2019年11月15日公開
2019年11月15日更新
【どろろ】未央(みお)と百鬼丸の関係とは?出会いから悲しい結末まで考察
「どろろ」に登場する薄幸の美少女未央(みお)についてまとめる。未央(みお)はメインキャラではないが、百鬼丸の初恋の相手として重要なキャラクターである。体のパーツを鬼神に奪われた百鬼丸はそれを取り戻すための旅に出る。旅の途中でどろろと出会い二人旅となる。耳を取り戻した百鬼丸が初めての音に悩んでいた時に出会ったのが未央(みお)である。彼女の歌や優しさに百鬼丸は初めての恋をする。しかし結末は未央(みお)の死亡という悲しいものになった。
どろろの未央(みお)とは?
どろろの作品情報
どろろのタイトルは百鬼丸を慕う小さな子供の名前である。実写映画化された時は百鬼丸を妻夫木聡、どろろを柴咲コウだったために、年齢設定が少し変えられて上映された。体のパーツ48か所を奪われて生まれてきた百鬼丸。作者の手塚治虫は、ブラック・ジャックでも医師免許を持つ漫画家としての知識を披露したが、体のパーツを失った百鬼丸の表現には医師だから描けると評判になった部分もあった。
アニメ化作品は下でも触れるがパイロット版を含めて3作品。手塚治虫を慕う漫画家たちによってパロディまたはオマージュと言われるどろろが描かれている。永井豪・藤子不二雄など多くの人が名前を知る昭和の人気漫画家たちである。
どろろの概要
「どろろ」は小学館「少年サンデー」に手塚治虫により、1967年35号から1968年30号に約1年間連載された。その後1969年5月号から6月号にかけて秋田書店の「冒険王」に移り、連載を続けこちらで連載終了となった。しかし中途半端な終わり方になった。テレビアニメ化は1969年と2019年にされている。まだテレビがモノクロの時代、1969年に製作され放送されたのが最初である。
1969年のテレビアニメでは、漫画では描かれていない最後の魔物を倒すところまで全26話で描かれた。1969年のテレビアニメは途中からタイトルが「どろろと百鬼丸」に変わった。2019年版では2クール24話で放送された。2019年版のアニメは大筋は手塚治虫の作品どろろであるが、ところどころ手が加えられている。今回のまとめででてくる未央(みお)は2019年のアニメ5話と6話で登場する。
テレビアニメとしては、1969年版(モノクロ)と2019年版の2点であるが、1969年版が作られる前に虫プロダクションでパイロット版として、原作に近い画風で作られている。1969年版のアニメがモノクロなのに対して、パイロット版はカラーで作られた。高度成長期のこの時代、各家庭にカラーテレビが普及し始めた頃である。
この当時のアニメ作品もモノクロ、カラーと混合していた時代でもある。「魔法使いサリー」というアニメに至っては途中からカラー作品になり、再放送するときには初回からの放送はされず、カラーになってからの分からの再放送がされていた。フジテレビ系列で放送されていたどろろがその後、再放送されないのはモノクロ作品だからではないかという推測もある。
どろろのあらすじ
どろろが描かれた時代は1400年頃の戦国時代、加賀の国(石川県)が舞台と言われている。窮地に追い込まれた醍醐景光が鬼神に繋がる寺で「生まれてくる子供と引き換えに力を与えてほしい」と願っているところから始まる。醍醐景光の願いはかなえられ、産まれてきた子供は体のあちこちが欠けた手も足も目の位置、口の位置などに穴の開いた子供が生まれてきた。
醍醐景光は生まれてきた子供を禍々しいものを見るような目で見て、嫌がる妻の手から奪い取り家臣に川に流させて死亡したものとした。流された子供には運命の出会いがあった。それは医師である寿海との出会いである。あるべき体のパーツを作り成長にあわせて義足・義手などを作った。子供は百鬼丸と名付けられ寿海の息子として育てられた。
成長する百鬼丸は見えない目ではあるが気配を感じ取り動ける能力がある。戦国の時代を生き抜くために寿海は、剣術を教えた。義手には刀を仕込み、腕自体が刀になる百鬼丸の体を作り上げた。そんな時百鬼丸は化け物に襲われる。化け物を倒した時、百鬼丸の失った体の一部が体に戻った。この結末から考えて化け物を倒せば、百鬼丸の体は戻ってくるという結論を出した。
百鬼丸は自分の体を取り戻すための旅に出た。旅の中で、鬼神に襲われていたどろろを百鬼丸が助けたことが二人の出会いだった。この出会いの後、どろろは百鬼丸を慕い二人の旅が始まった。今回の未央(みお)と出会いのあるストーリーはどろろと百鬼丸の旅の途中の出来事である。
・未央(みお)のプロフィール
百鬼丸が魔物たちに奪われた全部で48の体のパーツ。それを取り戻す旅の途中で出会った美しい少女がみお(未央)だった。戦乱の世の中、あちこちの焼き払われたり、つぶされたりした村には体に傷を負った子供達がたくさんいた。みおはそんな子供達と御堂に住んでいた。家族がみんな死亡してしまい、身寄りがない者同士が寄り添って暮らしていた。
戦乱に巻き込まれて、体の不自由な子供達のためにみおは、ひとりで頑張っていた。子供達を支えるためにやさしくて、時に厳しい言葉もいうけれどしっかりと生きているたくましい女性である。魔物に体のパーツを奪われていた百鬼丸の目はみえていない。見えない目で百鬼丸はみおは、心を映すように美しい女性だと思っていた。
みおもまた戦乱によって家族を失い、本当の家族は死亡している。みおが育てている体の不自由な孤児たちが、今のみおの家族なのである。
未央(みお)の仕事
体の不自由な幼い子供達のためにみおは、食べ物を調達してくる。みおはこの食べ物をどこから調達してくるのか、みおは何か仕事をしているのかを確認した。みおの仕事については2つのキーワードがある。「私はいやらしい女の子」「雑兵の陣屋に行って食べ物をもらうの」とみおは自分のしていることを語る。けれど百鬼丸はそれが何を意味しているのかは分からない。
みおの仕事を現代風に言えば「援助交際」である。あちこちで戦に駆り出され陣屋に押し込められている雑兵たちに体を差し出していたのである。自分の体を取り返すために百鬼丸は剣術は習っていても男と女の事はまだ知らなかったので、みおの言っている仕事の中身が分からなかったのである。
このみおの仕事について原作も1969年版のアニメも言葉だけで詳しく説明されることはなかった。しかし2019年版ではみおが育てている子供達の最年長のたけ坊か「ら夜の仕事をしている」とどろろが聞かされるシーンがある。たけ坊が中身を理解しているかは説明されなかったが、どろろは今よりももっと幼い日、父が死亡し苦労している母親がそれだけはしないと決めていた仕事だという事をどろろは理解するシーンがある。
さらに2019年のアニメの中でみおが、男たちに体をゆだねている場面をどろろが見てしまうシーンも描かれた。これは雑誌掲載は少年誌、1969年のアニメは当時「ゲゲゲの鬼太郎」や「河童の三平」などの妖怪作品として子供向けに作られたため、性的な表現を避けたと言われている。東京MXで夜22時以降に放送された2019年版「どろろ」は大人をターゲットにした作品になって、言葉で濁した場面が映像化されたと言われている。
どろろの未央と百鬼丸の関係
未央と百鬼丸の関係①出会い
百鬼丸は体のパーツを鬼神に取られ目もまだ義眼である。2019年のアニメ版では目が見えない代わりに、第六感で魂の色が見える設定になっている。これまではその第六感は相手の敵意を感じるために使っていた。旅の途中でどろろと百鬼丸は出会い、二人旅をしていた。その中で鬼神と出会い戦って、百鬼丸は耳を取り戻した。はじめて聞く外の音との出会いは、百鬼丸を苦しめた。
音に苦しむ百鬼丸の耳に優しい歌声が聞こえてきた。百鬼丸は声のする方に歩みを進めると川に足をつけてみおが歌を歌っていた。みおの前に進み出る百鬼丸、そんな百鬼丸にみおは優しく微笑んだ。これがみおと百鬼丸の出会いである。百鬼丸はそのまま川で倒れ込んでしまった。どろろやみおたちに助けられ、百鬼丸が目を覚ましたところはみおが住む経堂(古びた荒れ寺)だった。
未央と百鬼丸の関係②初恋の相手?
村を焼け出され、体に傷を負い不自由な体になってしまった子供達をみおは優しく面倒を見ている。百鬼丸は自分の体のパーツを奪った鬼神を探す旅だったのも忘れたかのように、経堂にとどまる。もちろん一緒に旅してきたどろろも一緒にである。百鬼丸は優しくあたたかなみおの魂と出会い、いつしか恋をしていた。縁もゆかりもないはずの子供達に好かれているみおを、百鬼丸もまた好きになってしまったのだった。
百鬼丸は「みおが好きだ」と打ち明ける。けれど…みおは「わたしはいやらしい女の子」と言って百鬼丸の告白を涙を流して断り、受け入れることはなかった。
どろろの未央と百鬼丸の悲しい結末
悲しい結末①足軽に殺害され死亡する未央
みおと子供達にはいつか自分たちの田んぼや畑を持つという夢があった。その夢のために戦場で拾った刀を集めていた。百鬼丸はどろろとの旅についてくる目の見えない琵琶丸に教えられた場所で鬼神と戦っていた。その時は敗れ足を失ったが、死亡は免れた。みおの看病と子供達が集めてきた刀を足にはめて、再び鬼神との戦いに向かう。
どろろは百鬼丸が気になって様子を見に行った。鬼神を倒した百鬼丸は今度は声を取り戻した。けれど百鬼丸とどろろが振り返るとみおたちがいる経堂から火の手が上がっている。二人が駆け付けた時、みおも子供達も死亡していた。みおは子供達のために近くの雑兵だけでなく、敵対する雑兵の所にも行って稼いでいたのである。しかしそれをいつもの雑兵たちに見られていた。
足軽にみおは敵のスパイだと疑われ、子供達も一緒に足軽に殺されるという結末を迎えてしまった。「子供達との夢を少しでも早く叶えたい」みおがそう考えた結末はあまりにも悲しすぎる結末である。
悲しい結末②百鬼丸の怒り
声を取り戻し、どろろと戻ってきた百鬼丸は、みおや子供達をこんな目にあわせた足軽たちを次々に死亡させた。どろろはそんな百鬼丸が鬼になってしまいそうな気配を察し、百鬼丸を止めた。そしていつかみおが子供達と田んぼを始めた時に植えたいと言っていた種の入った袋を手渡す。
その袋を見た百鬼丸は怒りに支配されて鬼になりかけていたのだが、我に返った。そして死亡した体が見つかったみおと、みおを一番支えていた年長の子供たけ坊の体を並べて墓を作り弔った。声を取り戻した百鬼丸はみおの亡骸を抱きしめて「み…お」と呼んだのが、百鬼丸の初めての言葉となった。
どろろの未央のアニメ声優
水樹奈々のプロフィール
未央(みお)の声を担当したのは、年末の紅白歌合戦にも出場したことのある水樹奈々である。声優としての人気はあまりアニメを見ない人でも知っている程の知名度がある。水樹奈々は1980年1月21日愛媛県出身、153㎝と小柄でありながらパワーあふれる声優である。父親が歌手志望だったため、家に作ったカラオケ教室で演歌歌手となるように鍛えられた。
のど自慢などに出場し、それに目をつけた事務所からスカウトされ高校入学を機に上京した。多くの芸能人が卒業している堀越高校に入学し、堀越高校内で優秀な生徒に送られる賞も受賞するほどに頑張り卒業した。17歳でゲームの声優としてデビューするが事務所の倒産・次の事務所でセクハラを受けるなど、デビュー当初は苦労も多かった。
歌手・声優としての仕事は順調に進み、2004年には10作目のシングルCDである「innocent starter」が初めてオリコンの週間ランキングでTOP10入りした。その後も単独の声優としては初めてオリコン1位を取るなど快進撃ともいえる活躍を見せる。2009年声優としては、初めて紅白歌合戦に個人で出場が決まった。水樹奈々の活躍により、その後声優のグループが紅白歌合戦に出るなど先駆者として功績を残した。
水樹奈々の主な出演作品
歌手としての偉業も大きな水樹奈々であるが、本業の声優としての活躍も人気が高い。ここではファンが選ぶ水樹奈々の演じた役柄の人気ランキングを下記引用で紹介する。ゲーム作品・テレビアニメ作品どちらも高い人気である。
1位 フェイト・テスタロッサ(フェイト・T・ハラオウン) 『魔法少女リリカルなのは』
2位 風鳴翼 『戦姫絶唱シンフォギア』
3位 花咲つぼみ/キュアブロッサム 『ハートキャッチプリキュア!』
4位 日向ヒナタ 『NARUTO -ナルト-』
5位 アンジュ 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』
どろろの未央に関する感想や評価
「どろろ」みおがすごく可愛い&声が奈々様…‼︎
— なぁね (@na4sao3) February 4, 2019
歌はアカペラでもウットリの歌唱力で、心根も容姿も美しい分、戦に巻き込まれて障害を負った子供達を食べさす為とはいえ夜な夜な兵士に体を売っているシーンの対比がえぐい。
しかも最中に歌ってて、歌が彼女の辛さを紛らわす象徴だと思うと辛い。
戦国時代に限らず、日本も戦後生きるために、家族のために体を売ってお金を稼いだ女性たちがいる。作中どろろは、そんなみおを理解する。けれど体を売る行為はみおにとって辛い仕事だった。それを紛らわすために歌う。幸せになってほしいと願う百鬼丸たちの願いもむなしく、みおは死亡という悲しい結末になってしまった。
最後まで最後の最後まで歌うのね、、みおねぇ😭😭
— しぃ🐻 (@shii_nm7) February 11, 2019
"泣きそうになったら歌うの。泣く代わりにねっ。"
最後涙こぼれたよね、辛かったよね。強かったみおねぇ強かったよ。
そしてただただほんとに奈々さんが凄いです、最後のこの歌い方、、😭#水樹奈々 #どろろ #ミオ pic.twitter.com/zemX0V6KYs
体は汚れながらも夢のために頑張ったみおの死亡という結末が描かれる。あまりに悲しすぎる結末に涙したという声も多い。死亡する間際にうたうみおの歌、百鬼丸を虜にしたその歌を歌う水樹奈々の力量も評価された。
#出遅れ愛#どろろ
— hatori.co (@hatori_co) November 13, 2019
出遅れたけど、どろろ愛少しずつ発散させたいな。
百鬼丸見てると母性本能くすぐられる。
二人のおっかちゃんの気持ちが痛いほどよく分かる。
どろろもみおも愛おしい。#百どろ#百みお
どっちも尊い。
どろろは、百鬼丸が最後の体のパーツを取り戻す結末まで、切ないシーンが多い。そういう百鬼丸に母のような母性本能を持ってしまうという感想も多くみられた。死亡してしまったみおの百鬼丸への想いは、は恋だったのか、それとも強すぎる母性本能だったのかという意見もあった。
どろろの未央と百鬼丸の関係まとめ
手塚治虫の作品「どろろ」の中から百鬼丸の初恋とも言うべき未央(みお)の物語をまとめた。手塚治虫作品には肢体不自由者な登場人物が出てくる作品がある。昭和の時代は文章・テレビ・ラジオであっても書くことのできた差別用語とされた言葉で描かれている。手塚治虫の原作を読むと、差別用語が書かれている事が示されている。これは漫画の神さまと言われた手塚治虫の作品への敬意である。
差別用語だからと言って、セリフを直すわけにはいかないと、後世の編集者たちがそのまま残したのである。しかしテレビアニメでは差別用語はつかわれない。戦乱の後、多く存在した肢体不自由児たちは戦が生み出したものである。みおと百鬼丸の物語は、反戦の作品とも言われている。このまとめを読んでどろろに興味を持った人は、原作・アニメなどをチェックしてみてはいかがだろうか。