君の名は。に登場した口噛み酒は実在する？作り方や映画シーンの感想は？

新海誠監督アニメ映画作品『君の名は。』は、前作の「言の葉の庭」から3年ぶりの新作となる映画で映画『君の名は。』公開3か月で興行収入200億円を突破し、その興行収入は邦画歴代2位、世界歴代４位を記録するほどに中国やタイなどの海外でも人気を博し話題となりました。映画『君の名は。』はJJエイブラムスによるハリウッドで実写映画化も決定しているようです。

• 作品名：『君の名は。』
• 監督/脚本/原作：新海誠
• 製作：川村元気/武井克弘/伊藤耕一郎
• 製作総指揮：古澤佳寛
• 出演者：神木隆之介/上白石萌音/長澤まさみ/市原悦子他
• 主題歌：RADWIMPS「前前前世」「スパークル」「夢灯籠」「なんでもないや」
• 上映時間：107分
• 製作国：日本

映画『君の名は。』の舞台は岐阜県の山奥、糸守町。その地に由緒ある宮水神社の家系に生まれ糸守町に住む高校生、宮水三葉は東京の大都会に憧れていました。巫女としての役目も務めていた三葉。年頃の三葉は、口噛み酒を作る姿を同級生に見られることが耐えがたく、来世では東京に住むイケメン男子に生まれたいと考えていました。

ある朝、三葉が目覚めると見たことのない部屋、感じたこともない空気間、そして、身体が女子から男子の姿に変わっていたことに驚きます。リアルな夢だと思っていた三葉は流されるがまま夢の世界を過ごします。一方、男子の身体の持ち主、東京で暮らしているはずの立花瀧もまた、見知らぬ部屋、声、空気間、そして身体の違和感に気づき驚きます。

2人はこれを機に頻繁に身体が入れ替わってしまいます。身体が入れ替わる度にお互いにルールを設け、何だかんだ楽しそうに過ごす2人ですが、ある日を境に入れ替わりが無くなってしまいます。そして、ある事故と２人の入れ替わりが関係していることが分かってくるのです。

映画『君の名は。』で三葉と瀧が入れ替わるのに鍵となるのが口噛み酒の存在です。本当に実在するのかと、SNS上ではかなり話題となりました。口噛み酒は穀物から作られるそうで「日本酒の一種なのか？」と考えつきそうですが、日本酒とは別物だそうです。神事をする際に作られる神聖なお酒で、巫女や未婚の少女が口噛む者として選ばれていました。主に女性が作るお酒として「美人酒」とも言われていたようです。

映画『君の名は。』で今まで頻繁に入れ替わることのできていた三葉と瀧ですが、なぜ２人の入れ替わりができなくなってしまったのでしょうか？その理由は、三葉の住んでいた糸守町に隕石が落ちてきたことでその町が消滅してしまい、三葉の魂がこの世から消えてしまったからでした。

そもそも入れ替わっていた2人には時差があり、2013年に17歳の三葉と2016年に17歳の瀧。糸守町の神様が隕石墜落で滅んでしまった糸守町を救うために、巫女である三葉と瀧を入れ替えることで三葉に警告していたのです。しかし、隕石が落ちてしまい三葉と入れ替われなくなってしまった瀧。ここで鍵となるのが三葉が作った口噛み酒です。

2016年の瀧が糸守町を訪れるとそこには糸守町はありません。ご神体だけが残され、そこには三葉が作った口噛み酒がお供えされていました。映画中の三葉のおばあちゃんの話によると「水でも米でも酒でも、人の身体に入ったもんが魂と結びつくこともまたむすび。」「口噛み酒やさ。御神体にお供えするんやさ。それはあんたらの半分やからな。」といいます。

つまり、一度自分の身体に入れたものには自分の魂との繋がりができ、自分の身体から出したものには自分の魂の半分が宿っているということなのでしょう。神様には自分の魂の半分を貢物としてお供えしていると考えることが出来ます。ということは、口噛み酒は三葉の魂が宿っているということです。瀧はこの口噛み酒を飲むことで、再び三葉と入れ替わることが出来るのです。

神事に貢物として使用されることが多い口噛み酒。当時、若くて大病もせずに健やかに育った女性の口内には健康な細菌が存在していると考えられており、その口噛み酒を作る者には、清らかで穢れを知らない女子が最も相応しいとされていました。従って、映画『君の名は。』で巫女の家系に生まれ、恐らく健やかに育ったであろう三葉は、口噛み酒を作るのに最も相応しい人物であったということが出来るでしょう。

映画『君の名は。』に出てくる口噛み酒が「本当に実在るのか？」という疑問が感想で上がっていましたが、口噛み酒は実在します。口噛み酒の作り方は古代日本から受け継がれ、アイヌや沖縄、奄美諸島をはじめ、中南米やアフリカなど世界各地に広がり実際に作られていたようです。

口噛み酒は、今ではそのほとんどが消滅し、現在は中南米やアフリカの一部のアマゾン低地などに実在するのみだそうです。日本では縄文時代後期以降から口噛み酒が作られはじめたようです。口噛み酒は「古事記」や「日本書紀」にも記載がありますが、滅多に出てこないことから都では日常的に飲まれていたとは考えにくいとされているようです。

沖縄では口噛み酒が一般的とされ、泡盛が普及すると減少していきます。現在は日本全国、造酒はされていませんが、昭和10年代（1930年代）頃までは沖縄の一部で口噛み酒は作られていたそうです。

口噛み酒の作り方は、米などの穀物やイモ類などでんぷん質を含んだ食物を口に入れて噛みます。食物を噛むことで、唾液に含まれるアミラーゼがでんぷん質を糖に変えます。そして、吐き出したものを溜めて放置し、空気や土壌、植物などにある自然の野生酵母が糖を発酵させることでアルコール成分が生成されて出来上がったものが口噛み酒です。

口噛み酒の味はどんな味がするのでしょうか？ネット上では「どうやら意外とおいしい」と感想が噂されています。意外にもヨーグルトのような味のようで美味しいようですが、口噛み酒の臭いは強烈にキツイようです。アンモニアのような鼻を刺すような臭いがするのでしょうか？相当キツイとなると、口元まで運ぶのにかなり勇気が必要そうです。色々と興味をそそられる口噛み酒ですが、現物がないので確かめようがないのが現状です。

「一度人の口に含んで出す」という口噛み酒の作り方から不衛生と感想を持つ方が多いようです。他人が口にして出したものを何の抵抗もなく口に含める人はそう多くはいないでしょうし、この衛生面が大きくして商品化を難しくする一つの要因とも考えらそうです。しかし、そもそもお酒は不要な雑菌を殺して作られ、口噛み酒もそのようにして作られる立派なお酒です。

なので、衛生面で観れば口噛み酒も問題ないと言えますが、現代では実際に不衛生でなくてもイメージが先行し評価されてしまうことが多々あり、口噛み酒の作り方から「衛生面で問題がある」という評価にどうしても繋がってしまうようです。

さて、実在していた口噛み酒ですが、映画『君の名は。』をご覧になった方の感想の中に、「一度、どんなものか現物を入手してみたい」と興味を持たれている方が多数いました。しかし、残念なことに口噛み酒は現在、製造も販売もされていないようです。理由は先にも述べた衛生面での問題が強いようです。

しかし、「どうしても諦められない」という方のために調べてみると、本物の口噛み酒は難しくとも、『君の名は。』の映画のシーンに出てくる瓶子と同じデザインの瓶子がネットの通販サイトで販売されているようです。中身は「蓬莱」という純米吟醸酒の日本酒です。

「蓬莱」はANAのファーストクラスにも採用される程のハイレベルな日本酒のようでこれだけでも飲む価値がありそうですし、口噛み酒を飲む気分も楽しむことが出来るかもしれません。ご興味ある方は是非、試してみてはいかがでしょうか？

映画『君の名は。』に出てくる口噛み酒の作り方が分かったところで「実際に口噛み酒を作ってみたい」と感想も上がっているようです。映画のシーンの中に三葉の妹・四葉が口噛み酒の販売を提案し、三葉が「酒税法違反！」と四葉をたしなめる印象的なシーンがあります。果たして、口噛み酒を販売せず、個人で楽しむためだけに作っても法律に触れてしまうのでしょうか？

その答えは「Yes」です。酒類の販売や造酒の免許を持っていない人がお酒を作ることは法律で禁じられています。それは個人でも当てはまります。しかし、この法律には例外もあるようで、酒類と他の物を混ぜて作ったものに関しては営利目的でなければ個人でも認められており、家族や友人と飲んで楽しんでも大丈夫なようです。

法律ではアルコール自体を生成することが禁じられ、この観点から考えると、口噛み酒は発酵させてアルコールを生成して作るので、製造すれば酒税法違反で摘発されてしまう可能性が大きいようです。従って、口噛み酒に興味があったとしても作らない方が無難なようです。

映画『君の名は。』の口噛み酒のシーンをご覧になった方の感想の中で「飲んでみたい」という感想もありましたが、やはり、口噛み酒に対して抵抗を示す感想も目立っていたようです。アニメで観る分にはいいようですが、「現実で目の当たりにしたら絶対に気分を害す」というイメージを持っている方が多いようです。

ラストの方のシーンで、小学生の四葉の発言に生々しいと声が寄せられています。映画『君の名は。』は新海誠監督の性癖が影響していると言われている映画のようで、それが口噛み酒に如実に表れているようです。小学生の四葉から「生写真付きで現役女子高校生仕込みの口噛み酒として売ればいい」という発言が出てきたことで性が商売になることを小学生でも理解していることに違和感と嫌悪感を覚えたとい方も少なくないようです。

口噛み酒の作り方が分かったところで、早速ネタにしていた芸人さんがいたようです。その芸人さんは安田大サーカスのクロちゃんこと、黒川明人さんです。黒田さんは『君の名は。』の大ファンでもあるようで、好きが高じて某番組で「口噛み酒ごっこ」と称してキャバ嬢の口から出したもを飲んでいたそうです。これには『君の名は。』映画ファンからは素敵なシーンが一気に穢されたとして批判が集まっています。

ここまで、映画『君の名は。』の作品情報やあらすじを簡単にご紹介し、映画中に出てくる実在していた口噛み酒の作り方などを映画のシーンと共に感想を交えてまとめてきました。いかがでしたでしょうか？実在した口噛み酒の作り方に驚く部分もありましたが、自分の身体に入れたものに自分の魂が宿り、それを神様にお供えするとう点には神秘的なものを感じ、映画『君の名は。』の魅力となるシーンとなっていたのではないでしょうか？

実在していた口噛み酒、「一度でいいから試してみたい」という感想も目立ちましたが、「気持ち悪い」という感想も多く見られました。口噛み酒の作り方が分かり、興味本位で作ってみたいという気持ちが高まる一方、個人造酒は法で禁じられているので現在では手に入らないのが残念という声も感想の中にはあるようです。

映画『君の名は。』のシーンで口噛み酒がクリアな日本酒の様に描かれていました。それについて「実物はもっと濁っているのではないか？」と推理をしている方もいたようです。実際はどうだったのでしょうか？実在していたお酒なだけに、幻と化しています。

映画『君の名は。』の口噛み酒については謎が多く、調べていくとそこに歴史を感じることが出来るので面白さを感じさせるようですが、映画の中での描かれ方には賛否両論あり、「性的描写を感じさせ、受け付けられない」と感じる方もいるようです。しかし、一方では神秘的な要素を含み、次元を超えた恋と綺麗な面も感じさせる部分もあり、感動したという方もいたようです。

映画『君の名は。』は光と影の二面性を持ち、観る人の捉え方によって見え方が変わってくるような映画と言えそうです。物語の構成が複雑に入り組んでいるところがあり、一度観ただけでは理解しずらいシーンもあるようです。好きが高じて口噛み酒の真似事までする芸人さんまで出てくるぐらいですから、かなりの影響力のある映画には間違いありません。

まだ、ご覧になつていない方はもちろん、一度ご覧になった方でも、再び観ることで、まだ気づいていない『君の名は。』の魅力を再発見することができ、謎だった部分が紐解かれていくことでしょう。ご興味のある方は是非、ご覧になってみてはいかがでしょうか？