【キングダム】幽連は羌瘣の宿敵！羌象を殺した経緯や羌瘣との対決を解説

キングダムのヒロインの1人、羌瘣（きょうかい）の過去、強さを語る上で外す事の出来ない存在が幽連です。今回はそんな幽連についてまとめて紹介していきます。

幽連が登場するキングダムは2006年から原泰久先生が集英社が発売する週刊ヤングジャンプにて連載している古代中国、春秋戦国時代の末期を舞台にした中華時代劇漫画です。史実をベースにした壮大な世界観は連載当初は日本人にとっては馴染みのない時代という事もあって人気は低迷していましたが、個性豊かなキャラクター性を展開し徐々に人気を獲得2020年10月現在、6800万部を発行する人気漫画になっています。

漫画業界でも高い評価を誇る作品でもあり、第17回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞して実績を誇っています。メディアミックス展開も積極的に行われている作品で、2008年のVOMIC化を皮切りにして、2012年と22013年には2度アニメ化されており、2019年には実写映画化も行われ話題を集めました。2020年に入ってからも3度目となるアニメの放送開始、実写映画の続編の製作決定などメディアミックス展開が止まらない作品です。

下僕の身分ながら天下の大将軍を夢見る信。追手に追われる秦王贏政を助けた事で褒美として家をもらい平民となった信は秦魏戦争にて初陣を飾ります。そんな初陣で出会う事になるのが羌瘣（きょうかい）です。秦魏戦争の終了後、秦王贏政に暗殺者が放たれた事で防衛に向かった信はそこで羌瘣と敵として再会。そんな羌瘣の生きる目的として語られるのが今回紹介する幽連に対して復讐する事です。

幽連は羌瘣（きょうかい）達と同じ羌族の出身で、現・蚩尤として登場するキャラクターです。羌族の一部族である幽族の出身で、羌瘣と同じ祭に挑む代表に選ばれました。蚩尤となった当初は魏国にて王に重用される事になりますが、祭の際の経験により精神に異常をきたしていた事から追放され、羌瘣が発見した時点では趙の山奥に潜んで生活していました。

本来羌族の行う巫舞は羌瘣のように「呼吸」を用いる必要があり、その呼吸には長短は様々なながら必ず限界があります。浅い呼吸であれば断続的に使用可能ですが、深く呼吸をすると極僅かな時間しかその本領を発揮出来ません。しかし幽連は祭にて同じく幽族の代表に選ばれた実の妹を殺しており、それにより対決した時点での羌瘣よりも深い呼吸を際限なく使用する事が出来るのです。

これにより同じ求道者という意味で羌瘣（きょうかい）よりも龐煖に近い存在となっています。個人の強さだけでいえば作中でも屈指の強さを誇っているといえるキャラクターです。ちなみに羌族はいずれも剣を武器としており、幽連が使用する武器は「赤鶴」と呼ぶ剣です。

そもそも祭とは暗殺を生業とする羌族において羌族を代表する暗殺者である「蚩尤」の座をかけた戦いです。羌族は一族の掟により基本的に外界と接する事が出来ず、唯一蚩尤になった者だけが出入りを許されています。そしてこの祭の内容は各地に点在する羌族の各里から代表者を複数名選出、選出された者達の中で殺し合いを行い最後まで生き残った者のみが蚩尤になる事が出来るというものです。

そして羌瘣（きょうかい）や羌瘣と同じ里から選ばれた羌象と共に違う幽族の里から選ばれたのが幽連です。この祭はいわば「最強の暗殺者」を決める為の戦いである為、一定のルールによって行われる他、ある程度ではありますが他の代表に関しての情報も受け取る事が出来ます。特に過酷なルールが「他者との連携禁止」「殺す相手には家族のように育った同じ里の代表も含まれる」というものです。

このルールに則り、同じ里から2名の代表が選出される決まりがあり、羌瘣（きょうかい）の里から実の姉のように育った羌象が、幽連の里からは幽連の実の妹が共に代表に選出されています。

祭当日、実は羌瘣（きょうかい）は死ぬつもりでいました。生き残れるのが1人しかいないというルール上、最悪の場合最後に残って実の姉のように育ってきた羌象と殺し合いをしなければいけないかもしれないのです。羌瘣はそうなった時は羌象に蚩尤になってもらうつもりでいました。しかし似たような事を羌象も考えていました。羌瘣を殺したくないと考えた羌象は羌瘣に睡眠薬を盛り、わざと寝坊させて1人で祭に挑んだのです。

2人がそんな風に考えたのにはもう1つ理由がありました。事前情報で祭に参加する中で羌象が一番強いという情報があったのです。しかしその情報こそが運命を変える事になります。なんと他の羌族の里の代表者達が結託し、「協力して羌象を倒してから改めて殺し合おう」と羌象を誅殺するのです。薬から目覚めた羌瘣（きょうかい）が祭の場所に辿り着いた時には既に羌象は殺され、残りの者の中で生き残ったのが幽連という状況でした。

しかも祭を取り仕切る羌族の長老達は「他者と協力してはならない」という掟破りを黙認し幽連を蚩尤と定めます。誅殺は祭参加者はもちろんその長老達の間でも密約されたものだったのです。その事を知った羌瘣（きょうかい）は絶望し長老達を暗殺、既に里を出ていた幽連を追って里を飛び出す事になります。キングダムで信と戦場で出会ったのも贏政の暗殺任務を引き受けたのも全ては幽連の情報を求めての事になっています。

ちなみにこの羌瘣（きょうかい）の過去にまつわるここまでのエピソードは何巻収録かといえば信と敵として再会する事になる「暗殺者襲来編」「贏政の過去編」が描かれている9巻に収録されたエピソードになっています。

飛信隊に加入した羌瘣（きょうかい）は皆が前を向く中、自身だけが過去に囚われていると考え、過去としっかりと決着をつけるべく、飛信隊を一時離脱します。離脱が描かれたのが何巻かといえば山陽攻略戦後の幕間、23巻です。その為、羌瘣は合従軍編などには未登場となっています。そして飛信隊離脱からおよそ1年後の392日、ついに幽連を見つける事に成功します。

この時羌瘣に協力したのが羌明（きょうめい）です。羌明は羌瘣や幽連達よりも前の祭の蚩尤候補でした。しかし祭への参加を拒み脱走、一族から命を狙われ続ける事になります。しかし羌族と外界との連絡役になる事、一族に尽くす事を条件に赦され「外界で生きる羌族」として今も生きているキャラクターです。羌明の協力、そして幽連との戦いが描かれる事になるのが合従軍編後の幕間、何巻かといえば34巻の事です。

巻数でいえば何巻にも渡って展開されたわけではない幽連と羌瘣の戦いですが、キングダム作中の中でもその戦いは特に細かく描かれています。

羌瘣が幽連の元に辿り着いた時、幽連はまず徒党を組んだ部下達を羌瘣に差し向けます。同じ羌族の出身であり巫舞についても知っている幽連は巫舞の弱点が長期戦に向かない事、乱戦を苦手としている事から敢えて羌瘣をそのような状況に追い込みます。対する羌瘣は少しでも対幽連用に呼吸を残そうと巫舞を使わずになんとかこの乱戦を乗り切ろうと考えます。

しかし蚩尤にこそなっていない物の幽連の部下は手練であり巫舞なしの状態では苦戦する事を察した羌瘣は出し惜しみせずに一気に深くまで呼吸をして瞬く間に彼らを一掃する事に成功します。

しかし僅かな間とはいえ深い呼吸を用いた事は確かに羌瘣にダメージとして残ります。加えてここで羌象は誅殺したとはいえその他の者は実力で倒し、実の妹にまで手をかける祭を超えた経験をしている幽連は、結果的に祭を経験していない羌瘣にはない強さを発揮、特に呼吸の制限がない事、羌瘣よりも深い呼吸が可能である事は羌瘣を大きく追い詰める事になります。

羌族の「巫舞」には禁忌の領域があります。それは「魄領（はくりょう）の禁」と呼ばれそこまで呼吸を深く落としてしまうと意識を取り戻す事が出来ずずっと眠った状態になってしまいます。しかし羌瘣は自身の命と引き換えにしてでも幽連を討とうとこの領域に踏み込んでしまうのです。

しかし羌瘣には過去にその領域に踏み込んだ者を知っていました。それは他ならぬ羌象です。羌象は「魄領（はくりょう）の禁」に踏み込み一時昏睡状態に陥りながらもある方法で無事に生還する事が出来ました。その方法自体は知らなかった羌瘣ですが、実際に自分が踏み込んだ事で知る事になります。それが羌族では「断ち切る物」として教わる「他者との強い繋がり」です。羌象は羌瘣という存在によって戻る事が出来たのでした。

羌瘣にとってその強い繋がりとは「飛信隊」に他なりません。こうして「魄領（はくりょう）の禁」に踏み込んだ羌瘣の覚醒により幽連を討ち取る事に成功するのです。

元々羌瘣は復讐の為だけに生き続けていました。復讐を果たした後は自刃するつもりでいたのです。しかし羌瘣には帰るべき場所がありました。それはもちろん飛信隊です。こうして羌瘣は飛信隊に復帰を果たす事になるのでした。復帰の際には新たな目標として「大将軍」になる事を掲げ信をも上回る速度で昇進を重ねていく事になります。

ちなみに幽連の遺体は羌族に見つかってしまうと次の蚩尤を決める為の祭が開催されてしまう為、羌瘣が羌明に頼んで見つからない所に埋めてもらいました。

幽連自身は上記でも紹介したように34巻での羌瘣との戦いによって死亡しています。キングダムでは基本的に死亡したキャラクターが再登場する例は回想などかなり限られた場面ですが、幽連も何巻にも渡る沈黙の後、再登場を果たす事になります。それは何巻での事かといえばキングダム58巻、朱海平原決戦編で描かれました。この戦いにて信はついに因縁深い龐煖を倒す事に成功します。しかし信自身も深くダメージを負い、倒れてしまうのです。

しかしそこで羌族に伝わる禁術を用い、信を救おうとしたのが羌瘣でした。羌瘣が精神世界に入り込み信を救おうとする中、姿を見せたのが羌象と幽連でした。2人はそれぞれにこの術のリスクを語り、幽連は羌瘣が寿命の半分を使っても10分の1の確率でしか助けられないと話し、羌瘣に術を止めるように言います。しかし自らの命を全て差し出しても良いと即断した羌瘣に最終的に術を発動させる役割をになっていました。

また幽連という蚩尤を失った羌族ですが、その後、何かしらの方法で幽連の死亡を知ったようで次の祭が開催される事が発覚します。発覚したのは何巻かといえばキングダム56巻のおまけ漫画であり、幽連が死ぬ間際に残した「次の蚩尤がお前を殺す」という言葉もあって今後キングダムの中でこの祭で生き残った者が羌瘣の前に現れるのかも知れないと考察されています。

羌瘣の過去編にて登場する幽連は既にアニメキングダムにも登場したキャラクターです。アニメキングダムにて幽連の声優を務めたのは2000年代後半から声優として活躍する岡田栄美さんです。アミューズメントメディア総合学院声優学科を卒業して声優としてデビュー、2009年からマウスプロモーションに所属しています。

岡田栄美さんがこれまでに出演した作品としては「アイカツスターズ!」の八千草桃子役、「ジョーカー・ゲーム」のエレーナ役、「宇宙戦艦ヤマト2199」のベリス・ライチェ役、「RDGレッドデータガール」の中村可南子役、「屍鬼」の井崎聡子役、「セキレイ」の豊玉役などがあります。

ここからは既にキングダムを視聴した人の幽連に関しての感想を紹介していきます。幽連は実際に戦うのは羌瘣との戦いだけであり何巻にも渡って活躍したキャラクターとは言い難いですが、その強さはキングダムでも屈指の強さを誇っているのではないかとする声が多いキャラクターです。戦場での活躍はもちろん暗殺者として活動する場面も見てみたかったという声も多くなっています。

羌瘣にとっても幽連との戦いは復讐であると同時に1つ巫舞の壁を超える戦いになっています。それは無理を重ねる事でもあり、羌瘣の身体を心配する声も多いです。またそんな幽連の強さをも上回ってくる龐煖の強さが幽連を超える強さを持ってしても敵わない事が証明されており、実際に他のキャラクターと戦う場面が見れなかったのが残念という声も多くなっています。

幽連は既にアニメには登場していますが、登場したのはあくまでも羌瘣の過去編であり、まだ羌瘣と幽連の戦いはアニメ化していません。ちょうどアニメ3期にて2人の戦いの直前のエピソードである合従軍編が展開されている事から最終話付近で映像化してほしいという声も非常に多くなっています。ただ合従軍編が何巻にも渡る長編エピソードであるだけに幽連と羌瘣の戦いまで含まれるか不安視する声も多いです。

幽連はその存在は比較的早い段階に登場しつつ、34巻にてついに羌瘣と対峙した因縁の相手です。2人の戦いは何巻にも渡る戦いが多いキングダムにおいては比較的短めながらも2人の過去や強さにつながる部分がしっかりと描かれている事、後々描かれる事になる羌瘣と龐煖の戦いの伏線にもなっていると言われる重要な戦いになっています。

羌瘣というキャラクターを語る場合はもちろんキングダムのテーマを体現しているという声も見られる程に重要な位置にいるキャラクターなのでまだキングダムを視聴していないという人は幽連にも注目しながら視聴してみてはいかがでしょうか？