どろろが打ち切りになった理由を考察!未完の名作を原作漫画・掲載誌・アニメ別に紹介

『どろろ』とは手塚治虫が『週刊少年サンデー』で連載していた漫画作品ですが、打ち切りとなったため未完となっている名作です。連載が終了したのが1969年であり50年ほど前になるため打ち切りの理由についてははっきりしておらず、ファンによって様々な考察がされています。そこで今回は『どろろ』の打ち切りの理由を徹底的に考察するとともに漫画の詳細を解説します。また、連載終了後に製作されたアニメ・ゲームなどのメディアミックス作品についても触れていきます。

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目次

  1. どろろは未完の打ち切り漫画だった?
  2. どろろの打ち切り理由とは?
  3. どろろはアニメも打ち切りだった?
  4. どろろはゲーム版と映画版も未完?
  5. どろろの舞台がある?
  6. どろろに関する感想や評価は?
  7. どろろが打ち切り・未完となった理由まとめ

どろろは未完の打ち切り漫画だった?

手塚治虫が描く未完の名作漫画

手塚治虫の妖怪漫画

『どろろ』とは手塚治虫による漫画作品で、1967年から8月27日から1968年7月21日まで『週刊少年サンデー』で連載されていましたが休載となり、1969年からは『冒険王』で連載が再開しましたが半年で打ち切りとなりました。最終話では一応の完結とされましたが物語的には未完となっています。単行本は全4巻となっており、加筆が加えられて発売されましたが、やはり物語は途中で終わるかたちで結局は未完のままとなりました。

しかし『どろろ』は近年になってアニメやゲーム、映画や舞台など様々なジャンルにメディアミックスされるようになってきており、原作漫画は未完となっていますが、それぞれの作品でそれぞれの完結を見せています。ちなみに『どろろ』というタイトルは、手塚治虫の友達の子供が泥棒の事を『どろろう』と言った事をヒントにしたと本人が記した記述があります。

どろろのあらすじ

時は室町時代、出世を夢見る武将・醍醐景光はとある寺で48体の魔物に天下取りを願いました。すると魔物達は醍醐景光の願いを聞き入れる代わりにこれから生まれる醍醐景光の息子を生贄に捧げるように言ってきます。醍醐景光が了承すると、その後生まれた息子は身体の48か所が欠損した状態で、もはや人間と呼べる姿では無かったため化け物とされて川に捨てられてしまいました。

川を流れていた赤ん坊は瀕死の状態となっていましたが、医者である寿海に偶然目撃された事で拾われ、欠損している48か所を義手や義足などといったもので埋める大手術を行い、無事命が助かりました。赤ん坊はそのまま寿海に育てられ、14歳になると百鬼丸という名前を与えられて、自分の身体を取り戻すために妖怪退治の旅に出る事にします。そして百鬼丸は途中で子供の盗人どろろに出会い、2人で旅をする事になっていきます。

どろろの冒険王版の結末

『冒険王』で連載されていた『どろろ』の結末は、百鬼丸が魔物に奪われた身体の48か所を使って作られた人間がどろろであるという衝撃的な事実が判明します。この時に百鬼丸はまだ全ての妖怪を倒し終わっていませんでしたが、どろろを殺せば全ての身体を取り戻せる事になります。百鬼丸は苦悩しますが、結局はどろろを倒す事はとても出来ず、どろろと別れて改めて1人で48匹の妖怪を倒す旅に向かうというシーンで終わります。

どろろの少年サンデー版の結末

『週刊少年サンデー』での『どろろ』の結末は、百鬼丸はまだ全ての魔物を退治していないながらもどろろと別れて生きる事を決め、どろろが涙を流しながら別れを惜しむというものでした。その後、百鬼丸は一生かかっても不可能と言われながらも魔物退治の旅を続け、どろろは戦によって壊滅状態になってしまった国を立て直すために生きていくという、それぞれの道を歩んでいきました。

味方によれば感動的な結末となっていますが、百鬼丸の身体が全て元に戻っておらず、息子である百鬼丸を欲望のために生贄に捧げた醍醐景光も戦いの末に結局は生き延びているため、すっきりしないという読者は少なくありません。

どろろが実は女の子という設定

主人公である百鬼丸の相棒・どろろは物語序盤では男の子かと思われていましたが、実は女の子です。作中でどろろが女の子ではないかと読者に感じさせ始めたのは、どろろが気絶している間に百鬼丸が身体を拭いてあげ、気が付いたどろろが身体を触られた事に激しく怒っていた時や、訪れた村の娘を百鬼丸が綺麗だと称した時にどろろがヤキモチを妬いていた時で、百鬼丸もどのタイミングかでどろろが女の子だと気付いたようです。

また、前述した『週刊少年サンデー』の結末で、別れを告げた百鬼丸に対してどろろが『はくじょう者ッおいらの気持ちも知らねえで』と言っているシーンがあり、どろろが百鬼丸に対して恋心、もしくはもっと特別な感情を抱いている事が分かります。

百鬼丸とみおの恋が悲しい

百鬼丸にはみおという初恋をした女性がいました。百鬼丸がびわ法師によって連れてこられた場所は障害を持つ子供達が暮らす小さな村でした。子供達は自分の身体に負い目など感じておらず、笑顔で元気に暮らしていました。それもみおが子供達の親代わりとなって食事と愛情を与えていたからで、そんなみおの姿を見た百鬼丸はすぐに好意を抱き、告白をします。ところが、みおは自分は汚らわしい女だと言います。

みおは雑兵達に身体を売る事で食べ物を貰い、子供達を育てていたのです。そんな事は関係無いと言う百鬼丸は、みおを一生かけて幸せにすると誓います。しかし、百鬼丸がある日に剣の修業から村に戻ると、侍達によってみおと子供達が全員殺されてしまっていました。侍達がみお達が村を立ち退かなかった事で皆殺しにしたという事を聞いた百鬼丸は、みおの亡骸に口づけを交わし、鬼となって侍を1人残らず倒していきました。

ブラックジャックの前進漫画?

手塚治虫が原作を務めている有名漫画『ブラックジャック』は、『どろろ』が前進になっているとファンによって考察されています。なぜなら『ブラックジャック』に登場するピノコはブラックジャックに普通の人間の身体にしてもらう手術を受けており、寿海にまともな身体にしてもらうという百鬼丸の設定と酷似しているからです。そのため、『ブラックジャック』のファンは『どろろ』の作風も好みになる事も多くなっています。

異例の漫画作品「どろろ梵」

『どろろ梵(ぼん)』とは道家大輔が『ヤングチャンピオン』で2007年から2009年まで連載していた漫画作品で、単行本は全4巻となっています。手塚治虫の『どろろ』を原作としていますがほとんどオリジナルストーリーで、500年後に女性として輪廻転生した百鬼丸と妖怪になってしまったどろろを中心に描かれています。梵とは妖怪に憑りつかれた事で半妖怪となったヒロインである中学生の女の子の名前です。

TVアニメ「どろろ」公式サイト

どろろの打ち切り理由とは?

連載時は人気がなかった

手塚治虫が『週刊少年サンデー』、『冒険王』で連載していた『どろろ』は名作とされて近年リメイクが多く製作されていますが、連載時は不人気であった事が打ち切りの大きな理由となっています。時代劇と妖怪ものの融合作である『どろろ』は今までに無かった作風となりましたが、当時の子供達からは受け入れにくい作品であったと考えられています。

ホラーサスペンス

ダークファンタジーものである『どろろ』は百鬼丸と48体の魔物との戦いを描いており、多くの妖怪が登場するためホラーサスペンスのジャンルにも位置付けられます。『週刊少年サンデー』や『冒険王』は少年層をターゲットにした漫画雑誌でしたが、怖い妖怪や魔物達はその当時の子供には怖すぎたため受け入れたれなかった事が打ち切り理由として考えられます。

暗すぎる世界観

『どろろ』の大きな打ち切り理由として世界観が暗すぎる事も挙げられます。『どろろ』の主人公・百鬼丸は魔物に身体の大部分を奪われて生まれてきただけでなく実の父親に捨てられるという生い立ちから始まり、愛する人の死や父との殺し合いなど過酷な経験をしていきます。

『週刊少年サンデー』や『冒険王』だけでなく、漫画界が全体的に明るい物語が流行っていた事もあり、『どろろ』のようなダークファンタジーは当時の子供達には受け入れられなかったと考えられます。

グロ要素で規制?

『どろろ』は百鬼丸が身体を取り戻すために多くの魔物と戦っていきますが、醜悪な見た目をした魔物が多いうえに百鬼丸に刀で切られる時の血しぶきなどがグロすぎるため、近年では原作漫画をそのまま実写化する事は難しくなっており、残虐な表現がかなり抑えられています。『週刊少年サンデー』や『冒険王』は少年誌であるため、グロい要素のある作品は人気にならず、打ち切りの大きな理由になったと考えられます。

寿海の後悔と打ち切り

寿海は百鬼丸に義手や義足などの身体を与えて立派に育て上げましたが、実は寿海は『どろろ』の打ち切りの理由になっていると考察しているファンがいます。寿海は物語の序盤に耳を切り落とすというシーンがありますが、これは『凌遅刑(りょうちけい)』と呼ばれる処刑方法で、身体の一部分を少しずつ切り刻んでいくというものです。

しかし『凌遅刑』は1904年に行われたものが最初と言われており、『どろろ』の時代設定である室町時代とは合致しないため、手塚治虫がこの時代設定の矛盾に気付いた事が理由で、自ら打ち切りを申し出たという可能性があります。

どろろはアニメも打ち切りだった?

どろろのアニメ版の結末

『どろろ』は1969年にアニメ化され、ゴールデンタイムである19時半からの放送でしたが、原作漫画と同じく暗い内容であったため全26話で終了しています。放送開始直後から視聴率が低迷し始め、手塚治虫もアニメ版はもう少し明るい内容にするように製作スタッフに申し出てギャグ要素も組み込んだそうですが振るわず、『週刊少年サンデー』での原作と同じくアニメ版も放送開始と同年に打ち切りとなってしまいました。

妖怪が怖過ぎる

『どろろ』は妖怪が怖過ぎた事が原作漫画が人気とならずに未完となった大きな理由となりましたが、アニメ版も同様で、なお且つそんな怖過ぎる妖怪達が動き回ったり血しぶきをあげて死んでいくというシーンも多くあったため、子供達がアニメを観たがらなかったようです。

2019年版アニメのどろろ

『どろろ』はアニメ版第2作目が2019年1月から放送開始されました。当初は手塚治虫タッチの絵での製作が考えられていましたが、結局はオリジナリティーのあるタッチで描かれています。キャラ設定も多くの変更があり、原作漫画では百鬼丸の奪われた身体の部分は48か所でしたが、アニメ版では11か所とかなり少なくなっています。また、原作漫画では大人びていた百鬼丸の性格も、アニメ版では未熟児ように幼く描かれています。

百鬼丸の声を担当しているのは俳優の鈴木拡樹で、どろろの声を担当しているのは子役タレントの鈴木梨央ですが、百鬼丸は物語の序盤は声帯を失っている状態のため、鈴木拡樹の声が聴けるのは声帯を取り戻した5話からとなっています。

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どろろはゲーム版と映画版も未完?

評価が高いゲーム版

『どろろ』は1989年にPCゲームが発売され、物語は原作漫画の続編を描いているというもので、絵柄も手塚治虫のものに似せて作られている事が特徴でした。また、2004年にはアクションアドベンチャーゲームとしてPS2でのゲームも発売されました。

PS2版の特徴は原作漫画で48体の魔物であった敵が48体の魔神に変更されている事や、百鬼丸が目を取り戻すと白黒映像からカラーになったり、足を取り戻すと走れるようになったりする事で、少しずつ身体を取り戻していくという面白さが受けた事で高評価のゲームとなっています。

ゲーム版はハッピーエンド

2004年のゲーム版は48体の魔神全てと戦う事が出来る事が特徴で、48体目の最後の魔神はどろろの身体の中に一体化して潜んでいます。百鬼丸は長い旅の末にどろろの身体から魔神を引き出す術を会得し、大人の女性となったどろろから魔神を引き出して戦い、死闘の末に倒します。この事でどろろが死ぬという事は無く無傷で生きており、百鬼丸も存命しているという未完であった原作漫画とはまるで違うハッピーエンドとなっています。

映画版はどろろが成人女性

『どろろ』は妻夫木聡主演で2007年に映画化されました。柴咲コウ演じるどろろは小学校低学年ほどの年齢とされていた原作漫画とは違い成人女性となっており、百鬼丸とどろろの年齢にあまり違いが無いという設定でした。

映画版も続編はなく未完

映画版『どろろ』も『週刊少年サンデー』や『冒険王』の『どろろ』と同じく未完となっています。映画版のラストシーンでは百鬼丸が自分を捨てた父・醍醐景光と戦って倒しますが、まだ24体の魔物が残っているためどろろと共に旅を続けるというところで終わります。

どろろの舞台がある?

百鬼丸役はアニメと同じく鈴木拡樹

『どろろ』は2004年に『新浄瑠璃 百鬼丸』という題で舞台化され、2019年5月からも上演予定となっています。2019年版で百鬼丸を演じるのはアニメ版で声優を務めている鈴木拡樹です。

どろろ役は元NGT48の北原里英

2019年5月に上演予定の『新浄瑠璃 百鬼丸』でどろろ役に抜擢されているのはアイドルグループ『NGT48』の元メンバー・北原里英です。北原里英は映画版の『どろろ』を観た事があり、好きな作品だったのでどろろ役に決まった時はとても嬉しかったと語っていました。

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どろろに関する感想や評価は?

原作漫画『どろろ』での百鬼丸とどろろの関係が可愛すぎるという感想があります。2019年から放送されているアニメ版をはじめ多くのリメイクが製作されている『どろろ』ですが、原作漫画での百鬼丸とどろろは一緒の布団で寝るほど仲が良く、見ていると微笑ましいシーンが多くあります。

2019年1月から放送開始したアニメ版によって『どろろ』は人気と知名度が急上昇しており、多くの絵師が『どろろ』の登場人物の絵を描いています。特に百鬼丸とどろろは特に人気ですが、百鬼丸の弟である多宝丸も負けずと人気のようです。

『どろろ』には百鬼丸やどろろだけでなく、多くのキャラクターが登場しますが、やはり主人公である百鬼丸の人気は高く、ロングヘアーの似合うイケメンという事も相まって多くのファンから支持されています。

どろろが打ち切り・未完となった理由まとめ

手塚治虫が原作を務め、『週刊少年サンデー』や『冒険王』で連載されていた『どろろ』が打ち切り・未完となった理由について考察してきましたが、ダークファンタジーとしての暗い作風が当時は受け入れられなかった事が大きな原因となっている事が分かります。ですが近年になって多くのリメイク作品が製作されており、名作としてファンから人気を集め続けている『どろろ』はこれからも愛され続けていくでしょう。

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