宝石の国を徹底考察!作品のテーマ・世界観や仏教思想、哲学とは?

今回は、2012年から月刊アフタヌーンで連載が開始され、2017年にアニメ化された市川春子先生作の「宝石の国」のテーマや世界観について書いていきます。「宝石の国」は、仏教から設定を引っ張っていることが多いため、その側面からテーマや世界観の考察をしていきます。設定が凝っているため、とても考察のし甲斐がある作品のようだとも言われています。今回はそこに仏教思想や哲学的考えも絡めていきます。

宝石の国を徹底考察!作品のテーマ・世界観や仏教思想、哲学とは?のイメージ

目次

  1. 宝石の国を徹底考察!作品のテーマや世界観について
  2. 宝石の国とは?
  3. 宝石の国の作品テーマとは?
  4. 宝石の国の世界観・仏教思想や哲学について考察!
  5. 宝石の国の月人について考察!
  6. 宝石の国を徹底考察・作品テーマや世界観についてまとめ!

宝石の国を徹底考察!作品のテーマや世界観について

今回のテーマは、作品のテーマ・世界観や仏教思想、哲学を絡めた考察でしたね。「宝石の国」は明かされていない事実が数多くありとても考察しがいのある作品となっております。その中でまずは、「宝石の国」の世界観について書いていきます!

TVアニメ『宝石の国』公式サイト

宝石の国とは?

人間がいなくなった世界

この作品の舞台は、「にんげん」が滅びた後の地球となっていて、今では宝石生命体が地上で生活しています。宝石たちの外見を説明すると、体の形は人間と酷似していますが、人間でいう髪の部分が宝石のように輝いているのが特徴です。彼らの体は非常に硬く、割れてしまっても破片さえ集めることができれば死ぬことはありません。宝石たちの硬度はモデルとなった宝石によって変わります。

主人公であるフォスフォフィライト通称フォスは、硬度は3.5と低く靭性に関しては最弱の部類になります。そんなフォスですが、持ち前のポジティブな思考と憎めなさで、周りの宝石たちからは慕われています。その他の特徴としては、食事や排せつを必要としないことや、例外もいますがほとんどの宝石たちは日光がないと活動することが厳しいようです。どうやら、日光を栄養としているようだと言われています。

当然、フォス以外にも様々な宝石たちがいます。ダイヤモンドやアメシスト、ルビーと多岐にわたります。「宝石の国」の世界観において面白いところのひとつが、宝石たち個人個人を全く別の性格にしている点だと言われています。

詳しく説明します、一概にダイヤモンドと言っても様々なダイヤモンドいて全然異なる性格だということです。普通でしたら、宝石の硬度や色などの特性から性格を連想していると言われています。

そんな宝石の国の宝石たちには、天敵が存在します。それは月からやってくる「月人」という存在です。「月人」は昼にしかやってくることはなく、コミュニケーションをとることもできません。そんな「月人」に負けてしまうと宝石たちは月に連れていかれてしまいます。

月に連れていかれてしまうと月に行く手段はないため助けにいくことができなくなってしまいます。そうならないため、宝石の国の宝石たちは二人一組で地上をパトロールし、発見し次第「宝石の国」の指導者である「金剛先生」に報告に行くシステムになっています。

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宝石の国の作品テーマとは?

性別のない愛?

宝石たちに性別は存在しません。したがって生殖器官もありません。ですが、宝石たちを見ていると友や親に向ける友愛や家族愛とは異なる、恋慕に近いもの感じるシーンがいくつかあるようだと言われています。性別という概念が存在しないのにも関わらず、恋愛は存在するのでしょうか?

確かに現代の社会において、LGBTに代表されるような体と心を超えた恋愛は存在しますが、「宝石の国」の宝石たちのケースとは全く別物だと言われています。なぜなら、そもそも「宝石の国」の宝石たちには性別という概念がなく生殖機能もありません。宝石たちは、宝石が採れる特定の地域で自然的に発生するのです。そのような世界で俗にいう恋愛は存在するのでしょうか?

宝石たちの体型に大きな違いはありません。ぽっちゃりな体型な者はおらず、一律でスリムな体型です。彼らの大きく異なる点といえば、髪型や髪と瞳の色くらいです。顔は基本的に女性的ですが、中には中性的な者もいます。男性的な印象を与える宝石は一人もいないようです。

身体的な観点から考察してみましたが、今度は精神的な観点から考察していきます。宝石たちには個性があるため、もちろん宝石たちの間で相性もあります。例を挙げて説明していきます。

まずは「宝石の国」の宝石たちの中で、最高の硬度を誇るダイヤモンド族のダイヤと同じダイヤモンド族のボルツについてです。宝石たちは、同じ種類の宝石同士では兄弟という認識があるようで、それはダイヤとボルツも例外ではありません。あまり他人との交流を好まないボルツでさえも、ダイヤのことは気にかけているようでした。ここには、兄弟愛があるように見えます。

次に目を向けたいのは、金剛先生と宝石たちです。金剛先生は非常に宝石たちから慕われていて、それはあのボルツでさえも例にもれません。やはり、金剛先生は指導者であると同時に宝石たちの親でもあるのでしょう。金剛先生に対する愛は宝石によって異なりますが、基本的に金剛先生の指示に逆らったりする者はいません。

ここまで、兄弟愛や親子愛について考察してきましたが、その例に漏れる恋愛について書いて考察していきます。それは、「宝石の国」においての科学者兼医者のような立場であるルチルとパパラチアの関係性です。パパラチアは、かなりの年齢で高い戦闘力を持つのですが、生まれつき身体中に穴が空いているため、その穴を埋める宝石がないと目を覚ますこともできません。

このパパラチアの身体を補完し来る日も来る日も、採取した宝石を加工しパパラチアに合うか試しているのがルチルなのですが、これはかなりの労力を強いる作業になります。宝石なら何でもいいというわけではなく、相性が合わないものですと、いくら集めても意味がないですし、仮に運よくパパラチアの目を覚ますことに成功したとしても長くはもたないのです。これを何百年も続けるというのはただの友達以上のものを感じざるを得えません。

基本的に宝石たちは仲が良いため互いに争うことはありません。あれほどの人数がいて小さないざこざもないとなると、宝石たちは本質的に争いを拒むのかもしれません。やはりその中でも、前述のような特別な関係は存在します。中でも、最後に挙げたルチルとパパラチアの関係は、異性間の恋愛を彷彿させます。作中では、そんな関係性を追求することはなく、ただ描かれています。

これらのことは、「宝石の国」という作品のテーマを考察する上で重要なポイントになりうることでしょう。「性別のない愛」。そんな愛の形の裏には、どのような意図が込められているのでしょうか?

変化するフォスの心と体

ここで「宝石の国」の世界観やテーマを考察するうえで、物語の主人公であるフォスの変化に焦点を当てていきます。前述したように、戦闘という点において、宝石としてのフォスのスペックは大変低いものであると言えます。硬度=強さというわけではありません。ですが、重大な要素だということは間違えありません。フォスの不器用さと硬度では月人と戦うことは不可能でした。

ですが、フォスの人生の風向きを大きく変えるある事件が起こります。その事件とは端的に述べると、月人がアドミラビリス族の女王を脅して、宝石たちの誘拐の片棒を担がせるというものでした。フォスは罠にはまり捕まってしまうのですが、幸運なことに、捕まっていたアドミラビリス族の王の暴走により月人の計画が頓挫することで月人に捕まるという最悪な事態は避けることができました。ですが、フォスはそこで両足を失ってしまうのでした。

フォスを騙したことを悔いたアドミラビリス族の女王は、足の代わりとなるようにと弟の貝殻の一部をフォスに提供しました。「宝石の国」の医者であるルチルがその貝殻とアゲート使いフォスの足を作りました。その足は大変硬く、その足のおかげで俊足にもなりました。フォスの俊足が評価されとうとう戦闘員の仕事の一つでもある見回りの参加を許可されました。

アメシストの双子の助手という形で前線に立つことになったフォスでしたが、最初の戦闘で自分の無力さを痛感せざるを得ない結果になってしまい激しく落ち込み悩むようになりました。そうしているうちに、冬が近づいてきました。通常の宝石たちは日光を活動源としているため、冬眠します。ですが、アンタークチサイトだけは性質上冬のみ活動なぜなら、元々の硬度は低いのですが、気温が低ければ低いほど硬くなるという性質を持つためです。

フォスは、このアンタークチサイトと一冬の作業をこなすことを自分への課題としました。冬の作業はただでさえ日光が少ないのにも関わらず、普段は大勢でこなしている作業を二人やらなくてはなりませんし、流氷を割るという作業もあるため、大変厳しいです。フォスは、この流氷を割る作業中に誤って水に落ちてしまいそこで両腕を失ってしまいました。

アンタークチサイトは指導係でもあり生真面目な性格も相まってフォスの腕の喪失に深く責任を感じたため、フォスと腕の代わりとなる宝石を探しに行きました。そこで金と白金の合金を見つけ相性上問題なかったので、それをフォスの腕としました。ですが、重すぎてまともに動くことが出来なくなってしまいました。不幸なことに、そこに月人が現れたのでした。

通常の月人ならアンタークチサイトの敵ではないのですが、その月人は「新型」に分類されるものでした。苦戦を強いられたアンタークチサイトでしたが、見事月人の撃破に成功しました。ですがそんなアンタークチサイトを二度目の異例が襲うのでした。通常ならあり得ない連続の月人の襲来です。不意を突かれたアンタークチサイトはフォスの目の前で粉々にされてしまいました。今まで動けずにいたフォスですが、アンタークチサイトが連れていかれる際に覚醒するのでした。

身体にひびをいれながら全速力で追いかけるのですが、間に合いませんでした。この出来事はフォスを大きく変えてしまいました。この一連の出来事はフォスに強い腕と足と心を与えたのですが、同時にフォスから天真爛漫さを奪ったのでした。心が変わった影響なのか目つきも変わったため印象が大きく変わり、そこに以前のかわいいフォスはいませんでした。

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宝石の国の世界観・仏教思想や哲学について考察!

「宝石の国」の世界観を考察をしていく際に、宝石たちと彼らの指導者である「金剛先生」の服装などの外見的要素に目を向けていきましょう。些細な違いこそあれど、宝石たちの服装は統一されています。宝石たちの一人である「レッドビデル」が衣装を担当しているようですが、宝石たちの服装と金剛先生の服装は大きく異なっています。

フォスたちの服装はスーツに近いですが、金剛先生の方は仏教の袈裟に近い印象を受けます。仮に服装を無視したとしても、金剛先生の外見は仏教を彷彿させる点が数多く見られます。仏教の僧のそのままのイメージといえるでしょう。このように作品の設定の節々に見られる仏教の要素の考察を、月人の正体の考察と絡めていきます。

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宝石の国の月人について考察!

宝石の国の天敵・月人とは?

「宝石の国」の世界観を考察する上で無視できないのが、宝石たちの敵である「月人」です。作中で「月人」は、太古の昔に地球に存在していた「にんげん」が滅びて、その「にんげん」の魂が変容したのが「月人」であると説明されています。アニメ放送ではこれ以上のことはわかりませんでしたが、原作コミックのほうではさらに踏み込んだ説明がされています。

端的に言うなら、月人の目的は成仏にあります。この世でそれを可能とするのが金剛先生しかいません。そのため月人は金剛先生が大事に思っている宝石たちをさらうことで刺激しているのです。金剛先生がいるがために、宝石たちは月人にさらわれるという考え方もできます。なぜ、金剛先生は月人の成仏に協力しないのか?これは「宝石の国」のテーマを考えるうえで、大きなポイントとなるでしょう。

仏像か仏のような姿形をしている

月人の姿は敵というには、あまりにも神々しく発光しています。仏像や仏に姿が大変似ているので、仏教を作品内に絡ませたいということは明らかでしょう。今までいくつか仏教を彷彿させキャラや設定を紹介してきました。月人もその一つであるといえるでしょう。なぜ、これほど仏教の要素を作品に取り入れているのでしょうか?

仏教の要素はあくまで設定の題材でしかないのでしょうか?ここまで、仏教に拘るからには、これらの設定と「宝石の国」の作者が伝えたいことが関係しているようにも見えます。これらの考えながら考察を膨らませるとまた違った見え方がしてくることと言えるでしょう。

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宝石の国を徹底考察・作品テーマや世界観についてまとめ!

ここまで、「宝石の国」のテーマや世界観について考察してきましたが、どうやら「宝石の国」の設定に仏教というキーワードが関係しているとは間違いなさそうです。それだけでなくフォスの身体的な変化と精神的な変化の関わりあいも大変気になるところでしょう。「宝石の国」のテーマや細かな設定に着目しながら、読み進めていくと新たな発見がありそうです。今後の「宝石の国」の展開に目が離せません。

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