2021年01月25日公開
2021年01月25日更新
【この世界の片隅に】すずと周作には子供ができない?流産説や不妊説を考察
日本中が感動した名作『この世界の片隅に』の主人公である北條周作と北條すず夫妻は、養女を迎えました。子供好きな北條すずが、子供を欲しがらなかったはずがありません。子供ができない不妊症だったのか、何らかの原因で流産したのか、様々な考察がネットを中心に語られています。アニメや原作コミックが現在もヒットし続けている『この世界の片隅に』のすずに子供ができないことについて、ご紹介します。
目次
この世界の片隅にのすずとは?
見る人々が感動し、劇場版アニメ映画『この世界の片隅に』がロングラン上映を記録しています。主人公の北條すずの必死に生きる姿に涙すると同時に、「すずさんには、子供ができたのか?」と疑問を持つ人が増えています。原作コミックの『この世界の片隅に』とアニメ版『この世界の片隅に』のいずれにも、北條すずに子供ができたシーンは無いといわれています。北條周作とすずとの間の子供について、考察します。
この世界の片隅にの作品情報
広島県出身の漫画家・イラストレーターの「こうの史代」が著者である『この世界の片隅に』は、双葉社の『漫画アクション』の2007年1月23日号から2009年1月20日号まで連載されました。単行本コミックスは、双葉社から2008年に上中下の3巻形式が発売され、のち2011年に上下巻に編集されなおして出版されています。
2011年には終戦記念特別ドラマとして北川景子による『この世界の片隅に』が実写化されました。2016年11月に劇場版アニメ映画『この世界の片隅に』が上映されました。評価が高まり上映する映画館が増え、『この世界の片隅に』はロングラン上映記録を打ち立てました。主人公すずの声を「のん・能年玲奈」が担当したことも話題になりました。2018年夏にTBS日曜劇場で連続テレビドラマ化もされました。
この世界の片隅にの概要
原作『この世界の片隅に』の作者である「こうの史代」は、出世作となった2004年の『夕凪の街 桜の国』で「原爆作家」とレッテルを貼られたことに長く悩んでいました。広島県人ではあるものの、本来原爆を語る立場にはないと自責の念を抱えていたといいます。そこで「原爆以外の広島」をコンセプトに『この世界の片隅に』を書きあげたとされています。
『この世界の片隅に』を連載する直前に、浦野すずの子供時代の出来事を描いた短編作品『冬の記憶』『大潮の頃』『波のうさぎ』を発表します。本編は、すずの嫁入りから物語が始まります。『この世界の片隅に』は世界でも高く評価され、英語版だけではなくフランス語版やドイツ語版、スペイン語版、イタリア語版、韓国語版、ベトナム語版、台湾版なども出版されています。
この世界の片隅にのあらすじ
日々激化する第二次世界大戦中、広島県の軍港である呉に住む人々の生活を描いた作品が、『この世界の片隅に』といえます。主人公の浦野すずに縁談が持ち込まれます。底抜けに人が好いすずは、「ありがたい」といって、二つ返事で北條家に嫁入りします。夫の周作とは子供のころ遭遇していますが、二人ともなかなか思い出せません。大好きな絵描きと温かい家族に囲まれ、すずの日々の様子を描いたのが『この世界の片隅に』です。
すずのプロフィール
『この世界の片隅に』の主人公は浦野すずです。周作と結婚して北條すずとなりました。大正14年生まれのすずは、広島県広島市の江波(えば)地区に生まれました。生家は海苔作りを家業としていました。子供のころから絵を書くことが大好きで、裁縫は苦手でした。18歳になった昭和18年に、広島県呉市にある北條家に嫁ぎます。明るい性格と強い心で、たくましく生きていきます。昭和20年6月の空襲で右手を失います。
この世界の片隅にのすずと周作には子供ができない?
原作コミックス『この世界の片隅に』では、北條周作とすずの愛らしい夫婦の様子が描かれています。また原作コミックス『この世界の片隅に』において、すずと親友の白木リンとの会話の中に「アトトリ」は大事なものであり、産むことが「ヨメノギム」とも書かれています。特に地域的にも時代的にも男尊女卑の傾向が強かったことから「アトトリムスコ」ができるまでは何人も子供を産むと描かれ、当時の嫁の世間体が表現されています。
考察①すずの妊娠は勘違い
『この世界の片隅に』のアニメ版では、すずの妊娠をにおわせるシーンがあります。食欲不振が続き、なんとなくけだるいことから周囲も「もしかして、子供ができたのでは?」と期待するのです。すず自身も含めて「子供ができたかも」と思い込み、朝食には「おなかの赤ちゃんの分も」という意味で、二人分の食事が用意されていました。
その日病院に行ったすずは、妊娠していないことが分かります。食欲もなく生理も来ていなかったことから、すずは「子供ができた」と勘違いしてたのです。その夜の食卓は、いつもの質素な食事で、もちろん子供ができていなかったすずの食事は一人分になっていました。周囲に気を使わせないようにと、すずは子供ができないことを笑い飛ばします。もちろん、すずは内心傷ついていました。
考察②流産説や不妊説
デリケートなテーマであることからか、すずに子供ができた様子については原作コミック版『この世界の片隅に』であっても、アニメ版『この世界の片隅に』であっても、詳細には描かれていません。そのため「径子のせいでメンタルがやられて、子供ができていたにも関わらず流産した」という説も浮上しました。また、すずは元から子供ができない不妊体質という設定とする説まで登場しています。
流産するのであれば、すずの妊娠シーンがもっとはっきり書かれている必要があります。すずの流産説には、流産が習慣化した末に不妊症になったとする暴論まで出ています。元から不妊症だったとする説も、流産説よりは信憑性がありますが、不妊症にする設定の必要性が感じられません。当時の状況から、栄養失調による不妊ということが、現実的です。
この世界の片隅にのすずと周作にその後子供はできた?
劇場版アニメ映画『この世界の片隅に』の宣伝ポスターには、すずが起用されています。周作たちとの家族描写は使われていません。このため、終戦後のすずたちの家族がどうなっていったのかまでは、描写されていないのです。では、終戦後にすずたちに子供はできたのかどうか、見ていきましょう。
原作でもその後すずに子供はできていない?
原作コミック版『この世界の片隅に』でも、終戦後にすずに子供ができたとする描写は一切ありません。TBS日曜劇場『この世界の片隅に』の実写版連続ドラマでも、その後の北條家の一部を「現代版」として新たに加えていますが、すずに子供ができたと説明することはありませんでした。アニメ版『この世界の片隅に』でも、妊娠の兆候が何度も見られたというシーンは一切なく、すずには子供ができなかったとするのが妥当と思われます。
映画終盤で登場した子供が北条家の養子に
原作コミック『この世界の片隅に』でも、アニメ版『この世界の片隅に』でも、ラストシーンはすずと周作が焼け野原になった広島市を目の当たりにするものでした。すずの妹のすみは原爆症で床に臥せ、両親は死亡したことも知ります。それでもすずは周作に「この世界の片隅で、私を見つけてくれてありがとう」と感謝します。気が付くと戦争孤児の少女がすずに懐き、三人で呉に戻ります。径子も晴美の服を着せようと気遣いを見せます。
原作コミック版『この世界の片隅に』では名前のなかった戦争孤児の少女でしたが、小説版では「ヨーコ」、日本テレビ版では「千鶴」、TBSドラマ版では「節子」となっています。アニメ版では後日談として、すずから習った洋裁ですずや径子に服を仕立てて仲良く暮らしていると描かれています。この少女が北條家に養女として迎え入れられたのは明白で、逆に、すずにはその後も子供ができていないことが考察できます。
この世界の片隅にのすずのアニメ声優
原作コミック版『この世界の片隅に』では高く評価されたコミックですが、実写版やアニメ版も高い評価を得ています。2016年11月12日に公開された劇場版アニメ映画『この世界の片隅に』では、主人公の北條錫の声の担当を「のん」こと、能年玲奈が担当することでも話題になりました。公開当日は63の映画館での公開でしたが、話題となり徐々に上映劇場が増え、2017年1月時点で198もの映画館で上映されています。
のんのプロフィール
1993年生まれの「のん」は、本名及び旧芸名が能年玲奈です。兵庫県の出身で、女優・モデル・歌手であり、現在は株式会社nonの代表取締役という肩書も持っています。2006年に第10回二コラモデルオーディションで優勝し、芸能界入りしました。2012年にカルピスの第11代CMキャラクターとしてブレイクし、2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で有名人の仲間入りを果たします。
のんの主な出演作品
のん(能年玲奈)といえば、代表作はNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の主人公・天野アキです。あまりにも『あまちゃん』の印象が強すぎて、それ以外はイメージが沸かないと揶揄されることがあります。実際には映画では『海月姫』『ホットロード』などの主演作もあり、またCMや広告などに多く起用されています。「のん」に改名してからはテレビドラマ出演作品が少ないですが、その分、活躍の場所を広げたともいえます。
この世界の片隅にのすずの子供に関する感想や評価
『この世界の片隅に』の北條すずに子供ができない理由について、ネットでは様々な意見・感想などが見られました。アニメ版と原作コミック版、そして実写ドラマなどを組み合わせて考察する意見なども見られ、盛り上がっています。原作者の「こうの史代」やアニメ版を監督した片渕須直は、時代考証を丁寧にしています。それらをもとにした、ファンたちの考察が面白いと話題になっています。
取扱注意な話題
「妊娠!?」と思いきやたんに栄養不足で生理不順になっただけという描写を全くノンストップで見せる手法。説明しなくてもわかってくれるでしょという監督の観客に対する全幅の信頼
— Simon_Sin (@Simon_Sin) August 3, 2019
#この世界の片隅に
女性特有のデリケートな問題であり、また、読者・視聴者の対象年齢の幅が広いともいえるため、妊娠の扱い方は難しかったのかもしれません。「書き過ぎず、書き足らずもせず」「見る人にイメージさせるって、うまいよね」「日本人特有の、いわずもがな、の上手な使い方」など、「おみごと」という評価・感想が多くみられます。
流産説の根拠
野草を摘んだり少ない食材で色々工夫して毎日料理する。それを楽しそうにこなすすずさんがすごい。ぼうっとしていて能天気そうに見せてハゲが出来るほどストレスは感じてたんだよな。そしてスパイを疑われたすずさんに必死で笑いを堪える家族たちw #この世界の片隅に
— ゆうと/好き勝手実況垢 (@yu1yu10) August 3, 2019
「人には見せないようにすること自体、ストレスを増幅させている」「実はすずさん、自分で追い込んでいるよね」「痛々しいと思うシーンがある」など、北條すずの気配りは極端すぎるのではないかとする意見も多くみられます。それゆえ「こんな風に、他人のことばかり考えているから、妊娠できない」という極論に至っているというわけです。
市井の極論
『この世界の片隅に』を昨日観て疑問だった
— 那智 (@Q_SA_I) August 10, 2019
すずさん妊娠したはずなのに子どもどうしたの?流産?
って話
当時の一般的日本人は栄養状態が良くなかったので
栄養失調からの生理不順を妊娠と勘違いしていただけということらしいけど
あの描写だけで即座にそこまで読み取れた人間がどれだけいるのか…
調べたら「すずは栄養失調で流産したのではないか?」という説が出てくるのですが、一度『この世界の片隅に』を見ただけで「即座にそこまで読み取れる人間がどれだけいるのか?」という感想を持つ方もいました。
この世界の片隅にのすずの子供まとめ
北條家に嫁いだ浦野すずは、北條周作と仲良く暮らします。日々激化する戦時下において、妊娠するに十分な栄養が’簡単には摂取できない状況下でした。このため北條すずは、妊娠できない状態になっていたのです。当時の記録などから考察すれば、北條すずの「不妊症説」「流産説」は否定できるでしょう。精一杯生きたことの描写の裏側には、悲しい事実が突き付けられていたというわけです。