【名探偵コナン】アニメ作画監督・スタッフを一覧で紹介！それぞれの担当回や特徴は？

子供から大人まで親しまれる「名探偵コナン」は、綿密なストーリー展開が特徴の推理作品で、原作漫画は勿論、アニメや映画作品も高い人気を誇っています。以下では、2020年にアニメ放送24年を迎えた「名探偵コナン」から、数々のエピソードを生み出してきたアニメ作画監督・スタッフ一覧と、それぞれの担当回・特徴、アニメコナンの作画崩壊や神作画と呼ばれた回等を紹介します。

青山剛昌先生の大ヒット漫画「名探偵コナン」は、1994年～2020年10月現在にかけて、「週刊少年サンデー」にて長期連載されている推理作品で、単行本は、2019年12月時点で計98巻が刊行されています。また、「名探偵コナン」は、1996年からアニメ放送が開始、1997年からはコナン映画の上映も開始され、アニメファンから絶大な人気を誇っています。

高校生探偵として活躍する工藤新一は、ある日、黒の組織の取引を目撃したことを機に、組織の口封じとしてある薬を飲まされ、身体が7歳になってしまいます。その後は、江戸川コナンと名を改め、元の身体に戻る手立てを掴むべく、私立探偵・毛利小五郎の元に居候をし、彼を通じて数々の難事件を解決しながら、黒の組織に迫ります。

2021年4月に映画24作目「緋色の弾丸」の公開が予定されている「名探偵コナン」は、アニメ本編と共に映画版も人気を集めています。映画コナンは、爆破やアクションシーンなど本編と比較して派手な演出が多いことが特徴です。また、スケボーやサスペンダーのように、本編では登場頻度の少ない秘密道具が、映画版では事件解決に役立てられ、スリル満載の展開が支持されています。

以下では、アニメや映画版の人気に火を付けた「名探偵コナン」の初期の監督・スタッフ一覧と作画比較を紹介します。

「名探偵コナン」アニメ第1話から作画を担当する須藤昌明さんは、アニメ・コナンの人気を築き上げた1人で、全劇場版作品のキャラクターデザイン及び総作画監督を務めています。須藤さんの作画は、シャープな目元や全体的にバランスのとれた顔立ちが特徴で、シリアスな場面や重要な局面では、主人公たちの真剣な眼差しをより強調させています。

須藤昌朋さんの担当回は、第1話「ジェットコースター殺人事件」や、第11話「ピアノソナタ『月光』殺人」、第76話「コナンVS怪盗キッド」のように、共同を含めてコナンの重要回を数多く手掛けています。また近年は、牟田清司さんとの共同で作画監修を担っています。

青野厚司さんは、原作に近い作画でコナンファンから絶大な人気を誇る作画スタッフで、第5話「新幹線大爆破事件」から第406話「コナン平次の推理マジック（仕掛け編）」にかけて活躍しました。406話を最後に作画スタッフから離れていた青野さんでしたが、第890話「新任教師の骸骨事件（後編）」にて、待望の復帰を果たしました。

青野さんの作画は、全体的に丸みを帯びた柔らかい線が特徴で、コナンを始めとする子供達や女性キャラの魅力をより引き立てています。青野厚司さんが担当した回は、第10話「プロサッカー選手脅迫事件」、137話「青の古城探索事件（後編）」、177話「黒の組織との再会（コナン編）」、184話「呪いの仮面は冷たく笑う」等です。

大河原晴男さんは、原作漫画初期に似せた作画が特徴です。また、瞳の白眼部分は最後まで線を繋げて描いていることや、四角い輪郭、コナンの後頭部の毛束が短いことが挙げられ、全体的に丸みを帯びた作画が多いアニメコナンでは、独特の存在を放っています。そのため、ファンごとに作画の好みが分かれやすい、と言われています。

大河原晴男さんの担当回は、第4話「大都会暗号マップ事件」、12話「歩美ちゃん誘拐事件」、21話「TVドラマロケ殺人事件」、第38話「赤鬼村火祭殺人事件」等です。また、アニメコナンのトラウマ回と評された第50話「図書館殺人事件」の作画も担当しています。

志村泉さんは、第33話「探偵団サバイバル事件」から作画を担当するスタッフで、四角い輪郭にキリッとした顔立ちや、毛利小五郎の表情が、全体的にやつれ気味でタレ目な点が特徴です。また、アニメコナンの中では、シャープな作画からファンの間で好みが分れやすいと言われています。

志村泉さんの担当回は、第39話「資産家令嬢殺人事件」、第73話「少年探偵団遭難事件」、第130話「競技場無差別脅迫事件（前編）」、第204話「黒いイカロスの翼（後編）」、第259話「シカゴから来た男（後編）」等です。

佐々木恵子さんは、放送開始当初から作画監督を務めるスタッフの1人で、現在もアニメコナンのスタッフとして活動しています。初期の作画は、目のふちの線が太さや鋭い目つき、コナンの首元の毛束の長さが目立ちましたが、徐々に整った顔立ちに柔らかい印象となり、安定した作画が高く評価されています。また、小五郎の唇に影があったり、横顔の口が3に似ている作画も、佐々木さんの特徴です。

佐々木恵子さんの担当した回は、第34話「山荘包帯男殺人事件（前編）」、第68話「闇の男爵（ナイトバロン）殺人事件（事件編）」等です。また、第193話「命がけの復活 約束の場所」や第200話「容疑者・毛利小五郎（後編）」等のアニメコナンの重要回・神回も多数担当しています。

宍戸久美子さんは、アニメ初期の作画監督であり、現在はキャラクター・メイン以外の小物担当のデザインワークスを担っています。宍戸さんの作画は、前述の佐々木恵子さんの作画に似た柔らかい線が特徴で、宍戸さん・佐々木さんが続けて作画を担当した回は、作画の変化が少なさがアニメファンに評価されています。

宍戸久美子さんの担当回は、第14話「謎のメッセージ狙撃事件」をはじめ、第30話「アリバイ証言殺人事件」、第157話「本庁の刑事恋物語2（後編）」、第492話「赤と黒のクラッシュ 血縁」等です。

村中ひろび（村中博美/むらなかひろび）さんは、初期の作画監督で、2006年の「封印された洋窓（前編）」以降は、原画スタッフに専念しています。全体的に角ばった描写が特徴で、志村泉さんと異なり、村中さんはキリッとした目つきが特徴です。一方、回によって作画にバラつきあり、安定感に欠けるとも評されています。

アニメーション作画スタジオ「スタジオ・ムー」の主宰者を務める村中ひろびさんの担当回は、第81話「人気アーティスト誘拐事件（前編）」、第133話「奇術愛好家殺人事件（疑惑編」）」、第191話「命がけの復活 黒衣の騎士」等です。

河村明夫さんは、アニメコナン・第3話～129話まで作画監督を務め、第544話で復帰を果たした経歴の持ち主で、現在も作画監督を担っています。河村さんの作画は、顔の輪郭や目が丸みを帯びていることや、鋭い表情が少ない、歯をちらっと見せる描写などが特徴に挙げられ、近年は、安室秀の原画に人気が高まっています。

河村明夫さんの担当回は、第3話「アイドル密室殺人事件」、第77話「名家連続変死事件（前編）」、第544話「不調和音を奏でる手」（共同）」等です。また、灰原哀が初登場した、第129話「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」の作画も担当しています。

アニメコナンは、近年は綿密なストーリーに加えて、映画版などの作画の美しさにも注目が集まっています。以下では、「名探偵コナン」の100話以降からの監督・スタッフ一覧と作画比較を紹介します。

とみながまりさんは、フリーのアニメーター・キャラクターデザイナーであり、2004年～2008年にかけてキャラクターデザインを担当しました。アニメコナンの作画監督作は少ないものの、細部にまでこだわった丁寧な作画や可愛らしい顔立ちが特徴です。また、2008年以降は、アニメ版への参加が無かったものの、907話「Jリーグの用心棒」で、コナンの作画監督に復帰しました。

とみながまりさんの担当回は、第162話「空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件」、第219話「集められた名探偵！工藤新一VS怪盗キッド」（共同）、第414話「青い鳥を追う探偵団」（共同）等です。また、映画「名探偵コナン」では、「迷宮の十字路」以外の作品にて、原画スタッフとして携わっています。

大島美和さんは、スタジオ・ライブ所属のアニメーター・キャラクターデザイナーで、アニメコナンでは、青野さんの柔らかい線や、とみながさんの愛らしい作画を合わせた、軽やかな描写が特徴です。アニメコナンでの作画監督回は少ないものの、劇場版では、計7作品の原画・作画監督を担いました。

大島美和さんの担当回は、第124話「謎の狙撃者殺人事件（前編）」、第166話「鳥取クモ屋敷の怪（事件編）」、第172話「よみがえる死の伝言（ダイイング・メッセージ）前編」、第180話「赤い殺意の夜想曲（ノクターン）前編」等です。

平岡正幸さんは、スタジオ・ライブ等への所属を経てフリーで活動するアニメーターで、アニメコナンでは、丸みを帯びた輪郭や目、コナンの後頭部の毛束にボリュームがある描写が特徴です。また、平岡さんは、アニメコナン以外にも、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」等の作画監督も担当しました。

平岡正幸さんの担当回は、第138話「最後の上映殺人事件（前編）」、第143話「疑惑の天体観測」、第160話「奇怪五重塔伝説（後編）」、第173話「よみがえる死の伝言（ダイイング・メッセージ）後編」、第207話「見事すぎた名探偵」等です。

広中千恵美さんは、トムス・エンターテイメント所属のアニメーターで、2000年からアニメ「名探偵コナン」の製作に携わっています。また、2001年からはコナン映画の製作スタッフとしても活動しており、映画第19作～21作、第23作「紺青の拳」では、作画監督を担いました。

広中千恵美さんの担当回は、第568話「白鳥警部、桜の思い出（前編）」、第575話「黒きドレスのアリバイ（前編）」、第603話「降霊会W密室事件（第一の密室）」等です。

牟田清司さんは、アニメコナンの放送当初から携わるスタッフの1人で、2004年からアニメ本編、2008年からアニメのOP・EDの作画監督を担っています。また、映画版でも、ほとんどの作品で作画監督を務めており、アニメ「名探偵コナン」に欠かせない1人です。

牟田清司さんの担当回は、第377話「桃太郎謎解きツアー（前編）」、第490話「服部平次vs工藤新一 ゲレンデの推理対決（1時間SP）」、第554・555話「こうのとりミステリーツアー（蘭探索編/陽菜追跡編）」等です。

近年は、映画版のクオリティの高さも評価されているコナンですが、アニメ版の中には、作画崩壊と呼ばれた残念な回も存在します。以下では、名探偵コナンのアニメ「殺人犯、工藤新一」の作画崩壊について紹介します。

作画崩壊と話題になった「殺人犯、工藤新一」は、アニメ第521話～523話にかけて放送された三部構成のうちの第1の事件を指します。物語は、1年前に工藤新一が解決した事件の推理ミスと、事件現場となった村で起きた新たな殺人事件の真相に迫ります。この回では、誤って飲んだAPTX4869の解毒剤の作用で、一時的に元の姿に戻った工藤新一（コナン）による推理が展開されました。

村で起きた殺人未遂事件と、その目撃情報、そして、1年前の事件の推理ミスを原因とする村人からの不審感から、犯人は工藤新一と決めつけられていました。しかし、真犯人は、工藤新一の顔に整形した前村長の養子でした。彼は、工藤新一に並みならぬ憧れを抱くも、恩人である前村長の死について、新一の推理と警察の公表が違っていたことから、村人たちと同様に、新一に対して一方的な恨みをつのらせます。

そして、奥多摩に来た新一を山小屋に監禁し、犯行現場をわざと見せることで、新一を殺人犯として陥れようとします。しかし、死羅神様に扮した本物の新一の機転により、偽者の新一は逮捕されます。同時に、前村長の無理心中事件の真相は、新一の推理が正しく、その内容から警察によって公表内容がすり替えられたことが発覚します。

「名探偵コナン」では、数少ない工藤新一の登場回となった「殺人犯、工藤新一」は、コナンファン必見の重要回であるにも関わらず、その作画のクオリティが大きな話題を呼びました。アニメ序盤こそ、安定した作画を見せていましたが、ストーリーを追うごとに新一をはじめとする登場キャラの表情の乏しさが目立ちはじめ、シリアスな展開も間の抜けた雰囲気が感じられたでしょう。

また、新一の作画に注目しても、犯人である偽者の新一との区別がつきにくい容姿であることや、解毒剤の効果が切れても顔だけが新一のままなど、明かに不自然な点が指摘されます。一方、他のアニメ回と比較して、新一の目つきに鋭さがないことや、肝心の推理シーンでは眠たそうな表情に見えるなど、ストーリーが良いだけに、作画に対する評価は厳しいものとなっています。

初期の作品と比較して、近年は作画の美しさも評価されるアニメコナンですが、過去にはクオリティの高さから、神作画回と呼ばれた回が存在し、多くの話題を呼びました。以下では、名探偵コナンのアニメの神作画回について紹介します。

「大阪ダブルミステリー 浪花剣士と太閤の城」は、2002年にアニメ2時間スペシャルとして放送された回で、大坂で起きた2つの事件に服部平次と江戸川コナンが挑んだ回です。第1の事件は、近畿剣道大会に出場する服部平次が、会場先で起きた大学剣道部員の殺人事件に迫った回です。この事件は、服部平次が主人公として捜査に乗り出し、持ち前の推理力で真相を解明しています。

コナンも介入した第2の事件は、大坂城に眠る秀吉の財宝を巡る殺人事件で、犯人は秀吉ファンのサークル会員の1人と判明します。犯人の祖父は、秀吉の財宝の在り処を記した巻物を見つけるも、それらを巡り仲間と対立し、13年前に殺害されていました。そして、祖父を死に追いやった被害者3人へ復讐を果たすも、平次・コナンによって事件の真相を暴かれます。

そして、13年前の事件の発端となった巻物・虎の巻には、宝の在り処は示されておらず、秀吉の千成り瓢箪を盗んだ盗賊の置き手紙だったことが判明します。また、犯人の祖父は、虎の巻の秘密を知っていたものの、存在しない秀吉の宝に目がくらんだ仲間に、事実を打ち明けることができず、後の被害者たちに殺害されました。

「大阪ダブルミステリー」が放送された2002年代のアニメコナンは、セル画からデジタルアニメへの切り替えが行われていた時期で、2002年7月放送「中華街 雨のデジャビュ」から、デジタルアニメが製作されました。また、2002年7月以前にも、第96話・第219話もデジタルアニメとして製作されており、それらの回はアニメ2時間スペシャルとして放送されています。

しかし、2002年7月以前のアニメコナンは、圧倒的にセル画による製作が多く、デジタルアニメ製作の回は、セル画と比較して画質の美しさを高く感じられます。このように、作画のデジタルアニメ化による作画の高品質化に加え、夢中になれるストーリー展開が、「大阪ダブルミステリー」の神作画の評価につながったでしょう。

ストーリーだけでなく、監督ごとに様々な特徴がみられるコナンの作画を比較することも、アニメコナンの楽しみ方の1つでしょう。以下では、アニメ「名探偵コナン」の作画に関する感想や評価を紹介します。

アニメ放送24年目に突入した「名探偵コナン」は、これまでに多くのアニメーターが作画監督を担い、多彩なコナンが描かれました。一見するとどれも同じように見えてしまうコナンですが、それぞれのコナンを比較してみると、目つきや後頭部の髪などに違いが見られます。このように、複数の作画監督によって描かれてきたコナンの作画比較も、アニメコナンの楽しみ方の1つでしょう。

これまでに多くの作画監督がアニメコナンの制作に携わる中、青野厚司さんの作画は、原作に近い描写と柔らかいタッチで、アニメファンから絶大な人気を誇っています。アニメ406話を最後に現場から離れていた青野さんでしたが、第890話で待望の復帰を果たし、「名探偵コナン」には欠かせない作画監督として、ファンから絶大な人気を誇っています。

アニメ「名探偵コナン」と言えば、近年は映画版の大胆な演出と作画の美しさが高く評価される一方で、数多くのトラウマ回を生み出したアニメ初期の作品も欠かせません。その中でも、図書館殺人事件は、エレベーターから少年探偵団に迫る津川館長は、観る者全てに恐怖を植え付けました。このように、作画のクオリティは、美しさだけを比較するのではなく、視覚で与える恐怖も評価のポイントでしょう。

アニメ「名探偵コナン」の作画監督・スタッフ一覧、担当回と作画比較、アニメコナンの作画崩壊と神作画と評された回などを紹介しました。放送開始から24年を迎えたアニメコナンは、これまでに数多くの制作スタッフが携わり、多彩なコナンを生み出してきました。同時に、監督ごとにコナンの作画を比較しながら視聴することも、アニメコナンの楽しみ方の1つでしょう。