【機動戦士ガンダム】サスロ・ザビとは何者？THE ORIGINの登場シーンは？

通常版・全24巻、愛蔵版・全12巻から成る「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」とは、ORIGIN（原点）に立ち返ることでリアルタイム世代が知り得なかった「機動戦士ガンダム」の原点を知ることができる作品と言えるでしょう。

「機動戦士ガンダム」のコミカライズ版「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」とは、アニメ版に沿った展開に新たなアレンジが加味されている作品です。原作は富野由悠季氏、大河原邦男氏と共に斬新ロボットアニメを作り上げた「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを担当した安彦良和氏によるものです。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」において特筆したいのは、アニメ版で軽く触れていた一年戦争前夜までの過去編が加わっているところです。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」連載終了後にアニメ化された過去編となる一年戦争前夜エピソードは、リアリティ満載のコミカライズ版の雰囲気を損なうことなく高評価を得たようです。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」とは、アニメ版の本筋と同じく西暦から宇宙世紀に変わった宇宙移民時代を舞台に、新型モビルスーツ・ガンダムのパイロットとなってしまった平凡な少年アムロとホワイトベースのクルーたちがジオン公国が地球連邦政府に仕掛けた独立戦争（一年戦争）を生き抜く姿をリアルに描いています。

それに加えて、シャアとセイラが本名を棄てた経緯、一年戦争前夜のザビ家の不穏な動向、鬱屈しつつも平凡なアムロたちの様子など「機動戦士ガンダム」に繋がる過去編が織り込まれています。コミカライズ版終了後には、一年戦争後のアムロを始めとするホワイトベースのクルーたちが描かれています。

「機動戦士ガンダム」の準備稿には設定があったザビ家の次男サスロ・ザビとは、「機動戦士ガンダム」には名前すらも登場していなかったようです。小説版でのサスロ・ザビは、政治手腕を評価されていたものの一年戦争前夜にダイクン派との抗争で暗殺されたようです。

サスロ・ザビが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」過去編「シャア・セイラ編」での登場までは、容姿や性格など詳細が不明だったようです。年齢に関しては「機動戦士ガンダム」で長男ギレン35歳設定から、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では45歳と再設定されているのでそれを基準に推測できるかもしれません。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」過去編「シャア・セイラ編」で登場となったサスロ・ザビの容姿は、父デギンや長男ギレンを彷彿させるような険しい顔つきで、逞しい体格に恵まれた三男ドズルと同じく屈強さを醸し出しているようです。性格もそれにあった激情家であるものの、表裏はさなそうです。

かつてサスロ・ザビは、ジオン・ズム・ダイクンと共に地下活動家として暗躍しながらマスコミを操作しザビ家の勢力拡大の一端を担っていたようです。我が道を独走する権力志向の強いサビ家でしたが、縁の下の力持ち的なサスロ・ザビの有能振りを兄弟は評価していたようです。サスロ・ザビはすぐに暗殺されているので、妻子などのプライベートについては不明のようです。

当初ザビ家は、宇宙移民時代に沿った人間の新たな生き方ニュータイプ論を唱えたカリスマ指導者ダイクンと行動を共にしていたようですが、ダイクンの謎の急死により様変わりしていきます。権力を手にしたサビ家は、ダイクンの遺児キャスバルとアルテイシアがザビ家を揺るがす不穏分子と見なすようになりますが、長女キシリアはダイクンの遺児たちを逃がしてしまうという失態をしてしまいます。

妹キシリアの失態に対しサスロ・ザビは、ザビ家を守って欲しいという意味合いでキシリアに平手打ちをしてしまいます。弟ドズルはサスロ・ザビの真意を理解していたものの、二人の間に割って入りサスロ・ザビをたしなめます。男兄弟の中で奮闘していたキシリアは、プライドを傷付けられたようです。

古今東西、仕入れた情報を的確に分析し上手く使えば、世の中を好きなように動かせるのは可能と言えます。ザビ家がライバルを蹴落とし国家の中枢を担うことができたのは、情報戦略に長けていたサスロ・ザビの功績があったと言えるでしょう。しかし、権力志向の強いザビ家で安定感を醸し出しているサスロ・ザビが暗殺されてことで、権力を手にしたザビ家の崩壊が思ったより早まってしまったのかもしれません。

父デギン・長男ギレン・次男サスロ・長女キシリア・三男ドズル・四男ガルマとサビ家の人たちは、謀略渦巻く一年戦争でみな悲劇的な最後を遂げています。ザビ家悲劇の最初の幕開けとなったサスロ・ザビは、登場後まもなく車での移動中に仕掛けられた爆破により暗殺されています。同乗していたドズルは助かりますが重傷を負っています。

四男ガルマを除いて曲者揃いのザビ家の血を引くサスロ・ザビもやはり強烈なキャラクターだったので、死に向けて大きな見せ場があると思いきや死亡フラグがないまま突如暗殺という形で退場となっています。

サスロ・ザビ暗殺は世論操作により、ダイクンの死をザビ家だと疑っていたジンバ・ラル説が浮上しますが、ジンバ・ラルはギレンではないかと疑っていたようです。サスロ・ザビ暗殺犯説が錯綜する中、サスロ・ザビによる平手打ちの一件からキシリア説を匂わせる描写に加え、アニメ版ではキシリア説であるような演出があるものの暗殺の真相は不明のままとなっているようです。

サスロ・ザビ役の声優・藤真秀さんの芸能界入りのきっかけはモデルからで、その後、故・渡瀬恒彦さんの付き人時代を経て俳優デビューをしたそうです。一時期僧侶の勉強をするため、俳優業から遠ざかっていたようですが一人芝居活動はしていたようです。

2007年頃からは声優業もスタートさせた藤真秀さんは、2009年「日曜洋画劇場」での「007 カジノ・ロワイヤル」の吹替オーディションでダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの吹替をゲットして以降、ダニエル・クレイグ役が声優としての当たり役となったようで他のダニエル・クレイグ出演作品の吹き替えを担当することが多くなったようです。

2009年「日曜洋画劇場」で放送された「007 カジノ・ロワイヤル」以降、キングレコード版・BSジャパン版「007 慰めの報酬」、「007 スカイフォール」「007 スペクター」と立て続けにダニエル・クレイグ版007を担当しています。アニメでは「ルパン三世」のTVスペシャル版や新TVシリーズ、「ジョジョの奇妙な冒険」「七つの大罪」などの人気アニメで主要キャラ担当しているようです。

強烈なオーラが災いしたのかサスロ・ザビは、車での爆破暗殺というアニメ的には壮絶さに欠けますがリアルではありそうな展開だと言えるかもしれません。リアルさを追求するガンダムにおいて同乗していたドズルも死んでもおかしくはないのですが、超超超強運男ドズルは助かっています。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」過去編ではドズルの顔に傷がなく、「機動戦士ガンダム」では傷があったことから、ドズルの傷がサスロ・ザビ暗殺の巻き添えによるものだとファンは容易に推測することでしょう。

いきなりのサスロ・ザビ登場で、「ザビ家って四人兄妹ではなく、五人兄妹だった」という新事実に驚いているファンもいるかもしれません。ですがサスロ・ザビを踏まえた上での上記画像のザビ一家が揃った像は、ファンにとって嬉しいものとなったようです。

激熱キャラのサスロ・ザビと、007でお馴染みのクールで渋いイケメンで知られるダニエル・クレイグの声優が同一人物だと知ったら驚く方もいるかもしれません。俳優で声優の藤真秀さんの演技力の振り幅の広さを証明していると言えるでしょう。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」過去編で登場したサスロ・ザビとは、圧倒的に出番が少なかったもののスペースコロニー黎明期から一年戦争開戦前に至るまでの激動宇宙移民時代を生き抜いた良くも悪くもアツすぎる男だったようです。