2019年11月14日公開
2019年11月14日更新
【ベルセルク】完璧な世界の卵の正体は?ガッツと同じ刻印が刻まれている理由は?
完璧な世界の卵が出ているシーンは、ベルセルクの中でも、涙なくして見ることができない名場面と言ってもいいでしょう。そこには、人間が本能的に求めている原点が、緻密に描かれています。作者のキャラクターへの愛情を垣間見ることができるシーンでもあるため、この物語の世界観を楽しむことができるのです。そこで、完璧な世界の卵の舌にガッツのような刻印がある理由や彼の正体、彼が使徒に転生した理由などをご紹介します。
目次
完璧な世界の卵が登場するベルセルク
完璧な世界の卵は、小さな頃から一人孤独に生きていました。そんな彼は、誰かに育ててもらった記憶もないようです。物心ついた頃には、アルビオン修道院の周辺で同じような境遇のネズミなどと一緒に、残飯や食いカスを漁って命を繋いでいました。彼は人間でしたが人間らしい生活は当然できないため、次第に文化からは取り残されて、教養も身に付けることができないため、野人になっていくしかありませんでした。
完璧な世界の卵は、どのような経緯でそのような境遇になったのかは定かではありませんが、ただ生き延びるために日々を過ごす生活を続けていました。そのうちに自分が誰で、どのような感情を持っているのかもわかんらなくなります。しかし、一度だけ勇気を出して周囲の人との関りを試みました。結果は散々で、化け物扱いされたあげく、追い払われてしまったのです。
その後は、大きな穴を掘って身を隠すように生活をします。しかし、そんな彼をさらに悲劇が襲います。彼の住居の穴は、周囲に住む人間の墓穴にされてしまったのです。次第に死体の骨に押しつぶされていく彼は、後は死を待つだけとなります。その時、ゴッドハンドが現れ、彼を使徒に転生してくれたのです。そんな完璧な世界の卵の正体やガッツと同じ刻印が刻まれている理由をご紹介します。
ベルセルクの概要
ベルセルクは、1989年10月~三浦健太郎によって不定期に連載された日本の漫画です。はじめは月刊アニマルハウスから連載がスタートしますが、その後はヤングアニマルで連載されました。この物語は、20年以上に渡って連載された漫画ですが、作者の過労などによって年単位で休載することもあったのです。しかし、作者は、休載中も必死にこの物語を描き続け、なんとか死ぬまでに頭の中の物語を描き切りたいと思っています。
この物語は、中世ヨーロッパを舞台に、一人の孤独な剣士の復讐の旅を描いたダーク・ファンタジーです。自分の身体よりも大きな刀を携えて、傷だらけの身体で使徒と戦っていきます。タイトルのベルセルクは、キリスト教化する前の神話に基づいた北欧神話の狂戦士伝説が由来となっているのです。生まれた時から過酷な人生を歩まざる負えなかった主人公ガッツの壮絶な人生を緻密に描いています。
作者は、主人公やその他のキャラクターの内面の感情を繊細に描いているため、悲劇的な展開も重厚な絵でリアルに描かれました。そのため、感情移入してしまう人も多く、多くの共感を呼び、世界中で愛される漫画となります。2018年には、単行本で累計4000万部を発行し日々記録を更新中です。漫画以外では、テレビアニメ化やトレーディングカードゲーム、コンピューターゲームなどでも楽しめます。
ベルセルクのあらすじ
この物語は、黒い剣士と呼ばれている主人公が、自分の身体よりも大きな刀を振り回して使徒と戦いながら、ゴッドハンドを探し出す旅を描いています。主人公のガッツは、生い立ちも壮絶で暗い闇と大きなトラウマを抱えていました。彼が復讐の旅を続けるのは、過去にあった様々な事件や問題を克服するためでもあります。孤独な旅をしていた彼は、途中妖精のパックと出会い、一緒に旅をすることになりました。
黄金時代では、彼の生い立ちからグリフィスとの出会い、鷹の団に入ってからの青春時代が緻密に描かれています。木に吊るされ死に絶えた母親の死体から産み落とされたガッツは、ある傭兵団に拾われて、兵士として育てられることになりました。そこでは、売春なども同時に強いられ屈辱的な人生を歩みます。ある時、その傭兵団のリーダーの義父を殺してしまいました。
そこにいることができなくなった彼は、戦地を一人さまようようになります。そんな時、グリフィスと出会い戦いに負けた彼は、彼の鷹の団の部下として入ることになりました。彼は、特殊な能力を持っていたため、次第に頭角を現し、グリフィスとも親友になります。しかし、グリフィスの転生によって復讐心に燃える彼は、キャスカを守りながら、ゴッドハンドを探す旅をすることになったのです。
完璧な世界の卵の正体を考察
正体を考察①完璧な世界を孵化する
完璧な世界の卵は、アルビオン修道院の近くに住んでいました。修道院の周りを歩いては、命を繋ぐことができる食べ物を探し、生活をしていたのです。その生活はまるで野良猫のようでした。人間と接すことがない彼は、ドンドン野生化していきます。言葉を交わすこともなく、ただ残飯を漁る毎日です。そのうちに、何も感じることができなくなり、自分の正体もドンドンとわからなくなっていきました。
そんな彼も、ある時世界に少し興味を持ち、関りを持ちたいと思うようになります。勇気を振り絞って話しかけてみたのですが、あまりにも野生化した姿に、周囲の人間は恐れ、逃げてしまうのです。人によっては、石いを投げたり、酷いいじめをしたりする人もいました。ただ話したかった彼は、酷く傷つき、誰にも気づかれずに生きていく方法を選びます。穴を掘り、昼間はそこでじっとしていました。
夜になって、人の目に触れないようにしながら食料を探す生活をします。しかし、そんな彼の住処である穴に、人間はそうとも知らずに死んだ人の骨を捨てるようになりました。彼は、それによって死にそうになります。その時、持っていたベヘリットが5人のゴッドハンドを呼び寄せました。彼らによって使徒になった彼は、完璧な世界を孵化するという望みを舌の刻印と共に手に入れます。
正体を考察②完璧な世界とは?
完璧な世界の卵は、自分の世界を捧げたことで、卵に足が生えたような怪しい姿を手に入れます。使徒に転生した彼は、それ以降、自分の名を完璧な世界の卵と名乗るようになったのです。彼は、自分の置かれた生い立ちを振り返り、世界は醜く、残酷なものであると認識しました。また、人間は、あざとくて、卑屈で醜い生き物で、すぐに脅え、憎み、自分が苦しい状況になるとすぐに縋る愚かさがあるとしています。
そのため、完璧な世界の卵が本当に求めるものは、「この醜い世界で決定的に足りていないもの」なのです。彼が語る「最初で最後の破片」とは、ハッキリとは語られていませんが恐らく、神を意味していると考えられます。神という存在が欠けているため、この世は完璧でないと言っているのでしょう。そのため、彼が望むのは、神を孵化させることなのです。
正体を考察③神はグリフィス?
完璧な世界の卵は、神を孵化することができれば、世界は完璧となると考えているため、完璧な世界を孵化したいと願っています。彼は、光の鷹グリフィスを孵化しました。光の鷹グリフィスとは、闇の翼であるフェルトが現世で受肉した姿です。そのため、彼が神の代行者、人間が求めていた救世主ということになります。
完璧な世界の卵が、光の鷹グリフィスを孵化した後の話は、描かれていたいため、その後の様子を知ることはできません。しかし、彼は、神を孵化することができたことに満足していたようです。彼が心から待ち望んだ神を孵化することができたので、何よりの喜びとなったのでしょう。
正体を考察④贄だった?
完璧な世界の卵は、使徒に転生したのですが、そこには謎が残りました。それは、彼の舌には、生贄の証である烙印が押されていたのです。他の使徒には、贄の烙印はありません。ガッツやキャスカは、グリフィスが転生する際の生贄にされたため生贄の烙印が押されたことは、ハッキリとわかっています。
しかし、完璧な世界の卵には、5人のゴッドハンドが招集されたものの、「何かを生贄にせよ」とは言われていません。ただ、彼の世界は捧げています。もしかしたら、彼の世界を捧げたこと、つまり自分自身の世界を捧げたことで自分が生贄になったのかもしれません。
完璧な世界の卵にガッツと同じ刻印が刻まれている理由
完璧な世界の卵にガッツと同じ刻印が刻まれていた
グリフィスがフェムトというゴッドハンドになるため、彼は鷹の団を犠牲にしました。鷹の団を生贄にすることで転生が可能となったのです。そのメンバーの中にはガッツも含まれています。
生贄になった人間には、刻印が刻まれることになるので、彼の身体にも刻印が刻まれているのです。しかし、使徒に転生する際は生贄は必要ありません。しかし、完璧な世界の卵の舌には、刻印があります。それによって彼の正体が謎に包まれているのです。
完璧な世界の卵にガッツと同じ刻印がある理由を考察
辛い人生を一人孤独に生きてきた完璧な世界の卵は、ゴッドハンド達によって、使徒になりました。彼らによって、物を知ったり、考えたりすることができるようになった彼は、自分が何者であるのか、自分は何を望んでいるのか、自分の感情を認識することができるようになったのです。また、その際彼らには、「世界を捧げることで、望みを叶える」と持ちかけられました。
すでに死に絶えようとしていた完璧な世界の卵は、世界を捧げることを誓い、転生することができたのです。しかし、彼の舌には生贄の印である刻印が刻まれています。彼は、誰かの生贄になったわけではありません。この刻印は何の代償なのでしょうか?
これは、彼が世界を捧げたことに繋がっています。世界を捧げるとは、彼自身の世界を捧げるということだったのでしょう。それゆえに、彼には生贄の印である刻印が刻まれたと考えられます。
完璧な世界の卵と卵の使徒を考察
考察①卵の使徒が転生できた理由
完璧な世界の卵は、食べ物やお金、住む場所、世話してくれる人、話をする友達や知り合いでさえいませんでした。しかし、密かに持っていたものがベヘリットです。彼は、自分の住処に死体の骨を次々に入れられて、死にそうになっていました。そんな時、ベヘリットがゴッドハンド達を集めてくれたのです。彼は、ゴッドハンド達によって転生し、自分の生きる道を見出すことができました。
考察②卵の使徒のかけがえのないもの
完璧な世界の卵は、天涯孤独な人生を歩んでいました。それゆえに何も持っていません。彼にとってかけがえのないものとは、一つしかないでしょう。それは、彼自身の命です。家族がいたり、子供がいたりする場合は、自分の命よりも大切なものになる可能性はあります。しかし、彼がただ一つ持っているものは、彼自身の命しかなかったのです。
考察③卵の使徒の望み
完璧な世界の卵は、知性が乏しく、生き延びることだけが望みでした。しかし、ゴッドハンド達によって、自分が希望していることを知ることになります。彼は、小動物と共に食べ物を漁って生きていました。そのため、周囲の人間は彼を化け物扱いして、逃げ出します。彼は、その時、悲しみと絶望、怒り、恐怖などの様々な感情を体験することになるのです。さらに、彼の穴に入れられた死体の骨によって死にそうになります。
彼は、それらの経験によって、差別やいじめのない世界を望みました。しかし、そのような世界はどこにもなく、そのような世界に必要なものは、神の存在だと思ったのです。この物語では、その神の存在が光の鷹であるグリフィスのように描かれています。
考察④卵の使徒は優しい人?
彼は、生まれながらにして周囲から疎まれる存在でした。彼の出生も分からないため、彼自身、自分が何者かも知る由がありませんでした。彼は、差別や迫害を受けたにも関わらず、その世界を救うために完璧なる世界を望みました。それは、彼が優しい心を持っていたからではないでしょうか?人に傷つけられたことがある人しか他人の痛みはわかりません。彼は優しいゆえに、完璧な世界を作ろうとしたのでしょう。
考察⑤卵の使徒がルカを攫った理由
完璧な世界の卵は、ルカを攫いますが、彼女を傷つけたくて攫ったのではありません。彼は、自分の使命を全うした後にどうしても叶えたい望みがあったのです。それは、差別やいじめのない完璧な世界を作ることよりも大切でした。それは、誰かと話がしたかったのです。人間は、自分を認めて欲しいと思っています。
過酷な人生を生きてきたからこそ、ありのままの自分を認めてもらうことに飢えていたのかもしれません。そんな時、ルカの存在を知ります。彼女であれば、こんな自分でも認めてくれるかもしれないと感じた彼は、彼女を攫ったのです。
完璧な世界の卵に関する感想や評価
自分、ベルセルク未履修なんだけど完璧な世界の卵ちゃん可愛くね?
— ほくと@芋 ガ ラ ル (@kinokohahokuto) February 14, 2018
この物語をよく知らない人にも人気なのが、完璧な世界の卵です。その見た目は、普通ではありませんが、何とも愛らしく可愛いと、ほほえましく思っていまうキャラクターになっています。また、彼の内側に秘められている彼の思いを知れば知るほど、愛着を持ってしまうかもしれません。
切なくて泣ける物語が結構好きで、具体的にはベルセルクの「完璧な世界の卵」にまつわるエピソードなどです pic.twitter.com/jKAlk7mjdI
— _ (@inuinfinity) October 9, 2017
切なくて泣ける物語を好きな人は結構多いです。そのような物語を探している人にとって、完璧な世界の卵の話は、おすすめできるかもしれません。自分が壁にぶち当たった時、孤独を感じる時は、彼の物語を読み返してみるのもいいでしょう。きっと、勇気が湧いて、もうちょっと頑張ってみようと思えるかもしれません。
僕個人の僕個人による僕個人のためのベルセルクかっこいい使徒ランキング第1位「完璧な世界の卵」ベルセルク史上最高の章と言っても過言ではない生誕祭の章。色々あったが結果彼の一人勝ち。モズグス様は使徒ではないのであしからず。 pic.twitter.com/VOBjoSzFtO
— labbaboom (@good__mind) May 9, 2015
完璧な世界の卵のキャラクターの人気は意外と高いです。見た目のキュートさも魅力の一つですが、彼の優しい気持ちや内側の感情が繊細に描かれているので、自分のことのように捉えてより感動してしまう人も多いのでしょう。おちゃめな一面も垣間見ることができる彼のキャラクターは、物語を引き立てています。
完璧な世界の卵の正体まとめ
完璧な世界の卵のキャラクターは、多くの読者を感動させました。人間であれば、誰もが自分の存在を認めてもらいたいと願っています。その根本の感情を見事に表現しているキャラクターでした。作者の壮大な世界観を垣間見ることができるストーリーとして、高い評価を得ています。