランケンシュタイン博士を思わせる顔面の傷は整形手術の失敗によるものでしたし、手術で右拳に鋼鉄を入れ込み相手を殴りつけることを得意としていましたが、1日2発以上殴ると手の骨を骨折してしまう有りさまです。

マジタニは暗に幻影旅団との関係を周囲に匂わせます。ハンターをめざしているものなら誰でも一度は耳にする幻影旅団。史上最恐の盗賊団というイメージが浸透している幻影旅団のメンバーと相手に思わせることで、マジタニは自身に箔をつけようとしていたのです。幻影旅団のシンボルマークである蜘蛛のタトゥーを自分で入れては周囲に見せびらかせ、自慢話に花を咲かせていました。

トラの威を借るキツネといったところでしょうか。しかし、すでにおわかりのように幻影旅団のメンバーだというアピールは全くのデタラメでした。

上記のようにマジタニの大きな背中には幻影旅団のシンボルマークである蜘蛛のタトゥーが入っていましたが、そこには本物にはあるはずのナンバーをあらわす数値がなく、よく見れば偽物であることは火を見るより明らかでした。また戦闘面でも、幻影旅団のメンバーとしては実力不足は否めません。

幻影旅団はマジタニが思っているような生半可な窃盗集団ではありません。戦闘能力を有するメンバーは呼吸をするかのように自然な流れで人を殺します。ウボォーギンはマフィアを殲滅しましたし、クロロは天空闘技場で審判員を爆死させたり見物人をヒソカに投げつけたりしていました。実際に幻影旅団の殺戮シーンを見た人は、一撃で床が粉々になるほどの怪力男にしては殺害人数19人はむしろ不自然に少なく感じるでしょう。

マジタニの嘘を真に受ける者が多いなか、ゴンやキルアは見抜いていました。さらにいともたやすく嘘を見抜いたのが強者クラピカでした。同胞のクルタ族を全滅に追い込んだ幻影旅団に恨みを持つクラピカにはこの嘘が許せませんでした。激高したクラピカはマジタニを完膚（かんぷ）なきまでに打ちのめしました。

ハンターハンターのごく一部のファンの間では”最強”と称されているマジタニですが、現在の『ハンターハンター』では決して強くはない、というよりもむしろランク外の弱さというのが定説となっています。マジタニが初登場したハンター試験編では未だ念能力が存在せず、身体能力だけが強さの基準となっていました。

マジタニは身体的破壊力では実際に上位に食い込むだけの実力を持っていました。そこへ持ってきてあの筋骨隆々たる体と強面（こわもて）の傷だらけの顔つきです。一目見た読者は、マジタニこそハンターハンターの最強戦士との印象を持ち、それが現在でも一部のファンの間で脈々と受け継がれているのではないでしょうか。

弱い犬ほどよく吠えるということわざを待つまでもなく、武勇伝で相手をビビらせようとするマジタニも実際に外見に似合わず子犬のような小心者でした。ハンター試験でクラピカと対戦するときも、得意のホラ話を駆使してクラピカの戦意を喪失させようと涙ぐましいまでの努力をします。

しかしこんなマジタニは連戦連勝のツワモノ、クラピカの相手ではありませんでした。得意の嘘がアダとなり逆にクラピカの怒りを買ってしまいます。クラピカにボコボコにされ惨敗を喫します。このようにマジタニの強さは決して本物とは言えません。

それでは、こんなマジタニが現在でも一部のファンの間で”最強”と祭り上げられている理由とは一体何なのでしょうか？マジタニ初登場当時の状況から考えられることを紹介していきます。

マジタニ最強説が根強い原因として考えられること、まずは何度も繰り返すようですがマジタニ自身が得意げに吹聴する犯罪歴です。彼は逮捕されるまでに19人を殺（あや）めていると周囲に語っています。実はそれは真っ赤なウソで19人どころかひとりも手にかけたことはありません。持て余す怪力でせいぜい病院送りにするのが関の山です。

実際のマジタニは力が強いだけの気の小さい男で、彼が豪語する犯罪歴のほとんどは嘘、でまかせで塗り固められた虚像でした。ところがハンターハンターの一部のファンは、マジタニのそんなキャラクターをある意味愛し、現在でもその強さを信じているのでしょう。

ファンの間にマジタニの強さを印象付けたのは、まずその身体つきです。なにしろ筋骨隆々の体で右腕の一撃で石畳を砕いてしまいますから。マジタニはハンター三次試験のトリックタワーで試験官として颯爽と登場してきた超長期刑囚です。このマジタニ初登場のころは、念能力が存在せず純粋に身体を張った攻撃能力のみが強さの証（あかし）となっていた時代です。

当時であればマジタニの肉体的な強さは、ハンターハンターの中でも上位に食い込んでいたのかもしれません。不気味なオーラを漂わせていたマジタニの強さをレオリオなどはかなり過大評価し、クラピカの身を案じていたほどです。こうした当時の記憶が現在でもマジタニの強さは本物！とハンターハンターファンの間で語り草になっている理由のひとつでしょう。

念能力とは『ハンターハンター』の登場人物が持っている特殊能力のこと。極めて優れたハンターが持つ、生命エネルギー「オーラ」を自由自在に操ることのできる強力な能力です。地球上のあらゆる生物がこの「オーラ」を持っていますが、それを使いこなせるのはごく一部の選ばれた「念能力者」に限られるとされています。

念能力は常識では計り知れない超常の威力を発揮するため、一般人の目にはその能力を持つものは「天才」とか「超人」として映ります。さまざまな分野で人類の歴史に革命的な進化をもたらした者を人々は「天才」と呼びますが、実は彼らは「念能力者」でもあったのです。『ハンターハンター』ではさらに一歩進めてこの念能力を規定しています。

それは念能力は修行次第で誰にでも修得可能な能力で、場合によっては人間でなくても動物や虫に至るまで修得できるとまで。ただし使い方次第では極めて危険な力を発揮する能力であることから「念能力」の存在は国家レベルでの機密事項と位置付けられています。また、現在プロのハンターになるために「念能力」はもはや必須となっています。

『ハンターハンター』一部のファンの間ではいまだに最強との噂が絶えないマジタニ。ところで彼は念能力を持っているのでしょうか？前述のとおり念能力とは「オーラ」を自由自在に操ることのできる特殊能力で、現在ではハンターの強さを決める基準ともなっています。

現在がハンターたるものの常識となっている念能力ですが、マジタニが初登場した最初期の『ハンターハンター』ではまだごく一部のハンターにしか与えられていない知られざる能力でした。主人公のゴンでさえ念能力を有しておらず、ましてやマジタニが念能力など持ち合わせてはいるはずもありません。したがって仮にマジタニの身体能力が極めて高かったとしても、念能力がないのでは現在の基準ではお話にもならないでしょう。

『ハンターハンター』異色の悪役キャラ、マジタニの声を担当するのは、声優で俳優、ナレーターもこなす矢尾一樹です。矢尾はハスキーなガラガラ声で男っぽい声質の持ち主で、一度聞いたら忘れられないという声優のひとりです。街ですれ違いざまに肩をぶつけられて絡まれそうな、こわもておっちゃんのイメージです。アニメではさまざまな役を演じている声優さんですが、男臭さの漂うやさぐれた不良役が多いようです。

一方でダーク・シュナイダーのような型破りな人物や 「イース」のグルーダのような野心にあふれた上昇志向の男、「ジャンケンマン」のオソダシ仮面といった悪党でもどこか憎めないところのあるキャラなど多様な役を演じる声優でもあります。

典型的な悪党ではありますがどこか抜けたところのあるマジタニの声優にはまさにピッタリの配役と言えるのではないでしょうか。また『ハンターハンター』では、第1作（1999年）でクラピカの師匠イズナビの声も担当している声優です。

矢尾 一樹（やお かずき）は1959年6月17日石川県金沢市出身の声優、俳優、ナレーターです。家にテレビのなかった中学時代の矢尾は、ミュージカルや芝居好きの母や姉についてよく劇場に足を運んだと言います。当時は歌舞伎俳優が「シェイクスピア劇」を演じるのが流行となっている時代でした。そんな時、矢尾少年は河原崎権十郎主演のシェイクスピア劇を観にでかけます。

千秋楽で河原崎が舞台挨拶をするのを見た瞬間、「舞台俳優になりたい」という強い思いを持ったそうです。その後大学進学と同時に、俳優で演出家の平光琢也が主宰する「劇団摩天楼」の稽古場に出入りするようになり、後に役者としてデビューします。

しかし劇団で得られる収入だけでは生活が苦しく、スタッフに頼みこんでプロダクションを紹介してもらいます。テレビドラマや映画の仕事を得られるようになりようやく生活は安定に向かいます。さらにはアニメのオーディションに見事合格、OVA『BIRTH』のシュルギ・ナム役で声優デビューを飾りました。

声優としての代表作のひとつに『超獣機神ダンクーガ』の藤原忍役があります。矢尾自身が一番記憶に残っていると語った作品であり、アニメのキャラクターの声優を演じるとはどういうことかこの作品を通して勉強したと言います。また、藤原忍のセリフ「やってやるぜ!」はその後の声優・矢尾の代名詞ともなっていて他の作品でも引用されるほど。アーケードゲーム『カイザーナックル』では「やってやるぜ!」と叫ぶシーンがあります。

声優・矢尾一樹は他にどんな作品に出演しているのでしょうか。多数ありますので主な作品のみ紹介します。近年はONE PIECEのフランキー役や2016年に死去した肝付兼太に代わり『それいけ!アンパンマン』の劇場版でホラーマンを演じることが多くなっています。

テレビアニメ

• 　みゆき…野球部員役
• 　キャプテン翼 …ヘフナー役
• 　機動戦士Ζガンダム…ゲーツ役など
• 　機動戦士ガンダムΖΖ…ジュドー・アーシタ役
• 　それいけ!アンパンマン…ノリノリのりへい役ほか
• 　名探偵コナン…上村直樹役ほか
• 　金田一少年の事件簿…猪川将佐役ほか
• 　こちら葛飾区亀有公園前派出所…日
• 　GTO…冴島俊行役
• 　ONE PIECE…フランキー役など多数
• 　アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル…デズモンド役
• 　雪の女王…モーリー役
• 　ケロロ軍曹…ゾルル兵長役
• 　ブラック・ジャック…タカシ役
• 　機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン…アーバ・リント役
• 　ポケットモンスター ダイヤモンド&パール…トウガン役
• 　ドラえもん…テレビ朝日版第2期…不良A
• 　ONE PIECE エピソード8作品…フランキー役

劇場アニメ

• ONE PIECE 3D 麦わらチェイス…フランキー役
• それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!…ホラーマン役

悪役キャラ・マジタニは、主人公ゴンやルキアたちがハンターになるために受けた「ハンター試験」で初登場を飾ります。当時のゴンは、まだ念など強さの証となる能力は持ち合わせておらず今の強さの基準では決して最強とはいえません。マジタニと直接対決したのは、同じくハンター試験で初登場した後の主要メンバーの1人であるクラピカでした。

そもそもハンター試験を受けに来ている連中は戦士としてはまだまだ”ひよっこ”です。クラピカといえどもゴンやルキア同様まだひ弱さの残る若者でした。見るからに強面（こわもて）のマジタニが、体格では劣るクラピカを赤子の手でもひねるように軽く一蹴するのでは？と当時の読者は思ったものです。

『ハンターハンター』の物語は、主人公ゴンが行方の知れない父ジンを探す冒険に出発するところから始まります。ここからゴンが父と同じハンターになるために受けた「ハンター試験」でクラピカやレオリオに出会い、さらにはハンター試験に合格するところまでを描いたのがいわゆる「ハンター試験編」です。

それではまず『ハンターハンター』でいうハンターとはどんな職業なのか説明します。それは怪物や貴重な財宝、賞金首など珍重される事物を人生を賭けて追跡し捕獲する仕事のことを言います。プロのハンターライセンスを取得するには、超難関のハンター試験に合格しなければなりません。ハンター試験に合格するとプロハンターと認定されハンター協会の会員になります。

それではここでハンター試験について紹介しておきましょう。ハンター試験とは、ハンター協会が主催するハンターライセンスの認定試験のことをいいます。上でも述べたように年に1度行われる超難関の試験です。このハンターライセンスは民間資格ですが国際ライセンスとしてのステイタスを有しており、一般には国家資格同等あるいはそれを凌ぐ信用があり世に広く認知されている資格です。

試験には毎年数百万人もの人間が挑戦しますが、合格率は数十万分の1とも言われています。試験会場入ることを許される者さえごくわずかである上に、試験ともなると死傷者が多数出るほど過酷を極め、合格者がゼロという年もあるほどです。このハンター試験に合格すればハンターライセンスが手に入るわけですが、実はそれで終わりではありません。

ハンター試験に合格した者には、念能力を習得させるため秘密裏で行われている試験が用意されているのです。現実にはこの試験に合格し念を習得しなければ一人前のハンターとは認められないのが実情です。た

ハンター試験三次審査で今回の主役マジタニは登場します。それはハンター候補生たちが「巨大な塔から72時間以内に生きて下まで降りてくる」という試験でした。超長期刑囚人で試験官として颯爽と登場したマジタニは、候補生クラピカに胸を貸します。

ところがクラピカを前にした小心者のマジタニは、すっかりビビってしまいお得意の嘘でその場を凌ごうとします。幻影旅団のシンボルマーク、蜘蛛のタトゥーを見せ幻影旅団の団員だと口にしたのです。ところがその作戦が裏目に出てしまいます。

仲間を虐殺した仇である「幻影旅団」という言葉を耳にしたクラピカは、マジタニを一撃のもとに倒してしまいました。その後マジタニは気絶したふりをするなどセコイ手を使って攻撃を逃れようとします。ちなみに新作アニメでは、この後ジョネスに張り倒されるという屈辱のシーンまで追加されていました。

マジタニは悪役といて登場し典型的な憎まれキャラなのですが、それを承知の上で好意的な感想を寄せる方が多いようです。悪役と言っても極悪人でもなく気は小さなマジタニ。自分を強く見せようと必死になっている姿をカワイイ！と形容する人もいます。

ヒーローを引き立てるため創られた感のある、噛ませキャラのマジタニ。そんな彼の個性を好き！と公言する人もいます。漫画のキャラクターに関してもいろんな愛し方があるということを示す感想です。

ハンターハンター最初期に登場したマイナーな存在、マジタニ。ハンターハンターの多くの登場人物の中で唯一無二とも言える希少なキャラです。そんな彼には根強いファンがおりました。

クラピカにボコボコにされて気絶したフリをしていたマジタニ。感想というわけではないのですが、漫画にはなかった「このまま起きなくてもいいのか？」と訊いているシーンですが、いかにもマジタニが言いそうなセリフなのが面白いところです。

ここまで「マジタニが実は最強？強さの理由や担当声優まとめ」と題して、悪役キャラ・マジタニにスポットを当ててお届けしてきました。念能力全盛となっている最近のハンターに比べれば彼の能力は取るに足りないものかも知れません。しかし唯一無二ともいえるそのキャラはいまだ多くのファンを持っています。これを機会に改めて最初期のコミック本に目を通してみるのも良いかも知れません。