僕だけがいない街の結末をネタバレ解説！漫画の最終回はアニメや実写映画と違う？

僕だけがいない街は2012年から2016年まで三部けいさんがヤングエースにて連載していたサスペンス作品です。タイムリープ能力「リバイバル」を持った主人公が現在と過去を行き来しながら自分と周囲の人を襲う悲劇を回避するべく行動するサスペンス作品で精巧に練られたストーリーから高い人気を獲得した作品です。

2016年1月からはアニメ化、2016年3月には映画化、2017年にはNetflixにて連続ドラマとしてそれぞれのメディアで展開されるメディアミックスも行われた作品です。これらのメディアミックスはちょうど原作の最終回前後に展開された事もあり作品の人気をさらに高め、漫画賞にもノミネートされるほどでした。

1番最初に公開されたアニメ僕だけがいない街での主題歌はASIAN　KUNG-FU　GENERATIONが手掛ける「Re:Re:」です。元々は2004年に発売されたアルバム「ソルファ」の収録曲でしたが、アニメ僕だけがいない街の主題歌になるにあたって再レコーディングが行われてシングルとしても発売しています。

メディアそれぞれで主題歌は異なり、映画では栞菜智世が手掛けた「Hear 〜信じあえた証〜」、ドラマ版では彼女 IN THE DISPLAYの「アカネ-ドラマver.-」が主題歌として起用されています。

僕だけがいない街の原作漫画では悟が入院した病院で仲良くなった少女、久美の為に市議の八代がキャンプを企画する所から始まり、久美に望まれて記憶を失ったまま悟もキャンプに参加する事になります。お互いの思惑が交錯する中、ついに悟と八代は吊橋の上で対面する事になります。八代は自分諸共悟を殺そうとしますが、実は記憶を取り戻していた悟が八代とともに池に飛び降りて生存する事になるのでした。

実は悟は事前に記憶を取り戻すとケンヤや澤田などとも連携してこのキャンプで八代を捕まえる為に行動していたのです。結果的に誰も死ぬ事なく八代は逮捕され悟も久美も殺される事はありませんでした。その後売れっ子漫画家となった悟が休憩に歩いていて、偶然立ち寄った最後のリバイバル前に逮捕された場所で愛梨と出会う所で原作漫画の結末は締めくくられます。

アニメ僕だけがいない街はちょうど完結前に展開された事もあり、原作漫画の最終回の結末を知らされた上でアニメオリジナルの結末にまとめられています。原作漫画同様病院に入院していた悟。そこにお見舞いという形で八代が現れます。八代に車椅子を押される形で屋上へと行く2人。八代は悟の記憶がある事を確認すると過去の自分の事件を尽く防いだのは何故かと尋ねます。

八代有利でやりとりが進む中、悟は自ら車椅子ごと屋上から飛び降りようとします。それを助けた八代に対し、悟は「自分は八代の生き甲斐であり希望だった」と八代に答えます。八代はそれを認め2人で飛び降りる道を選びますが、地上ではクッションを持ったケンヤ、ヒロミ、佐知子、澤田らが待ち構えており、2人は死ぬ事はありませんでした。

八代は殺人未遂で逮捕され、悟は漫画家として北海道に戻る事になります。かつての仲間達との再会、さらには元の歴史では逮捕されてしまったユウキさんとも再会しました。そして時は流れ2010年、執筆の合間に卒業アルバムを片手に過去を回想、そんな中でカメラで写真を取る愛梨と出会う事になります。これがアニメ僕だけがいない街の結末です。

原作漫画との違いは久美は登場していますが、キャンプに行く事はなく、八代との決着が病院内で完結している所にありますが、上記でもネタバレしたように当時まだ最終回を迎えていなかった原作漫画の最終回の結末を知らされた上で制作された為に、基本的な結末は原作漫画とアニメでは同様のものになっています。

原作漫画、アニメの最終回の結末はハッピーエンドといえる展開だったのに対し、バッドエンド要素も内包しているのが映画版僕だけがいない街の結末です。病院で目を覚ましたのは変わりませんが、入院を続ける事なく悟は自宅に戻る事になります。そして漫画家として活動しつつも偶然愛梨と出会う事になりました。愛梨はいつも勇気づけてもらう漫画があると悟に話します。

一方で悟は弁護士になっていたケンヤに八代の事を調べてほしいとお願いします。そして八代が児童誘拐を行っている事を確認すると、リバイバル前に佐知子と行き、佐知子が誘拐の現場を目撃したショッピングセンターで八代に声をかけて誘拐を防ぎます。悟と八代は2人で屋上に赴き、悟は八代を説得しようとしますが、八代はナイフを取り出して自殺しようとします。

これを止めようとして揉みくちゃになった流れで悟の首をナイフが切ってしまいます。一歩遅れてケンヤが警察官と共に屋上にあらわれて八代は捕らえられますが、悟はこの切り傷が原因で死亡してしまいます。映画のラストシーンでは悟の声で悟が連載しており、愛梨に勇気を与えていた漫画「ワンダーガイ」のラストシーンが読まれ、佐知子と澤田、悟のかつての同級生達がお墓参りをするという結末で締めくくられています。

主人公の藤沼悟はピザ屋でバイトをしないと生計が立てられない売れない漫画家でしたが、悟自身が再上映（リバイバル）と呼ぶ一種のタイムリープ能力の持ち主でした。この能力は悟の意志とは無関係に発動する能力で、悟はこの能力を使い交通事故に巻き込まれそうだった子供を助けますが、結果的に自分が怪我をして入院する事になってしまいます。

この入院がきっかけでバイト先の同僚だった女子高生愛梨との距離が縮まると同時に18年前に自身の身近で起きた誘拐事件を断片的に思い出す事になります。入院によって看病に上京した母親の佐知子と共にスーパーに買い物に行ったのをきっかけに佐知子が事件に巻き込まれ殺害される事になります。

自分が犯人に仕立て上げられている事に気づいた悟はリバイバルでなんとかしようと念じます。しかし気がつくとそこは18年前、北海道の小学校に通っていた1988年だったのでした。

これまでの経験と断片的に思い出していた小学生時代に起きた誘拐事件の事から考えて、この誘拐事件が引いては佐知子殺害に繋がると判断した悟は、事件の被害者だった加代に近づきます。当初は心を開こうとしない加代でしたが、悟の懸命な行動により加代は少しずつ心を開いていきます。

様々なイベントを経て加代が誘拐されたのが加代の誕生日の3月2日より前あったと推測した悟は加代と仲間達と共に誕生日パーティーを開き加代を守ろうとします。誕生日パーティーは無事に行われXデーとなる日を乗り越え安堵した悟でしたが、翌日加代は学校に来る事はありませんでした。

3巻で改めて加代が失踪した事が明らかになります。悟は事件を防ぐ事ができなかったのです。2006年に戻った悟でしたが、加代の事件を防げなかった事もあり相変わらず未来は変わっていませんでした。佐知子殺しの犯人として追われる身になった悟は愛梨に匿われる事になりますが、ビザ屋の店長が悟を警察に引き渡そうとした事で徐々に追い詰められる事になります。

悟は追われながらも情報を集めていき、漠然としていた佐知子が殺されたのが18年前の事件と市内で最近起きていた誘拐事件と同一の犯人によるものであると知る事になります。加えて3人目の被害者が仲間だったヒロミだと知った悟でしたが、愛梨と合流しようとした所で愛梨が警察に尾行されており警察に逮捕される事になります。そしてここで2度目のリバイバルが発動する事になります。

前回のリバイバルの途中に戻ってきた悟は再び加代を守ろうと行動しますが、その不思議な行動に気づいたケンヤの協力を取り付ける事に成功します。前回のリバイバルで加代の母親の加代に対する扱いを知っていた悟はケンヤとも協力して加代をバスの中に隠し事件を防ごうとします。真犯人と思われる人物がバスの中に入ってくるという事件もあり、バスも危険だと判断した悟は怒られるのを覚悟で加代を家に連れ帰りました。

怒られるだろうと考えていた悟に対し、佐知子は怒る事はせず、八代らを通して児童相談所と連携する事にします。この行動により、加代は加代を虐待していた母親から引き離され児童相談所に保護される事になり、最終的には祖母の家に引き取られる事になります。結果的に悟は加代が事件に巻き込まれる事を防ぐ事に成功したのです。

無事に加代を助けた悟でしたが、リバイバルは終わりません。これに悟は真犯人に辿り着く必要があると考えます。そこで本来の未来で2人目の被害者だった中西彩と接触する事にします。1人きりにしないように仲良くしようとしていき、事件を防ごうと行動する事になるのです。しかし悟が行動するほど孤立していたのが美里でした。美里はかつて加代を給食費盗みの犯人として訴え悟がかばった事でクラスで立場がなくなり孤立していたのです。

これに気づいた悟ですが、経緯が経緯だけに美里と仲良くなる事はできずにいました。放課後アイスホッケーを見に行く美里の後を追う悟。美里が1人になる所を防ごうとする中、白鳥家のトラックが走り去るのを目撃します。これをタイミングよく現れた八代と追う事になるのです。しかしこれが悟の失敗でした。

八代は悟に自分が犯人であると自供した上で悟ごと車を沈めてしまいます。そして時が流れ2003年、佐知子は植物状態となった悟を1度目の未来で悟が住んでいたアパートで看病しながら生活していました。15年ぶりに奇跡的に目を覚ました悟でしたが、リバイバル前の記憶を喪っており、小学生時代の記憶しか残っていない状態でした。

かつての仲間達や加代がお見舞いに来るなどの経験により自分の記憶に違和感を覚える中、悟はひょんな事から白血病と思われる少女久美と仲良くなります。そんな様子をパパラッチに撮られそうになる中、現れたのが愛梨でした。

愛梨との会話をきっかけに悟は記憶の断片を思い出しそうになりますが、その結果倒れてしまいます。そして次に目を覚ましたのは2005年になってからでした。それぞれの視点で悟が眠っている間の描写が行われる中、悟は記憶を呼び覚ます為、AIRIに会う事を決意、これにより記憶を取り戻す事に成功します。

そんな中、久美がキャンプの話を悟に持ってきます。ケンヤは反対しますが悟は真犯人と決着をつけるべくこのキャンプに参加する事を決意するのでした。そして物語は最終回が描かれる最終巻8巻へと続きます。

僕だけがいない街の主人公が藤沼悟です。悪い事が起きる直前に戻り、その悪い事を回避するまで同じ光景を繰り返すという一種のタイムリープ能力「再上映（リバイバル）」という能力を持っています。漫画僕だけがいない街の中では18年ものタイムリープをしますが、それ以前からもっと短いスパンでのリバイバルを経験しており、この能力については好ましく思っていませんでした。

小学生時代の悟のクラスメイトであり、1度目の世界線における最初の女児誘拐殺害事件の最初の被害者となるのが雛月加代です。母親とその愛人から虐待を受けており、それ故に卑屈な性格になっており、滅多な事では言葉を発しません。悟に救われた後は再び美琴小学校に通う事になり、悟が植物状態になると毎日お見舞いに来ておりそれが佐知子を支えていました。小学生時代編におけるヒロインとも呼ぶべき存在です。

小学生時代のヒロインである加代に対し現代におけるヒロインといえるのが片桐愛梨です。ピザ屋でバイトする悟の後輩であり、人を信じる事を信条としており、人の心に踏み込めない性格だった悟に大きな変化を与えると共に、物語のキーパーソンとして扱われる事も多くなっていました。悟の植物状態以降については原作漫画、アニメ、映画でそれぞれに展開が違う為、大きく活躍が変わっているキャラクターでもあります。

悟のクラスメイトであり、頭脳明晰でタイムリープをしている悟の違和感に気づいたのがケンヤです。実は加代の虐待に気づいていたものの、関わる事をしませんでしたが、積極的に関わろうとする悟にある種の憧れを抱き親友として協力を惜しまなくなります。悟が植物状態になった後も犯人を捕まえる為に弁護士になるまでに成長しており、目を覚ました悟に小学生時代と変わらず協力しています。

オリジナルの世界線にて犯人のアリバイづくりに利用されて殺される事になったのが杉田広美、通称ヒロミです。女の子のような外見を持つ少年で、元々悟達のグループに所属していましたが、とある一言で疎遠になりそれが結果的に犯人に利用される事になりました。悟が当初事件について忘れていたのもこのヒロミの殺害を自分なら防げたという自責の念からくるものでした。悟が植物状態になるとそれを救うべく医者になっています。

小学生時代の悟の仲間の1人がオサムです。目立った活躍こそありませんが悟を仲間として大切にしており、悟が植物状態になった後に行われた医療費の為の募金活動にも参加していました。大人になった後は板前になっています。

悟の小学生時代の仲間で、リーダー的な存在だったのがカズです。悟達の「アジト」を作った張本人であり、仲間思いな性格をしています。また悟が中西彩と接触した際には中西彩をアジトの仲間に加え、恋仲にまでなっています。大人になってからは大工になっていました。

悟からはその口癖から「ユウキさん」と呼ばれているのが白鳥潤です。最初の世界線で犯人として死刑判決を受けており、元々交流のあった悟はユウキさんの無実を証明する事も事件解決の原動力になっていました。

悟の母親として登場するのが佐知子です。女手一つで悟を育て上げ、また元テレビ石狩の報道部アナウンサーという肩書から高い洞察力と推理力を持っています。子供の悟にとってはまるで心を読んだかのような発動をされて驚かれる事も多いです。しかしその洞察力と推理力が仇となり、最初の世界線で殺される事になります。

悟のクラスの担任であり、その実連続児童殺害事件の犯人であるのが八代学です。表向きは明るく親身な性格で悟からも父性を感じられていましたがその実は用意周到で狡猾な人物です。過去の経験から「他者の死と死に抗う姿」に生の喜びを感じるようになり、自身の犯行を何度も防ぎ、何度も殺そうとしても死なない悟に興味を持つ事になりました。

リバイバル前の悟は過去の経験から人の心に踏み込むのが苦手な性格をしていました。そんな悟の心持ちを変えるきっかけになったのが愛梨のこの名言です。愛梨の両親は父が万引き犯にされたのをきっかけに離婚しており、それをきっかけにした愛梨の信条です。この思いに悟は人を信じる事を思い出しまじた。

悟が原作漫画僕だけがいない街の中で何度か思い描く名言がこのセリフです。自分の意志で未来を変える事ができたと確信できた時に発する事が多く、悟を支える思いの1つになっています。

原作漫画僕だけがいない街の中でも特に名言が多いと言われるのが佐知子です。佐知子は子供の悟に対してもしっかりとした考えで接しています。そんな佐知子の名言の1つがこの名言です。1度目のリバイバルで加代の失踪を防げなかった事を悔やんでいる悟に対し、佐知子が投げかけた言葉になっています。悟はこの佐知子の言葉を受けて再び前を向く事になるのでした。

ここからは既に僕だけがいない街を原作漫画やアニメ、映画で見た人の感想をネタバレありで紹介していきます。僕だけがいない街はサスペンス作品で、ある種謎解きがある作品ですが、その描写はかなり細かく1度読んだだけでは伏線の全てには気づけ無い作りになっているとされています。その事もあり、最終回までの結末を知っていても再び読むと新たな発見があるとする声が多いです。

原作漫画とアニメ、映画で最終回の結末が違う事に関してはかなり肯定的な意見が多いです。特にタイムリープする作品という事もあり、様々な可能性を模索して辿り着いた展開の1つという見方がしやすいという声が多いです。映画版に関しては悟の死というバッドエンドにする必要はあったのかという声もありますが、それもまた僕だけがいない街らしい結末になっているとされています。

また僕だけがいない街においてストーリー以上に人気を博す要因となったのが個性的なキャラクター達です。特にヒロインの加代と愛梨、そして佐知子ら女性陣の活躍が良いという声が非常に多くなっており、キャラ人気も集めています。

僕だけがいない街はサスペンス作品として高い完成度を誇る作品でり、原作漫画、アニメ、映画で最終回の結末こそ違いますが、どれもしっかりまとまっており、良作という声が多い作品です。分岐点は同様である事からゲームのマルチエンディングを見ているみたいという声もあるほどで、それぞれのメディアミックスで最終回の結末を見てほしいという声もある作品になっています。

サスペンスとして非常に高い完成度を誇り、またしっかりとした伏線がある作品なのでまだ僕だけがいない街を見たことがない人は原作漫画、アニメ、映画それぞれのメディアでチェックしてみてはいかがでしょうか？