【バケモノの子】一郎彦がクジラになった意味は?登場する小説「白鯨」に関係がある?

「サマーウォーズ」や「おおかみこどもの雨と雪」に続く細田守監督オリジナルアニメ作品第3弾の「バケモノの子」。主人公・蓮と彼を取り巻く人間との絆がテーマとなっていると言われています。この記事で取り上げるのはクジラになってしまう少年・一郎彦です。これから、バケモノの子の本と小説・白鯨との関係を手掛かりにして一郎彦がクジラに変身した意味を考察していきます。物語を理解する上での肝となっていますので、ぜひご覧ください!

【バケモノの子】一郎彦がクジラになった意味は?登場する小説「白鯨」に関係がある?のイメージ

目次

  1. バケモノの子とは?
  2. バケモノの子の一郎彦がクジラになった理由や意味を考察
  3. バケモノの子と本の「白鯨」の関係や意味
  4. バケモノの子のクジラに関するその他の謎を考察
  5. バケモノの子のクジラに関する感想や評価
  6. バケモノの子のクジラまとめ

バケモノの子とは?

バケモノの子の概要

スタジオ地図による日本のアニメ映画「バケモノの子」。2009年の「サマーウォーズ」、2012年の「おおかみこどもの雨と雪」に続く、細田守監督のオリジナルアニメ作品第3弾として2015年に公開されました。

バケモノ世界の大都市・渋天街に迷い込んだ人間・九太とバケモノ・熊徹との絆を中心に、九太の成長や人間界の闇など様々なテーマが描かれています。前作・おおかみこどもの雨と雪と同様、細田監督が脚本も手がけています。

映画の興行収入は、前作・おおかみこどもの雨と雪を超える58.5億円、大ヒット作品となりました。また、アニメ映画としては初めて劇団四季のミュージカル舞台で上演されることが決定、2022年4月30日に公演予定となっています。

バケモノの子のあらすじ

あらすじのイメージ

両親の離婚により母と2人暮らしだった9歳の少年・蓮。ところが母が交通事故で急死、親戚に引き取られることになります。気が進まない蓮は引っ越しの最中に脱走、当てもなく渋谷の街を彷徨します。そこで熊のような姿をしたバケモノ・熊徹と出会い、バケモノ世界の大都市・渋天街に迷い込んでしまいます。蓮は熊徹に弟子入りし九太と名づけられます。ここから、バケモノ界と人間界を行き来する蓮の冒険が始まります。

「バケモノの子」公式サイト

バケモノの子の一郎彦がクジラになった理由や意味を考察

考察①ラストで一郎彦はクジラになる

心に闇を抱え闇に飲み込まれてしまう一郎彦。バケモノの子のラストでは、何とクジラに変身してしまいます。なぜクジラが出てくるのか?という疑問を持たれる方もいることでしょう。一郎彦がクジラになることには、実は必然性があったのです。その謎のヒントは、次の楓と九太の会話に隠されていました。

楓「主人公は自分の片足を奪った憎い鯨に復讐しようとしている。でも実は主人公は自分自身と戦っているんじゃないかな。」
九太「自分自身と?」
楓「つまり、クジラは自分を映す鏡で・・・。」
九太「鏡?」

このようにクジラは自分自身の心の中を映す鏡であり、ラストで一郎彦が変身したクジラとは一郎彦自身の心の闇だったのです。アニメ映画制作当初は渋谷の道をクジラが泳いでいく映像が流される予定でしたが、闇の恐怖を表現するにはインパクトが弱いということで海の中をクジラが泳いでいくシーンに変更されたそうです。

考察②一郎彦がクジラになった理由

バケモノの子の作中で、主人公の九太(蓮)は小説・白鯨に興味を抱きます。このことが一郎彦がクジラになったことの伏線となっているようなのです。

小説・白鯨では、悪の象徴としてクジラが登場します。一方、一郎彦は悪魔に取りつかれたように心の闇に呑み込まれていきます。一郎彦の心の闇に隠された悪魔的な感情が、小説・白鯨のクジラとオーバーラップするのです。そこで、バケモノの子では、一郎彦の変身後の姿としてクジラが採用されたのでしょう。

考察③クジラはバケモノの子のキーワードになっている

前項で考察しましたが、バケモノの子ではクジラがキーワードになっています。作中でクジラが象徴的に登場するのは、次の2つのシーンです。1つは、蓮が親戚の家に引っ越しする際に本棚から抜き取った白鯨の児童書「白クジラ」。もう1つは、図書館で蓮が見つけた小説「白鯨」です。

後者の方は特に重要で、「鯨」の読み方がわからない蓮が楓に聞いて教えてもらったことが2人が会話をするきっかけともなりました。小説・白鯨は、蓮が図書館で偶然手に取った本のように見えましたが、実はその後の展開の伏線になっていたのです。

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バケモノの子と本の「白鯨」の関係や意味

考察①小説「白鯨」のあらすじ

ここからは、バケモノの子と本の「白鯨」の関係や意味を考察していきます。最初は小説・白鯨の概要・あらすじです。

白鯨とは、アメリカの作家ハーマン・メルヴィルが1851年に著した冒険小説で、アメリカ文学を代表する名作として知られ、現在でも世界中で広く読まれています。

物語はアメリカで捕鯨が盛んに行われていた19世紀後半に遡ります。この物語の語り部であるイシュメルは、宿で出会った銛(もり)打ち・クイークェグとともに捕鯨船ピークォド号に乗り込みます。出港後甲板に現れた船長・エイハブは、片足に義足を装着していました。

エイハブは、かつて捕鯨中に巨大な白いマッコウクジラに片足を食いちぎられていたのです。以来、彼はこの白鯨を仕留めて復讐を果たすことに命をかけます。彼の狂気は乗組員たちにも伝染し、白鯨との息をのむ死闘が展開されるのでした。

考察②小説「白鯨」とバケモノの子の関係

バケモノの子の作中で、楓が蓮に白鯨についての考察をレクチャーしています。クジラは自分を映す鏡で、船長・エイハブはクジラと闘いながら自分自身と闘っているのではないかと。

バケモノの子においても小説・白鯨と同じことが言えるのではないでしょうか?つまり、クジラに変身した一郎彦は蓮の自分自身であり、蓮と一郎彦の最後の戦いは蓮が自分自身と闘っていたことを意味していると考えられるのです。

考察③小説「白鯨」はワンピースにも関係している?

実はバケモノの子だけでなく、漫画ワンピースも小説・白鯨が関係していると言われています。世界最強の海賊団・白ひげ海賊団の船の名前が「モビー・ディック号」なのですが、モビー・ディックとは白鯨に登場するクジラにつけられた名前です。また、モビー・ディック号の船首はクジラの形をしています。

かつてイギリスの作家サマセット・モームが世界の十大小説の一つとして選定した小説・白鯨。そんな名作が世に出てから170年余りが経ちます。はるか離れた東洋の国でいまだに影響を与え続けている作品というのは、他に例がないのではないでしょうか?

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バケモノの子のクジラに関するその他の謎を考察

考察①一郎彦が漢字の「鯨」を読めた理由

人間の子・蓮が、優等生の楓に「鯨」という漢字の読み方を尋ねるシーンがあります。バケモノの子では、バケモノのほとんどが漢字を読むことができません。それなのにバケモノの子である一郎彦は「鯨」という難しい漢字をすんなりと読んでしまいます。

一郎彦が漢字の「鯨」を読めた理由ですが、実は一郎彦は人間の子供で捨て子の状態だった彼を猪王山が拾って育てたのです。一郎彦にはもともと優れた知能があり、特別な教育を受けたと考えられます。

考察②蓮がクジラに勝利した理由

バケモノの子のクジラに関する謎、続いては蓮がクジラに勝利した意味についてです。巨大化していくクジラ(一郎彦)との闘いで、蓮は自身の闇に一郎彦を取り込み道づれにして死のうとします。しかし、熊徹が刀に変身すると我に返り、その刀を使って巨大クジラの姿をした蓮自身の闇である一郎彦を切り捨て勝利します。

このことは、人間が抱えている闇の対処の難しさと打開策について暗示していると考えられます。つまり、1人で闇に対処しようとすると闇に呑み込まれてしまうこともあるので、そんな時は周りの人の助けを借りることが重要。それにより根深い問題も解決できるというメッセージと捉えることができるのではないでしょうか?

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バケモノの子のクジラに関する感想や評価

ここまでバケモノの子の一郎彦特集をお届けしてきましたが、最後にバケモノの子のクジラに関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するバケモノの子のクジラに関する感想や評価は、クジラの鳴き声に注目したツイートからです。バケモノの子に登場するクジラの鳴き声が、テレビアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」の白鯨の鳴き声と同じだというのです。

投稿者もことわっているように、わかる人にしかわからない話題でしょう。クジラの声をどのようにして作る(録音する)のかわかりませんが、制作会社が同じ音源を使ったのかも知れません。

続いて紹介するバケモノの子のクジラにに関する感想や評価は、クジラが渋谷の地下を泳ぐシーンに感嘆したという方のツイートからです。また、クジラが宙を漂うシーンは圧巻で、これだけでも映画鑑賞料を払う価値があると言います。思わず映画館に足を運びたくなるようなツイートではないでしょうか?

最後に紹介するバケモノの子のクジラにに関する感想や評価は、細田監督作品によくクジラが登場するところに注目したツイートからです。

作品ごとにクジラの表現の仕方が違っていて本当に面白いと言います。バケモノの子では人の心の闇の象徴として現れ、サマーウォーズではインターネット上の仮想世界OZの守り神として登場します。しかもクジラは作品でとても重要な役割を担っています。そうしたことから、細田監督はクジラが好きなのかな?と感じたようでした。

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バケモノの子のクジラまとめ

ここまで、アニメ映画バケモノの子の一郎彦に焦点を当て、クジラになった意味や名作・白鯨との関係を考察してきました。いかがでしたでしょうか?

まとめのイメージ

クジラは人が心に抱えている闇の象徴、そしてクジラに変身した一郎彦と闘う主人公の少年・蓮は自分自身の闇と闘っていることがわかりました。バケモノの子では、さまざまな人間との絆がテーマとなっていると言われています。この記事では一郎彦との関係を取り上げましたが、蓮と他の人間との絆に目を向けてみるのも面白いかも知れません。

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