2020年11月23日公開
2020年11月23日更新
【エヴァンゲリオン】ゼーレマークの意味とは?死海文書と裏死海文書の違いも解説
エヴァンゲリオンに登場するゼーレマーク。対使徒用の兵器として創られたエヴァンゲリオンを保有する機関"NERV(ネルフ)"を取り仕切る国際秘密結社"ゼーレ"のシンボルマークです。こちらの記事ではそんなゼーレマークに描かれている絵・言葉の意味や由来、またゼーレが所持している"裏死海文書"や裏死海文書の元となった"死海文書"のについてもご紹介していきます。新劇場版エヴァンゲリオンにもっと詳しくなりたい人はチェックしてみてください。
目次
ゼーレとは?
テレビアニメ版が終わったにもかかわらず、新たに新劇場版としてシリーズが立ち上がった大人気アニメ『エヴァンゲリオン』。今回はそんなエヴァンゲリオンの黒幕組織・ゼーレが使用している『ゼーレマーク』の新劇場版バージョンの由来や意味を考察していきます。またゼーレが所持している裏死海文書の内容や裏死海文書の由来となったものについても紹介。
そして「ネルフは知っているけどゼーレをよく知らない」といったエヴァンゲリオンファンの人にも分かりやすく『ゼーレの概要』の項目でゼーレの目的や名称の由来も解説しているので、ゼーレを知らない人やゼーレの組織について見直したい人はそちらも確認してみてください。
新世紀エヴァンゲリオンの作品情報
新世紀エヴァンゲリオンの概要
こちらの記事でご紹介する"ゼーレマーク"が登場するのは『新世紀エヴァンゲリオン』。1995年にテレビ東京系列で放送されていたオリジナルテレビアニメです。全26話の約5ヶ月間という短い放送期間にもかかわらず現在も映画シリーズ化がされている人気作品。
今回ご紹介するゼーレマークが登場するのは『新劇場版エヴァンゲリオン』。テレビアニメ版エヴァンゲリオンの放映終了後に企画された新劇場版エヴァンゲリオンは全4作完結と予定されています。そんな新劇場版エヴァンゲリオン、オリジナルテレビアニメ版、そして漫画版では物語の後半のストーリーが違っており、それぞれの作品で結末が楽しめるようになっています。
出典: https://ciatr.jp
原作は漫画ではなくテレビアニメ版となっているためテレビアニメ版の脚本は各話ごとに担当者が変更されているといった特徴があり、新劇場版からはアニメーター・アニメ監督として活躍している庵野秀明さんが脚本・総監督を務めるようになりました。
新世紀エヴァンゲリオンのあらすじ
隕石落下に伴う大規模災害"セカンドインパクト"の影響により人口が激減した世界。14歳の少年・碇シンジは長い間音信不通だった父・碇ゲンドウに呼びだされ会いに行くことに。しかし再会した父はシンジに地球に襲来する生物『使徒』と戦うことを迫るのでした。悩みながらもエヴァンゲリオンパイロットとして戦うシンジ。そして同じくエヴァンゲリオンパイロットとして使命を全うする少女・レイやアスカと出会います。
ゼーレの概要
こちらの記事でご紹介する『ゼーレマーク』をシンボルとして掲げている組織・ゼーレとは、主人公のシンジたちエヴァンゲリオンパイロットや、彼らに指令を渡す隊員のミサトたちが所属する機関"NERV(ネルフ)"を配下に置いている国際秘密結社のことを指します。
エヴァンゲリオンの物語で黒幕的な立ち位置のゼーレですが、その目的は「全人類を魂や肉体から解放し、全ての人間の意識を統合する」という"人類補完計画"を実行すること。個体ごとに独自の自我を持ち、互いを傷つけ争い合う人類を導く為に設立された組織が『ゼーレ』です。
そんな国際秘密結社・ゼーレの名前の由来はドイツ語の"魂"。またエヴァンゲリオンパイロットたちが所属する『ネルフ』の由来は"神経"、そしてネルフの元となった組織『ゲルヒン』は"脳髄"という言葉が由来となっています。
ゼーレマークの由来や意味を考察
考察①沈黙の仔羊
ゼーレマークの由来の1つとされているのは『沈黙の仔羊』。沈黙の子羊とは"黙示録の仔羊"とも呼ばれており、聖書に記載されている羊の事を意味しています。その風貌は「7つの角と7目がある」とされており、ゼーレマークに描かれている目の数にも当てはまります。また聖書の中には「7つの目は全地に遣わされている7つの霊」と記されており、この沈黙の仔羊は神聖な生き物として崇められていることが分かります。
そして聖書を読み解いていくと、この7つの目を持つ仔羊は"イエスキリスト"のことを指していることが分かります。「人類の罪を償う為の犠牲となり人々を救った」とされているキリストが描かれている点などから、読者の間ではゼーレマークはキリストと同じく「自らが犠牲を払って人類を救う」という人類補完計画を意味しているのではないか?と考察されることもあるようです。
考察②3次元の象徴
ゼーレマークの中でも印象的な蛇と林檎の絵。聖書の中で蛇はイブに林檎(善悪の知識の実)を食べるようにそそのかします。そしてその林檎を口にしたアダムとイブは知恵を授かり、善悪を判断できるほどの知識を手に入れます。しかしそれと同時に、神が「善悪の知識の実を食べてはいけない」と言っていたのにそれを破ってしまい、自分たちのしたことが悪いことであったということにも気付いてしまいました。
そんな"無知"から"知恵"を身に着けさせ、"善"から"悪"に陥れた林檎と蛇は、「表裏一体」という意味のシンボルとも受け取れるのではないでしょうか?3次元の世界でもコインのように"表"があれば必ず"裏"もあり、"光"があれば"影"ができるといったように、全ての物事には必ず反対の性質が生まれます。
そういった3次元の性質を描いたとも読み取れるゼーレマークの蛇と林檎の絵。そして言い方を変えればそれは「片方だけでは成り立たない」といった意味でも受け取れ、エヴァンゲリオンの物語で敵対している使徒と人類にも深い関係があるのではないかと考察できるのではないでしょうか?
考察③7という数字
『考察①沈黙の仔羊』でもご紹介したゼーレマークに描かれた7つの目。この「7」という数字は"沈黙の仔羊”以外にも聖書で多く登場し、「神が世界を創造するのにかかった日数」「ラッパを吹く天使の人数」など様々な場面でキーワードとなって現れます。
聖書の中では主に何か新しいことが始まる場面での印象として残ることが多く、そういった改革的な意味合いとしてゼーレマークの中に埋め込まれている可能性もあるのではないかとエヴァンゲリオンファンの間で考察されています。
エヴァにおける死海文書と裏死海文書の違いとは?
死海文書とは?
死海文書とは実在する古い書物で、古代ヘブライ語で記された聖書に関連する内容を記したものです。死海文書という名前の由来はイスラエルとヨルダンに跨がる湖の"死海"付近の洞窟で発見されたことから名付けられています。主に「ヘブライ語で書かれた聖書の本文」「正典(宗教の公式文書書として取り決められたもの)としては認められなかった内容」「クムラン教団(死海文書を作成した組織)の規則や儀式」が記されています。
死海文書には世界の終末についても記されており、エヴァンゲリオンの物語でもそれになぞらえ、使徒の襲来とサードインパクトについての預言書として登場しました。エヴァンゲリオンの死海文書は第一使徒のアダムが地球に来た際に置き残していったものを、ゼーレの前身である宗教組織・ゲルヒンが書き写したものとされています。
裏死海文書とは?
出典: https://note.com
エヴァンゲリオンに登場する死海文書には2種類あり、ゼーレの前身組織のゲルヒンが第一使徒アダムの持ち物を書き写した『死海文書』。そしてその死海文書に記されている内容の中から特に重要なものを集めた『裏死海文書』となっています。裏死海文書はゼーレが所持しており、ゼーレはその死海文書に記された預言を元とした行動をとっています。
また裏死海文書はゼーレに所属している限られた人物にしか内容は開示されていない重要機密事項とされています。アニメ版では『裏死海文書』という名称で登場していますが、新劇場版新世紀エヴァンゲリオンでの裏死海文書は『死海文書外典』という名前に変更されています。
ゼーレマークの「歓喜に寄せて」の一節の意味
ゼーレマークの丁度真ん中の位置、『SEELE』の下に小さな文字で文章が記載されています。ここには「berm Sternenzelt richtet Gott, wie wir gerichtet」と書かれており、日本語に訳すと「星空の上で神が裁く、我等がどう裁いたかを」となります。
この言葉はドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーの『歓喜に寄せて』の詩の一節。"歓喜に寄せて"はシラーの詩を愛した有名な音楽作家・ベートーヴェンに引用・書き直しされ、『歓喜の歌』という名称に変更。そして世界的にも有名な楽曲『交響曲第9番』に使用されるようになりました。こちらではそんな『歓喜に寄せて』の文章の意味を解説していきます。
考察①星空の上で神が裁く
まずはゼーレマークにある「星空の上で神が裁く」という箇所。こちらは2つの意味で解釈することができ、1つ目は「星空に存在する神が人々の行いを見ており、その結果を神がジャッジし相応の裁きを下す」という意味で受け取れます。そして2つ目は「人々が星空の上に行けたとき、神が人々のこれまでの行い相応の裁きを下す」と受け取れます。
そしてこの文章の疑問となるのは「人々のどのような行いに対して神が裁きを下すのか」ということ。『考察②3次元の象徴』でも記したように、何かを比べる際には表裏一体の相対する性質を持つものがあって初めて可能となります。
現在のエヴァンゲリオンでは"神の裁きの源"となるものは明確にはされていません。人々と相対するものが"使徒"なのか、それともファンの考察の間でも取り上げられることも多い、"ループする前の世界の彼ら"なのか。読者の間で様々な意見が出ています。
考察②我等がどう裁いたかを
ゼーレマークの文字の後半にある「我等がどう裁いたのかを」。この文章も主語が明らかにされていないため2通りの解釈ができます。まず1つ目は「人々(我等)が他の現象をどう裁いたのか」という意味。エヴァンゲリオンの世界では人々に相対する存在は使徒です。つまりこの1つ目の解釈では「人々が使徒に対してどう接したのか」を問われていると考えられます。
そして2つ目の意味は「人々(我等)が何を省みたのか」という意味でも読み取れます。聖書では善悪の知識の実を食べるという罪を犯したことで楽園を追放されてしまったアダムとイブ。彼らはキリストが犠牲となり裁かれることで罪を償うことができましたが、シンジたちの世界では何を犠牲・戒めとしたのかを見られているという意味で受け取ることもできます。
ゼーレマークは新劇場版で変わった?
ゼーレのマークは変更されていた
エヴァンゲリオンの世界を裏から牛耳る組織として登場する『ゼーレ』。その組織のシンボルマークとして掲げられているゼーレマークですが、原作のテレビアニメ版と新劇場版エヴァンゲリオンではゼーレマークの形が変更されています。
これまでにご紹介してきた"7つの目"と"蛇と林檎"が描かれているのは新劇場版のゼーレマーク。一方テレビアニメ版のゼーレマークには蛇と林檎の絵は描かれておらす、7つの目と逆さになった三角が描かれたものとなっています。このゼーレマークの変更は劇場版の伏線の1つなのか、それともデザインとして変更しただけなのか。エヴァンゲリオンファンの間で考察の対象となっている要素の1つです。
ゼーレのメンバーの数も新劇場版で変わった?
人類補完計画を行う機関として機能しているゼーレ。テレビアニメ版のゼーレの意志決定会議に参加しているメンバーは12名でしたが、新劇場版エヴァンゲリオンでは7名に変更されています。元々ゼーレマークには7つの目が描かれていましたが、それに合わせ7名に変更したのか、もしくは新劇場版エヴァンゲリオンの伏線として7名に変更されたのか。ゼーレマークの変更とともにファンの間で様々な考察が行われています。
ゼーレマークに関する感想や評価
隠れたところにゼーレマークが刻印されている
#シンエヴァ #エヴァ
— 餅助 (@Motisuke8070EVA) October 18, 2020
こんなデコにゼーレマーク描いてあるんや笑笑
パイロットが誰か気になるな笑笑 pic.twitter.com/Z6eNKZB59z
劇場版エヴァンゲリオンの作中に登場する小道具にゼーレマークが入っているというクチコミや、リリスの目に反射した模様がゼーレマークに見えるなど、様々な箇所にゼーレマークが描かれていると話題になっています。ゼーレマークの絵柄が変更されたり、メンバー数が7人に代わっていたりと伏線とも見られる要素が詰まった新劇場版。気になった人は今一度新劇場版シリーズを見返してみてはいかがでしょうか?
ゼーレマークの由来は黙示録の仔羊
現代美術家協会のマークがエヴァのゼーレっぽい。笑 おそらくモデルは同じなんだろうけどね。黙示録の仔羊。
— 限りなく透明に近いブルー (@kuroneru0809) June 6, 2013
ゼーレマークの由来とされているのは聖書に登場する"黙示録の仔羊"。七つの目を持つとされているその独特の風貌から、エヴァンゲリオンの物語中だけではなく、様々な作品の中で使用されることも多いようです。イエスキリストを指しているとも言われる沈黙の仔羊のマーク。エヴァンゲリオンの物語ではそのマーク意味が伏線になっているのではないかとファンから考察を楽しむ声が上がっています。
ゼーレが保管する"裏死海文書"のフレーズの汎用性が高い
安価で裏死海文書うpする! 本文:やあ (´・ω・`)
— もしもエヴァの世界に2chがあったら (@EVA_2ch) November 21, 2020
ようこそ、NERV本部へ。このLCLはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。#エヴァ
ゼーレが保管し、そしてそこに記してある内容に従って行動を起こしていると言われている重要アイテムの裏死海文書。裏死海文書のイメージの汎用性が高いためか、エヴァンゲリオンファンの間では様々な場面で「裏死海文書」というフレーズが使用されています。社外秘の内容や重要機密の内容を文章にする際にユーモアを交ぜて使ってみるのも楽しいかもしれません。
ゼーレマークまとめ
以上、新劇場版エヴァンゲリオンに登場する『ゼーレマーク』について考察をご紹介してきました。ゼーレマークの由来となっているのは聖書に登場する"黙示録の仔羊"と、アダムとイブに善悪の知識の実を与えた"蛇と林檎"。黙示録の仔羊は実在の聖書のなかで"イエスキリスト"を指しています。
またゼーレマークの中にある文章は詩人のフリードリヒ・フォン・シラーが書いた"歓喜に寄せて"という詩が由来となっており、「星空の上で神が裁く、我等がどう裁いたかを」という言葉が記されています。神が我等の"何"を裁くのか、また"我等が裁くもの"は何なのか。新劇場版エヴァンゲリオンの最終章で明らかになるかもしれないとファンの期待が高まっています。