2019年07月26日公開
2019年07月26日更新
アラジンと魔法のランプの原作あらすじを紹介!ディズニー版との違いは?
アラジンと魔法のランプはイスラム世界の説話集であるアラビアン・ナイトに収録される短編の一つです。ディズニー版で馴染み深いアラジンですが、その原作となったアラジンと魔法のランプとディズニー版には多くの違いが存在します。この記事では別名千一夜物語とも呼ばれるアラビアン・ナイトについてその概要やあらすじをまとめ、アラジンと魔法のランプのあらすじ、ディズニー版との違い、感想を紹介します。
目次
アラジンと魔法のランプはアラビアン・ナイト(千一夜物語)
アラビアン・ナイトの別名が千一夜物語
アラジンと魔法のランプが収録されるアラビアン・ナイトは別名千一夜物語と呼ばれています。これはフランス人の東洋学者アントワーヌ・ガランが最初にアラビアン・ナイトを翻訳してヨーロッパへ紹介した際、その題名を"Les Mille et Une Nuits"(1001の夜)と訳したことに由来します。
もともとは「数が多い」という意味で使われたに過ぎなかった「1001の夜」という言葉でしたが、数合わせのために原点の千一夜物語にはなかった話をヨーロッパでどんどん付け加えていったと言われています。こうして題名の千一夜物語と同じく1001の夜が作中で過ぎることになりました。
アラビアン・ナイトは1つの物語
アラビアン・ナイト、別名千一夜物語はイスラム世界の説話集で、その作者や成立した時期が不明となっています 。その語り口はペルシャの王に妻が毎夜物語を語るというもので、1つの物語となっています。
短編集が多数ある
アラビアン・ナイト、別名千一夜物語はサーサーン朝時代にペルシャ・インド・ギリシャなど各地の民話が多数編纂されたもので、のちにアントワーヌ・ガランが翻訳したアラビア語の写本では282夜の物語が語られる短編集となっています。ヨーロッパへ持ち込まれる際に物語が付け加えられ、現在では版によってその結末が異なっています。
ヨーロッパでは民間伝承の物語をグリム兄弟が集めて本にまとめグリム童話を作りましたが、アラビアン・ナイトはそのアラビア版の短編集というということができます。
アラビアン・ナイトは歴史が分かる資料
アラビアン・ナイトの舞台ははペルシャ・インド・ギリシャなどさまざまな地域であり、歴史書と違って中世のイスラム世界における一般庶民の生活や思想を知ることができる資料でもあります。
アラビアン・ナイトのあらすじ
あらすじ①女性不信の王様
アラビアン・ナイトのあらすじを紹介します。昔、ペルシャの王シャフリヤールは妻に不貞を働かれました。王は自分を裏切った妻を殺し、女性不信になります。それから王は女性を宮殿に呼んで一夜を過ごしては翌朝に首をはねるということを繰り返しました。側近は困り果て、大臣の娘シェーラザードが王のもとへ嫁ぐこととなりました。
あらすじ②シェーラザードの物語
王に嫁いだシェーラザードはその最初の晩、王に物語を語り聞かせます。その話はとても面白く、王は夢中で聞き入ります。しかしシェーラザードは話の佳境で語るのをやめてしまいます。「続きはまた明日」そう言われ、物語の続きが気になる王はその晩シェーラザードを殺しませんでした。
あらすじ③物語は毎晩続く
それから毎晩シェーラザードは王に物語を語りきかせます。毎回一番いいところで話を切り上げることで王に殺されることを免れ、命を繋いでいきます。その繰り返しでシェーラザードは千一夜物語を語り、千一夜を生き延びたのでした。
あらすじ④身篭った子
千一夜を語り千一夜を生き延びたシェーラザードはいつしか王の子供を身ごもっていました。
あらすじ⑤愛を知った王様
千一夜を共に過ごすうちに王もシェーラザードを愛するようになっており、女性への憎しみから解放されます。王は女性を殺しまくる悪習をやめ、ペルシャの街に平和が戻るのでした。
アラジンと魔法のランプの原作あらすじを紹介
アラビアン・ナイトに収められている話のうちの一つ、アラジンと魔法のランプの原作のあらすじを紹介します。
原作あらすじ①貧しい青年
アラジンと魔法のランプの舞台は中国です。中国のある都に貧しい青年アラジンがいました。アラジンは仕立て屋ムスタファの息子で、わんぱくの怠け者でした。父親が死んでもアラジンは働かず、母親が店を売って糸紡ぎをすることで食いつないでいました。
原作あらすじ②悪い魔法使い
そんなある日、死んだ父親ムスタファの弟、つまりアラジンの叔父だと名乗る男が現れます。その男は叔父などではなく、正体は悪い魔法使いでした。しかしムスタファが死んだということを告げられ号泣する姿を見て、その男をアラジンと母親は信用してしまいます。
原作あらすじ③母へのお土産
男は母親にお土産を持ってきたり、アラジンに高価な服を買ってやったり、金貨を取り出してみせることでさらにアラジンと母親の信用を得ていきます。ある日、男はアラジンを連れて遠くまで行きます。ある場所で足を止め呪文を唱えると、大地が揺れて裂け、穴の底から大理石の板が出現します。
男はアラジンに中に入ってランプを取ってくるように言います。さらに、中に入れるのは世界でアラジン一人だけだと言います。男からお守りの指輪を渡されたアラジンは意を決し、穴の中へ入って行きます。
原作あらすじ④ランプの発見
「行きは絶対に周りのものに触ってはいけない。帰りに庭の果物を取るのは構わない」と男に注意されたアラジンは言いつけを守り、周囲の宝に触れることなく道を進みます。そして無事ランプを発見し、懐に入れたアラジンは道を戻ります。帰り道で見つけた庭に生っている美しい果物を懐へ押し込み、男の待つ入り口まで戻ります。
原作あらすじ⑤魔法使いの怒り
ついにたどり着いた入り口で、男はアラジンにまずランプを渡すように言います。ランプはアラジンの懐の中ですが、上から果物を押し込んでいるため取り出せません。そのため穴の外に出ないと渡せないとアラジンが言うと、男はアラジンがランプを自分のものにしようとしていると勘違いして激怒し、石の板を閉じてその場を立ち去ってしまいます。
真っ暗な穴の中で生き埋めにされたアラジンは途方にくれ、座り込んでアラーに祈りを捧げ両手をこすり合わせます。するとお守りとして男に与えられた指輪から恐ろしい姿の魔神が現れます。魔神は、「私はその指輪をはめている人の奴隷です」と言い、なんでも願いを叶えると告げます。それを聞いたアラジンが外に出たいと言うと、次の瞬間アラジンはすでに穴の外に立っていました。
原作あらすじ⑥ランプの魔人
やっとの思いで家に帰ったアラジンは母親に事の次第を語ります。次の日、食べるものを買おうとしてアラジンが穴から持って帰ってきたランプを売ろうと考えた母親は、汚れを取るためランプをこすります。するとランプからは指輪の魔神よりはるかに強大な魔神が現れ、「私はランプの持ち主の召使いです。なんでも言うことをききます」と告げます。
母親は卒倒し、代わりにアラジンが食べるものを願うとランプの魔人はあっという間に豪勢な食事を用意します。アラジンと母親はそれを完食すると料理がのっていた金の皿を売ってしばらく生計を立てます。
原作あらすじ⑦姫との結婚
ある日王室から姫が浴場においでになるのでそのお姿を見ないように、というおふれがでます。ですがアラジンは美しいと評判のその姿を一目見たいと思い、浴場へ覗きにいきます。ついに目にした姫は評判通り美しく、アラジンは恋に落ちます。
なんとかして姫と結婚したいアラジンはランプを取りに行ったときに持って帰ってきた美しい果物を思い出します。実はこの果物は全て宝石でした。アラジンは母親に頼み、宝石をもって王に謁見し、姫を自分に下さるようにお願いしてきてもらいます。王はこのように高価な宝石を持つものは裕福に違いないと考え、あまり考えることなく了承の返事をします。その返事をきいてアラジンも母親も大喜びします。
しかし、実はもともと王は姫を大臣の息子と結婚させる約束をしていました。悲しんだ大臣は猶予をもらえばもっと立派な贈り物をすると言い出します。王は同意し、アラジンたちには婚礼の準備をせよとだけ告げ、大臣のことを言わぬまま2ヶ月がたちます。
2ヶ月がたったころ、姫が大臣の息子と結婚し今夜が床入りだという話を聞いたアラジンはランプの魔人を呼び出します。魔人に姫と大臣の息子を寝床ごとさらってこさせ、大臣の息子を一晩トイレに監禁します。翌朝魔人に再び二人を返してこさせ、夜になるとまたさらって来させるということを繰り返します。
おびえた大臣の息子は結婚を取りやめます。そうして次に母親がアラジンと姫の結婚の話をしに王に謁見すると、王は大皿いっぱいの宝石を40皿用意しろと告げます。アラジンはランプの魔神に頼んでその通りに宝石を用意します。すると王はアラジンを姫の結婚相手として認めます。アラジンは魔神に頼み姫と住むための豪華絢爛な宮殿を一夜で建て、晴れて姫と結婚し王子になります。
原作あらすじ⑧奪われたランプ
アラジンが姫と結婚して何年か過ぎたころ、アラジンにランプを取って来させた魔法使いの男が魔法の水晶玉を覗き込み、アラジンが生きておりさらにはランプを使って栄華を極めていることを知ります。怒った魔法使いは町へ潜入すると、「古いランプがあれば新しいものと交換する」と呼びかけながらあたりを周ります。
魔法使いの男の妙な文言に興味を引かれた姫は、男の元へアラジンのランプを持っていって新しいものと交換させます。こうして魔法のランプを手に入れた魔法使いはランプの魔神を呼び出し、姫のいる宮殿をまるごとアフリカへと移動させます。
姫が宮殿ごといなくなり驚いた王は、アラジンのしわざだという大臣の言葉を信じてアラジンを処刑しようとします。どうにか40日の猶予をもらったアラジンは姫の捜索を始めます。
原作あらすじ⑨指輪の精
捜索の途中で指輪の魔神のことを思いだしたアラジンは魔神を呼び出し、宮殿をもとに戻すように言います。しかし指輪の魔人はそれを断ります。ランプの魔神の管轄には手を出せないと言うので、アラジンは代わりに宮殿が今あるところへ連れて行ってほしいと頼みます。
アラジンが宮殿へつくと、魔法使いは外出していていませんでした。連れ去られた悲しみと言い寄ってくる魔法使いに疲れた姫とも再会します。姫から魔法使いの男はランプを常に持ち歩いていると聞いたアラジンは指輪の魔人に言って強力な眠り薬を入手させ、姫に渡します。姫は戻ってきた魔法使いの気持ちを受け入れるふりをして眠り薬を飲ませ、ぐっすり眠ったところをアラジンが襲ってランプを奪い、殺します。
原作あらすじ⑩取り戻したランプ
取り戻したランプで魔神を呼び出したアラジンは宮殿を元の場所に戻させ、姫を無事取り戻したことで王とも和解します。それからアラジンは姫と幸せな日々を送りました。
アラジンと魔法のランプの原作とディズニー版との違い
違い①アラジンに母がいる
ディズニー版ではアラジンの両親は登場しませんが、原作のアラジンと魔法のランプでは母親が登場します。特に王様に姫との結婚を頼みに行くシーンでは重要な役割を果たしています。現代では当人同士で取り決めるのが普通ですが、それ以前では結婚は親同士が取り決めるものだったので、原作のアラジンと魔法のランプで母親が登場するのは自然だといえます。
違い②魔人に名前が無い
ディズニー版ではランプの魔人に「ジーニー」と言う名前がついています。しかし原作のアラジンと魔法のランプでは名前がありません。
違い③魔法使いに名前が無い
ディズニー版では魔法使いに「ジャファー」という名前がついています。しかし原作のアラジンと魔法のランプでは名前がありません。
違い④魔法の絨毯で飛ばない
ディズニー版ではアラジンとジャスミンが魔法の絨毯に乗って飛びますが、原作のアラジンと魔法のランプでは魔法の絨毯はでてきません。
違い⑤姫の名前が違う
ディズニー版では姫の名前は「ジャスミン」でしたが、原作のアラジンと魔法のランプでは姫の名前は「バドル・アル・ブドゥル」となっており、名前が違います。
違い⑥無限にお願いができる
ディズニー版ではランプの魔人に叶えてもらえる願いは3個まででしたが、原作のアラジンと魔法のランプでは叶えられる願いの数に制限はなく、無限にお願いができます。
アラジンと魔法のランプのディズニー版の登場人物
登場人物①アラジン
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。一人目はアラジンです。アグラバーに住む18歳のアラジンは子供の頃に両親を失い、学校へ通わずストリートで盗みをして生計を立てていました。生きるために盗みをするアラジンですが、盗んだパンをお腹をすかせた子供達に譲るなど優しい心を持っています。
登場人物②ジャスミン
出典: https://ciatr.jp
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。二人目はジャスミンです。ジャスミンはアグラバー王国の姫であり、王族の窮屈な暮らしに退屈して外の世界に憧れを抱いています。次の誕生日までに王族を相手に結婚しなければならないという法律のため、国王である父親に結婚を急かされていますが、愛のない結婚はしたくないと考えています。
登場人物③アブー
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。3人目はアブーです。アブーはアラジンのペットであり友達の猿です。アラジンと一緒に盗みをしており、手グセが悪く見かけた宝石類をすぐに盗んでしまいます。
登場人物④ジーニー
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。4人目はジーニーです。ジーニーはランプの魔神であり、彼の住処である魔法のランプをこすった者を主人にして願いを3つ叶えます。ジーニーは強力な魔力を持ちますが、魔法は主人の願いを叶える時しか使うことができません。
登場人物⑤ジャファー
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。5人目はジャファーです。ジャファーはアグラバー王国の国務大臣で、国王の右腕の側近です。強い野心を抱いており、王に媚を売りながらもその王位をしたたかに狙っています。杖を用いた催眠術で人の心を操ることができます。
登場人物⑥イアーゴ
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。6人目はイアーゴです。イアーゴはジャファーの肩にいつものっている喋るオウムであり、主人のジャファーに似てひねくれた性格です。
登場人物⑦カシーム
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。7人目はカシームです。カシームはアラジンの父親で、「アラジン完結編 盗賊王の伝説」で登場します。40人の盗賊の王です。家族にもっといい暮らしをさせてやりたいという思いから家を出ますが、いつの間にか盗賊団の首領となっていました。
登場人物⑧スルタン
ディズニー版のアラジンと魔法のランプの登場人物の紹介をします。8人目はスルタンです。スルタンはアグラバー王国の国王でジャスミンの父親です。一見優しそうな外見をしていますが、娘のジャスミンを無理やり結婚させようとするなど強引で尊大な一面を持っています。おもちゃで遊ぶのが好きという幼稚なところがあり、またジャファーの悪巧みに気がつかず操られるような鈍感さもあります。
アラジンと魔法のランプに関する感想や評価は?
確か原作のアラビアン・ナイトのほうのアラジンと魔法のランプは中国が舞台じゃなかったっけ
— わすみ (@2525manto25) March 12, 2018
そしてアラジンがかなりの下衆野郎だったらしいけど
アラビアン・ナイトに収録されてるアラジンと魔法のランプでは、姫を結婚させないために大臣の息子をさらって監禁する場面があり、ディズニー版に比べてアラジンが過激な性格だということがわかる感想です。
実写版の予習にアニメの『アラジン』を観た。
— 法と秩序 (@lawandorder_jp) July 5, 2019
薄々感づいてはいたけど原作の『アラジンと魔法のランプ』に出てくる指輪の魔神は出ないんだね… 俺好きなのに😞
最後の機転を利かせた逆転劇は昔話感あって良かった。#アラジン pic.twitter.com/1Q5oKUq2kO
原作のアラジンと魔法のランプで登場する指輪の魔神が、ディズニー版では出てこないことを惜しむツイートです。他にも原作のアラジンと魔法のランプとディズニー版には多くの違いが存在します。
また、アラビアン・ナイトに収録されるアラジンと魔法のランプでは、魔法使いを殺してその死体を焼いた灰を撒いたりするなど、残酷なシーンが見受けられるます。その衝撃なシーンに対してのツイートも多くありました。
青い鳥文庫「アラビアンナイト」に収録されてる「アラジンと魔法のランプ」、願い事の数を3つに制限するルールがどこにも書かれてないような気がするんだけど……いつから3つになった?
— 桑野みどり (@KuwanoMidori) July 23, 2019
ディズニー版のアラジンでは願い事は3つまでしか叶えられませんが、原作のアラビアン・ナイトに収録されるアラジンと魔法のランプでは叶えられる願い事の数に制限はありません。その違いを疑問に感じるツイートです。
多分原作?というか元の千夜一夜物語のアラジンと魔法のランプでは洞窟の他のお宝とっても何も起こらない?んですよ、でもディズニーのをベースに見て育った幼い私は絵本を見ながらアラジンお宝沢山とってて大丈夫だろうかと心配してた記憶
— りな (@__ri_a__n) June 14, 2019
ディズニー版のアラジンでは洞窟で宝石に触ることが許されていませんが、原作の千一夜物語に収録されるアラジンと魔法のランプでは帰り道に果物の形をした宝石を持ってかえることが許されています。ディズニー版に馴染み深いと千一夜物語のアラジンと魔法のランプに違和感を覚えることがわかるツイートです。
アラジンと魔法のランプの原作あらすじを紹介まとめ
ディズニーで馴染み深いアラジンの原作、アラジンと魔法のランプのあらすじや千一夜物語とも呼ばれるアラビアンナイト、ディズニー版との違いなどを紹介しました。日本では2019年6月から実写版アラジンが公開され、原作のアラジンと魔法のランプにも注目が集まります。このまとめで興味を持った方は観にいってみてはいかかでしょうか。